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2013年3月5日

【藤井聡】レジリエンス

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FROM 藤井聡@京都大学

「防災対策」っていうと,
なんだか地味な感じがして,
なんだか後ろ向きで,
あまりぱっとしないイメージかもしれません.

堤防つくったり,耐震補強したりするだけで,
マイナスを減らすってだけの話で,
プラスを増やす感じがしないので,
できることなら,そんな後ろ向きのコトしないで,
もっと前向きな事だけ考えたいなぁ...
というイメージがあるかもしれません.

特に,
オルテガが言う様な大衆人
ニーチェが言うような末人,
ハイデガーが言うような非本来的な人々(現存在),
の方々なら,このようにお考えになる傾向が強いことだと思います.

これはつまり,まじめに人生生きるより,
面倒な事には蓋をして,
少々他人や後生の人達に迷惑かけようが,
少々先人に失礼だろうが,
そんなややこしいことはおいといて,
今だけ,楽できりゃそれでイイじゃん,
ってノリだったら,
防災なんて,なんともぱっとしない話にしか見えない,
ということですね.

もちろん、筆者も含めて誰だって,
大衆人・末人的で非本来的などうしようもない側面を持っています.

でも,誰だって,ホントは,
非大衆人的で,非末人的な本来的側面も持つはずです.

つまり誰だって,まじめに防災の事について考えられる素養は持っているはず...
な訳ですね.

じゃぁ,まじめに防災考えるとどうなるかっていうと....
これがなかなか,ポジティブで前向きな話じゃないかと思うのです.

そもそも,防災ということは,「災い」が起こった事を想定して,
その災いにどう対応するか,って事です.

で,人間にはどうやら,
この災いに対応するということについて,
本能的に前向きに対応してしまう傾向がある様に思うのです.

例えば,映画なんてのは,
この日常には無い,ありとあらゆる「災い」がテーマになっていますが,
これは,人間のそんな本能的な傾向を反映したことだ,
っていうことも言えそうに思います.

ただし,映画とこの実際の世界との違いは,
安全地帯に自分自身の身があるかどうか,という点ですね.
映画は,常に画面のこちら側にいるわけですが,
実際の防災ではそういう訳にはいきません.

でも,出演者に感情移入できればできる程に
映画が面白くなるのも事実ですよね.

それを考えれば,現実世界の危険に対するストレスを乗り越えられる
「強靭さ」(レジリエンス)さえあれば,
映画も実世界の災いも,区別が無くなってくると言うこともできるかもしれません.

いわば,映画ってのは,「画面」という最強の「防波堤」があって,
その画面の向こう側で起こるどんな大災害も,
その画面=防波堤を乗り越えてこちら側にやってこない,
という事が保証されているものなわけで,
いわば,映画ってのは,
最強の強靱性=レジリエンスが存在している「災い体験」だ,
ってことも言えそうです.

だから,被害を最小化させ,被った被害を迅速に回復しうる
(そして,最終的にはゼロに出来るほどの最高の!)「レジリエンス」さえあれば,
我々は,防災という取り組みそのものを,
ネガティブで,退屈な代物と見なす傾向が低下していって,
ポジティブで,前向きな活動と見なす傾向が
増えていくという事が言えるのではないかと思います.

で,その結果,なんとも言えない不安感も無くなっていくことでしょう.

そもそも,何の備えをせずに,享楽的に生きていればいるほど,
災いの影におびえていくようになる一方で,
備えをすればするほどに,
そんな,漠然とした不安も消えていくことになるわけです.

これが,「備えあれば,憂いなし」ということですね.

で,この「憂いなし」の状況ってのは,
何とも言えず,素晴らしいものなのだと思います.

こないだTVであるお笑い芸人の話を見たのですが,
彼は,10何年も,サラ金で借金をしていて,
「脳みその90%」をいつも,借金返済の事を考え続ける生活をしていたそうです.

つまり,「憂いだらけの生活」ですね.

がある日突然,借金が全て無くなってしまったとのこと.

で,その直後,90%の脳が解放されたおかげで,
この世の中の全てが「素晴らしいもの!」に大変身したんだとのこと.

空気の香りが素晴らしい,雑草が美しい,とにかくこの世界が素晴らしい....
と感じ,あまりの世界の美しさに,
わずか数十メートルを歩くだけで,何時間もかかったとのこと,

これって,憂いの無い人生が,どれだけ素晴らしいものなのかを
あからさまに指し示す,すべらない話,ですね(笑

だから言葉として,「防災」ってのは,何ともワクワクする話からは
かけ離れたものだとしても,
それにまじめに取り組めば取り組むほどに,
我々の人生は豊かで躍動的なものになっていく,という構造が,
どうやら,この世界にはあるようなのです.
(#ちなみにこれが,ハイデガーがいった,
「死に対する先駆的覚悟性」をもてば,
人間は本来的な存在になっていくのだ,
という主張なわけなんですね 笑)

....ということですから...

さぁ!

今日から,豊かで躍動的な社会を築き上げるためにも,
力強いレジリエンスを手に入れるための,
まじめな議論を始めて参りましょう!

 

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【藤井聡】レジリエンスへの1件のコメント

  1. 島倉 原 より

    ファイナンス理論の観点から言えば、「災害リスクを減らす」とは、・投資する際のリスクプレミアムを減らす。・(リスクシナリオの発生確率が減るため)投資に対する期待リターンを高める。という結果をもたらすため、仮に乗数効果を無視したとしても、民間部門の投資活動活性化につながる、という(経済学的に前向きな)議論も展開できると思います。国家、及び国民経済の再建のため、ますますのご活躍を期待しております。

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