日本経済

2017年12月26日

【藤井聡】崖から落ちた日本。2018年に、這い上がれるのか?

From 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)

「危」という文字は、「崖」の上に「ひざまづく人」がいる、というまさに「あぶない」状況を表しています。
https://okjiten.jp/kanji1069.html

そんな「あぶない」状況に遭遇する機会を「危機」と言いますが───我が国日本は今、そんな「危機」の状況をとっくに通り越している状況にあります。

なぜなら、我が国日本は既に、崖から落っこちてしまっているからです。

崖から落っこちたのは、1997年。

90年のバブル崩壊によって日本は崖の際に追いやられていたところ、97年の「消費増税」によって背中を押され、崖から落っこちてしまったのです。

その結果、全世界が成長する中、日本だけが「衰退」するようになってしまいました。

その後、2012年から始められたアベノミクスで、大規模な金融緩和のサポートの下で13兆円の大型財政政策が行われ、崖から這い上がる「絶好の機会」をつかんだのですが──14年の消費増税によって再び、崖からたたき落とされてしまいました。

そもそも、「崖の上」にいれば普通に暮らしていくことができます。日本以外の欧米や中国を含めたアジア諸国は今、そういう状況にあります。だから彼らは、ほとんど何の苦も無く「成長」できるのです。

ところが一旦崖から落っこちれば、そんな普通の暮らしや成長など望むことが出来なくなります。

だからこそ日本は今、デフレ脱却に全勢力を投入し、崖から這い上がらなければならないのです。

───当方がこの真実に気がついたのが、先日とある磯釣場で波にさらわれて磯から落ちてしまった──という体験をした時のことでした。

https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/1214456615321946

磯から落ちたとき、このまま上ることが出来なければ流されてもう「アウト」だなぁ──と感じた当方は、磯の崖を這い上がるためにどうすべきかに文字通りの「全神経」「全力」を投入しました。生き残りがかかっているのですから、当たり前です。

もしあの時、「ここをつかんだら手が怪我するなぁ」だの、「あっ、携帯が濡れたら壊れちゃうから嫌だなぁ」等と悠長に考えていたら、きっと潮に流されてまさに「アウト」になっていたことでしょう。

今の日本も同じです。

デフレさえ脱却できれば、国民の貧困化も格差社会も改善し、ブラック企業は一掃され、企業の労働生産性は向上し, 国際的影響力も大幅に回復し、防災力も防衛力も増強され、世界最先端の科学技術力を再び手に入れる事に成功し、文化投資も拡充して文化もさらに発展し、日本は再び力強く発展していくことができるのに───デフレ脱却を放置すれば、「一億総活躍」だの「地方創生」だの「働き方改革」だの「生産性革命」だの「財政再建」だのといったことは全て、何をどうやろうが進まなくなってしまうのです。

それは、崖から這い上がらないと普通の暮らしなどできないのと同じです。

にも関わらず、「インテリ左翼」から「真性保守」と呼ばれる人々に至るまで、日本の知識層や言論人達には「デフレ脱却」を蔑視し、軽視する人が驚く程に大量に存在しているのが現状です。

その結果、日本は崖を上る気力や意志を失い、崖の「上」で普通の国家運営を進める欧米中をはじめとした「列強」から大きく水をあけられ、それら列強による我が国への経済、社会、軍事等の各側面での「進出」「侵略」が加速される事態に至っています。

その意味に於いて、デフレ脱却を叫ばぬ御仁達は(それを阻止する輩共と同様に)「国賊」や「売国奴」の誹りを受けても致し方無き人々なのです。

だから我々は中国や韓国や欧米などの諸外国とたたかう前に、そうした「国内の愚か者達」とたたかわざるを得なくなってしまっているのです。

そして2017年の現状においては、残念ながらそうした「国内の愚か者達」との闘争にて勝利を収めることができず、結果として、崖から這い上がる事に完全に失敗してしまったのです。

だからこそ、日本国民は自分たちの生き残りをかけて、2018年を崖から這い上る年にすべく、最大の努力を図らねばなりません。

もちろん、上記のような「国賊」「売国奴」が跋扈する今日、全く楽観はできません。しかし、「プライマリーバランス制約の解除」や、それに基づく「大型の補正予算」「当初予算の拡充」といった、「崖を駆け上るための対策」の一つ一つは、決して実行不可能なものではありません。

今年も散々な一年でしたが、2018年こそデフレ脱却を果たし、日本も諸外国と同様に「普通の成長」ができる国に復帰できるよう──筆者としてもできるだけの努力を参りたいと思います。

───それでは、良いお年を!

PS1 正しき言論の展開ためにも是非、表現者クライテリオンをよろしく御願いします。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281687591/

PS2 2018年2月16日の表現者クライテリオン発売日に、柴山さん、浜崎さん、川端さんと当方の編集委員全員で、下記シンポジウムを行います。是非、ご参加下さい。
https://s.mxtv.jp/present/nishibe_event/

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【藤井聡】崖から落ちた日本。2018年に、這い上がれるのか?への10件のコメント

  1. 神奈川県skatou より

    >2018年を崖から這い上る年にすべく、最大の努力を図らねばなりません。

    先週末踏まえて思うに、政治経済の力学が「正しさ」という言論でなく、もはやイデオロギーでもないのならば、そして「利」ならばありうるのならば、右下に位置する農協、医師会、その他地域に根差す産業組合を支持母体とした、非イデオロギーな政治目標を掲げる政党を活動させる行動が、「今年より良い来年」を引き寄せる具体的な方法であり、それは昨今の半イデオロギーな泡沫政党とは隔絶な存在になりうるのかと空想いたしました。
    そして彼らを利する、いや愛する理由がもし伝われば、支持というものは広がるものかもと、夢想いたします。
    来年こそ藤井先生にとって素晴らしい一年であることを祈願いたします。

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  2. 拓三 より

    オ.オ.オッサン! (浸し身を込めた敬語)

    経済よりこっちの話のがおもろい !
    奄美の夜釣りの底もんやったら20キロ以上想定したタックルやろうけど竿はなんや ? リールは、道糸の号数は、ナイロンかpeか、ワイヤーは何番、針は何針、号数は、餌は冷凍それとも生き餌、竿受けはアンカーの固定か、板バネ式かセパレート式か、それともスタンデイングか、実に興味深い、、、。

    一言でクエ釣りと言っても上に書いた事は準備段階の一部に過ぎず、ここから海の地形、潮、風、時間、そしてクエの習性をどう読み説き、それによって上に書いたタックル、仕掛けのバランスを常に考え、それでもボウズは当たり前の世界です。しかしそれを怠ればクエには出会えません。磯の夢で御座います。

    釣りと経済は似ています。クエはちょっと効率悪いけどw
    ただ準備を怠れば勝負すら出来ないと言う事。
    それどころか今の日本、勝負するどころか生存危機の状況…..

    あかん ! 経済の話になってもうた。

    最後に一言 !  オッサン ! ナポレオン、食たんかいw

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  3. たかゆき より

    ファイト 一発!

    釣りに行って
    魚のエサになってたらシャレになりませんね。。。

    釣り糸で抜きあげてくれとは申しません
    せめて 財政出動という 蜘蛛の糸でも垂らしていただければ
    救われますのに、、

    やられたら やりかえす 二発落とされたら
    四発落としてやる という 正雲君(小生ではありません 念のため)が日本に出現するのを恐れてか

    右の国も左の国も「インテリ左翼」やら「真性保守」という工作員を利用し この国を 貧国弱兵にしょうと 余念がない鴨

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      1. 麦粒 より

        民衆(悪い意味で使われる「大衆」を含む)に悪態をつき
        、上手くいかないのを民衆のせいにするような指導者に、国をよく統治することなど、できる訳がない。

        もう一度載せます。
        「日新公いろは歌 」AqG66e (goo.gl)

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      1. 麦粒 より

        子は親の鏡。顔色を良くしても健康にはならない。健康になれば顔色も好くなる。

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      1. 麦粒 より

        日本人は、表面的には随分変わってしまったが、一皮むけば、今も昔も何も変わっていない。いいところも悪いところも。変わってしまったのは、組織としての人の配置だ。上にいるべき者が下に、下にいるべき者が上に、という逆転現象が起きている。それを組み替えずに、全体を根本的に良くすることは出来ない。

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  5. 麦粒 より

    自らの意思で下った場合と、そうではなく滑り落ちた場合とでは、その後の行動は全く違ってくる。

    敗戦によって、対外戦争から内戦へ、硬い戦いから柔らかい戦いへ、激しい戦いから静かな戦いへ、見える戦いから見えない戦いへと移行し、現在もそれが続いているのだから、この困難な状況は当然のことだ。

    上杉鷹山でさえ、緊縮財政を放棄するまでに、領民をひどく苦しめた。今の日本は、「生活」という面ではまだまだ恵まれているので、その線での方向転換は難しいとも言える。一方現在、国民は「生命の危険」を強烈に突き付けられ、国家は「存亡の機」を迎えている。緩やかなデフレとそれらのどちらが深刻な問題かは明らかだ。その中で、これ以上なく重大なこの問題に真剣に取り組む者が多く現れれば、おのずと緊縮派との戦いも起こり、救国の思いが強ければ、その戦いを制することも可能になってくる。逆に言えば、これだけの危機に直面しながら、それに本気で取り組む者がほとんど現れないとなると、今後何をやっても全て無駄だ、ということになる。

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  6. 反孫・フォード より

    >波にさらわれて磯から落ちてしまった

    (昔の記憶が甦りました。)
     30年以上前に神奈川在住の頃、真鶴の岩場に行っての素潜りでのサザエ採りに先輩、同僚等に誘われたのですが、まったく採れなかった事を思い出します。
    潜ってからはただ波に揉まれて岩にしがみつきまた波に揉まれる、その繰り返しをしていただけでした。何も採ってないのに凄く疲れるのです。
    そして上がってから先輩、同僚等に言われて驚いたのですが、(岩に擦られたセイなんでしょう)痛みもないのに身体中が血まみれになっていたのです。
    しかし、何故痛みを感じなかったのか記憶がまったく無いんですよね。

     デフレ脱却をする為に構造改革に揉まれっぱなしで血まみれになりながらもまったく気づいていない、まさに頭だけの政府と身体に痛みを伴わされた国民のようでした。

     そんな話を繋げたことには無理があるのでしょうか。でもデフレのまんまで○○税の連発決定を許す政府。どちらがリアルなのかギャグなのかサッパリ判らない時代になってしまいました。

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  7. はっちゃん より

    無事生還されて本当に良かったです。
    それにしてもデフレとは、海に落ちていてすぐにでも這い上がらないといけない状態というわけですね。
    デフレは経済の病気だと言いますね。
    ご掲載のグラフを見ると、「日本」という国が20年間ろくに栄養も与えてもらえず病気で痩せ細った子供のように見えます。
    これには、怒るのが普通だと思います。

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