コラム

2018年4月14日

【竹村公太郎】水の分かち合いの奇跡

ブラジルでの第8回世界水フォーラム

2018年3月19日~23日の5日間、
ブラジルの首都ブラジリアで
第8回世界水フォーラムが開催された。

日本の皇太子殿下の御臨席を
賜り開会式が盛大に執り行われた。

開会式で皇太子殿下は、
水を思う多くの人々の協力で
世界水フォーラムが開催された
ことへのお祝いを述べられた。

今回の第8世界水フォーラムの
テーマは

「Shearing Water(水の分かち合い)」

であった。

水を分かち合うことは、
極めて困難である。

水の奪い合いは、世界共通である。

ライバル(Rival)という言葉は、
River から来ている。

同じ川岸に住む人々同士は、
自分が生き残るための
負けられない競争相手なのだ。

この水を巡る厳しい世界、
戦国時代の日本で、
奇跡の水の分かち合いが行われた。

戦国時代の奇跡

1467年、応仁の乱が起こり、
日本は下剋上の戦国時代に
突入していった。

150年間、領土の奪い合いで
日本列島は乱れに乱れた。

戦いは、領土の奪い合い
以外の場でも行われた。

その時代、日照りが続くと
すぐ干ばつに襲われてしまった。

各地の集落は渇水で苦しみ、
川から水を少しでも
多く取ろうとした。

そのため集落間で争いが発生し、
多くの血が流れていった。

その時代のある戦国大名が、
水の分かち合いシステムを
誕生させた。

それは客観的で合理的な
技術に基づく「3分の1堰」
であった。

その戦国大名とは、
武田信玄であった。

分かち合う

3分の1堰(出典:ウィキペディア)

山から流れてくる水を、
下流の三集落が使っていた。
(写真)の堰の中に小さな
将棋の駒のようなものがある。

この駒で水流が3等分に
分けられる仕掛けだ。

腕力の強い集落が水を
独占するのではなく、
水があるときには、皆が
均等に水を享受し、
水が少なくなった時には、
皆が均等に干ばつに耐える。

3集落の関係者を説得して、
このような分水施設を造るには
よほどの説得力が必要となる。

つまりガバナンスである。

この地方で人々を説得して、
「戦うのではなく分かち合え」
という指導力を持っていたのが
武田信玄であった。

この技術は江戸へ引き継がれ、
近代日本にも引き継がれた。

技術は洗練されて、日本各地に
この水を分かち合う分流堰が造られ、
21世紀の今でも現役として
役立っている。

世界各地には、大規模な
水道遺跡が残されている。

それらは強大な力で、
大量に川から取水し、
遠くの都へ導水した権力の
シンボルとしての遺産である。

この3分の1堰は、それら権力を
顕示する遺産と対極にある。

人々が知恵と技術で
喜びと苦しみを分かち合っていく。

この3分の1堰は
規模としては小さい。

しかし、世界遺産に
匹敵する価値がある。

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【竹村公太郎】水の分かち合いの奇跡への4件のコメント

  1. あまき より

    疏水をしばしば過疎の疎の字で表記するものがあり、自分でも無意識に使って来ましたけれど、
    やはりこれは、俗字でまばらの語義で用いられる疎ではなく、
    とおす、ひらく、わける、おさめるの語義をもつ
    本字の疏できちんと書くべきなのですね。

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  2. ぬこ より

    国内水資源の防衛だけでなく、海外の水不足地域へのインフラ支援や、海水の淡水化技術(東レとかが持ってる)の支援が必要とされますね。

    奪うことで支配しようと言う欧米支配層に対抗するには、それを裏付ける技術が必要なんでしょうね。

    ま、日本の水源地山林確保の裏目的は、金鉱床や軍事拠点の確保もあるらしいですけど。

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  3. たかゆき より

    sharing

    「入」が水なら「出」は二酸化炭素

    二酸化炭素という たった一種類の分子が地球規模の気候変動に大きく関与しているはずがない というのが
    小生の直感

    地球は寒冷化に向っているという説もあるのに
    地球温暖化という仮説により二酸化炭素を「国際通貨」にして利益を貪る方々の手腕はお見事

    仮説を流布してカネを奪おうという サルや
    「一帯一路」やら「自由と民主主義」やらの虚構によって 世界を牛耳ろうとするサルたち、、

    この惑星のサルたちは 小生を飽きさせることが けっしてないのだ ♪

    返信

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  4. つぼた より

    私の家は農家ですが、子供の頃、田植え時期の水争いはあさましかったです。
    それで農業が好きになれなかったほどです。

    同じ日本で、水争いを避ける堰が考案されていたとは驚きました。

    武田信玄は家臣の人心掌握に苦労したと聞いていますが、その苦労が偲ばれます。

    昭和の日本に、なぜ、この堰が普及しなかったのか?
    それも疑問に思います。

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