From 藤井聡@京都大学大学院教授
何度も繰り返しますが、日本は未だ、デフレからまったく脱却できてはいません。
https://38news.jp/economy/11004
結果、文字通り「世界最低」の成長率を記録し、世界中が成長する中、日本一国だけが「衰退」し続けているのが実態です。
この現状を抜け出さない限り、低迷し続ける日本人の所得が改善することも、拡大しつづける「下流社会」や「格差社会」が縮小することも、教育や国防や科学技術政策や強靭化が進展することもなく、日本が衰退していくことは火を見るよりも明らかです。
そんな中で、2014年には消費税が増税され、それによって消費は縮退、投資も低迷し、デフレはさらに深刻化しました。
http://www.news-postseven.com/archives/20171031_625049.html
そして、(株価などの、必ずしも実態経済の状況を示すとは言えない一部指標が好調なのとは裏腹に)、本年4-6月期にはついにデフレータ(つまり物価)が前年同月比で「マイナス」になるという、誰の目から見ても「デフレ」であることが明らかな事態に陥ってしまいました。
https://38news.jp/economy/11004
しかも、この14年増税の傷が全く癒えていないこの状況下で19年にはさらに2%の消費税増税が議論されるに至っています。
このままでは、「世界最低の成長率」という不名誉が今後何十年と持続してしまい、日本の後進国化と貧困化は決定的となるでしょう。この最悪の悪夢を回避するためにも、デフレ脱却は急務なのです。
そもそも経済低迷をもたらしている「消費増税」は、「マイナス財政政策」そのものです。だから、経済成長を目指すなら、その「逆」の「財政政策」を展開する他ないのです!
財政政策には、二つの方法があります。
第一が「当初予算」の拡充で、第二が「補正予算」です。
次年度の当初予算の基本方針は、本年6月の「骨太の方針」でおおよそ固まっていますから、今のスケジュールでは(人づくり革命のための2兆円の議論を踏まえて)、「再来年の当初予算」の拡充を図る必要があります(そしてそのためにももちろん、来年6月の骨太の方針をめがけた各種議論の中で「プライマリーバランス目標」の撤回を目指すことが不可欠です)。
ですがその議論を通して実現した予算が実際に日本経済に注入されるのは、再来年の4月から。
だから今、景気対策を目途とした(いわゆる真水での)15兆円程度の大規模な「補正予算」が必要なのです。「補正予算」なら、第二次安倍内閣の誕生直後の2013年の様に、来年の1月からの通常国会の冒頭で決議し、来年上旬からすぐに対策をはじめ、来年度一杯までの15ヶ月間で予算を執行し、日本経済を拡大させていくことが可能となるのです!
その項目については、既に提案しているところですが、
https://38news.jp/economy/11221
極めて重要な議論ですので、改めてここにも記載したいと思います。
■「経済政策」としての法人税対策(投資・賃上げ減税)
民間投資や賃上げの誘発を通して内部留保の縮減を図るために、賃上げや投資をした法人の法人税を引き下げる。特にICTや強靭化、BCP,老朽化対策、あるいは、中小企業など、政策目的が明確に存在するケースにおいてはより、その引き上げ幅を拡充する。
これらをより効果的にするには、大規模な財源を確保することが必須である。
なお、賃上げや投資、さらには経費支出(例えば、交通費・広告費・接待費等のいわゆる3K経費支出)等の消費・投資に対して後ろ向きな企業に対しては、内部留保課税ではなく、法人税率の追加法人税を徴収することも得策。
(※ ただし、経済財政諮問会議でも、この点については既に主張されている。「前向きな設備投資や賃上げを促すよう、予算や所得拡大促進税制を含めた税制面からの環境整備」http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/1026/shiryo_05-1.pdf)
■「経済対策」としての大規模な「たび割」
既存の制度をより拡張し、大規模な予算の下、復興・地方創生・クルーズ振興などを見据えつつ、政策的に求められる国内旅行需要を活性化する。「エコカー減税」などでは、期間終了後の消費縮小が見られるが、「旅行」の場合はその傾向は最小できる。
■「経済対策」としてのインフラ投資
民間投資誘発、地方創生効果の高い、新幹線、高速道路、港湾、農業、エネルギー関連のインフラ投資、および、そのための調査費を拡充する。
■科学技術投資
日本の飛躍的科学技術の発展や、民間および海外からの国内への研究開発投資の飛躍的促進を企図した国際リニアコライダーILCへの直接投資・調査、科学研究費の拡充、等を進める。
───これらはいずれも、単に政府支出が拡大するだけでなく、様々な回路を通して民間の投資と消費拡大させる効果を持ったものです。その意味で、これらの財政政策は、支出額以上の大きな効果を、効果的にもたらすものです。
ただし筆者の計算によれば、「一ヶ月あたり、少なくとも1兆円程度の内需拡大」がデフレ脱却のためには必要です。したがって、15ヶ月で執行するとするのなら、やはり少なくとも15兆円程度の内需拡大が必要です。
いうまでもなく15兆円もの巨大な内需は、様々な「工夫」だけで誘発できるものではありまん。だからこそ、「政府の補正予算」として「15兆円」を確保する事が、経済対策として絶対必要なのです(そしてそれはもちろん、確実に内需を拡大させる「真水」である事が必要です)。
───政府の英断を、心から祈念いたします。
追伸:「土木チャンネル」が再開しました!是非、ご試聴下さい!! http://doboku-ch.jp/
【藤井聡】15兆円の大型補正を迅速に断行せよへの2件のコメント
2017年10月31日 8:55 PM
いくら教えてもやる気のない子どもに、
「1日15時間、要らんこと考えんで机にかじりついてみい」
「9教科600点超え、大学進学も夢ではない」
「ぼくは君んちから日に〇万円貰うてんねん。君には何としてでもデフレ高校を卒業してもらわなあかんのや。でないとぼくの立場がない。そうでなくても、ここ何年来どうしょうもない奴らからおんどれ不労所得やんけ言われてんねん。人の苦労もよう知らんとホンマ許し難いわ。なあ、頼む。日下先生も谷内先生も君のこと頭がいい、よう勉強してはる言うて褒めとったやん。あれウソやないんやろ。な、勉強してくれるよな、な」
叱咤し宥め、ひたすら祈念し続ける炎の家庭教師、のように見えてせつなくなる。ほんとうに勿体ない真似をする政権だ。人づくり革命を口にするくらいなら、まずは藤井さんの有効な学識からしっかり活かしてもらいたい。
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