政治

2016年7月18日

【三橋貴明】2010年のG20

From 三橋貴明

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6月23日(木)にイギリスで行われたEU離脱を問う国民投票。
大多数の予測を覆し、離脱賛成派が51.9%、反対派が48.1%と離脱派が上回った。

多くのマスコミはイギリスのEU離脱の判断を
「愚かな衆愚政治」「イギリス人はこの選択を後悔することになる」などと批判した。

しかし、三橋貴明は「そうではない」と断言する。

月刊三橋最新号
「イギリス激震〜英国の没落から日本が学ぶべきこと」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag3.php

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 【今週のNewsピックアップ】
愚民化のレトリックを打破せよ!
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12179668181.html

財政出動路線への舵の切り直し「か?」
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12180091251.html

最近、ある方(ブログには何度か名前が登場した方)と知り合い、6月1日の安倍総理の「消費税増税延期」会見の裏幕を知ることができました。

実際には、ある人物が動き、総理を動かしたようです。4月には、すでに増税延期と財政拡大路線への転換が官邸では「規定事実」化し、一部の国会議員たちも相談(消費税増税を延期するか否か、ではなく、延期発表までのプロセスについて)を受けていました。

その国会議員の一人から、三橋は「増税延期でほぼ間違いない(但し、衆院は解散しない)」とお聞きし、講演などでは「増税は延期される可能性が高いです」と語っていました。

ちなみに「ある方」「ある人物」が誰かは、さすがにオープンなメディアで語る気はありませんので、ご容赦くださいませ。

それはともかく、安倍総理が参院選後の7月12日に、閣僚に対し「10兆円を超す経済対策」をまとめるように指示しました。ところが、相変わらず「2020年度 PB黒字化」という目標は破棄していません。

そもそも、2020年度PB黒字化などという愚かしい目標を閣議決定したのは、2010年の菅内閣でございます。安倍政権は、本来は「目標破棄」を強行するべきだったのですが、結局、2015年6月に「目標踏襲」の結論を出してしまいました。

もっとも、先月、6月2日に閣議決定された「骨太の方針2016」には、2020年度PB黒字化目標は相変わらず残っていますが、これまでの骨太の方針に書かれていた「短期の目標」は全て消えていました。

PB目標については「2020年度」のみを残し、消費税再増税については2019年10月まで延期し、今後、三年強で財政出動を拡大し、デフレ脱却を目指すというスキームなのだと思います。

もちろん、PB目標については「破棄」、消費税増税については、最低でも「凍結」が正しいです。三橋はその旨を今後も主張、提言していくつもりなのですが、そもそもなぜ菅内閣は2010年に「PB目標」などという愚かな目標を設定したのでしょうか。

実は、2010年のG20において、リーマンショック後の各国の財政出動、及び財政赤字の拡大を受け、「財政再建」の方向性で合意がなされたのです。G20の首脳宣言では、「2013年までに財政赤字半減」という数値目標が宣言されました。

その後、日本のみならず、各国は「財政拡大」ではなく「財政再建」路線を突き進み、今や需要不足が世界的に慢性化してしまいました。G20の合意を受け、菅内閣は「2020年までにPB黒字化」を閣議決定し、現在に至る緊縮財政路線が始まったのです。

今回の安倍政権の財政拡大への路線転換(まだ転換していませんが)は、5月26日、27日のG7合意を背景にしています。つまりは、「国際合意による財政出動」というレトリックを、安倍政権は活用することが可能なのです。

しかも、参議院選挙で勝利し、自民党が参院で単独過半数を獲得しました(平野達男氏が自民党に入党したため)。

政権基盤は盤石で、財政出動の国際合意もある。冗談でも何でもなく、今回の「財政出動への転換」が、日本がデフレから脱却し、発展途上国化を免れるためのラストチャンスかも知れません。

ーーー発行者よりーーー

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6月23日(木)にイギリスで行われたEU離脱を問う国民投票。
大多数の予測を覆し、離脱賛成派が51.9%、反対派が48.1%と離脱派が上回った。

多くのマスコミはイギリスのEU離脱の判断を
「愚かな衆愚政治」「イギリス人はこの選択を後悔することになる」などと批判した。

しかし、三橋貴明は「そうではない」と断言する。

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【三橋貴明】2010年のG20への3件のコメント

  1. 神奈川県skatou より

    もしかすると本当の政治家というのは、政治的現場感覚、それは嗅覚に近そうですが、と、国民世論(多くはマスコミ世論)の間をとってすこしづつ埋めていく作業かもしれなくて、三橋先生の講演やインターネットその他メディアをつかった活動が、すくなくとも信頼性ある情報を求めている人に広がり、さらにそのひとを通じてもっと多くの人にも流布していくことは、ものごとを進める近道なのかなと思われます。そして経済問題もさることながら、日本社会のもっともアンタッチャブルな問題、これもなんとかしないと日本らしい夜明けは来ない訳で、その意味でも嚆矢を放つ先生のご活躍を熱く熱く応援しております。

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  2. tamaleah より

    現時点では増税するかしないかは不明となるのでしょうけども、現与党は増税に賛成票を投じた党ですし、直近のFNN世論調査でも10%引き上げ賛成53.6%、反対40.8%と増税を望む声が勝っている報道がなされている事を思えば、既に増税のレールは敷かれていると思ってよい。であれば、今回の財政出動は消費増税の為の財政出動という筋書きで、それでも財政出動しないよりはマシという発想なのでしょうけども、そのような状況での経済活動に期待を持つのは難しい。それから、経済同友会の小林幹事は先の参院選の結果に際し「長期安定政権でなければできない『国民の痛みを伴う改革』に挑戦していただきたい」と述べています(NHKの元記事は削除されてます)。小林氏の政権基盤が盤石であれば国民の痛みを伴う改革に挑戦できるという指摘は無視できないものです。経済をよい意味で安定的に発展できる一方、悪い意味でも安定的に発展できる、それが長期政権なのだと肝に銘じなければならないでしょう。そういえば、外圧による財政出動が箱モノ行政の推進であり、箱モノ行政の帰結が公共事業バッシングでしたか。今回はどうなるのでしょうね。

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  3. 拓三 より

    ん〜ん、消費税増税を凍結に追い込むことは出来らんもんか。もしどうしても止められへんとしても、最低5〜6年先にせなヤバイことになるような。(心配性なもので)インフレからデフレに変わる時と同じ様に、20年慢性デフレからインフレに変わる時も社会に混乱は起きるのではないかと思っているのですが、その混乱時と3年後がかぶる様な気がします。その混乱に対し政府が耐えられるかどうかも心配な所であり、それに伴い増税に踏み切ればデフレに逆戻りするのではないかと危惧する次第です。(移民政策も同様)PB、増税、移民、まだまだ問題が山積みでんな。

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