From 平松禎史@アニメーター/演出家
○アバンタイトル
1月22日。日露首脳会談で安倍首相は「北方領土」ということばを封じました。
4島としか言えなかった安倍首相・新たな戦後のはじまり
https://ameblo.jp/tadashi-hiramatz/entry-12435202561.html
特に安倍政権では、悪い予感だけは的中します。
「北方領土は日本に帰属」消える
https://jp.reuters.com/article/idJP2019042301001314
《河野太郎外相は23日の閣議で2019年版外交青書を報告した。18年版にはあった「北方四島は日本に帰属する」との表現が消えた。「北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていく」との文言も削除された。4島を実効支配するロシアと、拉致問題解決に応じない北朝鮮への態度を一定程度軟化させることで、それぞれとの交渉を前進させる狙いがある。》
外交青書とは、政府の施策現状について国民に周知するための公式報告書、白書のひとつ。
日本政府は、北方領土の日本への帰属…つまり主権…を放棄する可能性、を国民に周知させているわけです。
○第五十六話「認めざるを得ない『安倍の他に誰がいる!?』」
拉致問題は日本が抱える北朝鮮との重要課題ですが、トランプ大統領とキム・ジョンウン委員長の交渉を邪魔しないよう引っ込める方針なのだろう。
熱心な安倍政権支持者あるいは擁護者にとって、3年4年と結果が出ない経済政策には「イマイチ」との評価をしたものの、外交では「頼りになる」との評価があった。
実際には、イマイチどころか戦後最悪です。
海外発の金融恐慌や大震災のような外的要因ではなく、みづからの政策でここまで経済衰退を確実にした政権は戦後どころか、明治の近代化以降でみても例がないのではないか。
関東大震災では、震災復興で公共インフラを強化し都市開発をやり直すなど災害を奇貨として、東京を世界有数の大都市に育て上げる復興を遂げている。
その後の世界恐慌では、日本含む主要国が戦争前夜だったため財政拡大によるおカネの使いみちは軍事に向かったが、この高橋是清財政で日本はいち早く恐慌から脱することができた。
それぞれに歴史的な弊害を無視することはできないが、かつての政府は外的要因を内政の力で弾き返そうと努力したのです。
それとひきかえ、安倍政権の6年間で日本国民は貧困化。
https://synodos.jp/economy/22378

貿易でも譲歩し、外資の呼び込み、移民拡大、さらに10%増税で痛めつけようと構える。
尖閣諸島周辺での民間漁業は中国との摩擦を避けるため禁じられたまま。
その上、北方領土、拉致問題でも、外圧の なされるがまま、だ。
「外交の安倍」など、空想にほかならない。
憲政史上最悪になっているのは間違いが、半ば大げさに言っている「有史以来最悪」も真実味を増しています。
ことここに至っても、熱心な安倍政権支持者は「安倍の他に誰がいる!?」と擁護するでしょう。
ボクは、全く逆の意味でこのフレーズに同意します。
ここまで日本を破壊した総理大臣は
「安倍の他に誰がいる!?」
…と。
繰り返し書いているように、「安倍打倒」を訴える野党や野党支持層も表裏一体、同じです。
総理個人の責任に押し付けるのは不適当で、内閣全体、与党と与党に対抗できない野党、これら政治家を選んでいる有権者に重い責任があるのです。
+ + +
R.D.レイン『自己と他者』を読むと、そんな政治社会状況を想起する場面が多々あります。
空想に埋没した人に空想の存在を自覚させるのは可能でない、も然り。
興味深いのは、家庭問題を例にして狂気に向かっていく人間の心理を記した場面だ。
安住できない状況にいる、または安住できない状況にいさせられている人の心理がどうなるか。
長いですが、引用しましょう
《人間がそこでは自分の直面する〈真の〉問題を明瞭に見つめ得ないところの、特殊な型の背離であるように思われる。子供にとって問題点は次のようなものである。私は、お母さんやお父さんを愛しているのか、いないのか。お父さんやお母さんに生きていてもらうためには、私は何をしなければならないのか。私を愛する彼らの仕方にこたえないなら、私は利己的なのか。彼らが私について望んでいることに私が従わないなら、私は恩知らずなのか。かくして〈真の〉問題点は認知されないであろう。彼女に課せられた根源的な真の選択は、両親との共生的関係を失うという犠牲を払って〈自分自身となる〉か、自立性を失うという犠牲を払って共生をつづけるか、である。この問題点は明確である。だが、それについて明確な認知は、めったにない。それは常に、家庭と共有の空想体系によって、覆い隠される。この空想体系、空想としてのその内容と様式は、しばしば明瞭な局外者にとってはあきらかである。空想の内容は、しばしば、関与者によって部分的に知られる。彼らがめったに悟らないのは、その様式が空想であるということである。》(p175〜17
6)
(読みやすいよう、一部漢字に置き換えています。)
この娘が母親から虐待を受けていた場合、今でもよくニュースで児童虐待が報じられるたび、親は愛情表現のつもりだったとか、子供は「なぜもっと早く誰かに話さなかったのか」と言われる問題を解き明かすものです。
共生、つまり共依存関係にある閉じた社会では、外界との〈にせの葛藤〉によって〈真の葛藤〉が覆い隠されてしまうのです。
だから、部外者が何を言っても、一切聞こうとしない。
《このような症例の治療は、当然、共有の空想体系にもとづいて作られた諸仮定を考察する結果になる。背離が見られなければならない。ひとたび見られ、はじめて直視されると、混乱は葛藤に転換される。これは分離という共有の空想的恐怖からの脱出をもたらす。袂別の行為は、自殺か殺人、もしくはその両者として感じられていた。が、患者の経験を空想から解き放つことによって、患者は、このような特殊な精神病の可能性を回避する。真の葛藤は、明瞭化をうながす。にせの葛藤は混乱をひき起こす。〈問題点〉がにせで混乱している場合には、〈ほんとうの〉〈真の〉葛藤は正体を見せず、〈真の〉選択が行われず、その人間は精神病の危険におちいる。》(p176)
熱心な安倍政権支持層の問題点は、状況が良くならないことに対して「安倍の他に誰がいる!?」という〈にせの葛藤〉を打ち出し、支持者と共有の空想体系を強化しようとすることだと言えるでしょう。
安倍政権打倒支持層はこの裏返しであって心理は同じです。
ここにきて
これまでずっと続けられてきた安倍政権支持層と安倍政権打倒支持層の共生関係に
外界から一本の杭が打ち込まれた。
現代貨幣理論〈MMT〉だ。
20年を超えるデフレ不況、その原因たる緊縮財政・改革・グローバル化という共有の空想体系、「民主党政権だからダメなんだ」「安倍政権だからダメなんだ」「安倍の他に誰がいる」「アベ政治を許さない」など〈にせの葛藤〉を、根っこから明瞭に暴き出す論理がMMTです。
要するに、全員間違ってるよ?
と証明されるのです。
同じことは国内で三橋貴明氏や中野剛志氏などが主張していたが、内部の指摘など無視するのはたやすい。しかし、外界からもたされた「ただの事実」は無視できないほど強力だったのだ。
これは、両者にとって絶対に受け入れられないでしょう。
政府はMMTを否定的に捉え、野党は萩生田氏の消費税延期発言で政府を攻撃する始末だ。
野党、解散ではなく総辞職求める 岡田氏「無責任、総辞職すべき」 志位氏「アベノミクス破綻、退陣を」
https://www.sankei.com/economy/news/160529/ecn1605290014-n1.html
〈にせの葛藤〉が巻き起こっています。
日本国民を苦しめている正体は、緊縮財政・改革・グローバル化です。
そして
苦境から脱出する明確な考え方があります。
・自国通貨建て国債を発行し、100%自国で消化している日本は財政破綻しない。
・政府の赤字で国民の黒字が生まれる。
・国債発行の制約はインフレ率である。よってデフレの日本は長期的に財政拡大する余地がある。
・金融緩和を維持するためにも、財政拡大が必要である。
おカネとは何か、を論じたMMTによって導かれるのは、デフレ不況からの脱し方、です。
同様に、インフレで困っているのなら、政府支出を絞ればよろしい。
MMTは特定の方法を指示しているわけではありません。
にもかかわらず、財務省と財務省の論理に盲従する人々は、言ってもいないことを作り出して攻撃する。
まるで、レインが示した母親の言動そっくりだ。
これに服従してしまう政治家やメディア、国民は、その娘にそっくりだ。
日テレ・読売の世論調査では、安倍政権の支持理由第一位は「他の内閣より良い」で40%を超える。
政策への評価は10%程度しかないにもかかわらず、です。
50%に達する内閣支持者の多くが求めるのは、政策や結果ではなく、長期安定なのだ。
ここまで日本を破壊した政権は「安倍の他に誰がいる!?」…にもかかわらず
改善をはかる根源的な話は受け入れない。
長期安定を犠牲にする恐怖に絶えられないのだ。
これはもう、精神病の危険に陥っている。そう言わざるを得ないのではないでしょうか。
”「国民」に課せられた根源的な真の選択は、「安定政権」との共生的関係を失うという犠牲を払って〈自分自身となる〉か、自立性を失うという犠牲を払って共生をつづけるか、である。”
「長期安定政権を失ったらおしまいだ」という空想的恐怖から脱出し、自分たちが何によって苦しめられているのか現実を直視し、真の葛藤によって正しい道を見つけましょう。
その現実的な材料が「令和の政策ピボット」に揃っています。
https://reiwapivot.jp/
○コマーシャル
『ICE ADOLESCENCE ユーリ!!! on ICE劇場版』
https://youtu.be/-wjrCriMOO8
放送から20年、「彼氏彼女の事情」Blu-rayBOX 3月27日発売。
BOXイラストを描き下ろしました。
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『エヴァンゲリオン』シリーズや『彼氏彼女の事情』などカラーイラストを多数収載。
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画集第二弾『平松禎史 Sketch Book』発売中。
キャラクターデザインのラフや楽描き、国民の祝日の絵「ハタビちゃん」シリーズなど収載。
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ボクのブログです。
http://ameblo.jp/tadashi-hiramatz/
【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」:第五十六話への4件のコメント
2019年4月27日 8:15 PM
病んでますね 日本、、
歴史が示すように
日本を 覚醒させるには
外国からの 往復ビンタが
不可欠かも。。
飼い主さまが 日本という
家畜から
まだ 血を抜きとれる と
お考えなら
家畜の ケツを叩いて
消費税 5% かつ
財政出動の方向に 導いて
くださる のかしら ん。。
いずれにしろ
家畜風情が 己を
家畜と認識できていない
ので
餌場にしろ 屠殺場にしろ
どこに連れていかれるかは
飼い主さまの
お気持ち次第 だべ ♪
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2019年4月29日 2:01 AM
敗戦国である日本とドイツはGDP成長率の推移で
よく似たような状況になっています。
戦後はどこよりも大きく投資し成長し復活しかけたが、
その後真逆の超緊縮財政によってどこよりもGDP成長が
停滞してしまった。
まるで飼い犬の命運を握っている飼い主によって制御されるように。
実際はずっと昔から本当のエリートは国家財政投資の量で
成長率を大きく操作できることを知っているけど、
グローバル資本家強欲利己主義のために無視されていた。
しかしここに来てシナの財政巨大投資での一人勝ちによって
見過ごせないほどの脅威となっていることに今更気がついた。
それで慌てて修正するために今まで利用してきた歪んだ
机上の空論経済理論を正していく論争が世論誘導のために
必要になったのではないか。
日本が再びまともな国家財政投資が出来るようになるとすれば
それはアメリカのためにシナを抑える最低限の経済力か。
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2019年4月29日 4:19 PM
長期安定を求める国民が
最悪の超高速国家売却、国家解体を行っている安倍政権を
救いの神のように執着し妄信し、縋りつく。
これは完全な病気ですね。
頭脳、理性が完全に吹っ飛んで死神を
最高の守護神とまで見間違う狂気。
表面上は日本という馬鹿が狡猾な飼い主に洗脳されて
喜んで自傷行為を行っているようだが、
深層では無意識に行き場のない鬱屈した怨念が
自らの体を猛烈に攻撃して自殺しようとしている
ようでもある。
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2019年4月29日 3:30 PM
この回のメルマガがワシんとこにはトンと着かなかったんだすントン。どぼじで?。まぁ今読んでしまったわけだすが。ワシがいなかっぺだすだからか?西一みたいなエスタブリッシュじゃないだすだからか?ントン。ワシがキャット空中三回転をしてトンと着けずに赤い褌が木に引っ掛かって宙吊りになるからだすか?ントン。わけのわからない話になってしまうだす。
まるで社会民主共産党の糞っ垂れ野党に誉められて有頂天に成り財政健全化はデフレを直せないことに気付かないまんま平和と自由の使者なのだと思い込んで疑わない首相とその側近集団。
しかし消費増税延期が、延々と繰り返す日米貿易摩擦の中で日本がただ単に折れたことに因る馬鹿らしいことであり、国民生活を考え抜きインフレデフレの正しい経済政策に目覚めたものではなかったことには天地もひっくり返るわいなっ!与党、痴に堕ちる。
そこを突っ込むのではなく単に消費増税の延期に対して批判する野党もいまだに、馬鹿も休み休み言えっちゅーのっ!模擬試験場列島の中心で超スーパーウルトラ・アホを叫ぶっ!連中の嗜好は代わらない。
杉村大ちゃん?は言う、どんぐりの背くらべ!、だすっ!・・・どぼじで?
話は大脱線しますが(経済塾に入っていないのに横槍的で200%すみませんけど)、
長浜浩明さんて東大出身の建築家なんですね。東大にも色んな人が居るんですね。ワシは一時期みぬさよりかず氏のblogのゴーストライターなのかと考えた時期もあっただすントン。しかしやはり出生時期が一世代違いすぎますよね。建築専攻なのに歴史地理を御自分で研究するなんて凄いですね。(なんてワシなんかが口にしても何の意味もなくなり申し訳ありませんけどントン)
とりあえず御本は(一部斜め読みだったところも否定出来ない)読んできたつもりです。文系ウソ社会の研究だったか続・だったかハッキリは覚えていないのですが、公共事業は効かなかった、そんな表現をされてる文の一行があった記憶があります。前書きに在っただった気がします(結構前の御本なので公共事業悪玉論の初期か中期でしょうから仕方がないのかもしれません)。あの点だけは改心された方が・・・・と日曜日のメルマガを見ていて(「読んでじゃねぇのかっ!」あのぉ下部に在る行事欄なのでお赦しください)頭に甦りました。
「このメルマガのことじゃねぇのかっ!」
すみません継いでにしました。お赦しください。失礼しました。
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