日本経済

2018年1月15日

【三橋貴明】緊縮財政と公共インフラ売却

From 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】
水道・下水道の民営化と再公営化
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12341929267.html
緊縮財政としてのPFI法改正案
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12344064833.html

昨日の話とも絡むのですが、多くの国民は
「節約、返済負債は善である」という認識を持っています。

無論、個人からしてみれば、
節約や負債返済は善です。

あるいは、「合理的」なのです。

とはいえ、個人にとって合理的な節約、負債返済が、
国民経済という「マクロ」に合成されると、
全体的な所得減(GDP縮小)という
不合理な結果をもたらしてしまう。

いわゆる、合成の誤謬です。

デフレーションは、合成の誤謬の産物です。

バブルが崩壊し、国民のバランスシート
(貸借対照表)において、借方の資産の
実質価値が暴落。

とはいえ、資産を購入する際に
借りた負債は、貸方に計上されている。

結果、国民は「合理的」に負債を返済し、
あるいは節約に走り、銀行預金を増やしていく。

負債返済も銀行預金も、
消費でも投資でもありません。

国民が負債返済や預金を増やすと、
その分、誰かの「所得」が減ることになります。

その段階で、政府が緊縮財政という
「消費・投資を減らす政策」を強行すると、
その国は一気に国民の所得が減少。

所得が減った人は、消費や投資を
手控えるようになるため、生産者が
値下げに走るデフレーションが始まります。

緊縮財政策が厄介なのは、
国民の貧困化(所得縮小)をもたらすのみならず、
過去に国民の税金で構築した
公共インフラの売却に正当性を
与えてしまうことです。

「地方自治体の財政は、このままでは破綻する。
よって、公共インフラを民間に売却する」

というレトリックは、マクロ的な思考ができない
国民にとっては、普通に
「真っ当な政策」に思えてしまうのです。

実際には、公共インフラの売却は、
特定の企業や投資家の利益拡大、
ビジネス拡大の一環に過ぎないのですが。

社会保障政策も同じです。

緊縮財政の一環として、
医療サービスの保険適用を縮小し、
自由診療を拡大する。

あるいは、民間医療保険サービスの参入を認める。

いずれも、

「このままでは医療費膨張で、財政破綻する!」

と、信じ込んでいる人にとっては
「善」に思えてしまいますが、実際には
自由診療や医療保険サービスを推進したい
企業の「ビジネス拡大」に過ぎないのです。

結局のところ、我が国のあらゆる部分に
根っこを貼ってしまっている「緊縮財政」の思想を
根絶しない限り、我が国の国民はグローバルな
「ビジネス」の犠牲となり続け、所得縮小に
苦しみ続けることになるでしょう。

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【三橋貴明】緊縮財政と公共インフラ売却への1件のコメント

  1. dai より

    三橋先生へ

    いつも勉強になります。

    角栄さん前と、中曽根さん後くらいを比較して、資本主義が正常化すれば、過去の負債が名目インフレ(&物価)により償却(吸収・希釈)されていく、という構造を説明すると、先の英国の援軍先生が指摘するコミュニケーションの問題について理解が進むと思われます。

    資本主義が正常化した状態とは経営者にとっても有り難い状態です。これを公益を目的とした投資型資本主義の条件みたいな形でレトリックを組んだらどうでしょう?(資本主義に投資型と冠をつけないとイケない時代になったのか・・・悲)

    しかし、大学から実践経済が無くなった影響なのか、拝金主義の欲ボケ野郎が増えた影響か、最近は実践経済について理解している人が私が大学生だった15年前に比べて激減しているため、益々不利な状況に置かれている気がします。

    以上
    失礼します。

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