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2021年6月14日

【三橋貴明】経済学者がとんでもなく「バカ」という話

【今週のNewsピックアップ】
伊藤元重先生、貴方、間違っていますよ
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12678916395.html

刮目! 日本国の決定的な分岐点だ
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12679713844.html

経済学者の多くは、未だに、
「政府の財政赤字は、民間の貯蓄によって
「ファイナンス」されている」
という、荒唐無稽な論を信じ、
主張しています。

「ファイナンス」が何を意味しているのか、
未だに分からないのですが、要するに、
「政府は民間の貯蓄を借りている」
という話なのだと思います。
(それ以外に解釈のしようがない)

実際には、政府の財政赤字が
民間の貯蓄増になります。
これは、昨年の「特別定額給付金」が
証明してしまった真実です。
(だからこそ、財務省は特別定額給付金を
やりたくなかったのでしょう)

政府が国債発行により
財政赤字を12兆円増やしました。
結果的に、国民の貯蓄は増えた? 減った?

答えは、合計で12兆円増えた、です。
何しろ、1億2千万の人々が、
「政府が財政赤字を拡大したら、
自分の預金が10万円増えた」を
経験してしまったのです。

それにもかかわらず、経済学者は相変わらず、
「政府の財政赤字は、国民の貯蓄により
賄われている」という主張を変えない。
なぜなのか。

答えは
「貯蓄投資バランス(ISバランス)」
にあります。

国民経済の大原則の一つ、
(1) 国内の民間収支+国内の
  政府収支+海外収支=0

上記は、「誰かの黒字は誰かの赤字」と
言っているに過ぎず、誰にも
否定できない原則です。

例えば、現在の日本は、
(2) 国内の民間黒字=政府の財政赤字+
  経常収支黒字(海外の赤字)
と、なっています。

日銀統計では、上記の「黒字」を
資金過剰、「赤字」を資金不足と表現します。

【日本の民間、一般政府、
海外の資金過不足(億円)】


http://mtdata.jp/20210221-1.jpg

図の通り、日本の民間、一般政府、
海外の資金過不足をグラフ化し、
90度回転させると、左右対称になります。
(※完全な左右対称にならないのは、
金融機関を除いているためです)

誰かの黒字は、誰かの
赤字である以上、当たり前なのです。

不思議なことに、いわゆる「経済学」は、
上記(2)の式を以下のように表現し、
「ISバランス(貯蓄投資バランス)」
と呼称します。

(3)民間部門の貯蓄超過=政府の
 財政赤字+経常収支黒字

「貯蓄超過」とは、要するに黒字のことです。
黒字のことを、経済学者は貯蓄超過、
余剰貯蓄、純貯蓄、資金余剰など、
様々な表現をします。

確かに、黒字になるということは、
その金額分、貯蓄が増えるわけで、
「貯蓄超過」等の表現は別に
間違えているわけではありません。

ところが、経済学者は
「貯蓄超過(等)」の表現を用い、
「民間部門の貯蓄超過があるため、
政府は財政赤字にできる」
と、読み替えて解釈してしまうのです。

例えば、学習院大学の伊藤元重教授は、
例の経済産業省の
第28回産業構造審議会総会において、
「民間企業が投資を増やし、GDP比で
±0くらいに余剰貯蓄を
減らすことになったとき、政府の
財政赤字はどこが支えるのか」
と、語っています。

いや、民間企業の投資が増え、
余剰貯蓄(あるいは貯蓄過剰、あるいは黒字)が
ゼロになったところで、政府が財政赤字を
10兆円増やしたならば、民間(家計)の
余剰貯蓄は10兆円増えます。

誰かの赤字は、誰かの黒字。
誰かの負債増は、誰かの
資産増になる以上、当たり前でしょ。

政府の財政赤字を「支える」
といった現実はありません。

民間企業は海外(経常収支)の収支が
±0だった場合、政府が財政赤字を10兆円
増やすと、以下の式になるだけの話です。

(4)民間の家計の貯蓄超過10兆円=政府の
 財政赤字10兆円

要するに、経済学者は
「政府の財政赤字⇒民間の貯蓄超過増」を、
「民間の貯蓄超過増⇒政府の財政赤字」と、
間違った理解をしているのです。

経済学者って、そこまで「バカ」なの?
と、思われたでしょうが、
バカなんですよ、本当に。

この種の間違った主張に対し、
容赦なく批判の声をぶつけて下さい。
これは、経済産業省が産業政策を
新機軸に転換する「べき」といった
価値観の話ではなく、単に、
「1+1は2だよ」
と、普遍的な事実を
教えてあげるに過ぎなのですから。

◆「日本をダメにした財務省と経団連の
欺瞞(小学館)」が刊行になりました。
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◆「自民党の消滅(ベストセラーズ)」
(書籍版)が刊行になりました。
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◆時局2021年7月号に連載
「三橋貴明の経世論 第51回 
財政破綻論の崩壊」が掲載されました。
http://www.jikyokusya.com/

◆週刊実話 連載
「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」
第421回 危険な最低賃金引上げ政策

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol630
貯蓄投資バランス論の間違い
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
経済学者がなぜ「民間の貯蓄がなければ
政府は財政赤字にできない」といった
間違いを主張しているのか分かりました。
貯蓄投資バランス論の
勘違いが原因だったのです。

◆メディア出演

三橋TV、続々公開中です。

衝撃の展開! こんな日が来るとは!
伊藤元重先生と浜田宏一先生を賛美せよ!
[三橋TV第400回] 三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/VB-Ad6ydDMY

三橋貴明の”先輩”登場!
緊縮・構造改革と戦い続ける男、
坂本篤紀社長 [三橋TV第401回] 三橋貴明・坂本篤紀・高家望愛
https://youtu.be/UCYux0oZ6_I

考えることが全てやろ! アホな議論は
いい加減にやめようや[三橋TV第402回] 三橋貴明・坂本篤紀・高家望愛
https://youtu.be/iqc35_YGEb8

特別コンテンツ、配信。

【ダイジェスト】これで日本はカンタンに
中国の属国へ?銀行法改正の落し穴(三橋貴明)
https://youtu.be/5WWf7uSAdCY

チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。

【RE:明るい経済教室 #30】
勉強不足かそれとも確信犯か?
所謂“専門家”ほど取り違える
「貯蓄超過」の意味[桜R3/6/4] https://youtu.be/wb1EENJnQak

【Front Japan 桜】経産省新機軸
『高圧経済』の実現を!/ 高校で『投資教育』?
そこに経世済民の意ありや[桜R3/6/11] https://youtu.be/gB-fjL2MAAg

【ch桜・別館】経済学者の生業は
不労所得とレントシーキングだった!
~映画『インサイド・ジョブ 世界不況の
知られざる真実』[桜R3/6/11] https://youtu.be/qwqA6Fcq4vw

◆三橋経済塾

6月19日(土) 三橋経済塾第十期第六回
対面講義のお申込受付を開始致しました。
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ゲスト講師は河添恵子先生です。

三橋経済塾第十期の入塾お申込は以下から。
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◆チャンネルAJER 

【新番組】
「安藤裕と三橋貴明の日本経済論 第二話」
(前半)三橋貴明 AJER2020.6.7
https://youtu.be/nWEUyr-NwpM

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【三橋貴明】経済学者がとんでもなく「バカ」という話への12件のコメント

  1. 三橋さん 伊藤の変節 歓迎してたでしょ? より

    これですよ、
    御用バカの体質は。
    伊藤 浜田 田原 あと時計ドロボーも
    平気でウソつくんですから。

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  2. 大和魂 より

    ちょっと想像すれば日本政府のブレーンを務める竹中平蔵や、その子分の岸博幸なんかが自分たちに都合のよい既得権益のために、今後さらに泥沼状態の少子化社会とリンクして悪夢の低俗な経済理論を展開されたら次世代は地獄絵そのものですよ。

    しかも、それを自身の保身と掛け合わせて合理的に黙認する高学歴や既得権益で政官財の地位に存在する連中の間抜けぶりと腰抜けぶりが、さらに現状の少子化以上に日本の衰退の歯止めを掛けられなくなり更に格差を広げて国内の対立が激化する要因になりますからね。

    加えてそれらの悪夢の社会政策を実行し易くするために、先日の国民投票法が意図的に安易に姑息で財務省関係者と与野党関係者による結託で、決定された責任こそ糾弾して責任を問うのが、常識ある日本国民の姿勢で大人の使命ですよ。

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  3. この世は既にあの世 より

    難しく考える必要なんか無いんですよ。

    長引く不況の原因は構造改革による富の収奪。増税、グローバル化。

    私は若い頃、税収は景気を良くすればいいと考えていたのですが、高齢者をちゅうしんに「頑張れば、努力すれば」こればっかりで、今も継続中です。

    国土計画は長期的な国土計画であり、それが経済対策といわれると違うかな、と。

    片方は「頑張れば、努力すれ、働けば、皆んなやっている」で、

    もう片方は「土建仕事や科学技術投資で経済成長、デフレ脱却すれば」で、

    時間軸から考えて両方違うと思います。

    我慢比べなんか必要無いんです。

    うーん、と、分配を頑として拒んで何十年も馬鹿でも解ることを悩み苦しみ、勉強なんかする必要なんか無いです。

    消費する層は中間層から下ですから、BIで毎月15万円配る、派遣の禁止、外国人は叩き出す、高齢者には金だけ置いてさっさと死んでもらう。金をダイレクトに個人に配れば需要に引きずられ供給も拡大する。逆は中抜きが存在してるので間違いですね。大企業や大手ゼネコン、資本家に予算付けても何も変わらず、また悩みが継続なのは間違いありません。

    四の五うるさいわ、でOK。馬鹿しかいないのに馬鹿の合意を民主主義でとらなくていい。

    馬鹿は政治家であろうが官だろうが高齢者、社長だろうが、ぶち殺せばいいだけ。

    ヤられる前にヤれ、それでOK。

    アホ臭いことで何年も悩む糞の国ならそんな国は無い方がいいでしょう。生まれて損こくだけやんけ。

    なーんも、難しくない。

    財政破綻なんか気にしたことなんか一度も無い。

    私は資本家や社長、上司、学者の言うことなんか聞かないですもんね。コイツらアホやろ?と何年も前から思ってます。

    よく現実社会で「アホやなお前、よく生きてられるね?お前のプライドなんか誰も認めんぜ、ゴミ野郎が」とよく言ってはアホに恥をかかせるのを趣味としています。

    馬鹿にはハッキリと恥をかかすなりして言ってやんなくちゃ分かりませんのでね。

    友達になろうとか、人からよく思われようとか全く思ってないし、他人なんかあてにならへんしね。

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      1. この世は既にあの世 より

        経済学者云々言うより、今、今、今、国は社会は飯を食わしてくれるのですか?くれないのですか?どっちですか?どっちですか?ということが何年も前からの日本社会の問題でして、

        成長やデフレ脱却をし、生産性向上をし、付加価値を付けて、分配を待ってる時間なんか無いんです。結果は中抜きされて分配ありませんでした。の、それで終わるか強欲な資本家に詐取されて終わり。

        すべては常識で考えれば直ぐに解るんですよ。

        はい、派遣ピンハネ、これは正しいですか?間違いですか?不景気の中で統計を偽造して景気が良いと言って消費税の増税、正しいですか?間違いですか?日本の仕組みを次々に叩き壊す自民党が保守ですか?極左ですか?

        はい、さっと答える、さっと。ジャップは勉強しなくちゃこの程度解らないんですか?

        外国人労働者ウザいですか?ウザくないですか?外国人観光客、ガラガラゴロゴロウザいですか?ウザくないですか?

        はい、さっさと答える。さっと。考えなくても解る。

        はい、敵艦が来た、どうする?はい、さっと答える。さっと。はい撃沈一択。

        いちいちやらない理由を考え言い訳すな。玉無しの馬鹿共のジャップが。

        同級生の女共は未だに私には逆らえないのですが、どの口が女性の活用だのぬるい事を言っとるんですか?男は女に舐められとんちゃいますか?女は一歩下がれこの野郎、が正しいんちゃいますか?

        善悪の区別が付かない者がアヘ信者になったりしてホシュを気取り、偉そうなことを言ってるんじゃない、馬鹿が。

        誤魔化しの継続の新自由主義下で無理矢理自分が唯物論的に豊かになろうと思ったら、詐欺的、グレーな部分に手を出して行くしか方法が無いんですよ。

        20年後、30年後に豊かになるとして、それまでは自分勝手に生きるしかないですよね?或いはその時に日本あります?

        今の話を何年も前からしてるわけです。

        といいますか飯を食わしてくれない国、それなりの給料をくれない社会や会社、どうでもいいと思うのは当たり前です。

        中高年もそうですが水島高齢者はその辺を全く理解してませんよね。

        「文化だ、伝統だ、皇室だ」こればっかり、ハッキリ言って今更そんなもんどうでも良かろうもんアホか、お前!

        自分が小泉やアヘをひたすら応援し、日本を散々叩き壊して何がホシュだ。

        コイツらボンクラ高齢者のせいで迷惑を被ったんすよ、ねえ?高齢者?なあ?高齢者?責任取りなさいよ。まだ生きたいなら責任を取れ!それが筋だろう?違うのか?なあ?

        日本を叩き壊しておきながら、素知らぬ顔で愛国者面して厚かましいのにもほどがあるぞ。

        何年経ってもひたすら「反日勢力許すマジ、俺は右翼だホシュだ、愛国者だ、そいやそいや、俺は親米左翼だ、ぐぬぬソ連系の左翼が気に入らない」

        虫唾が走るとは正しくこのこと。

        お前ら役立たずの高齢者のことなんかどうでもいいんだよ、それがお前ら高齢者が選択した新自由主義社会だ。

        この糞が。糞に限っていつまでもしがみつこうとする醜さね。

        政治家にしろ言論人、経営者、いい加減に高齢者は引退したらどうなんだ?自分達の結果、結果、結果を少しは反省しろ、この馬鹿が。トランプおじさん断固支持だとか流石アヘちゃんじゃねぇだよ。

        百姓根性、奴隷根性の死に損ないのガキ共が。

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        1. この世は既にあの世 より

          いやあ、日本はダメですな。

          派遣会社がありとあらゆる業界に入っている。

          勉強派はJGPがどうたらこうたら言ってますが、JGPって民間によって既に導入されてますよ。

          派遣はパソナだけじゃないですよ、具体的な企業名をあげるのは避けますが、1つの派遣会社が厚生労働省の認可を受けてポリテクセンター、いわゆる職業訓練校なるものを自社で運営し、そこに大企業を退職した高齢者が、高齢者が、高齢者が天下りし、一応何か派遣社員に技術もどきを教えてるらしい。

          建設から金融、役所から農業、何から何まで派遣会社が侵食し、派遣会社の言い分によると「いきなり転職は難しいので、資格を取らせるなり訓練して」これって既にJGPですよね。

          大企業の高齢者と派遣会社って以前から仲が良いんですよ。自分の天下り先になるもんでね。人が金に見えるんですよ。

          ダイハツ工業、TDK、東芝にNHKニッパツ、パナソニック、他にもあるでしょう、日本の高齢者は全部そうです。コイツら日本のことなんかどうでもいいんだろう。

          何で何から何まで派遣会社を噛ませる必要があるのか?と言っても始まらないのでBIしかないですね。

          何処行ったって派遣があるわけだから、おかしいですよね。たぶんね、緊縮財政というより、政治家は馬鹿ばかりだし官に何らかの運営能力や企画力なんか無いんですよ。

          すべてが「代わりに僕たち派遣会社がやりますよ」となっている。

          労働者を殆ど派遣社員にして、高齢者の暇潰し的な講釈に付き合って「日本の技術力がー」って、もう無いでしょう。

          また地元の飲食店から農家から派遣会社に協力企業として、名を連ねてますから終わってます。

          人を右から左に動かして、他人の血とあしぇで飯を食う。やめれませんなあ。

          元々製造業の派遣を拡大したのは98年頃からのクリスタルグループね。コイツら営業しまくりで会社に1000万円の売り上げあげさせれば日本全国何処でも所長として営業所出せたんですよ。クリスタルグループの営業方針は、いい取り引き出来ないんで中小企業は相手にしないこと。だった。

          元社長は会社自体を売り払い大金せしめて隠居暮らしですわ。今ではクリスタルグループは無いですが、残党があちこち散らばって派遣会社立ち上げるなり、派遣営業社員として再就職してますわな。

          それだけじゃないですよ、アヘ政権下では、厚生労働省の認可を受けた派遣会社へ人を紹介するだけで、投資は電話と広告費だけの人材紹介会社まで出来ました。

          なんちゃって技術者派遣、なんちゃって正社員、そんなんばっかりですよ。建設もですから。

          これで愛社精神やら技術力やら生まれますかね?

          何て言うのかなあ、ちょろっと職業訓練受けただけじゃ技術力なんか身に付きませんよ。

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  4. バカな学者ならここにもいる より

    適菜収氏の卓見を借りて言えば、竹中のことが大嫌いなくせに竹中を愛国者と称える安倍は大好きというネトウヨと、新自由主義に猛反対しながら高齢者は死んでも仕方がない構わないとする選民思想=新自由主義に賛成するクズと、テイノーという意味において笑えてしまうほどそっくりに見える。

    そうしたどうしようもない類いを、藤井聡氏は科学者の良心をかなぐり捨ててまでせっせと掘り起こし(それが購読者増に結びついたかどうかはわからないけれども)自身の無謬を確信する孤独で幼い彼らに取り返しのつかない言質を与えた。事実、あれほど絶賛し、本まで出版しているMMTについて、新型コロナ以降、藤井氏はいまだ一言もまともに触れることが出来ていない。

    ファナティックな支持者たちの中には、財政に期待できないとする当初の氏の諦観を先回りして、自己批判的MMT批判を展開する者や、中には思想を持ち出すなと繰り返す者まで現れた。彼らは表現者時代から積み重ねて来たはずの従来の言論領域に藤井氏を立ち戻りにくくさせていることにすら気づいていない。

    批判のために藤井氏を引用することはあっても自説の援用に用いる各専門分野の先生方が多くないように見えるのは救いだが、財政拡大を主張してきた新経世済民新聞にとって、アフター・コロナはイトシゲや土居丈朗あたりに石を当て続けるだけではいられないのではないだろうか。

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  5. 利根川 より

     選挙が近いよ、やったね!菅ちゃん。ということで、本日は基本情報をコピペしていこうかと。

    財政制度等審議会「高い家計貯蓄率と国内企業部門の豊富な資金余剰が国債の安定的消化に寄与してきたが、これが今後も維持されるとは限らない」
    (平成26年5月 「財政健全化に向けた基本的考え方」より)

    なんのこっちゃ? と思った方も多いかと思うので、これを意訳するとこうなります。

    財政制度等審議会「銀行は我々一般人や企業が貯蓄している『銀行預金で』国債を買っているので、国債を買い続けていくといずれ銀行預金が減っていって最終的にはなくなってしまう」

    財政制度等審議会「だからこれ以上、国債を発行したらダメなんだからねっ!」

    となります。もうご存知だと思いますが、銀行は『銀行預金』で国債を買っているわけではないし、国債を購入し続けると銀行預金が減っていくということもありません。
     2019年5月23日の財政金融委員会で日銀副総裁の雨宮さんが「サラ金」と「銀行」の違いについて解説しています。

    ・サラ金:他所から調達してきたお金を我々に貸している。貸せば貸すほど調達したお金は減っていく

    ・銀行:貸し出す銀行預金を”何も無い所から作り出して貸す(=信用創造)”ので、貸し出しが増えれば増えるほど銀行預金は増えていく

    雨宮日銀副総裁の説明にもあるように、貸し出せば貸し出すほど保有するお金が減っていくというのはサラ金の話で銀行ではないと言うことです。
     さらに、財政制度等審議会の皆さんは、銀行が『銀行預金で』国債を買っていると主張していますが、これも事実とは異なります。
     こちらもご存知の方も多いかと思いますが、お金には種類があります。
     
    ・現金(硬貨と紙幣)※正確には硬貨は貨幣には含まれないが、ここでは割愛

    ・銀行預金

    銀行預金にも種類があります。

    ・銀行預金(我々国民や企業が銀行口座に貯蓄している預金)

    ・日銀当座預金(中央銀行にのみ存在する預金で、政府や銀行・金融機関しか口座を開設できない)

    銀行はどのお金で国債を買っているのかというと『日銀当座預金』になります。我々が銀行に貯蓄している『銀行預金』は全く関係ないのですね。
     実際に銀行と政府の間でどのようにして国債のやり取りが行われているのか、建部正義さんによると次のような過程となるそうです。(面倒なのでコピペ)

    1 一般の銀行が政府から国債を買い取る(=一般の銀行が政府にお金を貸してあげる)
      例:三菱銀行の「日銀当座預金」1兆円が政府の口座(日銀当座預金)に振り替えられる。
      ※「銀行預金」は使われていない事に注目

    2 政府は公共事業発注にあたり、請負企業に「政府小切手1兆円分」で代金を支払う

    3 企業は小切手のままだと使いにくいので、三菱銀行に1兆円の小切手を持っていく

    4 三菱銀行は請負企業の預金口座に「1兆円と書き込む」←ここで、唐突に「一般銀行の銀行預金1兆円」が誕生
      さらに、三菱銀行は中央銀行に政府から小切手1兆円分の「日銀当座預金」を取り立てるように依頼する

    5 中央銀行は政府の口座から1兆円の「日銀当座預金」を三菱銀行の口座に振り替える

    6 三菱銀行は1で政府に貸した「日銀当座預金1兆円」が戻ってきたので、再びその1兆円で国債を購入する→1にもどる
      ループってコワイ

    ※日銀当座預金は消滅することなく1~6の過程をループしている

    現在は電子決済化が推し進められていて、政府小切手という「紙のお金」が使われることはないそうですが、やっていることは一緒です。
     これを見れば分かるように、一般銀行が政府から国債を購入する際に使われているのは「日銀当座預金」であって「銀行預金」ではありません。
    加えて、国債のやり取りの過程を見てもらえば分かるように、国債を購入し続けていくと「銀行預金が減っていく」といったこともあり得ません。
    むしろ、政府が新たに国債を発行するから「銀行預金」が発生しているとも言えます(過程4参照)
    つまり、政府が新規に1兆円分の国債を発行するから、1兆円分の銀行預金が生じるわけですね。
    このことは2019年5月23日の財政金融委員会で日銀副総裁の雨宮さんがきちんと認めておられます。

    雨宮日銀副総裁「ご指摘の通り、金融機関が国債を保有し”財政支出が行われれば”、財政支出した額と同額の預金通貨が事後的に発生しています」

    西田昌司議員「事後的にと言いますが、政府が予算化すれば、当然消費や投資になって誰かの貯蓄が増えるわけです。だから、事後的にというのはタイムラグの話で、結果的に”政府の負債と同額の民間貯蓄が増える”という事でしょう」

    雨宮「ご指摘の通り、”投資が発生すれば、それと同額の貯蓄が発生する”わけです」

    つまり、財政制度等審議会の主流派経済学者の皆さんは銀行の業務について全く知らなかったばかりか現代の資本主義経済の中核をなす「信用創造」についても全く理解していなかったことになります。
    が、誰にでも間違いはある。

    「過ちを気に病むことはない。ただ認めて、次の糧にすればいい。それが、大人の特権だ」

    ということで一つ。なにせ、意固地になってかたくなに財政出動をこばみ続ければ延々とデフレ不況は続いていくわけで、日本国民で得をする人間など誰一人いないわけですよ。いいのです、次に行けば。
     10年間、これらの事実を訴え続け、ボコボコに批判されてきた人達がいいと言ってくれているのだからいいのです。次行こう、次!
     で、ここまでの話で

    「政府が1兆円分の国債を発行して使うと、一般銀行の銀行預金が1兆円増える」

    ということが分かったわけです。誰かの負債は誰かの資産、誰かの赤字が誰かの黒字というわけですね。

    ”ぶっちゃけ、政府による国債の発行とは貨幣の発行のことなんですよね”

     財政制度等審議会の皆さんの言うように「政府が国債を発行すると銀行の銀行預金が減る」などと言うことはないのだから、政府は国債を発行して(貨幣を発行して)コロナ禍で苦しむ企業や医療機関を助ければいいのです。

    「お前は無限に国債を発行してもいいとでもいうのか」

    というセンメルヴェイス反射をこじらせた方も出てくるかと思いますので先に言っておきますが、無限に国債を発行していいなどと誰も言っていませんよ。
     例えば、商品やサービスを生産する技術や道具(工場)が非常に少ない発展途上国を例に挙げてみてみましょう。

    途上国の靴屋「靴いらんかね、残り1足だよ」

    途上国のお金持ちA「金ならいくらでもある、その靴を私に売ってくれなさい」

    途上国のお金持ちB「金ならいくらでもある、私はAさんの2倍の値段で買うから私にその靴をよこしなさい」

    途上国のお金持ちC「金ならいくらでもある、私はトラック一杯分の金を用意した。その靴は私にこそふさわしい」

    ということで、生産能力が低く、商品やサービスが著しく少ない国で沢山のお金を発行したって商品の奪い合いが起きて商品の値段が爆上がりするだけです(物価の急騰、インフレ率急上昇)
    なので、国債の発行(貨幣の発行)の上限は、物価(インフレ率)ということになります。
     では、どのくらいのインフレ率になるように国債(=貨幣)を発行していけばいいのかというと、日本が正常に経済成長を遂げていた高度経済成長期の経験即から2%程度が目安なのではないかという話ですね。
     インフレ率が2%を超えるくらいまでは国債を発行して

    ・国公立病院を増やす

    ・保健所と職員を増やす

    ・介護職の報酬を引き上げて”労力に見合う”ようにする

    ・地方の予算を増やして”正規職員”を増やす

    ・地方の予算を増やして老朽化した水道管や橋などのメンテを行う

    ・災害対策・パンデミック対策に恒常的に”十分な”予算をさいておく

    ・科学技術研究(特に基礎分野)の予算をしっかり増やしていく

    ・消費税廃止・社会保険料減免などを行い、企業が”正規で”雇用を増やせるようにする

    ・これらを通じて需要を増やし、地方銀行の業績を回復させる

    ・防衛費の強化で中国に「簡単に食える」と思われないように頑張る(←手遅れ気味

    などを行っていけばよいということですね。おっと、手遅れ気味といえば粗利保障も忘れてはいけませんね。当然、ここ1年通しての補償になります。
     たかが2%と侮ることなかれ。実は、日本を含む先進国では物価の上昇は一筋縄ではいかないのです。
     先ほど例に挙げましたが、商品が少ないのに商品を欲しい人の方が多いから物価が上がっていくわけで、先進国のように商品やサービスを生産する能力が著しく高くて、良質な商品やサービスであふれかえっている社会ではなかなか物価は上がらないのです。
     三橋さんと安藤裕議員の対談でも話題に上っていましたが

    三橋貴明「2020年度の実績は大きい」

    三橋貴明「プライマリーバランスの赤字を70兆円近く拡大して、政府の長期債務残高が90兆円増えると…こんな増えたことないですからね」

    三橋貴明「これで金利は0.1%、インフレ率はマイナス、挙句の果てに経済成長率はリーマンショックを超えるマイナス」

    ということでね。国債を大量に発行して財政出動してもちょっとやそっとじゃ金利もインフレ率も上がらないのですよ。
     まあ、ある日いきなり日本に巨大隕石が降り注ぎ、軒並み工場が破壊されたり、”わざと”中小企業を助けないで倒産廃業を推し進めたりして日本から生産能力をこそぎ落としていけばどうなるか分かりませんけどね。

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      1. 利根川 より

         ここまでの話で現代社会で重要なのは生産能力だということが理解していただけたかと思います。
         金貨銀貨の世界では、お金を発行するにはお金の材料となる金や銀と言った貴金属が必要になります。
         当然、金や銀と言った貴金属は量が限られていますので、お金は”有限”ということになります。
         ところが、現代社会のお金は紙(紙幣)、それどころか今やただの電子データ(銀行預金)にすぎません。
         銀行にお金を借りに来た人に対し銀行預金が創造される(信用創造される)わけで、お金の発行に特別な材料が必要なわけでもなく、事実上、人間同士の間で貸し借りが行われる限り無限にお金を発行できるわけですね。
         その唯一の制限が生産能力というわけです。
         つまり、金貨銀貨の世界でお金持ちと言われる国(強国)がどういった国なのかといえば

        「金や銀と言った貴金属を大量に持っている国」

        なわけですが、現代社会でお金持ちといわれる国(強国)がどういった国なのかというと

        「モノやサービスを生産する工場や技術者を多く擁する国」

        というわけですね。いま、モノやサービスを生産する工場や技術者がたくさんいる国は中華人民共和国になります。コワイ
         日本ですか?現在、絶賛「中小企業潰し」が行われていますが、なにか?
         因みに、生産能力が大事と説明してきましたが、

        ”生産するためには生産したモノやサービスが売れないことには生産を増やせない”

        わけですね。「なにを当たり前のことを」とお思いの方もおられるかもしれませんが、「作った物は必ず全部売れる」と主張する学者さんも多いもので念のため言っておこうかと。
        当たり前ですが、売れ残って廃棄しなければならない商品が大量に出ている状況で「よっしゃ、もっと作ろう」とはならんわけで、売れないものはつくれないわけです。
        なので、

        ”高い生産能力を維持するためには人々が商品やサービスを購入する意欲が高い必要がある”

        わけですね。
        人々が商品を購入する意欲が高い社会がどういった社会なのかというと、

        ・雇用が安定していて、不意に無収入になることがない社会

        ・安定して収入が上がっていく社会

        少なくともこのくらいはクリアしていないといけないと思うわけですが、日本はこの40年間、真逆の方向に突っ走っていった結果、いまでは衰退途上国になってしまったわけですね。この斜陽感よ
         働くことは良いことですというのは、その社会の生産能力が高まり、国民が豊かに安全に暮らせるようになるからいいことだというわけです。
         しかし、この期に及んで緊縮政策を推し進めている人は、その人が働けば働くほど国民の豊かさや安全は棄損されていくわけで、ぶっちゃけ、酒でもかっ喰らって寝ててくれた方がよほど世のため人のためになるわけです。
         働くことは良いことですというのも人にもよるし場合にもよるのだろうなと、最近は考えを改めるようになりました。
         さて、同じ内容でも繰り返し言うことが大事と言うことで、基本情報をつらつらと書きなぐってみました。
         最近では有名人の田原総一朗さんや池上彰さんなどもこういった情報を発信してくれているそうなので、私のようなどこの馬の骨とも知れない人間がわざわざ言うこともないだろうとは思っているのですが、選挙も近いので

        ワクチン→金メダル→緊縮派大勝

        とかにならないように、政治家を選ぶ基準の一助となればと基本情報をコピペしてみました。
         兎にも角にも10年選手のレジェンド達には感謝しかないですね。我々が今こんな話ができているのもレジェンド達が10年間、批判されながらも言い続けてくれたおかげです。
          

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  6. たかゆき より

    解放系と閉鎖系

    熱力学の 見地から

    生産能力に不安のない 日本は
    解放系かと、、、

    高等ケイザイガク って やたらと
    数字やら 数式を 振り回そうとするけど

    所詮は 文系の 付け焼き刃 か
    しら ん。。。

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  7. 付け焼刃が付け焼刃を笑ってる より

    理系だろうと付け焼刃で調子に乗るととんだ自閉に陥る場合がある。かの学者はこのコロナ禍で自らそれを体現した。そして無邪気に信じる支持者たちを閉鎖系という洞穴に連れ込んで出られないようにした。

    文系を理系のうぬぼれの道具に使ってものを言っているうちは、いい齢こいていても半人前だ(and v.v.)。これもかの学者がよく体現して見せてくれている。

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  8. 利根川 より

     森永康平さんのお話を聞きました。

    森永康平さん「学習指導要領の改訂により、2022年度から高校の家庭科の授業に『金融教育』が加わることになって子供たちは『お金の起源』について学ぶ機会ができたが、実は大人にこそ金融教育が重要なのではないかと想いが日々強くなっている」

    森永康平さん「裾野を広げるためにも簡単な話をするべき」

    というお話に触発されて私も大本の「お金の起源」について書いてみましたが、頭がいい人じゃないと簡単な話ってできないんだなと思わず苦笑いする結果になってしまいました。
     まあ、せっかく書いたので…

    <ロビンソン・クルーソーとフライデーの島>

    ロビンソン「野イチゴを収穫したよ」

    フライデー「いいね!じゃあ、僕は秋になったら魚を獲ってきて君に渡すから、僕にも苺を分けてくれないか?」

    ロビンソン「じゃあ、秋になったら魚を渡すという証明書を書いてくれ」

    ロビンソン「その証明書と交換に苺を分けてあげるよ」

    ~~~~~~~~~~

    借用証書

    秋になったらこの借用証書を持ってる人に魚を渡す

    フライデー

    ~~~~~~~~~~

    サンデー「やあ、僕サンデー。島の外から船でやってきた交易商人さ」

    ロビンソン「やあサンデー。君の売っている火打石とボクの持っている『フライデーの借用証書』を交換してくれないかい?」

    サンデー「いいですとも!」

    マンデー「こんにちは、サンデー。僕の持っている干し肉と君の持っている『フライデーの借用証書』を交換してくれないかい?」

    サンデー「いいですとも!」

    というわけで、最終的にフライデーが魚を渡す相手はマンデーになるわけですが、魚を渡す相手はロビンソン以外でもいいという例ですね。
     ロビンソン・クルーソーとフライデーの世界では事実上、『フライデーが書いた借用証書』がお金としての役割を果たして商品の売買に使われています。要するに、

    ”貨幣とは負債(借用証書)の一種である”

    ということになります。
     この貨幣(フライデーの借用証書)、フライデーが秋に魚を渡すという約束をした時に「発生」し、最終的に借用証書を手に入れたマンデーに魚を渡したとき

    ”約束は果たされた=債務満了ということで消滅します”

    お分かりいただけるでしょうか、貨幣って消滅しちゃうんですよ。貨幣というのは誰かに「借り」を作った時に発生し、「借り」を返すと貸し借り無しになって「消滅」するのです。
     これを現代社会に当てはめると

    ”貨幣(銀行預金)は、誰かが銀行から借用証書と交換にお金を借りた時に誕生し、借金を返済した時に消滅する”

    というわけですね。
     国債というのは政府の負債です。負債、つまりは「貨幣の一種」ということになります。政府が国債を発行して我々民間に渡すから、我々は貨幣を使って買い物をしたり取引をしたりできるわけですね。では、政府が「徴税」によって我々民間の貨幣を回収するとどうなるのでしょうか。

    ”貸し借り無しになって日本から貨幣が消滅する”

    というわけです。
     おそらく、多くの人のイメージでは、国民が税として支払ったお金が国庫の中にうず高く積まれている様子を想像するのかもしれませんが、それは間違いです。
     日本円は、国債という形で民間に渡されることで誕生し、徴税という形で回収されることで消滅する。
     徴税すると日本円が消滅してしまうと聞くと

    「じゃあ、徴税ってしない方がいいの?」

    という方も出てくると思いますので先に言っておきますが、徴税は必要ですよ絶対に。
     日本円がどうして価値があるのか。それは、

    ”日本で経済活動をするかぎり、必ず日本政府に税金を支払わねばならないし、日本政府は貴金属などの「物納」や、ドルやポンドといった「他国の貨幣での納税」を認めていないので、日本円を手に入れる必要が生じるから”

    なのです。なので、報酬をドルで受け取ろうが貴金属で受け取ろうが、最終的にはそれらを日本円に交換しないと税金が支払えなくなってしまう。だから日本円の価値はなくならないということなのですね。大事よ、徴税。
     話はそれましたが、ロビンソン・クルーソー達の取引は「フライデーの借用証書(フライデーの負債)」という貨幣の存在があったから成立した取引でした。

    「負債、絶対ダメ」

    ということで政府の負債(=国債)の発行を認めない場合、我々は負債=貨幣を手に入れる手段が無くなってしまいますし、貨幣を用いた取引も不可能になってしまいます。

    <ランダルレイ教授の貨幣ピラミッド>

    ・個人が発行できるお金である「小切手」は、その個人が「銀行預金」を持っているから発行できるお金

    ・銀行が発行できるお金である「銀行預金」は、お金を借りに来た人の「借用証書」もしくは、「現金紙幣」と引き換えに発行されるお金

    ・中央銀行が発行するお金である「現金紙幣」は、政府の借用証書である「国債」や「国庫短期証券」が中央銀行に持ち込まれた際に、これらと引き換えに「日銀当座預金」として発行されるお金

    ※我々国民が銀行から銀行預金を「引き出す」ことで「現金紙幣」を手に入れているように、一般銀行は中央銀行から「日銀当座預金」を引き出すことで「現金紙幣」を手に入れることができる

    ・日本政府が発行するお金である「国債」 普通、貨幣の発行には何らかの担保(バランスシートの借方に書かれる何らかの金融資産)が必要だが、実は日本政府のバランスシートを見ると何も書かれていなかったりする。つまり、国債という名の貨幣”だけは”担保となる金融資産なしに発行されている

    ランダルレイ教授の貨幣のピラミッドを見てもらえば分かるように、全ては政府による国債発行から始まっているのです。
     なので、「負債(国債の発行)ダメ、絶対」ということになると、我々日本国民は貨幣の存在しない原始社会に逆戻りするしかなくなってしまうわけですね。
     貨幣の存在する正常な経済活動が営まれる社会であるためには、

    ”政府の負債=貨幣は経済の発展とともに増え続けなくてはならない”

    のです。
     ちなみに、この国債。一定期間がすぎると償還するということにはなっていますが、償還すると消滅してしまうので、新たに国債を発行して旧い国債を償還するということをやっております。つまり、古い国債と新しい国債を交換してるだけ。(利子だけは支払ってます)

    「借用証書を借用証書で返すってそんなのアリなの」

    とお思いの方も居るかもしれませんが、日本以外はどこの国もやっていることだということでしてね。ちょっと、お名前を度忘れしてしまいましたが、以前、そうした記事を書いている方がいたと思います。
     ということで、「政府の借金を減らす」というのは「日本円を消滅させる」ということだし、「政府の負債を増やさない」ということは「貨幣を増やさない」ということですので、日本の政治家達がいかにトンチンカンなことを話し合っているのかが理解していただけるのではないかと。
     私のように付け焼刃でも、このくらいのことを知っていれば少なくとも緊縮政策を応援して自分達の首を絞めるという残念なことにはならないと思うので、学者でも目指すというのでもなければ「ロビンソン・クルーソーとフライデーの島」くらいで十分だと思います。
     
    「裾野を広げるために簡単な話を」

    という森永さんの言葉にはハッとさせられました。後半も楽しみにしています。

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