政治

2018年3月13日

【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」第四十二話

From 平松禎史@アニメーター/演出家

◯オープニング

「森友学園問題」は、特捜や政治家に渡された最終的な決済書の他に数種類の決済書などが見つかり、これまで当時の理財局長や政府が答えてきたことが覆されはじめました。
3月9日に森友学園を担当していた近畿財務局職員が自殺していたことが報じられ、同日に国会で答弁していた佐川国税庁長官が辞任を決断、即日辞表が受理され、長官在任中一度も行わなかった会見を「辞任会見」としてはじめて行った。
さらに翌10日。
財務省が文書の書き換えを認める方針だと報じられるに到る。

これを書いているのは3月11日。

東日本大震災から7年経った日です。
日本国民のおそらくすべてが、あの日をを思い出し、震災の犠牲者を悼む日です。
と同時に、自然災害の被害を少しでも少なくするために、これまでできないと思われたことをやらねばならないと、そう改めて決意する日だと思います。

第四十二話:「火山の活発化と政治の機能停止」

前回、環太平洋火山帯と隣接する火山地帯で大きな噴火が相次いで起きていると書きました。
追加して列挙します。

カムチャツカ半島のシベルチ山、クリュチェフスカヤ山など5大火山。
インドネシアのシナブン山、アグン山。
フィリピンのマヨン山。
パプアニューギニアのカドバー島。
バヌアツのアオーバ島。
ソロモン諸島のティナクラ火山。
アリューシャン列島のグレート・スキン島、ウニマク島
メキシコのコリマ火山

アメリカ、ワシントン州のセントヘレンズ火山も今年に入って群発地震が続いている。

日本列島でも火山噴火が相次いでいます。

群馬県の草津本白根山。
鹿児島県の新燃岳。

以上が環太平洋火山帯の2017年から現在まで一年ちょっとの状況です。

東日本大震災後まで遡ると、日本では
西之島
御嶽山
浅間山
口永良部島
諏訪之瀬島
…が噴火しています。
度々噴火している桜島も、2013と17年に記録的な爆発的噴火を観測しています。

他に、白山、阿蘇山、男体山、蔵王山、で、火山性微動や、火山性地震が観測されています。

東北地方太平洋沖地震の影響や、警戒されている東海~東南海の大地震とこれらの火山活動との関連は、ないとは言えません。
あると考えたほうが自然でしょう。

日本がその一部となっている環太平洋火山帯の活発化。
相次ぐ国内での噴火。
これらが、近い将来起こる巨大地震と大津波を予感させるのに十分です。
巨大地震と火山の大噴火が同時に来れば、破局的な被害に見舞われるでしょう。
十分考えられることなのです。

十分考えられることなのに、日本政府の鈍感さは一体どうしたことだろう。

新燃岳が大噴火した3月1日。死者やけが人は出ていないものの、農作物への被害が出はじめていた。にも関わらず、(11日現在)政府は災害対応をしていないようだ。

森友問題の混乱をどう回避するかに気を取られているとしか思えません。

すでに宮崎市のJAこばやしが5000万円の単独支援に乗り出している。
これが正常な共同体の姿でしょう。
安倍内閣が解体しはじめている農業協同組合が、地元農家を守っている。
幼い末っ子を必至に守る兄妹を後ろから親が足蹴にする構図・・・。
これほど冷酷で残酷な世の中がかつてあっただろうか。

3月11日という日は、本来なら、犠牲者を悼むと同時に、大震災を教訓に防災・減災の決意をあらたに国土強靭化を進めること、避難者が地元でいきいきと仕事をして豊かな東北を実現すること、そんな手応えある進捗と、将来への展望をひとつひとつ確かめたい日のはずです。
東北が「被災地」ではなくなる日が来るように。

現実には
「デフレ脱却の努力をしている!」と言い続けるために、デフレを継続するかのような政策の数々、
それがそのまま
「東北の復興に努力している!」と言い続けるために、東北が「被災地」であり続けることを望んでいるかのごとき姿勢に表れているのではないか。
政府与党だけでなく、野党もまじめに向き合っているとは思えない。

政治の機能停止はもはや再起動できない状態に陥っていると思わざるを得ません。
今日は、そんな悲しさを噛みしめる日となりました。

◯エンディング

悲観してばかりはでいられません。
まず自分にできることをやる。これが基本ですが、現実と乖離した甘い理想や依存心から距離を置くこと。
それが、正常に現実に対処する第一歩なのだと言い続けたい。

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【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」第四十二話への1件のコメント

  1. 赤城 より

    >すでに宮崎市のJAこばやしが5000万円の単独支援に乗り出している。
    これが正常な共同体の姿でしょう。
    安倍内閣が解体しはじめている農業協同組合が、地元農家を守っている。
    幼い末っ子を必至に守る兄妹を後ろから親が足蹴にする構図・・・。
    これほど冷酷で残酷な世の中がかつてあっただろうか。<

    もともと農協って国民を大資本の農作物に関する横暴から守るために存在する組織です。その組織を大資本の金儲けのために政府が解体するんだから政府が国民を安全保障で殺しにかかってる。その上で農協って政府が作ったものでもなんでもないはずなのになぜか好き勝手に解体切り売りできる意味不明さです。
    このことだけでももうすでに日本政府は日本国民を安全保障で全く守れなくなったことがよくわかります。種子法もとうとう廃止され日本人は食料面で完全なる奴隷になることが決定的かもしれません。許せないことばかりです。

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