日本経済

2018年7月5日

【小浜逸郎】安倍政権20の愚策(その3)

From 小浜逸郎@評論家/国士舘大学客員教授

(17)外国人土地取得にかかわる無規制
中国が日本の土地を爆買いしています。
すでに北海道や沖縄を中心に、
全国土の2%が中国人の所有になって
います。
https://www.recordchina.co.jp/b190071-s0-c20-d0035.html
2%というと静岡県全県にほぼ匹敵します。
http://www.sankei.com/world/news/170225/wor1702250023-n1.html
http://blog.goo.ne.jp/sakurasakuya7/e/884073e66a98c0319f25170316a099a9
古くは2005年、国交省主催の講演会で、
中国人男性が「北海道1000万人計画」
というのをぶち上げました。
以下の動画で、産経新聞の宮本雅史氏が
その模様を語っています。
https://www.youtube.com/watch?v=P7urvLd18u0
やがては北海道全域を中国の支配下に
収めようという魂胆が丸見えです。
このような事態を招いたのは、
外国人が土地を取得することに対して
法的な規制がないことが原因です。

しかも国交省は、
わざわざ外国人不動産取引の手続きを
円滑化するための実務マニュアルを作成。
「どんどん買ってください」
と言わんばかりの姿勢を示しています。
日本は外国人土地法の第1条で、
「その外国人・外国法人が属する国が
制限している内容と同様の制限を
政令によってかけることができる」
としていますが、
政令が制定されたことはありません。
対して中国では外国人の不動産所有は
基本的に不可。
なおこの件は以前にも扱いましたので、
詳しいことは、以下で。
https://38news.jp/economy/10151

また、国防の要地であるはずの対馬が
韓国人に不動産を爆買いされ、
民宿、ホテル、釣り宿など、
思いのままに建設、経営されています。
韓国のツアー客が大挙して対馬に来ると
ツアーガイドが開口一番、
「対馬はもともと韓国の領土です」
と説明するそうです。
対馬市当局は、どれくらいの土地が
韓国人の手にわたっているか、
把握していません。
こういう危機的状態は、
政府がいち早く手を打たない限り、
今後ますます加速するでしょう。

(18)中国人の医療タダ乗り
これは最近問題になっていますね。
https://diamond.jp/articles/-/129137
中国のがん患者数は半端ないですが、
そのうち一部の人が日本で最先端治療を
受けるために来日します。
医療で来日する場合は医療滞在ビザが必要で、
これだと費用は1000万円以上かかります。
しかし経営・管理ビザで入国して三か月以上
滞在すると、国民健康保険の加入が義務付け
られます。
すると前年に日本で営業していなければ
(実際しているわけがないのですが)、
月4000円の保険料を支払って、
三割負担で医療費が安くなるという仕組み。
渡航費、滞在費も含めて300万円程度の
負担で済みます。
患者は日本で会社を経営するわけではなく、
斡旋業者が資本金の500万円を見せ金として
示し、ビザが発給されると次の患者に回す。
これを繰り返して、何人も患者が来日します。
また中国残留孤児が家族を呼び寄せて、
生活保護世帯の処遇を受ければ、
ゼロ円で医療が受けられます。
もちろんこれらの差額分は、
日本国民の税金によって賄われます。

筆者は、こうした巧妙なからくりを利用する
外国人たちを特に非難しようとは思いません。
なぜなら、制度の抜け穴がある限り、
合法的ならだれでもそれを利用しようという
のが人情で、それが生活者というものです。
問題なのは、こうした制度の抜け穴を
いち早く塞ごうとしない日本の管轄官庁の
だらしなさ、鈍さにあります。

(19)観光立国、カジノ法案
インバウンド、インバウンドと、
政府は日本を観光立国にしようと
騒いでいます。
しかし内需拡大を目標に自国の生産力の
拡大を諮ろうとせず、ガイジンさんに
頼るようになった国は必ず衰えます。
ところで訪日外国人の内訳ですが、
韓国、中国、台湾、香港の4地域で、
全体の73%を占めます。
欧米加豪の合計はわずか14%。
しかも2014年当時、前者は67%、
後者は18%でした。
http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/since2003_tourists.pdf
つまり増えているのは、お隣からの
訪問者であって、欧米人の割合は
減っているのです(絶対数は微増)。
韓国や中国がいまの日本にとって、
不安定な関係にあるということを
忘れないほうがいいと思います。
しかも訪日外国人の4割は、
観光客ではなくビジネスマンです。
これらの人は日本でちゃっかり稼ぐ
意図で来日します。
訪日外国人の増加を素直に喜べません。
もう一つ素直に喜べない理由。
じゃんじゃん高級ホテルの建設でも
進むなら話は別ですが、
実際には、サービスの悪い民泊の増加
による料金低下競争が起きています。
老舗旅館などが閉鎖されつつあります。
デフレ不況期にこういうことが起きると、
移民による賃金低下競争と同じで、
日本の経済全体に悪影響を及ぼすのです。

さらに、次の点が決定的に重要です。
最新の統計では旅行収支1.3兆円の黒字
と出ていますが、
これってGDPのわずか0.26%です。
この程度の黒字幅をもって、
日本経済に好転の兆しがあるかのような
幻想をマスコミが振りまいています。
この種の幻想は、政府がやるべきことを
やらない口実として利用され、不作為の
事実を隠蔽する効果を生むだけです。

カジノ法案(IR実施法案)が衆議院で
可決されました。
これも「観光立国」というまやかしの
政策の一部です。
パチンコや競馬・競輪などでギャンブル
依存症が多いことは知られていますから
カジノが出来たからといって、
急に依存症が増えるとは思いませんが、
政府がやるべきことをやらず、
デフレ脱却を先延ばしするなら、
カジノがあろうとなかろうと、
貧困層が増え依存症も増えるでしょう。
さらに、カジノ収入のすべてが国庫に
収まるのではなく、7割は賭博事業会社の
懐に入るという事実に注目すべきです。
さぞかしラスベガスなどで鳴らした
名うての外資に狙われることでしょう。
ここにも米国の大きな圧力を感じますし、
農業や電力や水道の自由化と同じように、
グローバリズムを無反省に受け入れる
日本政府の亡国路線が見えます。
日本は「観光立国」などという浮かれ騒ぎ
にうつつを抜かすのではなく、
一刻も早くデフレ脱却のために、
内需拡大を目指すべきなのです。
社会資本が充実し経済活動が繁栄すれば
その国は魅力を増すので、
観光客などはおのずと増えます。

下図は2016年の訪問者数の国際順位。

(20)歴史認識問題の放置
2015年12月に交わされた日韓合意によって、
安倍政権は慰安婦問題について、
謝罪と責任表明、10億円の資金提供を約束し、
事実上、村山談話、河野談話をそのまま
引き継ぐ形になってしまいました。
ここにはアメリカの意向が働いていました。
その意向とは、

①東アジアの同盟国間でいざこざを起こさな
いでほしい。
②敗戦国・日本の「悪」を固定化しておく。
③日本の自主独立を阻み、いつまでも
属国として服従させておく。

朝日新聞がはなはだ不十分ながらせっかく
吉田清治の本のウソを認めたのに、
安倍政権の所行はそれを裏切るものでした。
その後、事態は予想通りに進みました。
今では中韓のみならず欧米諸国においても
旧日本軍が20万人の若い朝鮮女性を
性奴隷として強制連行しひどい目に遭わせた
という理解が定着しています。
外務省は、杉山審議官が国連で、
強制連行の事実を否定した以外には、
国際社会の歪曲に対して、
何らの積極的行動も起こしていません。
杉山審議官の声明もかき消されています。
しかも朝日新聞はその英語版で、
自ら認めたはずの誤りを平然とくつがえし、
国際社会の日本たたきの風潮に便乗して、
「性奴隷」説を触れ回っているのです。
外務省は、もちろんこれに対しても何も
していません。

一方、2015年10月、ユネスコは、
中国が申請してきた「南京大虐殺文書」を
記憶遺産として認めました。
この30万人虐殺説は、
何の証拠も目撃証言もなく、
写真資料も偽造や他からの借用であることが
今でははっきりしています。
しかし世界に散らばる中国系の人々は各地で
盛んにこの説を定着させつつあります。
その旺盛な活動歴は山ほどあります。
たとえば最近も、カナダで中国系団体が
「南京大虐殺犠牲者記念碑」の建立を目指し、
中国系国会議員がカナダ政府に12月13日を
「南京大虐殺記念日」と制定するよう求める
署名を行っていますが、
日本政府はこれを「遺憾だ」と述べるのみで、
何ら阻止すべき行動に出ていません。
アメリカの意向への過度な気遣い、日中関係への配慮、これらの
事なかれ主義が正当な外交交渉の道を阻んで
いるのです。
日本は軍事的には米国と同盟関係にあるものの
情報戦において完全に戦勝国包囲網に
取り囲まれてしまっているのです。
いまだ敗戦は続いています。

以上、三回にわたって安倍政権の愚策を並べて
きました。
本当にひどいものですね。
だからといって今すぐこの政権を倒せばよいと
いうものではありません。
倒した後、たとえ自民党の誰かが引き継ぐとし
ても、これらの愚策を払拭できる実力と英知を
具えた有力政治家が今の自民党にはいません。
それどころか、財務省の緊縮路線や外務省の
親中路線にハマっている人たちばかりです。
またありえないことですが、仮に野党が倒閣を
実現させたとしても、彼らはただ反権力を自己
目的にしているだけなので、何の建設的な政権
構想も持っていません。
事態は絶望的に思えます。
しかし絶望してはなりません。
絶望しないための手は三つあります。

①安倍政権のグローバリズム政策を根底から
批判できる健全野党を育てるために、
言論その他によって世論形成を試みること。
②自民党内の若手議員をはじめとした
積極財政派を応援しその勢力の伸長を図る
こと。
③政権を一枚岩と見て安倍首相個人への
感情的批判や憎悪に終始するのではなく
(それはほとんど意味のないことです)、
政権内部の複雑な権力駆け引き、
特に財務省と官邸の対立や、
内閣府に属する諮問機関の中で実力を持つ
「民間議員」の悪影響の大きさ、
などを正確に見積もること。

①と②は今のところかなり迂遠ですが、③を
さらに現実的に活かす方法は、いろいろ考え
られると思います。
参考までに以下の拙稿を。
https://38news.jp/politics/11893
https://38news.jp/politics/11942

【小浜逸郎からのお知らせ】
●新著『福沢諭吉 しなやかな日本精神』
(PHP新書)が発売になりました!

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まもなく徳間書店より刊行になります。

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「日大アメフト報道の短慮」
●『表現者クライテリオン』9月号特集
「ポピュリズムの再評価」(仮)の座談会に
出席しました。(8月15日発売予定)
●ブログ「小浜逸郎・ことばの闘い」
http://blog.goo.ne.jp/kohamaitsuo

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【小浜逸郎】安倍政権20の愚策(その3)への10件のコメント

  1. たかゆき より

    国家の構成要素

    国民 領土 主権

    国民:日本人と呼べる者の割合すら不明

    領土:日本の土地は日本人だけのものでは ない らしい

    主権:皆無!! 占領軍の基地が多数存在し 首都圏の上空すら みずから管制出来ぬザマで 主権など存在するわけがない 

    日本は 裸のキングなどではなく 惨じめなポーンであると 自覚しないかぎり いつまでも チェックメイトの状態

    盤上の駒など どれに替えても 無駄
    国民の意識が変わらないかぎり 永遠に負けつづけるだけだ べ。。。

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  2. 赤城 より

    軍事主権はこの日本に存在しない。
    そして
    デフレを引き起こし、それを現在まで20年継続させた
    財務省成立のための法律をつくったときに
    日本はそれまでわずかに残っていた経済主権を
    完全に失ったのだろう。

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  3. 利根川 より

     日本が強い時というのは劣勢である事を全員が共有し、それを覆そうとする状況にあると思います。
     『歴史の謎はインフラで解ける 産経新聞出版』で詳しく紹介されていますが、50年代の日本の道路網は

    米国ワトキンス調査団
    「日本の道路は信じがたいほど悪い。工業国にして、これほど完全にその道路網を無視した国は他にない」

    と言われるくらいの惨状だったらしい。
     そういった状況を当時の日本国民の多くが共有し、それを何とかすべく世界銀行からお金を借りて道路網を整備したからこそ、ちょっと前までの日本は「世界最高レベルの道路技術」と言われていたわけです。
     そして、それがハイウエイ時代の幕開けとなり「外車に負けない100キロで連続走行できる国産車をつくる」といった開発目標にもつながりました。 
     日本は劣勢である事を全員が共有している時が一番強い。逆に「ダイジョーブ、勝ってる、勝ってる」と言っている時が一番まずい。
     まずは今現在、日本が非常にまずい事になっているという現状認識を日本国民に共有して貰う事が重要だと思います。
     経世済民新聞に寄せられる様々な方の記事は日本の現状を日本国民が知るのに大いに役立っていると思います。記事をあげてくださっている方々に感謝いたします。
     とは言え、ネットの情報というのは日本では信用性も低く、その広がりもTV新聞にくらべれば限定的です。
     民主主義というシステムも方針を転換するのに時間がかかるシステムなので、デフレ不況の時の緊縮政策は改めてほしいと言っても、そう簡単には変わりません。
     日本の未来を考える勉強会の皆さんや藤井聡さんが口を酸っぱくして消費税10%はやったらマズイといっても

    <骨太方針2018>
    個人消費の拡大を通じて経済を活性化させるために消費税10%にあげる

    こうなってしまうわけです。
     古くは中曽根総理の時代から続く臣アメリカ的グローバル政策ですから、やめてくれと言ってすぐにやめてくれるようなら20年間もデフレなぞ続いてません。
     そんな中、わずか35名とは言えデフレ期の緊縮政策に反対してくれる方が出てきたのは経世済民の為に言論活動を続けている方々のおかげだと思います。

    間に合うかどうかは分かりませんが、こういった方々を応援し、それに賛同する政治家・支持者を増やしていくしか衰退を止める手立てはないと思います。

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      1. 利根川 より

        因みに、日本の現状がこちら、くわしくは『歴史の謎はインフラで解ける 産経新聞出版』を読んでください。

        <代表的な公共インフラの一つである高速道路の整備水準>
        (自動車一万台あたりの高速道路の総延長Km 出典 藤井聡『公共事業が日本を救う』文春新書)

        米国    6.3Km
        カナダ   13.5Km
        フランス  4.6Km
        ドイツ   1.7Km
        イタリア  2.5Km
        イギリス  1.5Km
        日本    0.9Km

        日本の高速道路の整備水準は先進国中で最下位

        <高速道路の車線数の国際比較>
        (出典 藤井聡『超インフラ論』PHP新書)

        日本    3車線以下27.1% 4~5車線64.9% 6車線以上8.0%
        アメリカ  3車線以下2.2%  4車線~97.8% 
        イギリス  3車線以下3.0%  4~5車線26.9% 6車線以上70.1%
        フランス  3車線以下0.4%  4~5車線82.3% 6車線以上17.3%
        ドイツ   ~5車線76.2%  6車線以上23.8%
        韓国    3車線以下4.6%  4~5車線71.3% 6車線以上24.1%

        ここに挙げた諸国の中で日本ほど車線数の少ない高速道路(=細い高速道路)を整備し続けている国は他にない。

        <主要各国の政府のインフラ政策の為の費用の推移>
        (出典 OECD.Statより作成 平成8年度の水準を基準とした場合、2018年1月29日時点)

        カナダ   327.00%
        イギリス  292.99%
        韓国    247.26%
        アメリカ  192.53%
        フランス  165.82%
        イタリア  133.43%
        ドイツ   106.42%
        日本    47.09%

        「先進国になったのだからインフラ投資は縮小していこう」などとやっているのは日本だけの様子

         新幹線といえば、そもそも日本が開発した技術。では、その整備状況はどうかというと、平成22年時点で「20万人以上の人口を抱えているにもかかわらず、新幹線が接続されていない都市」は実に21にも及ぶと言う。
         ドイツ・フランスといった欧州勢は新幹線の整備において日本の後塵を拝していたが、いまでは「20万人以上の人口を抱えているにもかかわらず、新幹線が未だに整備されていない都市」はフランスではオルレアンとクレルモンフェランの2都市だけ。
         ドイツではケムニッツただ1都市のみとなっている。(ちなみに、ドイツ・フランスの人口を合わせれば日本よりも多い)

         

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  4. 小浜先生

    >③政権を一枚岩と見て安倍首相個人への
    > 感情的批判や憎悪に終始するのではなく
    >(それはほとんど意味のないことです)、
    > 政権内部の複雑な権力駆け引き、
    > 特に財務省と官邸の対立や、
    > 内閣府に属する諮問機関の中で実力を持つ
    >「民間議員」の悪影響の大きさ、
    > などを正確に見積もること。

    上記を充分理解した上で、本当の保守であればこそ、今こそ倒閣に踏み切るべきと思います。正直、それは遅過ぎたとさえいうべきでしょう。倒閣、「いつするの?今でしょ!」です。

    >だからといって今すぐこの政権を倒せばよいと
    > いうものではありません。
    > 倒した後、たとえ自民党の誰かが引き継ぐとし
    > ても、これらの愚策を払拭できる実力と英知を
    >具えた有力政治家が今の自民党にはいません。
    >それどころか、財務省の緊縮路線や外務省の
    >親中路線にハマっている人たちばかりです。

    ご指摘の点が、現在「保守」と言われている方々のジレンマで、且つ、(已むを得ざる)現状維持・力闘微速前進の最大公約数的意見なのだと思われますが、小生には、この見解こそ、一見多方面に気配りが行き届いているように見えて、その実、近視眼的なものに思えてなりません。

    倒閣後の政権が、

    >これらの愚策を払拭できる実力と英知を
    >具えた有力政治家が今の自民党には
    おらず、
    >それどころか、財務省の緊縮路線や外務省の
    >親中路線にハマっている人たちばかり

    であることは、疑いを入れません。であれば、その安倍政権倒閣後の次期「売国」政権も、倒閣してしまえば良いではありませんか。そして恐らくその後に成立するであろう、次々期「亡国」政権も、倒閣するのです。(以下繰返す)

    保守が、主権を売り渡してグローバリズムに棹差す亡国政権を一貫して拒否し続けないと、一体、日本で誰がその役を担うというのでしょう。他にはありません。実際に倒閣できるかは二の次であり、そういった言論が保守の側に根強く、且つ、旺盛に在り続ける、時には主流でさえあればこそ、倒閣事件の度にそのような言論が強勢となり、『②自民党内の若手議員をはじめとした積極財政派を応援しその勢力の伸長を図ること。』や、『①安倍政権のグローバリズム政策を根底から批判できる健全野党を育てるために、言論その他によって世論形成を試みること。』が可能になるのではないでしょうか。

    抑止力を効かすには、敵(グローバリストと一応規定します)に脅威を与えねばなりません。保守はリアリストの傾向があるので、ついつい現状追認に傾きがちですが、日本を本気で護ろうという者が、結局は物分りの良い「いい子ちゃん」であっていい筈がありません。時には、嘗ての特攻に見るように、根源的、ラディカルな姿勢をこそ示すべきです。そしてそれは、遅きに失したとはいえ、今しかありません。

    藤田東湖ではありませんが、今こそ詠ずるは、『正気の歌』ではないでしょうか。確かに、これを行えば、相次ぐ「倒閣」により、政治的な混乱は、時に極みに達するでしょうが、しかし、それは長期的展望からすれば、一刻のこと。皮を斬らせて、肉を断つ、肉を断たせて、骨を砕くべきです。

    文天祥は、刑死により敗れましたが、我が国には、元寇を退け、回天の事業(明治維新)を行い、清寇(日清戦役)も、露寇(日露戦役)をも退けた栄光の歴史があるではありませんか。

    このままでは、嘗て、明治三十七年、ロシアに辛抱の譲歩を重ねつつも、一方で、シベリア鉄道の輸送力増強により、極東の軍事均衡が大きく我が国に不利に傾いたのと同じ状況です。臥薪嘗胆は終りました。避戦論もありましょうが、ここで開戦に踏み切らねば、確実に我が国は、グローバリストの植民地になります。

    そして開戦に踏み切った以上、朝鮮半島から露軍を追い出すだけでなく(単に安倍政権を倒すだけでなく)、敵を満洲の野に追い、更に旅順の要塞を砕き、敵海軍太平洋艦隊を壊滅させ、また更に奉天の大会戦で敵軍を破り、万里の波頭を超えて来寇するバルチック艦隊をも討ち果し、樺太も全部占領し、諜報も宣伝も財政も外交も総て用いて、国力の限界まで敵を追い詰めて、歴史にその敗北を刻ましめたように、徹底的な追撃をなさなければなりません。

    何年か、或いは何十年か後に、「ああ、あの時に…。」と思っても、決して時は還りません。

    以上、小生愚考の献策です。いかがでありましょうか。

    追伸:
    上記の見解を読み、且つ、これを是と受け留めた諸氏にもお願い致します。小生はこの考に著作権めいたことは主張しませんので、自らの見解として、様々なところで、この考えを主張していただければ(拡散していただければ)と思います。

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      1. コメント、ありがとうございます。

        おっしゃることは誠にごもっともで、日本は今、幕末期に似たような内憂外患の危機にさらされていると思います。次々に倒閣を続けるというのは一つの考え方だと思います。しかし残念ながら国民の気運がそこまで高まっているとは思えません。これは相変わらず国民の大半が「太平の眠り」に陥っていることと、社会構造の複雑化により、どこをどう突けば有効打が打てるのかが難しくなっていることとが重なっているせいだと思います。
        私自身も憂国の念に関しては人後に落ちないつもりですが、いかんせん、実力も組織も持ち合わせていません。数少ない有志の間で協力体制を作っていこうという考えがないわけではないのですが、まだまだ実現には至っておりません。
        問題はWhatであるよりもHowにあるのだと思います。時間はあまり残されてはいませんが、お互い、ない力を尽くして一歩を踏み出すべく努力することにいたしましょう。
        こういうことしか言えないのを残念に思います。

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        1. 小浜先生

          誠意に満ちたお言葉をいただき、誠にありがとうございます。

          先生にも一定の賛意をお示しいただきましたが、私の結論はやはり変りありません。「次々に倒閣を続ける」という一手で良いのだと思います。

          しかし、ご指摘のように、「国民の気運がそこまで高まっているとは思えません。」と仰るのは、その通りと思われます。

          であれば、小生は、自らを「正義派」と称し、独り功山寺で挙兵致しましょうか。

          確かに、「社会構造の複雑化により、どこをどう突けば有効打が打てるのかが難しくなっている」のは、その通りと思います。ただ、私には「有効打の隘路」は、「地方」にあるのだと思えています。

          例えば、大阪北部の地震で倒壊したブロック塀、ここ数日間の豪雨による土砂災害など、自治体の防災対策が進まない要因に、「そもそもの予算がない」という緊縮財政が影を落しているのは間違いありません。

          私の出身地の自治体でも、予算は年々厳しく、まるでシャッター街のように、行政サービスの店仕舞が年を経るごとに進んでいて、人口もそれに比例して減っていっています。一方、健康保険税や介護保険料はジワジワと上がる一方、年金など社会給付はカンナで削るように削られていく一方です。殆どの自治体で同じ状況でしょう。

          まだ全国には1,800ほどの自治体がありますが、東京都など裕福な一部の自治体を除き、いい加減、各自治体は、中央政府に、ちゃんと銭を寄越せ!もう防災の予算も組めない!これでは、住民を守れない!と大声を上げるべきです。

          博奕だって、種銭がなければ儲からないのに、まともに投資もせずに、商売が伸びる訳もありません。

          嘗て我が国の運営方針は、護送船団方式と呼ばれましたが、それになぞらえれば、今は護衛駆逐艦が独走し、「俺の速度についていけない船は、自己責任で独航せよ。敵潜に撃沈されても、護衛部隊の責任ではない。」と言われて、船団が解散しているのと同じです。実際に夕張市は、それで敵潜の魚雷を喰らって沈没してしまいました。であれば、残りの足の遅い船(財政の弱い自治体)は、乗員や積荷のために、国際救難信号を打ちまくるしかないと思います。これで無電も打つなという非情の護衛艦ならば、これぞ抗議の名分として、霧笛を鳴らし、狼煙(発煙信号)を挙げてでも救難を求める(世論に訴える)他ないと思います。

          「農村から都市を包囲する」と言ったのは、毛沢東のようですが、私も今やそれしかないと思います。最早首都を始めとして都会は、グローバリストの植民都市と化している(グローバリズムに染まっている)からです。つまり、中枢神経がやられている。リハビリでもそうですが、末端神経でも、動いている手足から動かした方が良いに決っています。

          維新回天の事業が、薩長という、日本の辺境域から興ったことを顧みれば、それも頷けます。佐幕の心意気は貴しと言えども、江戸や多摩、譜代親藩と言った中央部分からは、偉業は達せられませんでした。

          ご指摘の通り「問題はWhatであるよりもHowにある」のであれば、小生の答は、「自ら田舎に帰って、遊撃戦を仕掛ける」です。小生は、高校卒業以来、志を立ててずっと中央に腰を据え、東京を戦場に闘ってきましたが、最早これまで。ここ数年の内に、帰去来の辞を詠んで、故郷へ帰ろうと思います。小生に伊藤俊輔のような頼もしい味方がついてくれるかは分りませんが、文天祥の詩を詠む以上、固より成算を恃んで行う事業ではありません。

          試みに、「日本に「財政問題」はない」を周囲に理解してもらえるか、説得に掛かってみました。三橋貴明氏流の、「自国通貨建ての国債は破綻しない。日銀が国債を買い取ればお仕舞い。」という説明では全く無理でしたが、高橋洋一氏流の「政府の負債と資産の貸借対照表」(+日本の国際経常収支)で説明したところ、たちどころに賛同者が増えました。商売人など、会計がある程度解る者ならば、それで頷かざるを得ないからです。

          だから田舎に帰ったら、地元の商工経済の場など、色んな所でまずはこれを吹聴し、物事の根っこから人の理解を得ていこうと画策しています。防災の不備を訴え、治山治水の再興を訴え、里山・里海の再生を訴え、産業インフラの不足を訴え、道路・港湾・新幹線の充実を訴え、中央に、銭を出さねば、人が死ぬと訴えます。これらは全部、中央で話されているような形而上の話ではなく、形而下の、具体的、卑近、実生活上の話です。だから、伊藤に続いて、奇兵隊の諸士が一人また一人と集まり、最後に山縣も加わって、地方にも牢固として座する「俗論派」を討つことが出来るでしょう。やがて市町村政を獲得できれば、そこが拠点です。

          大阪維新の会は、右派グローバリズムに沿って関西に一定の足場を築きましたが、我々は、現場の保守ナショナリズムに沿って、もっと草深い田舎で足場を築き、燎原の火の如く、田舎から田舎の草むらへボウボウと燃え拡がっていこうと思います。

          小浜先生の北海道レポートや、福澤翁に関するご近著を楽しく拝読しております。小生は学が足りないので、仕事の合間に便所で『学問のすゝめ』から読みつつある始末ですが。

          それでもいつか言いたい科白があります。
          「是より○州男子の胆気を瀏覧に供せん」と。

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          1. 追伸

            地方において、市町村政を押えるというのは、その地方の小中学校の教育を押えるのと同義です。

            その意義たるや、絶大です。

            本当の保守ナショナリズム・パトリオティズムは、教育にこそ最終の、且つ、最も大きな力点が懸けられるべきです。

            幸いにも、教育基本法以下教育関係諸法の改正により、地方教育行政の責任は、教育委員会でなくして、首長に帰せられることになりました。(同時に男女共学の強制も削除されています)従って、首長の主導の許に、地元の小中学校を、往年の松下村塾と化していくことが可能です。別に、左翼からの抵抗の大きい「新しい歴史教科書」を用いずとも、そんなことは工夫次第で幾らでも可能でしょう。

            因みにこの功績は、嘗て教育基本法等を、政権を賭して改正した(第一次の)安倍総理に帰せられるべきであり、小生はそこは公平に評価すべきと考えています。

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  5. 利根川 より

     残念なことに、今の日本には右も左もほとんどがグローバリスト(=デフレだろうがお構いなしに緊縮増税する派)で占められていて有権者に選択肢がない状況です。
     緊縮政策に加え、定期的に増税をされるという事は

    サービスの質や量は減らすけど、サービス料金は上げる

    と言っているのに等しい。そんな事をやっていれば国民が貧乏になるのは当たり前である。
     かつて国民総中流などと言われていた日本の面影は最早なく、今や年収300万円時代と言われるようになってしまった。
     インフラの老朽化、災害への脆弱性、そういった事が叫ばれているにも関わらず、災害対策の強化(国土強靭化)が進まないのも予算をきちんと付けてもらえなかったと言うのもあります。
     政治家にとって一番避けたい事態は政権を奪われること。
     政治家は国民を豊かにするために存在するという事を思い出していただくためには政権を揺るがす存在が必要。
     だからこそ、少し前に三橋貴明さんが有志の間で協力体制を作り、グローバルに傾倒していない新政党を作ろうと活動していたわけです。
     しかし、それをやり始めた途端

    たかが夫婦喧嘩、個人間のいざこざを全国放送全チャンネルで報道される

    という事態になったわけです。
     夫婦だろうと友人だろうと喧嘩をする時はしてしまうものです。そんな些細ないざこざが全チャンネルで放送されたわけです。
     その時、何が起こったか。
     リベラルのみならず保守を自認する人達すら三橋貴明さんを叩きに叩いていたわけです。
     政権交代、有志の間での協力体制、そんなに簡単にいくくらいであるならとっくにグローバル路線から抜け出せているのではないでしょうか。
     保守を自認する人々が今何を言っているのかというと、

    「左翼のいう事の反対をすれば正解になる」

    これである。
     日本の豊かな食物品種を維持するのに重要な法律である主要農作物種子法を廃止したのは保守を自称する政党である自民党です。
     今、主要農作物種子法の復活を提案しているのはリベラルである野党です。
     まさか、主要農作物種子法の廃止が正解だったとでもいうのでしょうか。
     是々非々で考える事すらできないようでは、海千山千のグローバリストに軽く転がされるのが関の山ですし、協力体制などもっと無理でしょう。
     加えていえば、グローバル化だ民営化だと騒いでいる「民間議員(選挙も経ないで議員を名乗るのか)」が日本経済をデフレの海に叩き込んでいるのは事実ですが、そんな彼らも日本国民であり、敵ではないのです。
     世の中には、その人が一生懸命働けば働くほど周りが不幸になっていく、そういった人も居ると言うだけの話。

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      1. 利根川 より

         日本国民同士で同士討ちしている状況では協力もくそもないでしょう。
         情報不足と貧困(それによるルサンチマン、足の引っ張り合い)が国民の対立の根っこにあるのなら、それを取り除く必要があります。
         是々非々で考えられるようになるのは情報が必要不可欠です。だから、言論活動をしている色々な方が情報を提示してくれているのではないのでしょうか。 
         迂遠なようでも学ぶ所から始める(また情報も拡散する)のが一番だと思います。
         

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