日本経済

2017年7月24日

【三橋貴明】いわゆるリフレ派理論

【今週のNewsピックアップ】
発展途上国化する日本
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12294517470.html
遠のく物価目標達成
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12294832804.html

日本は現在、恐ろしいほどの速さで貧困化、
発展途上国化していっています。
しかも、存在しない「財政問題」とやらが理由で。

自治体の中には、すでに「予算」が理由で、
橋梁やトンネルのメンテナンスを諦め、
撤去を始めています。

先人たちが築いてくれたインフラが、
存在しない問題(財政問題)が理由で破棄されていく。

見事なまでの、発展途上国化になります。

やがて、我が国はインフラ関連の技術者が消滅し、
おカネを使おうとも橋のメンテナンスができない、
新たな橋を架けられない国に落ちぶれることになるでしょう。

おカネなど、中央政府や中央銀行がその気になれば、
いくらでも発行できます。

とはいえ、橋のメンテナンスや新設の技術力はそうはいきません。

一度、失われてしまった技術は、取り戻すことが困難です。
多くのケースで、取り戻せないままに終わります。

将来的に、我が国は外国「様」に頼まなければ、
大きな橋を架けられない、高層ビルを建設できない国と化します。

まさしく、発展途上国化です。

2009年に民主党政権が誕生し、
「コンクリートから人へ」という狂ったスローガンの下、
公共投資が減らされていきました。

結果、日本経済のデフレは継続。

2012年に「デフレ脱却」を掲げて誕生した安倍政権にしても、
別に公共投資を増やしているわけではありません。

そもそも、PB黒字化目標がある限り、
公共投資を拡大することはできません。

デフレ脱却を公約に総選挙で勝利した政権が、
デフレ化政策である公共投資の削減を止められない。

とはいえ、一応、デフレ脱却を謳ってしまっている以上、
何らかの「デフレ対策」は打たなければならない。

というわけで登場したのが、
浜田宏一教授、岩田規久男教授らに代表される
「いわゆるリフレ派」だったわけです。

インフレ目標を設定し、量的緩和の継続をコミットメントすると、
期待インフレ率が上がり、実質金利が下落し、デフレ脱却できる。

と、明らかに間違った「デフレは貨幣現象」論に基づき、
マネタリーベースが拡大していきます。

すでに、黒田東彦元財務官が日銀総裁に就任して以降、
日本銀行はすでに330兆円超のおカネを発行しました。

それでも、インフレ率は低迷。
政府が緊縮財政を推進している以上、当たり前です。

デフレとは、総需要の不足という経済現象です。
デフレ脱却のためには、政府は財政を拡大し、
総需要を創出しなければなりません。

ところが、財務省の緊縮財政至上主義が蔓延した日本では、
政府の財政出動を増やせない。
とはいえ、デフレ脱却のためには、財政出動を増やさなければならない。

はて、困った。

といった状況になったところに、
「おカネを発行すれば、デフレ脱却できる」と、
いわゆるリフレ派理論が持ち込まれたわけです。

いわゆるリフレ派理論がなければ、
日本は超デフレーションに陥るか、
もしくは財政拡大路線に転じ、デフレ脱却が実現していたでしょう。

未だ財務省の緊縮財政至上主義が幅を利かせ、
簡単には財政拡大路線に転じることができない。

とはいえ、デフレは脱却しなければならない。

上記の二律背反を「解決する」(厳密には解決するように見えた)のが、
いわゆるリフレ派理論というわけです。

リフレ派理論が蔓延し、我が国は「金融緩和+緊縮財政」という
世にも珍しい社会実験を展開し、デフレ脱却に失敗しました。

それでも、「コミットメント(責任を伴う宣言)」を
重要視していたはずのリフレ派の重鎮の皆さんは、
何ら責任を取ることもなく、いまでも政府中枢に居座っています。

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【三橋貴明】いわゆるリフレ派理論への6件のコメント

  1. 神奈川県skatou より

    国際分業すればいい!
    あるいは
    優秀な外国人技術者を招けばいい!

    それが安倍政権の答えのように思われます。
    もはや政権の定見が発展途上国ということです。

    優秀な外国人・・・
    もはや日本人に対する蔑視さえ感じます。
    あの世代に、自分はそういう残念さを感じます。

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      1. 神奈川県skatou より

        国際分業について。数年前のことです。

        会社で昔の上司が、国際的なアウトソーシングで巨大なプロジェクトに取り組むのだと、人づてに聞きました。自分は失敗は必定と思いましたが、案の定、数か月後に
        誰でも知ってる有名プロジェクトになりました。

        なにがまずかったのでしょう。
        答は簡単です。ものづくりというのは、書類と技術と、あとは専門家があれば出来るというわけではないのです。特にITの世界は工場生産とちがい、過去に作ったものは二度と作りません(1秒でコピーできるから)ので、つねに「未だこの世に無いもの」を目指します。そのとき「未だ判明しないリスク」が膨大に横たわっています。

        未知の問題について、あらかじめ書類は作れません。技術は完璧に準備できません。それを未知と言うからです。ならば、その穴埋めはどうするか?それは人間という、生きた機械が臨機応変に対応することになります。

        ならば上記のプロジェクト、メンバーである専門家が対応すれば済んだこと、だったでしょうか?
        いえ、できなかったのです。

        アウトソーシングとは別会社の人に仕事を分業することです。会社が違えば考え方も取り組む姿勢、職業倫理も異なります。そして責任感というものも違ってきます。ましてや、言葉の通じくい外国人が、未知のモノづくりに臨機応変に対応する集団に参加したらどうなるでしょう。
        (おれは知らない、おれは聞いてない、おれの仕事でない)

        こんな簡単なことも予想できず「国際的アウトソーシング」を技術者の賃金の多寡だけで選択して、出来ると思ってしまう。こういう頭でっかちな経営は失敗すれば自分が責任とることで済みますが(部下はブラック労働の無間地獄。あははは!)この手のナイーブな知見が国家だとしたらどうでしょう。

        欧州EPAで支持率が上がると本気で思ったのならば、もう手遅れです。頭悪すぎ(センスゼロ)です。

        ちなみに自衛隊の次期戦闘機を国際共同開発するとかいうくだらない経営判断もナシにしてもらいたいものです。。。

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        1. komiyet より

          国際的アウトソーシングのお話がとても参考になりました。

          こんな簡単な事とおっしゃいましたが、誰もが気が付くことでは無いと思いました。

          人間の本質というか人格や心や道徳など人間を見ている人しか気が付かない事だと思います。

          いいお話ありがとうございました。

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          1. 神奈川県skatou より

            お役にたてまして何よりです。

            >人間の本質というか人格や心や道徳など人間を見ている人しか気が付かない事だと思います。

            おっしゃるとおり、自分の視点の重点はそこにありそうです。気づきました。重ねて有難うございます。

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  2. robin より

    commitmentには責任の意が含まれるけど日本語のコミットメントには責任の意は無いようだ、経済学の文脈で使われるcommitmentにも責任の意は無いかもしれないが。合理的期待形成とセットの概念で使われるのだろうか、合理的期待とは社会関係の中で取引する人間による期待、ではなく社会関係から切り離された原子的ヒト、自己利益のみを追求するヒトによる経済合理的期待、という前提や文脈の上に成り立つものであるらしい。
    緊縮財政は通貨の国際的な信認、のために行われるのか、内国債の国で国債金利が世界最低水準なのに緊縮財政を続ける理由が分からない。国際的にコミットメントしたからだろうか。輸入したカタカナ経済学用語は人間を騙す目的で使われるのだろう。

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  3. ざるそば より

    岩田氏は2013年3月21日の日銀副総裁就任時の記者会見で、デフレの原因について尋ねられた際に、貨幣的現象という言葉の意味について「マネーストックの増加率と物価上昇率の間には短期的には相関がみられないが、長期的には非常に強い相関があるということ。」と説明しています。このことはデータからも確認できるので、私はインフレやデフレは貨幣的現象だと思います。

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