From 藤井聡@京都大学大学院教授
こんにちは、内閣官房参与、京都大学教授の藤井聡です。
今年の6月、
次年度「以降」の予算の大枠を定める「骨太の方針」が
閣議決定される予定ですが、
その内容が、我が国の「命運」を分けるものとなる、
と言う点は、これまでも、何度かお話してきた通りです。
実際、政府は、
今からちょうど5年前に策定した「骨太の方針」で閣議決定した、
「プライマリーバランス黒字化目標」
という「財政規律」に縛られ続けていたため、
第一に、2014年に消費増税が断行され、
第二に、当初予算ベースで毎年、
社会保障費以外の全ての項目(教育、防衛、公共事業等)を、
年間たった「合計300億円」(つまり当初予算の実に0.03%!)
ずつしか増やさない、
ということになってしまったのでした。
そしてその結果、日本のデフレは悪化し、
「税収縮減」と「財政悪化」が導かれたのは、
これまで何度も指摘した通りです。
(例えば、『「消費増税」すれば、「税収」が減ってしまいます。』を参照ください。
https://38news.jp/economy/11863)
したがって、万一、今年の骨太の方針で再び、
これまでと同様の厳しい「プライマリーバランス黒字化目標」が決定されれば、
今後も政府予算がほとんど増えることなく、
「不況対策をはじめとした、あらゆる政府的課題の放置」が「確定」
することになってしまいます。
結果、「日本の衰退」「日本国民の貧困化」は決定的なものとなります。
そうである以上、
この「過剰に厳しい財政規律」という問題は、
今の日本の政治家が解決しなければならない、
何よりも大切な超重要課題、
といっても何ら過言では無いわけです。
・・・・ところが、こうした「当然の認識」が、なかなか、
世論のみならず国会の中でも主流とはならない――
という状況が長らく続いてきたのですが、
この度ようやく、与党の国会議員の先生方の中でも共有され始めた、
という明るいニュースが報道されました。
『消費増税「凍結を」自民若手 黒字目標撤回も、政府に提言へ』
(日本経済新聞、5月2日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30037290R00C18A5PP8000/
このニュースによれば、
与党自民党の「日本の未来を考える勉強会」が、
過剰に厳しい財政規律である「プライマリーバランス黒字化目標」を撤回し、
その上で、消費税は「増税凍結」、ないしは、「減税」すべきであるという
提言書をとりまとめたとのこと。
今月中旬にも政府と党執行部に申し入れ、
6月にまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)への
反映を求めるとのことです。
そもそもこの勉強会は、これまで当方含めて、
評論家の中野剛志さんや
土木学会会長の大石久和先生、
産経新聞の田村秀男さん、
ソシエテ・ジェネラル証券株式会社チーフエコノミストの会田卓司さん、
そして、三橋貴明さん等、
多数の講師を招いて、勉強を重ねてこられました。
(勉強会の様子は全て、こちらの動画で確認頂けます
https://www.youtube.com/playlist?list=PLbEblF5PPOjTN_wdPWaOWGVrBO_8VBevV)
ついてはこの度、当方も勉強会の一講師と言うことで、
提案書の概要を拝見させて頂きましたが、
我々講師陣が論じてきた内容が、
簡潔、かつ適切にまとめられた、
大変に素晴らしい内容となっています。
詳しくは後日、公表されるものと思いますが、
その項目だけご紹介しますと、次のようなものとなっています。
1.「骨太の方針」での「債務対GDP比の安定化」の第一目標化とPB目標撤廃を
2.消費税増税の「凍結」は必須。減税をも視野にいれた消費税のあり方の抜本的見直しを
3.「2019年経済危機」を乗り越えるためは20~30兆円規模の超大型対策を
4.成長を効率的に促す「未来投資長期プラン」を策定し、18年度から開始
5.600兆円経済実現を確実にするための「当初予算3-4%ずつの拡充」を、PB目標に代わる新たなフロー目標とすべし
つまり、ただ単に増税延期やPB目標の撤廃を叫んでいるのではなく、
財政規律を「より適正なもの」へと改善し、
それに基づいて必要な対策を合理的に進めるべき、ということを提案する、
「未来への責任感」に明確に裏打ちされた提言となっているわけです。
そもそもこの提言書のタイトルは、
「財政再建のために消費増税凍結と
プライマリーバランス黒字化目標撤回を求める提言」
というもの。
つまりそれは、「財政再建のため」のもの、なのです。
・・・・とは言えおそらくはこれから、
こうした増税凍結やPB撤廃の動きに対して、
「財政規律を無視する、不穏な動きが出始めた!」
という不当としか言いようのない批判が出てくることも考えられますが、
そうした批判は完全なる「的外れ」。
その事は例えば、本報告書に記述された下記文章を一読頂ければ、
すぐにお分かり頂けるものと思います。
最後に、以上の提案は、
常に積極財政を主張するものでなく、
景気後退期には財政拡大を、
景気過熱期には緊縮財政をという、
当然の方針を提案しているに過ぎない。
・・・・実に「理性的」な提言です。
折りしも今、
「政府は2019年度以降の新たな財政健全化計画で、
国と地方を合わせた基礎的財政収支(つまり、プライマリーバランス:著者注)を
黒字化する目標時期を25年度とする検討に入った。」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3005030001052018MM8000/
という報道がなされていますが、
このままいけば、この提言書が、
『これまでは少し経済環境が良くなると
消費増税や緊縮財政をしてデフレ脱却できなかった。
同じ轍(てつ)を踏んではならない』
と、危惧している「同じ轍」を踏む事ともなりかねません。
当方も内閣官房参与として、内閣、政府に対して、
「財政悪化」をもたらしている愚かな「過度に厳しい財政規律」を
適切なものに「改善」していくことを、
これまで以上に、数々の実証データと明確な理論的根拠に基づき、
より強く、提言して参りたいと思っています。
そしてそんな「当方の危機感」を共有する
政治家の先生方が現れたことは、
大変に有り難く、そして、一国民としてとても心強く感じます。
是非とも皆さんも、ご自身でしっかりとお考え頂いた上で、
そうした先生方の活動を、
それぞれの地、それぞれの現場で、
しっかりとご支援頂けますと幸いです。
それと同時に、
党派を超え、一人でも多くの国会議員の皆さんはじめ、
政策決定に関わり得るあらゆる人々に、
この提案趣旨が理解されるように、
本記事や本件そのものに関わる拙著等ご紹介願えると幸いです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4594077323
何卒、よろしく御願い致します。
追伸1:
この問題を一人でも多くの方に広めたい・・・とお感じ方は是非、拙著「プライマリーバランス亡国論」をご活用ください。
https://www.amazon.co.jp/dp/4594077323
追伸2:
過剰に「プライマリーバランス黒字化」にこだわる人々は、現実を見ないで理想ばかりを追い求める「理想主義」の者達と言えそうです。そんな理想主義が如何に巨大な不幸を人類にまき散らしてきたのかを―――「週刊ラジオ表現者:藤井聡 あるがまま日本 京都」にて、お話しました。是非、ご覧下さい!
https://the-criterion.jp/radio/20180430-2/
【藤井聡】与党内部からも、「消費増税凍結」「PB目標撤回」を求める声が出始めたようです。への6件のコメント
2018年5月2日 5:07 PM
骨太の放心
どこの馬の骨の思いつきかは存じませんが
20年も馬脚を晒していた財務省は役者で申せば「馬の足」
泥田のような重馬場で増税やら緊縮財政やら重荷を背負わせる愚かさに
やっとお気づきですか、、、
与党の三歳馬は駿馬か否か お手並み拝見
というよりも 騎手の手綱さばきが肝心
というわけで
今宵は 田酒で馬刺
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2018年5月2日 5:48 PM
財務省の抵抗も激しくなりそうですが、憂国の志士には頑張ってほしい。
そういえばch桜の討論で外道土居丈朗らの暗躍も言われてましたね。
本当は野党に財務省叩きをやってほしいところですが、糞の役にも立たないやつらには期待できませんね。休暇中でしたっけ?
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2018年5月3日 9:42 AM
実に嬉しい事です。ジャパンハンドラーズが実権を失ったいま、財務省、マスゴミ、自民党議員などへの、日本経済衰退計画も頓挫してきたという事でしょう。
失われた20年が、どの様に意図的に操作されたのかを、全日本国民に発信する好機でもあります。いよいよ日本経済復活ですね。
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2018年6月21日 12:17 PM
日本壊滅、骨折ズタズタの方針!
推し進めて来たのは小泉純一郎 安倍晋三 そして発案者は竹中平蔵や日本が嫌いな宮内 新浪ら民間議員と称する何の権限もない利権漁りの経済テロリスト共だ。
国会議員は今まで何してた?
今更軌道修正とか信用できないね。
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