アーカイブス

2014年12月31日

【佐藤健志】赤信号と青信号、または数字と世界観

From 佐藤健志@評論家、作家

——————————————————-

●月刊三橋最新号のテーマは「2015年の世界と日本」。

アベノミクスは失敗し、日本は再デフレ化確定。
ユーロはボロボロ。そして、中国が、、、、

もし、あなたが時代を読み間違えたくないなら、このページが参考になるはずです。
https://www.youtube.com/watch?v=eQUSqYvie2s

——————————————————-

2014年も終わりとなりましたが、日本をめぐる情勢は相変わらず・・・いや、以前にもまして混沌としています。
思い切って要約すれば、以下のようになるでしょう。

1)景気回復の動きが、消費税増税によって腰砕けとなった。
2)安倍内閣が「戦後」を脱却するのか、いわゆる「戦後保守」の枠内にとどまるのか分からなくなってきた。
3)同内閣が国政選挙で三連勝したことで、「政権は自民党が担って当たり前」という1993年以前の風潮が甦ってきた。
4)国際情勢は不安定化の度合いを強めた。

つまり私たちは、前に進んでいるのか、足踏みしているのか、はたまた後退しているのか、いよいよもって見えなくなってきているのです。
こういうときは、一人ひとりがしっかりした判断力を持たねばなりません。

関連してご紹介したいのが、先日開かれた月刊三橋&三橋経済塾の大忘年会で、三橋貴明さんが語った言葉。
正しい認識を持つことの重要性を、こんなタトエで説明したのです。
いわく、

──赤信号を渡るのもコワいけど、目隠しした状態で交差点を渡るのは、もっとコワくないですか?

むろん、その通りです。
周囲がどうなっているか、ちゃんと見ることができれば、よしんば信号が赤であっても、危険が迫っているかどうかチェックできる。
対応策も取れるわけです。

ひきかえ目隠しをしていては、そもそも信号が赤なのか、青なのかも分からない。
聞こえてくる物音を頼りにすると言っても、正確な距離感をつかむのは至難の業。
これはさしずめ、「理論やデータに裏付けられた認識ではなく、風聞や憶測にしたがって行動する」ことに該当します。

目隠しせずに青信号を渡ることができれば一番なのですが、状況がそれを許さないときは、せめて周囲の状況をできるかぎり見極めねばなりません。

しかるに厄介なのは、専門家と呼ばれる人々の中に、状況認識をことさら混乱させるような言動をする傾向が見られること。
交差点のタトエで言えば、信号が赤のとき「大丈夫、あれはじつは青なのだ」と主張し、青のとき「待て、あれはじつは赤なのだ」と主張する次第。

たとえば消費税を8パーセントに上げたあとの景気の動向。
赤信号としか形容できない統計数字が出ていたにもかかわらず、「大丈夫、あれはじつは青なのだ」(=景気はV字回復する)と言い続けた専門家は、決して少なくありません。
総理が10%への再引き上げを先送りすると宣言して、ようやく収まったようですが。

逆に、積極的な財政出動の必要性についてはどうか。
今度は青信号であるにもかかわらず、「待て、あれはじつは赤なのだ」(=財政破綻を避けるためにも慎重になれ)という議論が、今なお続いています。

色盲なのか? とツッコミを入れたくなるところですが、事態はもっと深刻です。
これらの専門家は、信号が赤のときに限って青と言い、青のときに限って赤と言っている。
たんに「赤と青の区別がつかない」だけなら、かくも系統的に間違えるはずがない。

いわば「赤が青に見え、青が赤に見える」メガネをかけているわけです。
このメガネのことを、「世界観」や「価値観」、あるいは「理論的枠組み(パラダイム)」などと申します。

目隠しして交差点を渡るのもヤバいのですが、「赤青反転メガネ」をかけたままの状態で渡るのは、いっそうヤバい。
前者の場合、少なくとも「自分には周囲が見えていない」ことは自覚されているのにたいし、後者は「自分には周囲が見えている」つもりでいるからです。
だから「逆じゃないの?」と聞き返すと、「素人が分かったようなことを言うな!」とキレたりする。

このような主張に対処するには、どうすべきか。
まずは当然、正確なデータ、つまり数字に基づいた認識を持つこと。
三橋さんの持論です。

あわせて大事なのは、なぜ赤青が反転するのか、そのメカニズムをこちらが理解しておくこと。
これはデータもさることながら、世界観や価値観のあり方をめぐる問題となります。
思想、あるいは文学の領域に関わる事柄と言えるでしょう。

数字の領域(=データ)と、思想ないし文学の領域(=世界観や価値観)は、対極的なように見えて表裏一体なのです。

そんな認識を踏まえ、2015年も日本と世界の動向について考えてゆきますので、よろしくお願いいたします。
では皆さん、良いお年を!

(※)次週、1月7日はお休みいたします。
1月14日にまたお会いしましょう。

<お知らせ>
新刊「愛国のパラドックス 『右か左か』の時代は終わった」
アスペクト社より2015年1月27日発売です。
Amazon では予約を受け付けています。
http://ul.lc/59gs

専門家が信頼できないのなら、ゴジラにアベノミクスの成否を聞こう!
http://ch.nicovideo.jp/k-chokuron/blomaga/ar691866

PS
2015年の世界と日本を三橋貴明が解説しています。
https://www.youtube.com/watch?v=eQUSqYvie2s

関連記事

アーカイブス

【三橋貴明】デフレ脳へ転換せよ

アーカイブス

【三橋貴明】究極のグローバリズム国家

アーカイブス

【小浜逸郎】才能を潰すのが得意な日本

アーカイブス

【三橋貴明】「土着の政治」の復活を

アーカイブス

【東田剛】バイコクマン

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】吉川洋氏の「地震に備えて消費増税を」論を完全撃破し...

  2. 2

    2

    【三橋貴明】MMTと政府の選択と集中

  3. 3

    3

    【小浜逸郎】令和元年6月10日経済罪政諮問会議議事録

  4. 4

    4

    【三橋貴明】思想の対立

  5. 5

    5

    【室伏謙一】「増税の前にやるべきことがある」、「身を切る改革...

  6. 6

    6

    【藤井聡】近い将来、リーマンショック級の危機が「絶対」起こる

  7. 7

    7

    【三橋貴明】財政民主主義派 対 非・財政民主主義派

  8. 8

    8

    MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に...

  9. 9

    9

    【藤井聡】財務省が紹介した「有識者のMMT批判」の「間違い」...

  10. 10

    10

    【藤井聡】「インフラ・イノベーション」が日本を救う。

MORE

月間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】近い将来、リーマンショック級の危機が「絶対」起こる

  2. 2

    2

    【藤井聡】<号外速報>「内需冷え込み」による輸入急落が無けれ...

  3. 3

    3

    MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に...

  4. 4

    4

    【藤井聡】吉川洋氏の「地震に備えて消費増税を」論を完全撃破し...

  5. 5

    5

    【藤井聡】「財政悪化」を導く消費増税が生み出すのは、「害のみ...

MORE

最新記事

  1. 日本経済

    【三橋貴明】思想の対立

  2. 日本経済

    【小浜逸郎】令和元年6月10日経済罪政諮問会議議事録

  3. 日本経済

    【藤井聡】吉川洋氏の「地震に備えて消費増税を」論を完全...

  4. 日本経済

    【室伏謙一】「増税の前にやるべきことがある」、「身を切...

  5. 日本経済

    【三橋貴明】MMTと政府の選択と集中

  6. 日本経済

    【三橋貴明】財政民主主義派 対 非・財政民主主義派

  7. 未分類

    【竹村公太郎】不思議な日本共同体(その2)流域封建から...

  8. メディア

    政治

    【施 光恒】天安門事件30年――日中それぞれの国柄を考...

  9. 日本経済

    【藤井聡】「インフラ・イノベーション」が日本を救う。

  10. 日本経済

    【三橋貴明】MMT対主流派経済学

MORE

タグクラウド