日本経済

2016年4月11日

【三橋貴明】日本のデフレ脱却議論の論点

From 三橋貴明

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「デフレ脱却に向けた三つの論点」で整理しましたが、現在の日本のデフレ脱却議論の論点は、

一. 消費税増税の見送りが「延期」か「凍結」か「減税」か
二. 財政出動(補正予算)について、長期の需要が見込める公共インフラ、技術への投資に踏み込めるか。
三. プライマリーバランス目標の破棄

の三つになります。

最も「理想的(デフレ脱却を目指すという意味で)」な組み合わせは、
「消費税減税(5%に戻す)」「リニア新幹線、整備新幹線、ILCなど継続が見込める大規模プロジェクトを中心に、10兆円規模の補正予算」「プライマリーバランス目標の破棄」になります。

現在の政治を見ている限り、上記が「完璧」に実現する可能性は、決して高くないとは思います。本来、安倍政権が「デフレ脱却」を標榜して誕生した以上、上記の組み合わせ以外にはあり得ないはずです。とはいえ、デフレ脱却を叫び政権をとり、14年度から「未曽有の超緊縮財政」を始めたのが安倍政権なのです。

いずれにせよ、本稿で問題にしたいのは、各政策の「中身」が重要という話になります。

例えば、「来年4月の消費税増税見送り」が決定されたとして、「延期」なのか「凍結」かにより、話は全く違います。
あるいは、「財政出動の拡大」が決定されたとしても、中身が例により「給付金」「商品券」では、デフレ脱却にはほとんど貢献しないでしょう(ゼロではないでしょうが)。

財政拡大の方針が打ち出されたとして、安倍政権ではスティグリッツ教授の提言した(そして、「新」日本経済新聞の執筆者が提唱し続けた)技術やインフラへの投資拡大には踏み出せないのではないかと、個人的に危惧しています。理由は主に二つあります。

一つ目は、彼の財務省が「短期の財政拡大」はともかく、「長期の財政拡大」に対しては、死に物狂いの抵抗をしてくるためです。具体的には、消費税「減税」やインフラ・技術投資といった、長期的な財政拡大を恐るべき政治力で潰そうとするのです。
そもそも、消費税「増税」は長期的に国民経済に打撃を与えます。変な書き方ですが、長期的に悪影響が「担保」された消費税増税に対し、商品券や給付金といった「短期の対策」を打とうとする時点で、財務省の掌中といえます。

二つ目は、インフラや技術への投資は「面倒くさい」という点です。
子ども手当にせよ、年金受給者への給付金にせよ、子育て世帯へのクーポン券にせよ、政策・行政担当者は楽なのです。何しろ、「年金受給者」「子育て世帯」といった対象を決めてしまえば、あとは配るだけです。ほとんど何も考えずに済み、政策・行政担当者にとって、これほど楽なことはありません。

それに対し、インフラや技術への投資は手間がかかります。特に、財務官僚にとって、インフラ・技術への公共投資ほど、嫌なものはないでしょう。

何しろ、全国の政治家などが、

「我が地域のインフラに投資してくれ」
「いや、こちらの技術に投資してくれ」

と、一斉に予算の要求をしてくるのです。それを捌き、予算を割り振ったとしても、必ず「漏れる」地方やプロジェクトが出てきます。その種のプロジェクトを推していた政治家から、猛烈に恨まれる。

というわけで、財務官僚にとってインフラや技術への投資とは「面倒くさい」のです。これは、元財務官僚の高橋洋一氏も仰っていたので、間違いない事実だと思います。
とはいえ、そもそも「それが、財務官僚の仕事でしょ」という話なのでございます。

改めて考えると、日本国家全体の繁栄のために、プロジェクトを選定し、予算を割り振ることは崇高であり、同時に面倒極まりない仕事です。政治家と官僚が一体となり、喧々諤々の議論をし、国家のための道筋を決める。

これが本来の「政治」なのですが、今やその種の面倒事を政治家や官僚が嫌がり、「対象を決めれば、配るだけ」というシンプルな給付金系の財政出動に流れてしまうというのが、現在の日本の政治の実態なのでございます。

日本の長期に渡るデフレーションの主因の一つは、日本国の「政治不在」であることが分かります。

ーーー発行者よりーーー

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【三橋貴明】日本のデフレ脱却議論の論点への1件のコメント

  1. 學天測 より

    国民が所得を得て、需要を作る方法は、公共事業以外には?国民が自ら事業をやる。?働きながら、サイドビジネスで副収入を得る。_働きながら、さらに別途パートで働いて稼ぐ?カードのポイントや景品などの特典ぐらいしか思いつきませんね。民間の私が期待したいのは?です。サイドビジネスの所はネットビジネスが新たに出来上がっている場所で三橋さんのメルマガもそれに当たりますし、マスコミがあの体たらくでは情報流通があれですしね。奇抜な処ではオンラインゲームのRMTなどを国が管理して、免許制にして別途、税を取って所得が稼げるようにするとかありますが、ネットはクラウドファウンディング、ソーシングなど稼げる手法は発達してきていますね。最近は年収億稼ぐプロゲーマなどがいるそうで、遠隔操作、操縦兵器で戦争がゲーム化している今日、軍事などとも絡んでますが、イノベーションが激しい分野です。言ってて涙ぐましくなってきましたね。藤井先生や三橋さんの方は政府の投資の拡大にご尽力下さい。かしこw

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