From 三橋貴明
【今週のNewsピックアップ】
アジアの片隅にある貧困の移民国家
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12337713013.html
何をやろうとしても基礎収支目標が壁になっている
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12337957543.html
とにもかくにも、日本国において
「経世済民」に資する政策を
推進しようとした場合、
必ずプライマリーバランス黒字化目標が壁になります。
例えば、移民問題。
なぜ、介護産業という「コミュニケーション」が
極めて重要な対人サービスにおいて、
外国人労働者の導入が進むのでしょうか。
理由はもちろん、介護報酬が十分に
引き上げられないためです。
と言いますか、引き上げどころか
引き下げが続いているのが介護報酬です。
介護報酬が増えないため、介護産業は
人件費の引き上げができません。
現状、介護産業で働く男性の月額給与は
産業平均マイナス10万円、
女性はマイナス3万円になります。
こんな有様では、
人材が流出してしまうのも無理もありません。
介護産業の人手不足の解決法は、
政府が十分な介護報酬を支払うと同時に、
規制を強化。
介護産業において「生産者」が豊かになっていくことが
可能な環境を構築することです。
ところが、PB黒字化目標があるため、
介護報酬はひたすら引き下げられていきます。
この有様では、政府が規制を強化したところで、
事業者が給与を引き上げることはできないでしょう。
それどころか「儲からない」ということで、
介護事業者が次々に廃業。
日本は「高齢化」という問題に対する
解決策を失うことになります。
あるいは、コンビニエンスストア。
コンビニ業界における人手不足解消策は、
技術投資・設備投資による完全自動レジの
導入以外にはありません。
実際に、ローソンとパナソニックが組み、
大阪の守口市で完全自動レジの実験が行われています。
さらには、2017年4月18日、
セブンイレブン・ジャパンやファミリーマートなどの
大手コンビニエンスストア五社が、
電子タグを利用した完全自動レジ導入を宣言。
買い物客が自分で会計をする「セルフレジ」を、
2025年までに国内の全店舗に導入するとのことです。
すでに、コンビニ業界における
技術投資は始まっているのです。
ところが、コンビニ各店の目の前にあるのは
「デフレによる国民の貧困化」です。
国民が貧困化している以上、
商品単価を引き上げることもできず、
売り上げも低迷。
この有様では、完全自動レジといった
設備投資はできません。
無論、自給を引き上げて日本人を
「高く雇う」こともできません。
「そんな将来の話よりも、目の前の人手不足を
解消するために、安く雇える外国人労働者を」
という話になってしまい、来年、
技能実習制度のコンビニ適用が決まるでしょう
(今、コンビニで働いている外国人は留学生)。
デフレでさえなければ、完全自動レジへの移行が
速やかに進んだはずです。
ところが、PB黒字化目標が維持されるかぎり、
我が国のデフレは終わりません。
まさに、PB黒字化目標により、我が国は
「アジアの片隅にある貧困の移民国家」
と化そうとしているのです。
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