From 藤井聡@京都大学大学院教授
こんにちは、京都大学の藤井聡です。
今、世論を賑わせている「福田財務省事務次官」の醜聞騒動。
これについて今・・・・
「財務省が福田淳一次官のセクハラ疑惑を巡って
報道各社の女性記者に調査への協力を要請し、
麻生太郎財務相が被害申告のない場合のセクハラ認定は難しいと発言」
したことへの批判が拡大しています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201804/CK2018041802000133.html
「野党にとどまらず、
与党幹部や閣僚もこぞって声を上げ、
安倍政権の土台を揺るがしている。」
とのこと。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201804/CK2018041802000133.html
実際・・・
「こっちから辞めるべきではないか、
とわざわざ助言するというより、
本人や財務省が考えるべきことだ。」
(自民党の二階俊博幹事長)
「記者から協力を得るというのは違和感がある。
被害を受けた人に『出てきてください』というのは、
ちょっと違うのではないか」(公明党の石田祝稔政調会長)
等、与党からも批判が相次いでいます。
https://mainichi.jp/articles/20180418/k00/00m/010/100000c
メディアからの批判も激しく、
左派系の朝日新聞や東京新聞は、
「恫喝に等しい」
https://www.asahi.com/articles/ASL4K578TL4KULFA01W.html
「人権感覚が問われる事態」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201804/CK2018041802000133.html
と報じ、保守系の産経新聞も
「財務省は醜聞の擁護者か」
https://www.sankei.com/column/news/180418/clm1804180001-n1.html
との論説を公表しています。
そして、ハラスメントの音源を公表した当事者の新潮は、
今回の財務省の対応の根源に、
「組織防衛を最優先」
する態度があると断じています。
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/04170600/?all=1&page=4
今、政権に対しては、福田氏醜聞騒動のみでなく、
公文書改竄問題や首相案件メモ問題、防衛省日報問題等
について、様々な批判が集中する状況です。
これらの諸問題にはもちろん様々な組織や人物が関わっており、
その原因を「一つ」に特定できません。
しかし、今回の福田事務次官の「醜聞騒動」の
最大の直接的原因は財務省の「虚偽・隠蔽」体質にある
と言わざるを得ません。
それは、まさに、森友問題に関わる「公文書改竄問題」と同様。
要するに、最強官庁とも言われる財務省の
「強力な公権力に基づく嘘ツキ体質」が、
(1)佐川理財局長の国会でのウソを誘発し、
(2)そのウソを隠蔽するための「公文書改竄」を誘発すると同時に、
(3)福田事務次官に自身の醜聞を「事実と異なる」と断定させた、
との解釈が十二分に成立してしまうわけです。
無論、この(3)については、
福田氏側がそれをウソだとは認めてはいませんが、
今日の福田氏・財務省に対する激しい種々の批判は、
「お前ら、いつまでそんなバレバレのウソ、言い続けてんだ?」
という趣旨のものである事は論を待ちません。
さらに恐ろしいのは、
これらの「ウソ」や「隠蔽」がいずれも、
行政の強力な「公権力」を活用する形で行われているという点です。
行政権を駆動せしめる力を持つ公文書の改竄は、
行政権の濫用そのものですし、
今回の福田氏醜聞についての財務省側の対応は、
「記者や報道機関等への公権力をかざした圧力」そのものです。
財務省には強大な公権力が付与されていますが
その公権力は「予算編成権」と「徴税権」。
そして「納税者」である報道機関はその「徴税権」者である財務省に、
「弱み」を握られている基本構造が厳然とあるのです。
したがって、財務省側が各報道機関の幹部に、
「お前ら、もしバラしでもしたら、
俺たちは “徴税権”を使って、税査察くらいいつでもできるんだから、
後でどうなっても知らないぞ?」
という「雰囲気」を醸し出すだけで、
納税者である報道機関は震え上がり、
さらなるセクハラを告発できなくなる―――
という「圧力」がかかることになるわけです。
ここで重要なのは、その圧力を産み出すには、
「雰囲気」だけで十分であって、
直接「ばらすな!」と命ずる必要は何も無い、という点にあります、
実際、筆者が現場の記者達を対象に行った、
「メディア忖度実証研究」によれば、
そうした圧力が、とりわけ「財務省」においては強烈であることが、
「学術的」な視座から明らかにされています。
https://policy-practice.com/db/3_181.pdf
とりわけ今回のように、
「財務省の記者クラブ各社に、
セクハラ被害にあった女性記者に名乗りを上げるよう依頼する」
という、
「恫喝的」
https://www.asahi.com/articles/ASL4K578TL4KULFA01W.html
とすら言われる態度を目にすれば、
萎縮する報道機関が出てきたとしても致し方ありません。
・・・・
ところで筆者は、
この財務省の今回の反応を目の当たりにしたとき、
戦慄を覚えざるを得ませんでした。
筆者の主観を申し上げればこうです。
『なんと・・・・
財務省とは、科学的に福田氏本人である確率が
極めて高いと判断される「音源テープ」を公開しているにもかかわらず、
「それはウソだ!」と断定するような組織なのか・・・
だとすれば、
「消費増税で景気が悪くなり税収が減る」と言うデータや、
「PBを無理に改善すると、さらに財政が悪化する」というデータや、
「財政拡大をすると、景気が拡大し、税収が増える」というデータや、
「累積債務がどれだけ増えても金利=破綻リスクは増えない」というデータ・・・
そういった「データ=事実」をどれだけ公開しても、
「なるほど、そうなんですね」と言う筈はないだろう、
彼らはきっと、こちら側こそが「ウソだ」と言い続けるのだろう。
だとすれば、事実に基づいた政策を提言する学者達は、
一体何を、どうすればいいというのか・・・」
つまり今回の騒動に筆者は戦慄を覚えると同時に、
「絶望」にも似た気分に苛まれたのでした。
言うまでも無く、デフレを終わらせ、
豊かな成長ある日本を実現するためには、
財務省の皆さんのお力が何としても必要です。
にも関わらず、肝心のその財務省が、
重大な事実や真実を隠蔽し続けるのだとすれば、
豊かな日本が実現することはもう、あり得ない、
ということになるのでしょうか・・・・
もちろん、官邸や他の省庁や報道機関に問題がないとは言いません。
しかしそうした他の関係者に瑕疵があるからといって、
財務省が「免罪」されることにはならないのです。
一見、単なる下らない下世話なスキャンダル騒動に見えますが、
この問題は、日本国家にとって、
本当に深刻な問題を浮き彫りにするものなのです。
まずは本メルマガの読者だけでも、
その「構造」を俯瞰的立場からご認識いただきたいと思います。
追伸1:財務省の体質故に継続し続けるでデフレ。結果、我が国は「衰退途上国」と化しました。ご関心の方は是非、「週刊ラジオ表現者」、ご覧下さい(「チャンネル登録」もよろしく御願いします!)。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=347&v=hGG9RjxS7JY
追伸2:「表現者クライテリオン」の最新号が刊行されました! 第二号なる今号は、一月に他界した「西部邁・特別号」。64名の論者が、「西部邁」を様々に語ります。是非、ご一読下さい。
https://the-criterion.jp/
追伸3:「表現者クライテリオン・メルマガ」でも財務省問題を様々に論じています。
https://the-criterion.jp/mail-magazine/20180312/
https://the-criterion.jp/mail-magazine/20180319/
https://the-criterion.jp/mail-magazine/20180326/
こうした記事にご関心の方は是非、メルマガ登録願います!
http://www.mag2.com/m/0001682353.html
【藤井聡】デフレの原因ここにあり 〜福田氏「醜聞」騒動が示す財務省の虚偽隠蔽体質〜への3件のコメント
2018年4月18日 9:11 PM
冤罪(免罪ではありません 念のため)
このような手段で 次官の首が飛ぶならば
録音テープの継ぎ接ぎで なんでも出来るかと、、
普段は人権擁護を 訴える方々が 推定無罪の
原則を無視して リンチのブッタタキ
彼の首を切った 刃が 己の首をも落とす
政治家も マスコミも それを 思い知るときが
きっと くるでせう。。。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2018年4月21日 11:38 PM
共通項は国家公務員の身分でした。
法の定めにより(上役から)ホロコーストを命じられ、首になると飯が食えないので真面目に忠実に大虐殺を実行したハインリッヒ・ヒムラー(約80年前のドイツ民主主義国の国家公務員、軍人)
法の定めにより東京大空襲(死者20万人)広島、長崎原爆投下(死者15万人)を実行したカーチス・ルメイ(約80年前のアメリカ民主主義国の国家公務員、軍人、1964年勲一等旭日大綬章)
法の定めによりお金(約200兆円)の出入りを独占する財務省に睨まれたら天皇家も政治家も大学教授も震えが止まらない恐怖の国家公務員の相互扶助集団。平然と20年以上もデフレを脱出できない政策を主導しています。
10年後もデフレのままですと、増税はできす゛、天下り先も壊滅し途方に暮れる国家公務員の姿がうかびます。
国家公務員として法の定めの通りに仕事をしてどこが悪い。
頑張れ国家公務員、飯が食えなくなってもみんなで渡れば怖くない。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2018年4月22日 8:40 PM
事実、真相がどうであるにせよ、あんなお粗末な音声データを決定的な証拠であるかのように言っているということだけでも、藤井さんのいい加減さを示す十分な証拠になってしまっているんだよなあ。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
コメントを残す
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です