先日ある会合でお久しぶりの方と話していた時のことです。その会合はコロナ禍でオンライン開催が続いていたので、3年か4年ぶりに顔を突き合わせての開催となり、盃を片手にあちこちで話に花が咲いていました。
さて、私がマクロ経済の状況について話していると、それに繋げてその方のお子さん達の話になりました。曰く、長男は海外で働くことを考えて準備しているそうなのですが、その長男が大学生の妹に、「もう日本は先がないから、海外に出ることを考えておいた方がいい」と諭していたとのこと。その姿に、その方は、日本はもうそんなところにまで落ちぶれてしまったのか、若者達の意識はそうなってしまったのかと愕然としたそうです。
もちろん私としては、「再び希望が持てる日本に、日本に誇りを持てるようにしていきますよ。」と話したのですが、確かに、今の10代20代は海外志向が以前と比べて強いように思います。そうした海外志向には、「英語」、「英語が出来ればいい」という歪な形になっているという問題もありますし、何か特定の目的や研究テーマを持って海外に留学する、働きに行くのではなく、とりあえず海外という傾向が強いという問題もありますが、なぜ海外という発想になるのかと言えば、先ほどの「日本には先がない」という言葉に象徴されるように、日本経済が未来に希望を持つことが困難なくらいに停滞どころか衰退し、給料も伸びない、貧困世帯や生活に困窮する世帯が増えているという実態があるからであり、学校や友人との関係、ネットメディアの情報等を通じてそうしたことを知っているし、肌で感じ取っているからでしょう。(もちろん、そうした情報の中には、煽り動画や、煽り誘導サービスのネット広告によるものもあるとは思います。)しかし、冒頭で紹介した話のように、「日本には先がない」というのは、かなりの部分、若者の共通認識になりつつあるのではないでしょうか。
なぜそんな状況になってしまったのか?原因は言うまでもなく、緊縮財政と改革による日本破壊です。(詳しくは拙著『ニッポン没落のカラクリ』をご覧ください。)こうした事実を知り、煽りに騙されないところか始めないと、若者の失望は広がるばかりです。親たちにしても、子供の将来を不安視して、海外へ留学なりさせなければと考えてしまうのも仕方がない側面はあるという話になってしまいますね。それによる合成の誤謬が、日本の将来に希望が持てない若者が増えているという結果を産んでいるとも言えますが。
しかし、同時に、海外に行ったからといってどうにかなるわけではないですし、将来にわたって安心できるわけでもないですし、それが保証されているわけでもありません。根無草になってただ漂流するだけの人生になってしまうかもしれません。「英語が英語が」と力んでみても、英語圏がずっとヘゲモニーを握るとも限りませんし・・・
やはり冷静になって平衡感覚を取り戻し、事実を知ることです。その先に、映画「君たちは長いトンネルの中」、略して「君トン」のアサミちゃんのようなしっかりとした若者が増えてくれることを願いたいところです。しばらくはまだトンネルから抜け出せないとしても、トンネルには必ず出口があるのですから。
【室伏謙一】これからの日本に希望が持てない若者達への5件のコメント
2023年7月11日 12:42 PM
次々と 国家を
脱ぎ捨てて いく、、
好きだな その 感覚
ちなみに 着替える 「Tシャツ」が
この世から
なくなったときは どう なさるのか
しら ん ♪
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2023年7月12日 1:51 AM
事実を知ったからこそこの先の未来がない日本にどうして希望が持てるというのかと思います。
30年近くも未来の日本人のために投資を怠ったのだからその結果が明確に現実に現れてしまっただけでしょう。
30年近く同じあやまちを繰り返してきて、こんなにも追い詰められ増税と貧困化没落がありありとしてきたのに、政治は国民を助ける方向転換どころか、この期に及んでさらに自殺政策の増税やら改悪改革の急進をことごとく加速させていくのみで止められることの想像さえつかなくなってきた始末である。
その上中国有事も現実味を帯びて、さらに近い将来に日本に致命傷にもなりかねない大打撃の東南海地震首都直下地震が必ず起きると分かっているのである。
この現実を知れば未来ある若者に責任ある大人ができる助言のなかに、日本を信じて日本社会に未来を託そうなどと無責任なことが言えたりするのだろうか。とてもじゃないがそんな希望を持てる未来など日本のどこにあり得るのかと考えざるを得ないのです。
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2023年7月12日 9:29 PM
政府が公表している少子化白書や中央大学の山田昌弘さんが指摘するように少子化の主な原因は
・20年以上にわたる実質賃金の低下
・雇用の不安定化(いつ何時無収入になるかわからない)
・関東一極集中
なわけで、TVの自称有識者たちも「企業の賃上げが重要です」といった感じで実質賃金が下がっているのは企業のせいだとしてきたわけです。しかし、森永卓郎さんによると
<図表3 消費税導入前(1988年度)と現在(2022年度)の家計の比較 総務省「家計調査」より>
・世帯主収入
1988年474万円
2022年533万円
となっていて世帯主の収入は12.5%アップしているという。つまり、少ないとはいえ不況のさなかでも企業は賃上げをしてきたわけだ。しかし、ここから
・直接税 57万円
・社会保険料 78万円
・税社会保険 135万円
・手取り収入 398万円
・消費税後手取り 366万円
などの各種税金を差し引いていくと実際の手取りは366万円にまで下がってしまうという。1988年の実際の手取りは384万円だったので、なんと現在の日本人の収入は1988年よりも低いということになる。経済成長どころか退化しているのが実情。
さて、これを見ればわかるように、実質賃金が低下し続けているのは
「企業が賃上げをしないから」
ではなく
「政府が増税をしまくるから」
だったわけですね。TVに出演する自称有識者や新聞はなぜこの事実を報道しないのでしょうか?
森永卓郎さんによると消費税導入前の1988年度と現在2022年度の国民負担率の比較をすると、いかに重税を課せられているのかがよくわかるという。
・消費税
1988年度0%
2022年度10%
・復興特別所得税
1988年度:0
2022年度:所得税の2.1%
・給与所得控除
1988年度:上限なし最低保証65万円
2022年度:年収850万円で上限の195万円 最低保証55万円
・生命保険控除
1988年度:上限10万円
2022年度:上限5万円
・配偶者控除
1988年度:所得制限なし
2022年度:合計所得1000万円以上は適用なし
・専業主婦特別控除
1988年度:配偶者控除に38万円加算
2022年度:廃止
・老年者控除
1988年度:50万円
2022年度:廃止
・公的年金控除
1988年度:120万円
2022年度:110万円
・相続税基礎控除
1988年度:5000万円
2022年度:3000万円
・健康保険料
1988年度8.30%
2022年度10.00%
・サラリーマン窓口負担
1988年度:1割
2022年度:3割
・国民健康保険賦課上限(年額)
1988年度:40万円
2022年度:102万円
・後期高齢者医療保険料
1988年度:なし
2022年度:6472円
・後期高齢者の窓口負担
1988年度:800円
2022年度:医療費の1割~3割
・厚生年金保険料
1988年度:12.4%
2022年度:18.3%
・国民年金保険料
1988年度:7700円
2022年度:16610円
・厚生年金支給開始年齢 1988年度60歳/2022年度65歳
・国民年金満額給付(月額)
1988年度52208円
2022年度64816円
・国民年金満額給付(現在価値)
1988年度61711円
2022年度64816円
・介護保険料(現役) 1988年度0%/2022年度1.64%
・介護保険料(高齢者) 1988年度なし/2022年度5869円
・障碍者福祉の自己負担
1988年度:応能負担(9割は無償)
2022年度:1割負担
消費税以外の部分もひたすら増税されてきたし、控除も縮小されてきた。国民が貧乏になるのは当たり前だったわけだ。
TVで「財務省が悪い」と堂々と言った人物は森永卓郎さんしか知りませんが、偉い人の顔色をうかがって発言をしている最近の若いコメンテーターと比較すると「芯がある」という感じをうけますね。まあ、わたしは思想家のマルクスより実務家のケインズの方なのでそこは森永卓郎さんとは合いませんが、彼が学者として誠実であることは確かだと思います。
ところで、どうして財務省はここまで増税ばかりを繰り返してきたのかというと表向きは
「国の借金(自国通貨建て国債)を返済しなければならないから」
と説明されてきました。2019年1月28日、衆議院本会議 安倍総理の施政方針演説でも
安倍総理「(消費税)八%引き上げ時の反省の上に、経済運営に万全を期してまいります。増税分の五分の四を借金返しに充てていた、消費税の使い道を見直し、二兆円規模を教育無償化などに振り向け、子育て世代に還元いたします」
と述べています。つまり、国民から徴収した税金のほとんどが「いわゆる国の借金の返済」に突っ込まれていたということです。
さて、ここで他の国々はどのくらい「国の借金の返済」をしているのかという疑問が当然出てくることと思う。その答えがコチラ⇓
森永康平のビズアップチャンネル 第103回
は、そうですね。日本以外の国は一般会計に国債償還費を含めていない、つまり、「国の借金の返済」など行っていないわけです。それで今まで何の問題も起きてこなかったんですよ。
要するに、財務省も政治家も”やる必要がないことを”
財務官僚「俺たちは寝ないで仕事してるんだよ!」
やっていたということになります。よく私が「寝ててくれた方がマシ」と言っている意味、分かっていただけるでしょうか。
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2023年7月13日 12:52 AM
定期的に議論が振り出しに巻き戻るのなんとかしてくれ(苦笑い
<安藤裕さんの元に送られてくる質問>
Q:
国税庁のホームページには
国税庁「消費税は、商品製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します」
と書いてあります。安藤裕さんの説明と違いますが?
この公式文に記載されている通り消費税を消費者が負担していることは、あなたも認めるんですよね?
A:
まず、消費税法を読んでみよう。
「『消費税法 (納税義務者)第五条
事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等(略)につき、この法律により、消費税を納める義務がある。』
消費税の納税義務者が「消費者」であるとは、どこにも書かれていない。
くわえて、消費税免税事業者に消費税を納めさせることを争った裁判の結果がコチラ⇓
東京地裁平成2年3月26日判決、
平成元年(ワ)第5194号損害賠償請求事件、
判例時報1344号
判決「(消費税法には)消費者が納税義務者であることはおろか、事業者が消費者から徴収すべき具体的な税額、
消費者から徴収しなかったことに対する
事業者への制裁等についても
全く定められていないから、
消費税法等が事業者に徴収義務を、
消費者に納税義務を課したものとはいえない」
「消費税の納税義務者が消費者、
徴収義務者が事業者であるとは解されない」
「したがって、消費者が事業者に対して支払う
消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する
対価の一部としての性格しか有しないから、
事業者が、当該消費税分につき
過不足なく国庫に納付する義務を、
消費者に対する関係で負うものではない」
さらに参るぞ!
<2023年 2月10日 衆議院内閣委員会 たがや議員の質疑>
たがや議員「これ何の裁判かというと民間が国を相手取って『仕入れ税額控除はおかしい』と」
たがや議員「消費税を全額納めない事業者はピンハネ横取りだろうと訴えた裁判です」
たがや議員「それの判決が既に出ていますけども『事業者が取引の相手方から収受する消費税相当額は、あくまでも当該取引において提供する物品や役務の対価の一部である。』」
たがや議員「『事業者が取引相手から収受した消費税相当額の一部が手元に残ることになっても、税額の一部を横取りすることにはならない。』」
たがや議員「とあります」
たがや議員「すなわちピンハネではない、益税、あずかり税ではないと言っています」
たがや議員「消費税は売上金の一部であり、あずかり金ではないということになります」
たがや議員「そこでカネコ政務官に質問です。消費税は旧大蔵省が主張した通り『あずかり税ではない』、それでよろしいですか?」
かねこ政務官「(消費税は)あずかり金的な性格でございまして、あずかり税ではありません、という答弁を財務省は過去にさせていただいています」
たがや議員「じゃあ、預かり税ではないということでよろしいですか?」
かねこ政務官「その認識で結構でございます」
たがや議員「要するに益税じゃないっていうことですね」
ということでして、消費税は消費者が負担しているものでもなければ間接税でもなかったんですね~、国会でもカネコ政務官がそのように認めていますしね。裁判でも国会質疑でもそのようになっているということは、国税庁がホームページに嘘を載せているということなのですよ。
同じ説明でも何度でもしますよ。なにせ10年以上も同じ説明を根気強く続けてきた人たちもいるわけだしね。
ちなみに、安藤裕さんの動画を見て消費税が間接税でも預り金でもないという事実を知った元国税職員の方が後輩にもそのことを伝えたのだそうですが、
「税務の職場では残念ながら消費税が預り金であると納税者が誤認しているほうが仕事がスムーズに進みます」
「特に徴収義務や滞納処分」
「赤字で消費税が納められない事業者の所に行ったときに『客から預かった消費税をなんで支払わないんだ!』と責めることができた方が仕事が楽なのです」
ということでしてね。
元々、消費税は
「直接税と間接税のバランスが悪いので新たに間接税である消費税を導入して直間比率のバランスをとる必要がある」
という名目で導入されたものでした。しかし、実際には裁判や国会の質疑でも明らかになったように消費税は間接税でもなければ「預り金」でもなかったわけで、当時の財務省は国民に噓をついて新税を導入したということですね。
この財務省の嘘のせいで現場の税務職員は嫌な仕事をやらされることになっているわけだ
森永卓郎さんの言うように財務省の罪は重いですね。
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2023年7月13日 1:42 AM
ところで、どうして財務省は国民をだましてまで新税の導入や緊縮を推し進めてきたのか?表向きは
財務省「国の借金(自国通貨建て国債)を返済しなければ財政破綻してしまうから」
ということだったわけですが、財務省のホームページには
「日米など自国通貨建て国債の国は構造上、財政破綻しない」
と書いてあったりもする。つまり、表向きの説明は嘘なわけだ。では、どうしてそんなに緊縮増税をするのかというと、予算を絞って他省庁の人間に頭を下げさせる状況を作れば、退職後の選択肢が広がる(他省庁の管轄にも転職できる)ということなんじゃないのかなと。実際、財務省は「省庁の中の省庁」なんて言われているそうですしね。
週刊誌の情報ではありますが、読売新聞は与党よりの新聞だと言われていますし、代表取締役主筆の渡邉恒雄氏は、岸田総理の父で元衆議院議員の文武氏と東京帝大の同級生で親友だとのこと。そんな、与党寄りの新聞なのに
<岸田首相は、増税の実施時期の判断から逃げてはならない>
<LGBT法が欠陥を抱えていることは明らかだ。成立を急がせた首相の責任は重い>
など、ここのところ与党への批判を強めているそうな。これについては
全国紙政治部デスク「総理は解散見送りを表明の6日前、6月9日の昼に渡邉主筆と懇談しています。ここで総理は解散を見送ること、増税する考えはないことを主筆に伝えたといいますが、それが主筆の考えと食い違ったようです」
ということで、増税に抵抗するそぶりを見せたことが原因なのではないかということでした。
読売新聞は伝統的に財務省とのパイプが太いとされ、グループ本社の監査役には大物次官のOBの丹呉泰健氏や真砂靖氏を迎えてきた。そんな新聞社相手に「増税する考えはない」なんて言ったら、そりゃあもう批判されまくるでしょうね(苦笑い
これを見ればわかるように、財務官僚は様々なところに入り込んで「世論を操作」しているわけだ。そして、様々なところに入り込むためにも「省庁の中の省庁」でいなければならないし、その為には予算を絞って他省庁の人間に頭を下げさせなければならない、と。あ~なるほど(笑)
よく、「朝日新聞さえなくなれば世界は平和になる」なんて言っている自称保守を見かけますが、財務省と大変仲良しであるところの読売新聞はいいんですかね?保守よりなどと言われる産経新聞も、産経記者の田村秀男さんによると緊縮増税賛成派の方が多いとか。わたしには長周新聞以外はどこも同じに見えますけどね(笑)
「長周新聞さんは安藤裕さんの記事を全文載せてくれた唯一の新聞ということで、ありがとうございました!」
ちなみに、岸田首相の「増税をする考えはない」というのは国民のことを考えてのことではなく、どうやらポジショントークだったようですよ…
岸田派所属議員「『増税』と言いすぎて支持率が低迷したことに懲りて、総理は『財務省のポチ』呼ばわりされることを極端に気にするようになり、今では増税をムキになって否定している」
泉房穂・明石市前市長の言う通り、国民のことを考える政党(政治勢力のマトリックスで言うところの右下勢力)は日本ではゼロなようです。
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