From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表
明日、6月22日に参議院議員選挙が公示され、7月10日の投開票に向けて選挙戦が展開されます。今回の選挙はあまり盛り上がっていないというか、注目の度合いが少々低いように感じていますが、皆さん必ず投票に行きましょう。
今回の選挙は、題名にもあるとおり、今後の日本の進む方向として、緊縮財政を続けるのみならず強化して衰退の道を選ぶのか、積極財政に転換して、再び成長軌道に戻る道を選ぶのか、この分水嶺に位置付けられる選挙です。加えて言えば、時代遅れで、失敗を重ねて日本を停滞させ、破壊してきた新自由主義「改革」から脱することができるのか、「改革」という言葉に騙されない社会経済に戻すことができるのか、その分水嶺にも位置付けられます。
なんと言っても岸田政権、蓋を開けてみれば単なる緊縮推進、新自由主義推進政権であることが明らかになりました。参院選後のその暴走を止めるためには、緊縮派候補者や新自由主義候補者、緊縮・新自由主義推進政党の候補者には多数落選してもらう必要があります。
しかし、長年の財務省によるインチキプロパガンダ、それに手を貸す大手メディアや御用学者・御用言論人の「活動」によって、日本の財政に関する嘘言説、つまり日本の財政は危機的状況にありそこから脱するためにはPB黒字化が必須であり、消費税も必要不可欠であって、場合によって増税もやむなしという真っ赤な嘘が、多くの国民に本当のことであるかのように信じ込まれてしまっています。勿論、この概ね10年の反緊縮派の積極的な言論活動によって、こうした嘘に騙されなくなった人も増えていることは増えています。
しかし、絶対数で言えばまだまだです。これは、長年信じこまされてきたことを、今更嘘だと言われても混乱してしまって、これまで信じてきた方を信じてしまう、社会心理学の認知的不協和のような状況があるというのと、反緊縮派、積極財政派による解説がなかなかスッと入っていっていないということがあるように思います。
そうした中で、6月18日、映画「君たちはまだ長いトンネルの中」が公開されました。詳細な内容はこの映画をご覧いただくとして、映画の中で元財務官僚の父親を持つ主人公の女子高生が正しい財政観、正しい貨幣観を持って、財務省のインチキ言説と闘っていく痛快なドラマです。と同時に、この映画の中では、いかに財務省のプロパガンダが嘘か、今の日本はどのような状況におかれているのか、今の日本が採るべき経済財政政策は何かについて、非常に分かりやすく主人公が解説してくれています。
(詳しくはこちらから:https://www.kimiton.com/)
私も公開初日に観覧しましたが、分かりやすいことに加えて、痛快な内容がテンポよく展開されていて、あっという間に観終わったという感じでした。
是非多くの方に、この参院選というタイミングで観ていただきたいと思うのですが、初日ということもあってか、比較的年配の方が多かったように思います。そうした方々の多くは、主人公が解説する事実関係を理解されていると思いますが、理解されている方々まず観るというものいいことだと思いますが、今後は、是非また理解できていない方々、特に学校で嘘を教えられてそれを信じこまされている高校生や大学生といった若者が観る機会を作っていただければと思っています。
主人公が女子高生、主な舞台も高校ということで親近感が湧いて、事実関係をスッと飲み込みやすかったり、問題意識を持ちやすかったりするのではないかと思います。かくいう私も、大学生と高校生の子供を持つ友人夫妻に「是非観せてあげて」と紹介しました。
これからの日本を担う若者たちが変われば、正しい財政観、貨幣観を持つことができれば、明るい未来も拓けて来るのではないでしょうか。
【室伏謙一】緊縮か積極財政かの方向性を決定づける参院選に際して観ておくべき映画への1件のコメント
2022年6月22日 3:01 AM
「霞が関リークス」の方でインボイス制度について解説していましたが、自民党が今のままの高支持率で選挙戦に突っ込んでいくとインボイス制度が導入されてしまうことになりそうですね。
東日本大震災の最中に増税(復興増税)した時も正気を疑いましたが、ウクライナ戦争によるコストプッシュインフレで苦しんでいる今の状況下で、減税ではなく増税(インボイス制度)をやろうとしている岸田政権もかなりのアレだと思います。
ところで、各党の党首が参議院選に向けて政策の発表などしていますが、TVメディアでは相変わらず
TV「問題は財源をどうするかですよね。財源は国債でいいというけれど、それだと未来の子供たちのへツケを回してしまうことに…」
といった具合に、財務省の決まり文句を報道しております。
まあ、日本”だけは”60年で国債を償還しなければならないという「ガラパゴスルール」を設けておりますので、大不況の最中だろうが、パンデミックの最中だろうが、発行から60年たった時点で国債の償還は行われるわけで「将来世代へのツケ」といえなくもないわけですが、海外は違うようですね。
三橋さんのブログで紹介されていた内容ですが、”財務省の内部資料”によると
アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ
は財政黒字になった時だけ償還(バブルになった時だけクニノシャッキン返済)しているとのこと。
普通はバブルになったりはしないので、基本、国債の償還などやっていないのだそう(自国通貨建てのクニノシャッキンの返済など他国はやっていない)
利払いだけして、あとは借り換え借り換えの繰り返しで、永久に借りっぱなしのアリエッティなのだそう。
日本の場合は、一般会計から償還費の繰り入れをしているので、先進各国の中ではかなり特殊なことをやっているということでした。
これがホントの自国の常識、他国の非常識ってやつなのかもしれませんね。
で、2022年1月15日に行われた大学入試共通テスト「倫理・政治・経済・問4」を解いたことがある人なら分かると思いますが、貨幣と言うのは「誰かが借金をした時に新たに誕生する」わけです。そして、借金が返済されると貨幣も消滅する。
ここら辺の話は、参議院財政金融委員会質問 令和4年3月15日 西田昌司議員の質疑で日銀の清水企画局長が解説してくださっていますので、詳しく知りたい方はそちらをご覧ください。清水企画局長も言っていますが
清水企画局長「現実の銀行実務に則して申し上げます」
これらの話は理論ではなく単なる事実です。
”通貨と言うのは誰かが借金をした時に新たに誕生し、借金が返済されると消滅する”
どうして日本以外の先進各国が日本のような60年償還ルールがないのか、どうして日本以外の先進各国がクニノシャッキンを返済していないのか、わかるのではないでしょうか。
答えを言うと、クニノシャッキンを返済すると、その国の貨幣の総量(銀行預金)が減ってしまうからなんですね。
定期的に国債の償還を行い、定期的に貨幣が減ってしまうということは、常にデフレ不況へ向かう圧力が掛かっていると言うことにもなります。(今この時も日本はデフレギャップが20~40兆円はあるといわれている)
どうして日本だけがこのようなおかしなことをやっているのか。それが以下になります⇓
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財務省は公債の発行を非常に嫌っているのがわかるが、それもそのはず、財政法4条に国の支出は基本、税収の収入の範囲内にしなければならないといった内容の事が書かれているから。
では、この財政法は誰が作ったのか。
この法律の直接的起案者となった平井平治は四条の意義について以下のように言っている。
平井平治「戦争と公債は密接不離。公債無くして戦争は不可能。公債さえなければ戦争は起きない。本法律は日本憲法の戦争放棄の規定を保証する為のもの」
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今、ウクライナではゼレンスキー大統領が金に糸目をつけず、
「とにかくウクライナを護るための兵器を送ってほしい」
と各国に訴えていますが、パンデミックにせよ戦争にせよ、国民を守るにあたっては貨幣の発行(国債の発行)が必要不可欠なもの。その必要不可欠な国債の発行さえ封じてしまえば戦争などできないだろうということですね。
この法律の問題点は、
・こちらから仕掛けなくても相手から戦争を吹っ掛けてくる場合もあるが、その点を無視している
・国債の発行が封じられることで出来なくなるのは戦争だけでなく、災害対策もパンデミック対策も同様にできなくなるが、その点も考慮されていない
・政府による貨幣の創出(国債発行と支出)がないと、国民は貨幣を手に入れることができないし、貨幣が発行されて使われないと経済成長できない
・国債が無いと中央銀行は国債の買取による金利の調整ができない
私のような素人が考えても問題点しか見当たらない法律ですが、この法律は「とにかく日本に戦争させたくない」ということだけに主眼を置いて作られたものなので仕方がないですね。
こんなことでは「日本は自衛すらできないではないか」とお思いの方もおられるかもしれませんが、一般人含め東京も丸焼きにしたし、大量破壊兵器(原爆)も使ったし、立ち直った後に仕返しをされるのが怖かったんだと思いますよ。
因みに、わたしに同盟国を非難する意図はありません。ただ、このまま当時の法律を抱えていると岸田総理がお約束した防衛費の増額が不可能だと言うことです。そして、国防の強化ができないと、最悪、日本は中ロ北と事を構えねばならなくなる可能性もある。
戦争をするかしないかを決める権利は「強い方の国」にあるわけですが、なんと、日本は2010年には中国に抜かされてしまっているんですね~。日本がどれだけ「戦争は嫌だ」と言っても、あちら側の国が襲ってきたらウクライナ同様、やるしかなくなるわけでして…
そうならないためにも、問題だらけの法律(財政法4条、5条、及び財務省設置法3条)については追々改定する必要があると思います。
60年償還ルールなんぞ無くしてしまえば、皆さんが心配している「将来世代へのツケ」にもならなくなるわけですし、「将来世代へのツケ」を心配しておられる方は、反対はしないと思いますよ。
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