From 三橋貴明
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決戦
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12278579517.html
PB目標と、政府の負債対GDP比率の引き下げ
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12280358917.html
改めて、財政健全化の定義は「政府の負債対GDP比率」の引き下げです。政府の負債対GDP比率は、以下の三つの組み合わせで決まります。
●名目GDP成長率
●国債金利
●プライマリーバランス(以下、PB)
PBとは、国債の償還費や利払い費を除いた歳入と歳出のバランスのことです。PB黒字化とは、国債関係費用を除く歳出を、歳入(税収・税外収入)で賄いなさい、という話です。
PBがバランスしていると仮定すると、政府の負債対GDP比率は「名目GDP成長率」と「国債金利」で決まります。国債金利を、名目GDPの成長率が上回っていると、政府の負債対GDP比率は改善(低下)していくわけです。
現在の日本は、日本銀行の金融政策のおかげで、国債金利がゼロ近辺に張り付いています。というわけで、日本政府がデフレ脱却のために「追加的な財政出動」に踏み切れば、デフレ経済が終わり、名目GDPが堅調に成長を始め、PBが多少赤字だったとしても、政府の負債対GDP比率は低下していきます。すなわち、財政が健全化できます。
ところが、そこにPB黒字化という「短期の目標」が加わると、話はまるで違います。
PB黒字化のためには、歳出を削り、増税をしなければなりません。歳出削減、増税という緊縮財政は、共にデフレ化政策です。安倍政権は、実際に2014年度以降に緊縮財政路線に舵を転じ、PBの赤字を無理やりに圧縮していきました。
【日本の基礎的財政収支の推移(十億円)】
http://mtdata.jp/data_55.html#PB
結果、わたくし共の予想通り、日本経済は再デフレ化。2016年度のインフレ率は▲0.2%。2017年1-3月期のGDPデフレータは、何と対前期比で▲0.6%と、非常にまずい状況になっています。日本経済が再デフレ化すると、名目GDPは成長しません。結果的に、政府の負債対GDP比率は却って悪化するという惨状を招いてしまうのです。
名目GDPが成長せず、景気が悪化すると、結局は政府は緊急経済対策に乗り出さざるを得ず、またまたPB赤字が拡大。すると、「PB黒字化が必要だ!」とばかりに、緊縮財政が強行され、またもや経済がデフレ化という、悪夢の循環が回り続けているのが、現在の日本なのです。
繰り返しますが、財政健全化の定義は政府の負債対GDP比率の引き下げであり、PB黒字化ではありません。2013年のG20サンクトペテルブルク首脳宣言でも、「政府の負債対GDP比率の推移を持続可能なものにすべき」という財政目標が合意されたわけで、PB黒字化は国際公約でも何でもありません。
それにも関わらず、財務省の緊縮財政路線を正当化するPB黒字化が「目標」「国際公約」とされ、骨太の方針2017にも、残る可能性が濃厚です。
このままでは、日本国は狂ったPB目標によって滅びます。
藤井聡先生の「プライマリー・バランス亡国論」は、
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別に大げさな表現でも何でもなく、単なる真実なのです。
【三橋貴明】PB目標によって亡ぶへの2件のコメント
2017年6月5日 12:13 PM
Pragmatism into Barbarousness
まさに、悪魔の所業!!
ソドムとゴモラならぬ、PODAMとゴイムの魔都TOKYO!
合掌!
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2017年6月17日 4:01 PM
博学多才の三橋先生とPB亡国論を書かれた藤井教授を国土強靭化グループと称し、財政目標変更4つの疑問が提示されていました(6月17日付け日経)。
この疑問も一理あるなと思えるところを感じ、是非、先生方の理論による解答をお伺いしたいと存じます。
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