日本経済

2018年8月3日

【三橋貴明】“人間の屑”がいるとするならば

From 三橋貴明@ブログ

評論家の中野剛志先生が、
例の吉川洋

「中央公論2018年8月号」の
「時評2018
「国難」としての自然災害と日本経済」」

について東洋経済に
寄稿されていました。

『自然災害対策と
「財政問題」は、分けて考えろ
「赤字だから対策できない」には根拠がない
https://toyokeizai.net/articles/-/231318

◆想定外ではなかった豪雨災害

気象庁によれば、
「非常に激しい雨」(時間降⽔量50mm以上)
は30年前よりも約1.3倍、
「猛烈な雨」(時間降⽔量80mm以上)
は約1.7倍に増加している。

また、国土交通省によれば、
過去10年間に約98%以上の市町村で、
水害・土砂災害が発生しており、
10回以上発生した市町村は
およそ6割にのぼる。

このように、政府の関係機関は、
近年、豪雨災害のリスクが
高まっていることを認識していたのだ。

しかし、主要河川の堤防整備は
未だに不十分な状況にある。

では、政府は、治水関連予算を
増やしてきたのかと言えば、
その逆である。

1990年代後半以降、
公共投資は大幅に削減され(参考)、
治水関連予算も抑制されてきた。

その理由は、言うまでもなく、
財政健全化が優先されたからである。

その結果、今回の豪雨災害においても、
治水対策が強化されていれば
守られたであろうはずの
人命が失われた。

国民の生命・生活が、
財政健全化の犠牲となったのだ。
(後略)』

中野氏の「反・財政破綻論」の
要旨は以下三つ。

『第一に、経済成長が金利を
上昇させる可能性はあるが、
それは同時に税収の増加をももたらし、
財政収支を改善するのである。』

『第二に、そもそも、政府債務の返済は、
国税収入だけで行うものではない。

継続的な借換
(新規国債の発行によって
同額の国債償還を行うこと)
によることもできる。

政府債務というものは、
原則として完済をする
必要がない債務なのだ。

それゆえ、ほとんどの先進国において、
国家予算に計上する国債費は
利払い費のみで、
償還費を含めていない。』

『第三に、それでも金利の上昇を
回避したいというのであれば、
中央銀行が国債を買い取ればよい。

実際、日本銀行は、そうしている。

いわゆる量的緩和がそれだ。』

そもそも、財政健全化とは
「政府の借金を減らすこと」ではなく、
「政府の負債対GDP比の引き下げ」
になります。

GDPが増えれば、政府の
負債対GDP比率が自然に下がるのに加え、
税収も増加します。

理由は、税収の源泉が所得であり、
所得の合計がGDPであるためです。

経済成長で多少金利が上がったところで、
税収増とGDP成長で政府の
負債対GDP比率は下がるのです。

これこそが、正しい財政健全化です。

加えて、政府の負債(国債など)は
基本的には借り換えされます。

そもそも、政府の負債を「減らす」
という発想が、政府の財政の
「ど素人」という話になるのです。

吉川洋の主張は、
まさに政府の財政について
「ど素人」の考え方である
と断言できます。

吉川洋が悪質なのは、本当は
「政府の負債は減らす必要がない」
と理解しているにも関わらず、
虚偽の主張を振りまいていることです。

何しろ、彼奴は2001年に
経済財政諮問会議の委員になる前は、
わたくしと同じことを主張していました。

さらに、中央銀行が自国通貨建て国債を
買い取れば、政府の負債は
実質的に消滅します。

そして、日本銀行は今でも
継続的に日本国債を
買い取り続けています。

結果的に、政府の実質的な
負債対GDP比率は
下がっていっています。

日本の財政健全化は、
すでに達成されているのです。

【日本政府の負債残高(左軸、億円)とGDP比率(右軸、%)】

ちなみに、吉川が中央公論の
原稿を書いたのは、
西日本豪雨災害の「前」でした。

200人以上が亡くなった、
あの豪雨災害の映像を見てすら、
吉川は同じことが言えるのでしょうか。

言わないでしょう。

「西日本豪雨災害で
200名以上亡くなったが、
それでも財政の方が防災よりも大事だ。

国民は財政のために死を受け入れるべきだ」

と、主張してくれるのであれば、
変な意味で尊敬しますが、
実際にはそんなことはありません。

だからといって、

「自分の主張は間違っていた。
財政には一時目を瞑っても、
防災を推進するべきだ」

と、真っ当なことを主張し始める
こともないのです。

彼は、ただ沈黙するだけです。

防災よりも財政を優先し、
実際に自然災害で国民が死んだ。

その責任を引き受ける度胸もない。

さらなる批判を浴びる覚悟もない。

ただ単に、御用学者として
「財政の方が防災よりも大事だ」
と主張してきたにすぎません。

自分たちの主張故に、
緊縮財政が推進され、
結果的に国民が死んだとしても、
その事実は「無かったこと」にし、
ほとぼりが冷めれば同じ主張を始める。

あまり強い言葉を使うと、
弱く見えるので嫌なのですが、
もし”人間の屑”という連中が
存在するとしたら、
日本の緊縮財政論者、
財務省やその御用学者たちこそが
筆頭候補なのです。

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【三橋貴明】“人間の屑”がいるとするならばへの3件のコメント

  1. 高橋晃 より

    御用学者でいることがそんなにおいしいことなのか。逆に、おいしくすれば、過去の言説を翻しても御用を務めてくれる輩がいくらでもいるという事ですね。開かれた場でないから、世間体を気にせず、如何なる変節・居直りでもできるということが良くわかりました。

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  2. たかゆき より

    屑 でもまだ 褒め言葉

    畜生 鬼畜でも
    すっきりこない、、、

    彼等の額には
    「人非人」と押された焼印が 見える鉋 ♪

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  3. エレミヤ より

     経済的な側面からの議論に場違いと承知の上であえて言わせて頂きます。このような情報を発信する際には淡水環境のことも考慮していただけたらなと思います。もとより外来法とゆう悪法により日本の淡水面はめちゃくちゃです。治水工事とゆうものは周辺の生態系を全て破壊してしまいます。この記事自体は治水対策の是非を問うものでないですが、読んだひとが治水対策を無条件で全肯定するような勘違いをしてしまわないか心配になります。限られた文面でそこまで配慮を求めるのは言い掛かりに近いと自覚はあります、申し訳ありません・・。

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