アジア

2018年3月14日

【三橋貴明】インドネシアと日本の山陰地方

From 三橋貴明@ブログ

インドネシアのジャカルタに滞在しています。

ジャカルタに到着し、一日回らせて頂いただけですが、

● 交通インフラが不十分を通り過ぎ、絶望的に酷い。
道路等の補修がなされておらず、特に歩行者には冷たい街

● ヒト(特に若い労働者)が余っている

という二点を、強く感じました。

ちなみに、インドネシアは全体の
失業率(2016年)は4.1%なのですが、
若年層失業率は14.9%でした。

実際に、若い労働者は余っています。

経済学者を含め、経済について
「知ったかさん」をする人が、高齢者が少なく、
若年層が多い国の「人口ピラミッド」が、
美しいピラミッド型をしていることを
「経済成長」と絡めようとします。

美しい人口ピラミッドが、今後の消費拡大を
云々という話なのでしょうが、
本当にそうなのでしょうか。

冷戦期はともかく、現在は技術発展で
生産性が上昇し、需要に対し
供給能力が過大になりがちです。

しかも、グローバルな時代でございますから、
仕事が「外国」に移る懸念が常にあります。

その状況で、人口ピラミッドが
「美しいピラミッド型」の場合、
若年層が「余る」環境にならざるを得ません。

実際、ジャカルタの町では、
日本では一人でこなすべき仕事場に
二人、三人と「若者」が働いており、

「ああ、ヒトが余っているんだなあ・・・」

と、つくづくと感じました。

完全雇用が成立していない状況で、
人口ピラミッドが「美しいピラミッド型」の場合、
本当に中長期的な経済成長が
実現できるのでしょうか。

何しろ、ヒトが余っているため、
生産性向上が「不要」になってしまうのです。

生産性といえば、ジャカルタの名物
「渋滞」は、生産性を思いっきり引き下げています。

つまりは、政府(政府でなくてもいいですが)が
交通インフラを整備し、特に都心部について
鉄道、地下鉄ネットワークを構築。

人々が自動車やバイクではなく、
徒歩で通勤、通学できるようにする。

生産性が向上しやすいインフラ環境を作った上で、
若年層が増えていくというならば話は分かります。

生産性向上で実質賃金が上昇し、
「豊かになる若い世代」を中心に
中長期的な経済成長を実現できるでしょう。

もちろん、インドネシアは消費中心の
経済成長を継続中ですが、
交通インフラの未整備と
「若年層が多いこと」の二つが、
成長のボトルネックになるのは
確実だと思います。

もっとも、インドネシア政府は問題を
認識しており、懸命にジャカルタ中心部や
周辺の交通インフラを整備していっていますが。

さて、日本の10-12月期の都道府県別失業率
(モデル推計値)が発表になりましたので、
ベスト10とワースト10のみをグラフ化しました。

【日本の都道府県別失業率(17年10-12月期)】

失業率最低は相変わらず島根県(1.2%)
なのですが、お隣の鳥取県が1.3%と
すぐ後ろにつけています。

今回の結果で注目すべきは、
ベスト10に入っている島根県、鳥取県、福井県、
岩手県、和歌山県、三重県、山形県、石川県、
岐阜県、滋賀県であることです。

いわゆる「大都市」は一つも入っていません。

逆に、ワースト10の方に福岡県、
大阪府、そして東京都と、
大都市が入ってきました。

経済力とは、モノやサービスの
生産の拡大であること。

モノやサービスの生産の拡大が、
一人当たり生産量の拡大=生産性向上
により達成されたとき、
国民が豊かになること。

国民が豊かになり、消費や投資が増え、
生産性向上が誘発されること。

上記の経済成長のプロセスを理解し、
「知ったかさん」に影響されず、
自らの頭で考えたとき、

「インドネシアで若年層労働者が余っている」
「日本の山陰地方で完全雇用が成立している」

の二つが何を意味するのか、
次第に見えてくるはずなのです。

今後の日本の経済成長は、
大都市部ではなく「地方」が牽引します。

先陣を切るのは、もちろん山陰地方です。

皮肉な話ですが、インドネシアも日本も、
政府がやるべきことは同じなのです。

すなわち、交通インフラの整備です。

日本の地方への交通インフラの整備がなければ、
生産性は抑制され、

「地方が日本経済の成長を牽引する」

も絵に描いた餅に終わるでしょう。

関連記事

アジア

【佐藤健志】熊本地震発生にかんがみ、消費税率の引き下げを!

アジア

【藤井聡】「インフラ・イノベーション」が日本を救う。

アジア

[三橋実況中継] 第4次産業革命始まる!

アジア

【藤井聡】「高潮」の恐怖―――強靱化を「急がない」政治家・公務員は、即刻辞すべきである。

アジア

【三橋貴明】公共投資は「地方」経済の下支えはしていない

【三橋貴明】インドネシアと日本の山陰地方への1件のコメント

  1. 日本晴れ より

    >交通インフラが不十分を通り過ぎ、絶望的に酷い。道路等の補修がなされておらず

    東南アジアの大都市って高層ビルがぼんぼん建ってますけど交通インフラや道路の整備が不十分な所が多いですよね
    道路や交通インフラが未整備なまま超高層ビルだけいっぱい建つとああいう超渋滞になるだなと思いました。
    それに道路の重要性です、東南アジアに限らず高層ビル群はいっぱいあっても道路が整備されて無いと都市機能としてどうなんだって改めて思いました。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】吉川洋氏の「地震に備えて消費増税を」論を完全撃破し...

  2. 2

    2

    【三橋貴明】思想の対立

  3. 3

    3

    【小浜逸郎】令和元年6月10日経済罪政諮問会議議事録

  4. 4

    4

    【藤井聡】元内閣官房参与として、「令和日本・再生計画」を出版...

  5. 5

    5

    【角谷快彦】ドラッグ・ラグで岐路に立つ国民皆保険制度(前編)

  6. 6

    6

    【三橋貴明】ピボット(軸)のモーメント

  7. 7

    7

    MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に...

  8. 8

    8

    【藤井聡】近い将来、リーマンショック級の危機が「絶対」起こる

  9. 9

    9

    【三橋貴明】MMTと政府の選択と集中

  10. 10

    10

    【室伏謙一】「増税の前にやるべきことがある」、「身を切る改革...

MORE

月間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】近い将来、リーマンショック級の危機が「絶対」起こる

  2. 2

    2

    【藤井聡】<号外速報>「内需冷え込み」による輸入急落が無けれ...

  3. 3

    3

    MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に...

  4. 4

    4

    【藤井聡】吉川洋氏の「地震に備えて消費増税を」論を完全撃破し...

  5. 5

    5

    【藤井聡】「財政悪化」を導く消費増税が生み出すのは、「害のみ...

MORE

最新記事

  1. 日本経済

    【角谷快彦】ドラッグ・ラグで岐路に立つ国民皆保険制度(...

  2. 政治

    日本経済

    【藤井聡】元内閣官房参与として、「令和日本・再生計画」...

  3. 日本経済

    【角谷快彦】ドラッグ・ラグで岐路に立つ国民皆保険制度(...

  4. 政治

    日本経済

    【三橋貴明】ピボット(軸)のモーメント

  5. 日本経済

    【三橋貴明】思想の対立

  6. 日本経済

    【小浜逸郎】令和元年6月10日経済罪政諮問会議議事録

  7. 日本経済

    【藤井聡】吉川洋氏の「地震に備えて消費増税を」論を完全...

  8. 日本経済

    【室伏謙一】「増税の前にやるべきことがある」、「身を切...

  9. 日本経済

    【三橋貴明】MMTと政府の選択と集中

  10. 日本経済

    【三橋貴明】財政民主主義派 対 非・財政民主主義派

MORE

タグクラウド