欧州

2018年1月20日

【三橋貴明】ギリシャと日本は違うのです

From 三橋貴明@ブログ

さて、久しぶりのギリシャの話題。

『ギリシャ、中央政府の17年基礎的財政黒字が目標上回る
https://jp.reuters.com/article/greece-budget-surplus-idJPKBN1F42RH

ギリシャ財務省が15日遅くに発表したデータによると、
同国中央政府の2017年の基礎的財政収支は
19億6000万ユーロの黒字となり、目標の
8億7700万ユーロを大幅に上回った。

歳出の抑制が目標達成につながった。

中央政府の財政黒字は社会保障関連機関や
地方政府の予算が含まれない。

欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)が
ギリシャ向け金融支援プログラムで基準にしている
財政収支と算出方法が異なるが、財政状況の目安になる。

税収は488億ユーロと、目標を
1億1000万ユーロ上回った。

歳出は目標を17億5000万ユーロ
下回る555億ユーロだった。 (後略)』

というわけで、ギリシャの名目GDP(所得の合計)、
インフレ率、プライマリーバランスをグラフ化しました。

【ギリシャの名目GDP・基礎的財政収支(左軸、十億ユーロ)とインフレ率T(右軸、%)】

http://mtdata.jp/data_58.html#Greece

ギリシャのプライマリーバランス
(基礎的財政収支、以下PB)は、
バブル崩壊後の2009年に
360憶ユーロでピークをつけ、
その後は容赦なき緊縮財政により
削減されていきました。

2016年には、ついにPBが黒字転換。

ギリシャ政府がPB赤字削減に懸命になる、
つまりは緊縮財政が継続した結果、
ギリシャ国民の所得の合計は、
2008年の2500憶ドルから、
2016年には1845憶ドルに激減。

GDPが八年間で26%も
減ってしまいました。

ギリシャの経済規模が、
四分の三になってしまったのです。

日本でいえば、GDPが
375兆円に減ってしまうようなものです。

インフレ率の方も、延々とマイナス状況が続き、
2016年にようやく+0.013%となりました。

バブルが崩壊した国、あるいはデフレ化した国が
PB黒字化を目指すと、国民が貧困化する。

ものの見事に、ギリシャが証明してくれたわけです。

何しろ、記事にもありますが、
ギリシャ政府はPB黒字化のために、

「国民からより多くの税金を取り、支出を削った」

わけです。

所得創出のプロセスにおいて、増税や
「政府支出削減」がなされた場合、
「誰か」の所得が減るのは自明の理です。

そして、所得の合計こそがGDPなのです。

無論、ギリシャはユーロ加盟国です。

何しろ、金融主権がないため、
「国債発行+国債買取」により政府が
支出を増やすことはできません。

しかも、ギリシャ政府におカネを貸しているのは
国際機関、ドイツやフランスの銀行などです。

デフォルト(債務不履行)を回避するためには、
ギリシャ政府は「国内」からユーロを搾り取り、
返済するしかないわけです。

というわけで、ギリシャ政府はPB黒字化を強要され、
国民がひたすら貧乏になっていく。

特に、若年層失業率47%のギリシャでは、
緊縮財政とGDP縮小により、現在の所得はもちろん、
将来の成長をも犠牲にしてしまったのです。

現在の若者が社会の中核層をなす頃、
その半分近くが「働いたことがない」
という状況になってしまう。

普通に発展途上国化でしょう。

ギリシャの問題については
「解決策がない(ユーロに加盟している限り)」
状況が続きますが、日本は違います。

日本の場合、PB黒字化目標を破棄し、国債を発行。

日銀が国債を買い入れ、長期金利を
調整しながら支出を拡大すれば、
普通にデフレ脱却や経済成長が実現します。

ギリシャと日本は違うのです。

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