日本経済

2025年11月17日

【三橋貴明】三つの真実

【今週のNewsピックアップ】
「思い込み」で亡ぶ
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12945509688.html
三つの事実
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12945783075.html

「PB黒字化目標により、
日本が凋落した」
という「歴史」は、
二つの「情報の間違い」により
引き起こされた可能性が高い。

1.デフレは総需要不足という
「事実」に対する無理解
(デフレは貨幣現象ではない)

2.国債金利は
政府にコントロールできない、
という間違った認識
(イールドカーブコントロールは
何だったのか?)

PB黒字化目標は、
「基礎的財政収支
(プライマリーバランス)
を黒字化する」
ことが目的で
導入されたわけではありません。

「政府債務対GDP比率の引下げ」
こそが目的だった。
(日本にとって、
政府債務対GDP比率など
「どうでもいい」ことは、
今さら言うまでもありませんが)。

政府債務対GDP比率を
引き下げるためには、
PBがバランスしているという前提で
「名目GDP成長率>国債金利」
となればいい。

【政府債務対GDP比率の構造2】

http://mtdata.jp/data_96.html#kozo

名目GDPや国債金利は
「市場」が決める。
だからこそ、
政府債務対GDP比率を
「政府」が引き下げるためには、
PBをコントロールするしかない。

大本の発想は、こうだったのです。

麻生太郎・元財務相は
2017年、
PB黒字化と比べて
債務対GDP比を
安定的に引き下げる方が
「よほど長期的には難しい」
と述べています。

理由は、確実に、
「名目GDPと国債金利は
政府にはコントロールできない」
と、財務官僚に
吹き込まれたためでしょう。

国債金利は、
日本の場合、
中央銀行がコントロールできる。
コントロールできない、
というならば、
日銀がやっていた
「イールドカーブコントロール」は
何だったんだ?

独自通貨国の日本国の中央銀行は、
短期金利も長期金利もコントロールできる。

さらに、
PB黒字化目標に基づき、
「増税」や「政府支出削減」をすると、
需要が減る。
そして、
デフレは
「総需要の不足」により起きる。
PB目標はデフレを深刻化させる。

総需要とは、名目GDPです。
PB黒字化目標で
名目GDPの成長が妨げられると、
政府債務対GDP比率は上昇する。

つまりは、
「デフレは総需要の不足ではない」
(※実際には総需要の不足)
「国債金利はコントロールできない」
(※日本の場合は普通にできるというか、
やっていた)
という間違った思い込みが、
日本をここまで凋落させた可能性が高い。

現在の日本は、
サプライロス型インフレにより、
供給能力が不足し、
インフレギャップ化した。
結果、GDPデフレータが
高度成長期並に高くなっています。

当然、名目GDPは
成長していくことになる。
結果、政府債務対GDP比率は
下落していく。
はい、財政「健全化」達成。

「いや、金利が~」
と、財務省や緊縮派は
懸命に抵抗していますが、
日銀が国債を買い取れば、
終わり。

はい、解散っ!! 

というよりも、
それほどまでに
金利が気になるならば、
イールドカーブコントロールを
再導入すれば良いのでは?

ちなみに、
三橋は
別に政府債務対GDP比率引き下げが
「善」だとは思っていない。

とはいえ、PB黒字化至上主義者たちが、
「名目GDPが成長しても、
金利が上昇するから、
政府債務対GDP比率は上昇する。
PB黒字化は、やはり必要だ」
という主張をしているから、
「日銀が国債を買い取れば、終わり」
と、反論しているに過ぎません。

いい加減に、事実を認めよう。

1.PB黒字化目標により
デフレが深刻化し、
名目GDPが成長しなくなり、
政府債務対GDP比率は却って上昇した

2.デフレ深刻化により
サプライロス型インフレになり、
GDPデフレータがプラス化し、
政府債務対GDP比率の下落が始まった

3.国債金利がコントロールできることを、
日本銀行が
2024年3月までの
イールドカーブコントロールで証明した

この三つは「事実」なのです。

Mitsuhashism【第九巻】
人口・移民・経済成長
https://keiseiron-kenkyujo.jp/mitsuhashism/
【第一章】移民受入で経済成長した国
【第二章】第二次欧州移民危機
【第三章】移民政策とユートピアニズムのカラクリ
【第四章】高度経済成長の再来

◆メルマガのFoomii配信を始めました。
【国債金利と名目GDP成長率(前編)】
https://foomii.com/00305/20251115090000145359

◆経営科学出版から
「消費税の大ウソ 
99%の日本人が騙された
国家的詐欺のカラクリ」
が刊行になりました。
https://amzn.asia/d/hJro4BM

◆経営科学出版から
「消費税最大の闇 
減税で日本経済は大復活する」
が刊行になりました。
https://amzn.asia/d/3GrhenU

◆メルマガ週刊三橋貴明Vol863
「国債金利と名目GDP成長率(前編)」
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
なぜ、日本は
2001年にPB黒字化目標を
導入したのか? 
国債金利と名目金利をグラフ化すると、
驚くべき事実が分かります。

◆メディア出演

三橋TV、続々公開中です。

値上がりする土地の共通点。
今後、値上がりするのはどこ?
[三橋TV第1091回]三橋貴明・菅沢こゆき
https://youtu.be/0jjQ1drwEdQ

インフレ/デフレ/経済成長とは何なのか?
わかりやすく解説します。
[三橋TV第1092回]三橋貴明・〇〇
(2026年1月 全編一般公開)
https://youtu.be/mR6d9EJz9aQ

なぜ少子高齢化と人手不足こそ
経済成長のチャンスなのか?
[三橋TV第1094回]三橋貴明・〇〇
(2026年1月 全編一般公開)
https://youtu.be/8M1aRvzz5Wo

◆三橋経済塾
https://members14.mitsuhashi-keizaijuku.jp/

 第十一回 11月15日 大場一央先生
(早稲田大学非常勤講師)

 第十二回 12月20日 堀茂樹先生
(慶應義塾大学名誉教授・仏文学者)

関連記事

日本経済

【三橋貴明】戦後お花畑平和主義の終焉

日本経済

【藤井聡】コロナ禍の本質は身体医学的問題ではなく精神病理学的「集団パニック」問題である

日本経済

【東田剛】デフォルメされた現実の日本

日本経済

【東田剛】偽装の国の資本主義

日本経済

【適菜収】ロックの話

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

最新記事

  1. 日本経済

    【三橋貴明】三つの真実

  2. 日本経済

    【三橋貴明】経済成長について学び直す  

  3. 日本経済

    【三橋貴明】政府債務対GDP比率を引き上げたPB黒字化...

  4. 日本経済

    【三橋貴明】デフレ深刻化により経済成長のチャンスが訪れ...

  5. 日本経済

    【三橋貴明】政府債務対GDP比率の引下げ

  6. 日本経済

    【三橋貴明】移民、人口、そして経済成長

  7. 日本経済

    【三橋貴明】副首都構想と選挙制度改革

  8. 日本経済

    【三橋貴明】経済成長率は労働者数では決まらない

  9. アメリカ

    政治

    日本経済

    11・6緊急シンポジウム『今求められる「責任ある積極財...

  10. 日本経済

    【三橋貴明】懐かしい議論

MORE

タグクラウド