日本経済

2019年3月3日

【三橋貴明】実質賃金の式を組み替えてみよう

From 三橋貴明

【近況】
三橋は「言葉の定義」「概念の中身」を
正しく理解しなければならないと
喧しく繰り返していますが、

例えば、GDPであれば、
「GDPとは国内総生産のことである」
では、定義や概念の中身を理解したことにはなりません。

「GDPは国内総生産」では、単なる日本語訳です。

生産者がモノやサービスを「生産」し、
消費・投資として「支出(購入)」された結果、
「所得」が生まれる。

「生産」「支出」「所得」の三つは必ず一致する。

上記一連の所得創出のプロセスにおける
「生産の合計」がGDPである。

さらに、GDPは
「消費・投資という支出=需要」の合計でもあり、
「所得」の合計でもある。

GDPで増えている国、
つまりは経済成長している国は
「所得の総計であるGDPが増えている」からこそ、
豊かになっていると考えて構わない。

と、ここまでを理解すると
(大して難しい話ではありませんよね)、

初めてGDPについて
「言葉の定義」「概念の中身」を理解したことになります。

経済指標では、定義や概念が重要です。
あるいは、経済指標で「式」が出てきたときは、
式を組み替えることで「事実」が理解できたりもします。

最近、話題になっている実質賃金。
実質賃金は、以下の式で求められます。

式1) 実質賃金=名目賃金÷物価指数

名目賃金とは、
皆さんに支払われた「所得」の金額のことですね。

それでは、式1)の両辺に
「物価指数」を掛けると、どうなるでしょう。(式の組み換えです)

式2) 名目賃金=実質賃金x物価指数

と、実は名目賃金が実質賃金と物価指数を
掛け合わせたものであることが分かります。

ところで、皆さんの所得
(あるいは企業の利益)の金額は、
何で決まるでしょう。

もちろん、上記のGDPにおける
「モノ・サービス」の価格
(売上ではなく粗利益)と販売個数の掛け算ですね。

式3) 名目賃金=販売価格x販売個数

別の表現をすると、
式4) 粗利益=生産するモノ・サービスの付加価値分の単価x販売個数
となります。

マクロ的に「販売価格=物価指数」と設定すると、
実は「実質賃金」とは
「販売個数」のことであることが理解できるわけです。

となると、実質賃金の下落とは、
「販売個数の縮小」「生産個数の縮小」であり、
マクロ的には「総需要の不足」とイコールになります。

安倍総理は、国会の答弁で、

「名目賃金を物価で割り戻したのが実質賃金。
実質が高いのはデフレ自慢」

などと語っていましたが、話はまるで逆。

実質賃金が下落していることこそが、
総需要不足というデフレーション継続を意味しているのです。

ちなみに、安倍総理本人すら知らないでしょうが、
日本政府は「実質賃金の上昇」を
政策目標として設定しています。

何しろ、デフレ脱却を測る指標の一つに
「単位労働コスト(ULC)の引き上げ」があるのです。

実は、今の日本にとって
ULCの引き上げは、
実質賃金の上昇とほぼイコールになります。

とはいえ、指標の定義、概念の中身、
あるいは指標を示す「式」などに
興味を持たない日本の政治家は、

「ULC引き上げは、
実質賃金の上昇無しでは達成されない」

という現実すら理解できず、
上っ面の議論ばかりが横行しています。

この手の指標について
「完璧」に理解した政党や政治家が望まれます。

ULC引き上げが、
なぜ実質賃金の上昇を意味するのかは、
さすがに細かすぎるので、
「メルマガ 週刊三橋貴明」の方で解説しています。
http://www.mag2.com/m/P0007991.html

ご興味がありましたら、ご登録下さいませ。

◆【一般参加可能な講演会のお知らせ】
衆議院議員あんどう裕・第一回日本の未来を考えるセミナー
https://www.andouhiroshi.jp/japan-future
2019年3月9日(土) 15:00~
会場:ベルサール東京日本橋

◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」
第310回 安倍デフレ
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/article/category/4/

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol510 単位労働コスト(後編)
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
実は、安倍政権は「単位労働コスト(ULC)の引き上げ」を
デフレ脱却の指標の一つにしている以上、
「実質賃金=生産量」の拡大をも経済の政策目的にしているのです。

問題は、安倍総理含め、政治家が
「ULC引き上げ=生産量(需要)拡大」
であることを理解していない
という点なのでございます。

というわけで、509回、501回で
「デフレ脱却の指標としてのULC上昇」について解説しました。

◆メディア出演

三橋TV、続々リリースされています。

三橋TV第57回【中国の属国化を回避せよ!】
https://youtu.be/ebpgcI55GrM
三橋TV第58回【堤未果さんと佐藤健志さんを読もう】
https://youtu.be/usHX8SlYVcM
三橋TV第59回【統計マジシャン土居丈朗!】
https://youtu.be/0RPAAftgC5Y

3月4日 チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651

3月9日 チャンネル桜「論!倒論!討論!2019 日本よ、今...」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1655

◆三橋経済塾

2月16日(土) 第二回講義をアップしました。
https://members8.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=349

3月16日(土) 三橋経済塾第八期、第三回対面講義申込開始致しました。
https://members8.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=381
ゲスト講師は 高清水 有子先生(皇室評論家)でございます。

◆チャンネルAJER

『政府が国債を発行すると家計の預金が増える①』三橋貴明 AJER2019.2.26
https://youtu.be/mBjN9lCa2h8

—発行者より—
総理「政権中にこれを破棄できなければ、日本はオシマイ」

三橋貴明と総理との会談時で明かされた真実。

●総理が、三橋との会食をオープンに
(世に公開)してまで国民に伝えたかった事とは…?

●この会食で明らかになった、
私たちの邪魔をする[3つの敵の正体]とは?

●2020年に訪れるかもしれない
日本の危機的状況とは一体何なのか?

日本が発端となり、
2008年のリーマンショックが再来する?

などなどメディアが決して報道しない
「安倍総理の告白」と「日本経済2020年危機」
について解説した書籍を出版致しました。

こちらから詳しい内容をご覧ください。
https://keieikagakupub.com/38JPEC/1980/

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