From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学
こんにちは~(^_^)/
コロナ感染、また日本各地で増えていますね。いったいいつまで続くのでしょうか。今年だけでは収束しそうもないですね。
コロナが長期化しそうだということもあり、政府は、「新しい生活様式」なるものを策定し、呼びかけています。国民にこれまでの生活様式をあらためて、「コロナ以後」に沿うかたちにしなさい、ということです。
まあ、「新しい生活様式」が求められるのはいたしかたないでしょうが、同時に、政府自体に求めたいのはいわば「新しい政策様式」です。新自由主義に基づくグローバル化路線をあらため、コロナ以後の世界の現実に沿い、これまでの政策の基本原理の転換を果たす必要があります。
ですが、残念ながら、それができていないようですね。コロナ感染の再拡大が起っている最中に「Go To トラベル」とかを始めてしまうわけですから。
(前回の本メルマガでも、この点について書きました。そちらもご覧ください。)
【施 光恒】「「Go Toトラベル」で失われる政府の信頼」(メルマガ『「新」経世済民新聞』2020年7月18日付)
https://38news.jp/politics/16323
政府は、「観光立国」「インバウンド重視」といった政策の基本原則はコロナ以後でもあらためる気はあまりないようです。
例えば、クルーズ船観光です。
コロナ以前、政府は、クルーズ船観光にやたら力を入れてきました。
例えば、観光立国推進閣僚会議が2016年5月に発表した「観光ビジョン実現プログラム2016――世界が訪れたくなる日本をめざして」という文書では、「訪日クルーズ旅客を2020年に500万人、日本の各地をカジュアルからラグジュアリーまで幅広く対応したクルーズデスティネーションに」という文句が踊っていました。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/topics01_000208.html
政府は外国人観光客の取り込みの目標として、「2020年までに4000万人、2030年までに6000万人」という数値を掲げてきましたが、そのうちのかなり多くの部分をクルーズ船客に期待していたわけです。
そのため、この「観光ビジョン実現プログラム2016」以降、「クルーズ船寄港の『お断りゼロ』の実現」をスローガンにして、日本各地の港湾設備の整備などを進めてきました。
この文書にもあるように、「観光は真に我が国の成長戦略と地方創生の柱である」というのが政府の近年の立場ですので、各地方自治体もクルーズ船観光に注力してきています。例えば、北海道は、「北海道のクルーズ基地化」を目標としていました。
しかし、「コロナ以後」は、どう考えても、クルーズ船観光に頼る路線はもう無理ですよね。
不特定多数の人々(時には数千人)と同じ密閉空間を数日間、共有せざるを得ないクルーズ船に乗ろうという人は、少なくとも今後数年間はほとんど出てこないでしょう。
クルーズ船重視の政策は、もはや断念すべきです。
普通の人はそう考えると思うのですが、政府はまだあきらめていないようです。
つい2週間ほど前の7月14日に発表された「観光ビジョン実現プログラム2020――世界が訪れたくなる日本を目指して」を見ると、観光立国政策もクルーズ船重視の方針も、基本的に変わっていません。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_000419.html
この文書、なかなか威勢が良く、「観光需要の回復に向けて反転攻勢に転じる」と息巻いています。
そして、「感染症終息後の中長期的スパンにおいて、インバウンドに大きな可能性があるのは今度も同様であり、2030年6000万人の目標は十分達成可能である」という楽観的見通しを掲げます。
さらに、「インバウンドの回復を図ることで、再び観光を成長軌道に乗せ、観光で日本の津々浦々が活性化する観光立国を目指す」ということですので、結局、コロナ以後も、「観光立国」路線で行くのを変えるつもりは全くないようです…。
┐(´д`)┌ヤレヤレ
クルーズ船観光に関しても、ほとんど変わりありません。
「観光ビジョン実現プログラム2020」にも、「クルーズ船受け入れの更なる拡充」という項目があります。また、「クルーズの再興に向けて」という文字が何度も踊ります。(「クルーズの再考に向けて」ならわかりますが、「再興」ですからね…)。
「世界に誇る国際クルーズの拠点形成」という方針も変わらないようで、「インバウンド促進等に向けて引き続き取り組む施策」として、例えば、次のようなものが相変わらず挙げられています。
「クルーズの再興に向けて、「港湾法」に基づく「国際旅客戦拠点形成港湾」の整備などを推進する」【改善・強化】
「クルーズの再興に向けて、ラグジュアリー船等により安全安心に我が国を周遊できるクルーズルートを開拓するため、クルーズ船社と港湾管理者等との意見交換会などを実施する」【継続】。
こういう感じですので、「観光立国政策」も「インバウンド重視」も「クルーズ船観光重視」も、相変わらず続けるのでしょう。
結局、新自由主義に基づくグローバル化路線という政策の基本原則も変わらないままでしょうね…。ほんと呆れます…。
モウイチド┐(´д`)┌ヤレヤレ
いい加減、外国人の需要に依存しようとするのは止めて、日本国民を豊かにし、内需中心で経済を回す経世済民路線に回帰してもらいたいものです。
長々と失礼しますた…
<(_ _)>
【施 光恒】意地でも続ける?「観光立国」と「クルーズ船観光」への10件のコメント
2020年8月1日 12:21 AM
日本国民総乞食化へみたいな自殺政策ですね
こんなのが経済成長のための戦略とは
23年間GDP成長しなかった奇跡の国という最高の結果が出るわけです。
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2020年8月1日 1:17 AM
オリンピック中止等、もっとこっぴどい目に合わないと目が覚めないんでしょうかね。
「新しい政策様式」これですよこれ!
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2020年8月1日 1:14 PM
犬は吠える されど キャラバンは行く
下々の場合 負け犬の遠吠え
安倍某の場合は、、
下々は吠える されど 別荘へは行く
彼にとっては 下々の惨状など知った事か
儂はただのパシリ
今だきゃ オレだば 休暇だべ
売国 亡国 棄国政策も軌道に乗りつつある
今日この頃
狡兎死して走狗 烹 らる
とならぬよう
御身お大切に ♪
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2020年8月2日 12:10 AM
ネオリベの政治家は要らない
ネオリベの教条通りに退場するべき
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2020年8月2日 1:49 AM
クルーズ船、国産だったり、主な利用者が日本人だったら、保護も必要なんでしょうけどね・・・。
さて、室伏さんの記事にコメントしたのですが、ちょっと前のものだということ、内需つながりということで、こちらにもう一度。場所、お借りします。
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「粗利」も「100%」も「補償」も、印象が良くないと思うんですよね。できれば売上補助がいいんじゃないでしょうか。国が商品を買い上げて国民に配り、事業者に代金を支払う。公平のため、10万円の時のように一律で。できれば無期限の権利付与という形式で。
東洋経済オンライン
窮地のゲーセンが3700万の支援獲得できた理由
これが成立する事業者は限られていますから、代わりに国がやったらいいと思うんですけどね~。
———-
ただお金を渡すよりも断然いいんじゃないでしょうか。
今の、広い意味での政治的状況では実現できないとしても、本当はどうすべきかを考えておくことは、大事なことだと思うんですよね。
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2020年8月7日 12:33 AM
追加します。
全ての国民を保護すべきだとは思うが、たとえ国内ものであっても、全ての事業を保護すべきだとは思わない。
物理的損失や業容転換、売上補助だけでは回復困難な場合等、各種費用補助もあっていいと思う。
ま、当たり前のことだけど、一応(笑)。
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2020年8月9日 1:21 PM
プレジデントオンライン
世界がモヤモヤする「日本の奇蹟」を裏付ける”国民集団免疫説”…京大教授ら発表
皆さんはこの説をどう思いますか。そして皆さんならどうしますか。
ヤキ1カ電か、それとも・・・(笑)。
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2020年8月16日 4:22 AM
[…] 観光』」というタイトルで、コロナ以後の現在でもクルーズ船観光をはじめとした「観光立国」路線にこだわる政府の姿勢を批判するメルマガ記事を書きました。https://38news.jp/politics/16426 […]
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