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2013年10月14日

【三橋貴明】滅びへの道

FROM 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】

●非常事態と効率性
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11630982593.html

●効率性と原子力発電
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11631742170.html

小さな政府とは、もの凄く簡略化していうと「政府を効率化せよ」という発想です。それでは「効率化されていない政府」とはどのような状態でしょうか。

ずばり、国民の所得拡大(経済成長)」に貢献しない支出を拡大し、無闇に需要を膨らませることで、インフレ率を押し上げ、成長を抑制している状況になります。例えば、不要不急な公共投資を、「地元の有権者」の声を受け、政治家が実施するケース。あるいは、特に年金や生活保護、失業手当といった「所得移転系」の社会保障をひたすら拡大していくケースになるでしょうか。公務員を需要を無視して増やすことも、やはり「政府の非効率」の典型でしょう。

要するに、限りある経済リソース(お金など)を「所得の拡大」と無関係に政府が独占しているケースこそが、「効率化されていない政府」という話になるわけです。限りある経済リソースが有効に使われていない以上、国民経済が「国民の需要」を満たすことができず、インフレ率は上昇していかざるを得ません。

今回の「小さな政府論」が本格的に始まったレーガン時代のアメリカ、サッチャー時代のイギリスは、インフレどころかスタグフレーションを国民経済が解決できない状況でした。インフレ率が高かった以上、小さな政府により需要縮小と潜在GDPの拡大を目指したのは、まあ、分からないでもありません。政府の非効率が経済のボトルネック(制約条件)になっている以上、「効率化! 効率化! 効率化!」です。

ところが、我が国はバブル崩壊後に「需要が不足」している状況で、レーガノミクス、サッチャリズムに倣い「小さな政府」を志向し、効率性の向上に血眼になってしまいました。効率性向上とは、より少ない人数で多くの生産ができるようになった、という話です。要するに生産性向上を目指したわけですが、デフレ期に生産性を高めると、「潜在GDP>名目GDP(総需要)」の状況が悪化し、デフレは深刻化せざるを得ません。

さらにもう一つ、日本が「小さな政府」を目指し、各プロセスを効率化していくと、当然の話として「安全」が疎かにならざるを得ないという問題です。これは、インフレ期、デフレ期に関係がない問題です。

三橋は中小企業診断士ですが、診断士の試験勉強では、やはり「効率化」が中心になっていました。試験勉強のときは気がつかなかったのですが、効率化と「強靭化」は向きが真逆です。効率化されたシステムは、政府だろうが企業だろうが、強靭ではありません。

企業のサプライ・チェーンにしても、コスト削減のために効率化を推し進めていくと、「非常事態」のときには対応のしようがなくなってしまいます。とはいえ、診断士の勉強項目は、「非常事態への備え」は全く存在しませんでした(当時は)。全ては「効率化のためにどうするか」というコンセプトで、カリキュラムが成立していたのです。

効率化とは、「無駄を削れ」という考え方です。とはいえ、「非常事態に対する備え」までをも「無駄」ということで切り捨ててしまうと、国民経済は脆弱化せざるを得ません。現実の世界において、非常事態は有り得ます。外国の侵略、大規模自然災害、金融危機、テロなど、想定していなかった事態が発生する世界において、ひたすら「無駄の削減!」の道を突き進むことは、恐らく「滅びの道」なのでしょう。

もちろん、非常事態への備えを「無限」にすることなどできません。要は、「究極の効率化」と「究極の強靭化」の間のどこかに、正解があるのでしょう。そして、その正解は経済環境や地勢状況によって右に行ったり、左に行ったりするわけです。政府で言えば、「究極の小さな政府」と「究極の大きな政府」の間のどこかに、正しい政府の規模があるのです。

今後の日本においても、効率化と強靭化との間の正しい位置を探る「模索」は続くでしょう(永遠に続くのです)。とにもかくにも、「効率化は全てに優先する」といった極端な考え方は改めなければ、冗談抜きで「滅びの道」を突っ走ることになってしまいます。

PS
無料ビデオ。韓国の惨状を見れば、日本の行くべき道が見える。
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_video.php

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【三橋貴明】滅びへの道への3件のコメント

  1. 名前はまだ無い より

    私の経済観の9割方は三橋さんから教わったものといって良いです。非常に分かりやすく全うな主張を続けてこられた事については敬意を表しています。このままいけば日本が滅びの道をたどる事は間違いないでしょう。しかし三橋さんの自民党、特に安倍氏・麻生氏に対するこれまでの過大評価については厳しい評価をせざるをえません。この点については本当に猛省していただきたいです。「安倍さんは初めから騙すつもりだったのかもしれない」と先日のチャンネル桜の討論でおっしゃっていましたが「そりゃそうだろ、政治家なんだから」と失礼ながら思いました。政治家が多方面から支持を受けようと思えばどちらにも良い顔をせざるをえず結果的に嘘をつく事になるのは想像に難くありません。であれば結局は支持勢力のパワーゲームになる。経団連を中心とする財界は政治献金もすればマスコミにスポンサー料を投下して世論を誘導する力もある。官界には天下りをはじめ様々なパイプがある。彼らの力が強いのは言うまでもありません。我々が使えるカードはせいぜいなるべく正しい言論、批判を展開する事と投票行動くらいのものです。そしてこのカードは特定の団体を『断固支持』した時点で効力を失うのです。絶対に支持してくれて票をくれる人たちの批判など怖くも何ともありません。三橋さんの言論にこれからも期待していますのであえて分かりきった苦言を呈させていただきました。蛇足ですが消費税やTPPで安倍さんに失望した方がたまにネット上で「中山夫妻しかいない」というコメントをしていることがありますが中山成彬氏はかなり増税に前のめりですし中山恭子氏は桜の番組内で「自民党のTPPには賛成だ」とコメントされています。お二人を全否定する必要はないですが少なくとも経済観は疑問視すべきかと思います。とにかく「この人は保守だから(もしくは『愛国者だから』)〇〇なはずだ」という思い込みは一切捨てるべきですね。

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  2. 路傍花 より

    大げさなタイトルで不安感あおってももう無駄かな、と思います。三橋氏の滅茶苦茶は言い分は、過去のブログから現在まで追っていくと証明されますし、東田、鶴田、両氏の批判の酷さはむしろドン引きさせてますよ。売国奴に告ぐ、って、自己紹介乙としかいえません。貴殿らのその醜態で、一般人を賢くしていただいたことは感謝しております。

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  3. 読者 より

    「(自説が)正しい」、「(自説どおりでないと)滅びの道を突っ走る」などの発言は、カルト宗教と同じだと思いました。このあたりが「保守の極端は気持ちわるい、うさんくさい」と言われる所以だと思います。極左を連想します。経済評論+政治運動的な主張をするのは構わないと思うのですが、感情的になりすぎて主観的な言論に走ると信用を失うしロクなことにならないと思いますので気をつけてください。

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