From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学
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おっはようございま〜す(^_^)/
もう10年以上前になりますが、現在の大学に職を得る前、私は、東京の某・英語の専門学校で何年か講師のアルバイトをしていました。イギリスやオーストラリア、ニュージーランドなどの大学に進学したいという高卒生のための予備校のようなところでした。
その専門学校のある卒業生に、当時、国際電話で幾度か次のような相談を受けたことを覚えています。
「進学先のオーストラリアの大学の付属の語学学校で、中国人や韓国人の学生に、日本の過去の歴史問題、たとえば、『従軍慰安婦』や『南京事件』などについて責められるのでつらいし、ちょっとこわい。どう対処すればよいだろうか」。
オーストラリアなどの海外の一部の地域の語学学校や、現地の大学の留学生向けの入学準備コースなどのクラスでは、当時から、中国人や韓国人の学生が非常に多く、日本人学生は少数派だというケースがあったようです。そういうところで、いわゆる「従軍慰安婦」などを理由に詰問されたり、いじめに近いような扱いを受けたりする場合があったのです。
しばしば指摘されていますが、近年、韓国や中国の対日戦略は転換したようですね。これまでは、直接的に日本の国内世論に訴えかけ、日本の左派(「リベラル派」)と事実上連携しようとしてきたのに、最近はそれよりも、米国をはじめとする国際世論に訴えかけることに重点を移したようにみえます。
理由はいくつか挙げられるでしょうが、一つは、
新聞やテレビのニュースではなく、
ネットで情報を集める日本人が増え、
韓国や中国の広報宣伝活動を簡単には信用しなくなってきているこ
とが挙げられると思います。つまり、
日本の国内世論に訴えかける従来の手法が通用しにくくなったこと
が、韓国や中国の戦略転換の一因でしょう。
他にも、民主党の勢力退潮にみられるように日本の左派勢力が弱体化し、彼らとの連携を進めてもあまり効果がないことがわかったということ、あるいは韓国や中国から米国などへの移民が増えたのでそちらを活用した方が効果的だということに気付いたことなどもあるのかもしれません。
いずれにせよ、韓国などの国際的反日宣伝活動の高まりによって、実際に、海外で暮らす日本人が嫌な目に合うことがますます増えているのではないかと心配になります。
(_・ω・`)
そういう状況を、日本のマスコミや「知識人」はよく認識すべきだと思うんですよね。
古谷経衡さんが以前から御著書や当メルマガの記事で鋭く指摘していますが、日本のマスコミの多くは、確信犯的な反日というよりも、「無自覚な反日」だということです。
(「無自覚的な反日」については以下の古谷さんの当メルマガの過去記事をご覧ください)。
古谷経衡「無自覚な反日が最も恐ろしい」『三橋貴明の新日本経済新聞』(2013年12月6日配信)
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/12/06/furuya-10/
私が大学業界の一員として感じるのは、大学教員にも、「無自覚な反日」の者が結構いるということです。つまり、反日イデオロギーに基づいて意識的かつ確信的に「反日」「左翼」的な立場をとっているというよりも、なんとなくそちらのほうが「知識人っぽい」「良識的にみえる」「どこからも文句を言われなくて済む」などという漠然とした判断で行動してきた人のほうがかなり多いように思います。
つまり「無自覚な反日」が跋扈してきたのは、「憲法九条護持!」や「従軍慰安婦問題を真摯に反省し謝罪すべき!」という立場をとることが、マスコミや大学人にとって一番「無難」かつ「良識的」だと、これまで長らく感じられてきたからでしょう。
戦後の日本では、たとえば「憲法9条を絶対守るべきだ」といっている大学の先生やマスコミ人は、「少々現実離れしているけど、平和を愛するいい人だ」という印象を周囲に与える場合が多かったんだと思います。
または、韓国政府や河野談話のいう「従軍慰安婦の強制連行」の話を疑わず、心を痛める素振りを見せれば、「あの人は、少々真面目すぎるかもしれないが、思いやりのある良識的な人だ」「自己批判的で視野が広く進歩的だ」という雰囲気を醸し出すことができたのでしょう。
つまり、戦後日本の知識人にとって、「9条護持」とか、「従軍慰安婦に関する韓国側の主張に疑問を差し挟まず反省する」という態度は、「少々非現実主義的かもしれないが良識的である」と受け取られることが多かったんですね。少なくとも、「人畜無害」であり、「人に迷惑をかけることはない」と感じられたのだと思います。
しかし、ちょっと考えれば明白ですが、全然「人畜無害」ではありません。
「従軍慰安婦の強制連行」などに関する韓国側の主張を放置してきてしまった結果、在外邦人が、上記のように、いやがらせや、いじめ、暴言を受けるなど嫌な経験をすることが増えています。
同様に、「憲法9条」に関しても「人畜無害」どころか、有害な結果を招いてきたところは多々あるように思います。
現実的に考えれば、言うまでもなく、日本の平和が守られてきたのは「憲法9条」のおかげではなく、日本が米国の軍事力の影響下にあったからでしょう。
日本の安全が戦後守られてきたことは幸いですが、そのかわり、日本は、さまざまな点で、米国の言い分を受け入れてきました。日米構造協議にしろ、今回のTPPにしろ、対アメリカの交渉事で日本が常に譲歩しなければならなかったのは、米国に安全保障面で決定的に依存してきたからでしょう。
つまり安全保障面で対米依存状態にあることは、我々の生活を現実的に悪くしてきたし、今後も悪化させる可能性が大いにあるということです。
実際、国際政治アナリストの伊藤貫氏によれば、クリントン政権下で国防次官補を務めた国際政治学者ジョセフ・ナイ氏は、米政府内の外交政策の会議で次のような対日政策を提唱したと証言しているそうです(中野剛志編『TPP 黒い条約』(集英社新書)における中野さんの章より)。
「日本を今後も自主防衛能力を持てない状態にとどめておくために、アメリカは日米同盟を維持する必要がある。日本がアメリカに依存し続ける仕組みを作れば、我々はそのことを利用して、日本を脅しつけてアメリカにとって有利な軍事的・経済的要求を呑ませることができる」
すなわち「憲法9条を断固守る!」という立場は、自主防衛の努力など考えず、米国依存状態を続けるということを意味します。これは、米国による日本改造の継続を、事実上追認するという効果をもつと言わざるを得ないでしょう。
つまり私が強調したいのは、マスコミや大学人に多い「ええかっこしい」や「事なかれ主義」から生まれがちな「無自覚な反日」は、多くの日本人、あるいはまだ生まれていない将来の日本人の生活に、現実的な害悪をもたらす可能性が大いにあるということです。
特に最近、韓国や中国は、反日的な国際広報活動を強化しています。また米国も余裕がなくなり、日本に対して厳しい態度をとるようになってきています。
こうした現状では、「無自覚な反日」の態度は、日本人一般にとって大迷惑であり、大きな現実的脅威をもたらしかねないことを、ぜひマスコミや大学などの「知識人」には強く認識してもらいたいものだと思います。
本文中でふれた中野さんの文章が載っているのはこちら
【施 光恒】大迷惑な「良識人」への3件のコメント
2014年3月7日 10:18 PM
私の頃(留学先ドイツ)は貿易摩擦で学内、街中、カフェ、公共交通機関、何処へ行っても針のむしろ状態になる覚悟が入り用でした。そこへ後ろから弾 撃たれると辛いでしょうねェー。ましてや朝日新聞は一応日本の新聞のトップブランドと言う事になってますからね。
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2014年3月8日 10:39 PM
ヒールも低めで歩きやすく、お出かけ用にも最適?
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2014年3月10日 8:43 PM
非常に興味深い話でした。自分さえ良い子に見られれば、自分の国や所属する組織がどうなろうとも知らないという、一種の利己主義ということですよね。こういう人は、マスコミや大学人だけでなく、日本中、至る所にいると思います。
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