政治

日本経済

2024年5月28日

【室伏謙一】静岡県民は「マゾ」なのか?

 センセーショナルな題名ですが、何のことを書きたいのかと言えば、先日、5月26日日曜日に投開票が行われた静岡県知事選挙の結果のことです。久々に新人のみ、しかも6人が立候補しての選挙戦となりましたが、実質的には県の副知事も経験した元総務官僚の大村慎一氏と、元浜松市長の鈴木康友氏の一騎打ちでした。

 結果はご承知のとおり、鈴木氏が728,500票を得て当選しました。対する大村氏は651,013票。事前の調査結果からすると票差が開き過ぎているのではないか、という話もあり、これは調査の質の問題ではなく、調査では把握できない何か違う力が働いたのではないかとの考察もありますが、とりあえずそれは一旦置いておくとして、なぜ「マゾ」という話になるのか説明しましょう。

 今回の静岡県知事選、争点はリニアでもなければ地域間対立でも無ければ、与野党対決でもありません。当然のことながら、いわゆる「政治とカネ」問題も関係はありません。(宮澤博之元衆院議員問題は、地元の磐田や袋井辺りでは結構影響したようですが。)真の争点は、県政を県民の手に取り戻すこと。川勝県政で県民の手から特定の利益に絡め取られてしまった県民のための政治・行政を、まさに正常化することでした。

 そして今回、事実上の一騎打ちとなった候補のうち、鈴木氏はそれを踏襲する可能性が高いのみならず(出陣式でそのお方が演台の真横にどっしりと構えて座っていましたから、推して知るべしでしょうけれど。)、骨の髄まで染み渡った新自由主義者です。(もっとも、新自由主義政策やその手法について理解できているかというと、彼の発言を聞いている限りあまり理解出来ていないように思います。いってみれば、「カッコよく見えるだろうから新自由主義者」程度ということです。その手の輩は多いですが。)

 更に、彼が誇る、浜松市長時代の「実績」ですが、私が短編動画で解説したとおり、その中身は浜松を衰退させたこと、浜松の市民経済を縮小させたこと、です。(基本的にはとても「実績」とは言えません。衰退させたくてやったのなら、誰かに対しては「実績」かもしれませんが。)

 動画はこちらです。
https://www.youtube.com/watch?v=E5bCaF0GkIM&t=10s 

 対する大村氏は、まさに県民主義者。つまり、県民の手に県政を取り戻すことを掲げ、それを実行できる知見と経験を有する方。総務官僚としての地方行財政に関する完璧と言っていい知見、そして、霞が関の官僚として最も重視されるロジ、調整能力、更に県の総務部長、その後副知事の経験に裏打ちされた県職員との信頼関係や組織の行動様式に関する知見・経験、会派にかかわらず良好な関係を築くことが出来る経験や能力(どもこの能力を川勝前知事に妬まれて任期途中で本省に返されたのではないか、という話もあるぐらいです。)、と挙げればキリがないくらいです。

 つまり県民を向いた、県民のための県政をやってくれる知事になりうる人材だったということです。だからこそ、当初は泡沫候補扱いをされ、各メディアもテキトーに扱っていた大村氏が、気づけば鈴木氏を「猛追」、そして「一線横並び」や「激しく争う」にまで至ったわけです。

 ところが結果は鈴木氏が当選。浜松での「実績」を静岡県に広げると主張していましたから、今度は静岡県が衰退させられる憂き目に遭う可能性が高くなったわけですし、その他にも太陽光利権との繋がりも指摘されていますし、彼が知事になったら静岡県民にとってはロクなことがないというわけで、そんなことちょっと調べれば分かるだろうと思うのですが、自ら自分たちを苦しめる選択をしてしまったわけです。

 「マゾ」というのはそういうことです。もっとも同じようなことはこれまでに九州でも関西でも北海道でも起きてきていますから、今回の静岡県知事選はその転換点になるのではないかと思っていましたが、結局そうなりませんでした。

 ということで、一地方の首長選と片付けないで、しっかりと総括して、今後の地方政治に対する一つの警鐘とする必要がありますよ、というお話でした。

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【室伏謙一】静岡県民は「マゾ」なのか?への5件のコメント

  1. 蛙も鳴くんて アメずらよ より

    有権者がマゾだった、では分析とちゃうやろ。
    ホンマに先生、コンサルなんですかねえ。

    むか~し渡部昇一がテレビでええこと言うとった。

    自民党はうぬぼれてはいけない。
    自民党に投票した国民は、
    自民党が好きでたまらないからだとか
    自民党をぜったい正しいと信じてる訳じゃない。
    ほら、有名な川柳にもあるじゃないですか。

    「泣く泣くも良い方を取る形見分け」

    あれですよ、と。

    大村は典型的な組織型選挙で戦い、
    支持基盤ほぼほぼ固めとったのに、
    県中東部で得票を伸ばしたのに負けたやん。

    上川陽子が余計なこと言うたからですか。
    ノウ、ノウ、ノウ!
    大村陣営が有権者を舐め腐って
    リニア問題を一年で片をつけるなんて
    調子のいいこと言うたからと違いますか。

    ちょうど先生がマゾ扱いして見せたように。

    舐めたらあかん~ 舐めたらあかん~
    県民舐めずに これ舐~めて~
    (提供は、男を磨くノー○ル製菓でございました)

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  2. 利根川 より

    「選挙とはよりマシな方を選ぶもの」

    そんなことを言う人もいます。人によっても立場によっても何を良しとするかは違いますし、真剣に吟味した上での選択であれば何も言いませんが、私は自分も含め日本国民がそんなに真剣に選挙に向き合っているとは思えません。
     今回の静岡県知事選挙ですが、期日前投票などを含めた県全体の投票率は、午後7時半時点で34.24%と3年前に行われた前回の選挙より1.63ポイント下回っていたそうです。前回よりも選挙に行く人が減ったということも残念なところですが、6割以上の人が選挙に参加すらしていないというのはちょっと…
     静岡県知事選挙とは関係ありませんが、森永康平さんなんかはラジオ番組で

    森永康平さん「自民党の支持率はだいぶ下がっているという話ですが、一定の所から先はそれ以上(支持率が)下がらない」

    森永康平さん「いわゆる岩盤支持層というやつなんでしょうけど、支持する理由として『支持政党だから』というのはまだ理解できなくもない」

    森永康平さん「しかし、『総理の人柄が信頼できるから』というのは意味が分からない」

    このようなことを言っていました。
     まあ、岸田総理と言えば、総裁選の時には

    岸田総理(総裁選時)「令和の所得倍増計画です」

    こんなことを言っていたわけですが、選挙が合わると…

    岸田総理(総裁選後)「令和の”金融”所得倍増計画です」

    これでは詐欺もいい所です(苦笑い
     他にも、新自由主義からの脱却とか竹中平蔵さんとの決別とか、分離課税の見直しとか、いろいろ言っていましたが、今では全部なかったことになってしまっていますからね。くわえて、これは身内である自民党議員からも「やりすぎだ」と言われたそうですが、ご子息を秘書官につけてみたり、官邸で酒盛りをしてみたり、やりたい放題だそうで…

    「人柄が信頼できるから」

    森永康平さんじゃなくても「意味が分からない」というでしょうね。
     わたしは、日本国民がまじめに政治に向き合っているとはどうしても思えないんですよ。
     まあ、30年も経済停滞してなけりゃ私だって政治になんてかかわろうとは思わなかったと思います。日本人は政治が嫌いです。私も政治が嫌いです。政治にかかわるとたいていろくなめにあいません。でも、新自由主義にもとずく緊縮増税が続くかぎり日本の経済停滞は続くので、これだけは何とかしないと始まらないんですよね。で、日本は民主制国家なので、政治が嫌いな日本人にもしっかり政治に参加してもらわないと何も変わらないということで、まあ、選挙に行くようにお願いする以外ないんですよね~

    選挙に行ってちょ~ダイナってことです

    まあ、「お前なんかに言われてもなにも響かね~んだよ!」そうおっしゃる方もいるかと思います。

    インボイス制度を考えるフリーランスの会・小泉なつみさん

    どんぶり勘定事務所・神田知宜代表

    フリーランスユニオン

    安藤裕前衆議院議員

    立憲民主「日本の未来を創る勉強会」

    自民党「責任ある積極財政を推進する議員連盟」

    公明党「MMTを知ってほしい会」

    れいわ新選組

    緊縮増税をやめさせようという点については言っている内容は変わりないので、ご自身とフィーリングの合う方のお話をお聞きになればいいんじゃないでしょうか。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    山本議員「一方で、高齢者は金を持っている、そういうイメージがありますけど幻想です」

    山本議員「厚労省の調べでは(2022 国民生活調査)高齢者の貧困率は20%。5人に1人が貧困」

    山本議員「生活が苦しいと感じている世帯は48.3%。2世帯に1世帯は苦しいのが高齢者」

    山本議員「不況が30年続いて、世代間の分断を煽る発言があふれてる」

    山本議員「でも、高齢者の負担を増やしたところで若者は楽にはなりません」

    山本議員「高齢者負担が上がっても『若者の社会保険料をどれだけ安くできるか』って議論、聞いたことないですよ」

    山本議員「消費税を社会保障に(使う)と言いますが、消費税10%にまであげても保険料は上がり続けてる。どうしてですか?」

    山本議員「政治のデタラメさがよくわかる」

    山本議員「何が言いたいか、不毛な世代間対立を煽るなということ」
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    このまま経済停滞が続くと民主制自体が維持できなくなる恐れがあります。立場の弱い者を叩いて留飲を下げるという不毛なことに力を使っているくらいなら、選挙に行って緊縮増税をやめさせることに力を使った方がよほど前向なんじゃないでしょうか。 

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  3. 利根川 より

     国会で、「企業献金の禁止」についての質疑がありましたので、これについてちょっとお話しておこうかと。
     自民党としては、企業も政治に参加する権利があるので企業献金を禁止することは考えていないとのこと。裁判の判例でもそのような判例があるということですが、その判決を下した裁判官曰く

    裁判官「この判決、べつに『裏金』やっていいっていう判決じゃねーから」

    ということでしてね。くわえて、「問題があれば禁止するなり取り締まるなり国会で法律をつくってくださいね」という付帯文書もついているそうで…企業献金、禁止する法律つくったらいいんじゃないですかね?
     さて、日本の実質賃金は1997年をピークにひたすら低下を続けてきましたが、これには明確な原因があります。くわしくは、本多慎一さんの記事を読んでいただきたいのですが、

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ・「日本企業から株を奪って外国人投資家様に差し上げたい」とは言えないので、「企業のコーポレートガバナンスが働かない」とか専門家っぽいことを言って持ち合い株式をやめさせた

    ・株を持っているのが日本企業から外資などの機関投資家がメインになったので「配当金をもっとよこせ(最終利益を膨らませろ)」とせっつかれるようになった

    ・配当金を捻出するため仕入れコストを切り詰めねばならなくなった(下請けいじめ

    ・配当金を捻出するため人件費もカットせねばならなくなった(大企業などで労働分配率低下

    ・経団連などの要望により、人件費カットのために小泉政権などで製造業での非正規雇用が解禁された(未婚増加・少子化の主因

    ・独禁法改正により、いわゆる持株会社の設立が解禁。儲かっている企業でも、子会社化して賃金水準を抑制

    ・法人税の減税と、その穴を埋める輸出補助金である「消費税の増税」(需要減退、実質賃金低下

    ・法人税が下がったことによって節税(給与アップ)の必要がなくなる(内部留保
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    現在の長期経済停滞はすべて政治によって引き起こされてきたものだということですね。原因が政治(システム)である以上、

    「国民一人一人がやれることを懸命にやればうんたらかんたら」

    という根性論では改善しないということです。やれることをやれというのであれば、まずは政治(システム)のメンテナンスを頑張りましょうねということです。
     日米構造協議や年次要望改革書など、外国から要求されたことを丸呑みしてしまう日本ですが、それがどうしてなのかというと、三橋さん曰く

    三橋さん「日本には主権がないから」

    三橋さん「日本のどこに米軍基地を置くのかを決めているのは日米合同委員会(米軍)」

    三橋さん「日本の法や憲法よりも上位の存在が日米合同委員会」

    三橋さん「歴代の総理はそれを誤魔化してきた」

    三橋さん「国民に嘘をついてきたわけですが、アメリカは『知る権利』のため、30年経つと公文書を公開してしまうのでバレる(笑」

    三橋さん「国民に嘘をついていることがバレるのは時間の問題なのに隠したいらしく、軍事以外の交渉(経済)でも譲歩せざるを得なくなる」

    アメリカ通商代表(USTR)「日本の歴代総理が国民に嘘をついてきたのをバラされたくなけりゃ、この条件のむよな?」

    ということでした(苦笑い
     
    これらのことについては外務省・宮本慎吾参事官が2023年3月2日・参議院・予算委員会・山本太郎議員の質疑にていろいろ答えてくれているので一度ご視聴ください。

    さて、問題はこれだけではない。
     非正規労働の解禁や外国人技能実習制度(育成就労制度)の導入、輸出補助金である消費税の導入や法人税の減税など、財界にばかり有利な法律があまりにも目立つようになっていますが、それがどうしてなのかというのがコチラ⇓

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    1993年 金丸事件、ゼネコン汚職事件で自民党が選挙で敗北(年間100億を超える財界マネーが途切れる

    2002年 奥田碩氏(トヨタ自動車)が経団連会長に就任し自民党への献金を再開。「政策評価方式」を導入

    ※政策評価方式とは、財界が望む政策についての各党の取り組みを検証し、経団連加盟企業はこの政策評価に応じて各党に献金する、というもの

    2009年 御手洗富士夫(キヤノン)・経団連会長が鳩山由紀夫総理と会談し政策評価方式を取りやめることに。経団連による政治献金斡旋停止

    2012年 米倉弘昌(住友化学)経団連会長が政策評価方式を復活。榊原定征(東レ)会長時に政治献金再開

    ※総務省によると、この時、自民党の政治資金団体に対し、23億円の企業・団体献金が行われている

    『日本をダメにした財務省と経団連の欺瞞(小学館)』P165より抜粋

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    23億円も貰ったら、そりゃあいうこと聞きたくなるでしょうね。個人献金では張り合えない額ですわ(苦笑い
     
    第15条〔公務員の選定罷免権、公務員の本質、普通選挙の保障及び投票秘密の保障〕
    すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

    とのことですが、事実上、日本の政治家は財界(一部)の奉仕者になっちゃっているので、これについてはバランスをとる必要があるのではないでしょうか。
     ところで、経団連の言う「政策評価方式」ですが、それがどんなものかというとコチラ⇓

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    「主要政党の政策評価」

    <2019自民党の政策評価>

    財政健全化・社会保障制度改革 取り組み・実績

    ・消費税を10%に引き上げ、全世代型社会保障の構築と財政健全化に取り組んでいる

    ・健康寿命の延伸など、予防・健康作りを推進している

    ・「骨太の方針2020」において、給付・負担の在り方を含む社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめることとしている

    ・2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指すと同時に、債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指すことを堅持することとしている

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    お分かりいただけるだろうか。経団連の財政に対する考え方は、財務省の緊縮至上主義そのままなのです。
    それもそのはず、財務官僚は経団連のトップに対し頻繁に「ご説明」を繰り返し、経団連の重鎮たちは彼らの意向を受けて「政策評価」を行っているからだ。
    まあ、財務省を何とかしないと駄目だということですね。そのためにも、財務官僚に軽く転がされるような政治家を選ばないようにしないと駄目だということです。 

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  4. 利根川 より

     能都半島の瓦礫撤去が進まない理由の一つとして、自治体職員の人手不足や地元建設業者の人手不足もあるようですが、土地建物の所有者が不明で確認が取れず、自治体が軽々に手を出しにくいということがあったようです。
     どうして土地建物の相続がうまくいかず所有者不明になってしまっているのかというと、最近ではTVでも報道されているように

    ”100円で買える家”

    こうだからです。
     どういうことかというと、土地や建物を相続してしまうと固定資産税や相続税がかかるため親戚中で押し付け合いの末、所有者不明になる物件もあると…(苦笑い
     もっていると固定資産税がかかるので100円でもいいから手放してしまいたいという人もいるようですね。日本は中華人民共和国と違って「所有権」はあるはずなのですが、事実上、政府に「借り賃」を払って借りているような感じになっているということです。くわしくは、

    安藤裕チャンネル 【玉木雄一郎氏に物申す】相続税の弊害を知ってほしい

    をご覧ください。
     相続税というと一部の超富裕層以外関係がないかのように思われがちで、実際、昔はそうだったわけですが、平成25年税制改革によって現在では普通の戸建てに住んでいる人のところにも相続税がかかるようになっています。中小企業で事業承継がうまくいかない原因の一つでもあります。
     ちなみに、自治体職員の人手不足、建設業者の人手不足ですが、「既得権益の打破!」ということで、「甘やかされている公務員の数を減らせ」とか、「公共事業は悪」とか、一連の構造改革によってもたらされたものです。むろん、それを煽っていたのは政府の支出を減らしたい財務省とその親派であるTV新聞です。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    <建設業就業者数の推移 出典:国土交通省>

    1997年建設業者数 685万人
    2022年建設業者数 479万人

    <地方公共団体公務員数 出典:総務省>

    1994年 328万3493人
    2022年 280万3664人(この内25%は非正規雇用
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    まあ、日本国民は財務省とメディアにのせられて自分で自分の首を絞めてきたというわけですね。ノリがよすぎるのも考え物です(苦笑い
     安藤さんは相続税によって中小企業の事業承継がうまくいかず、日本の生産能力が減少しているという話をしています。ところで、積極財政派(本物)が口を酸っぱくして言ってきたのは

    ”貨幣発行の担保はその国の生産能力”

    ということでした。
     生産能力が低い国が自国通貨を発行するとどうなるのか、それがコチラ⇓

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    <財政破綻のプロセス レバノンの例>

    1、複雑な宗教勢力による政治闘争や内戦などで治安が悪い(いつ何時、政府が消し飛ぶか分からない)

    2、そんな危ない所にわざわざ工場建てたりしないので、生産能力が低い

    3、生産能力が低いので国民が必要とする品物を国内で生産できない←財政破綻の原因

    4、国内生産できないので国民が必要とする品物は海外から買う(輸入する)

    5、外国の輸出業者はレバノンに住んでいるわけではないので支払われたレバノンポンドをドルに両替する

    6、レバノンポンドがどんどん外貨に両替されていくので、レバノンポンドがケツを拭く紙の代わりに使ってもいいくらい余る

    7、あまりあるレバノンポンドだが、レバノンポンドを持っていてもレバノンポンドで手に入る商品やサービスが少ないのでレバノンポンドの価値が下がる

    8、最初、1ドル1500レバノンポンドで交換されていたものが、レバノンポンドの価値が下がったことで15000レバノンポンドださないと1ドルと交換してもらえなくなる

    9、昔は輸入物の1ドルチョコレートは1500レバノンポンドで買えたのに、15000レバノンポンド出さないと買えなくなる(インフレ率急騰)

    ※輸入に頼らざるを得ない国なのに輸入価格が上がる

    10、インフレを抑えるためレバノン政府は手持ちのドルを使って余りまくってるレバノンポンドを回収して1ドル1500レバノンポンドを維持する(固定為替相場制)

    11、手持ちのドルが尽きる

    12、手持ちのドルが無くなってしまったのでドル建て国債を発行する(外国からドルを借りる)

    13、レバノン政府はドルを発行することはできないので、借りたドルでレバノンポンドを回収する作業を続けると借りたドルを返せなくなって財政破綻する

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

     昔の貨幣は金貨銀貨など貴金属を材料に作られていたので、貨幣の発行はなかなか増やせませんでした。ところが、現代の貨幣は紙(現金紙幣)あるいは預金通帳の預金残高(ただの数字・デジタルデータ)にすぎないので、増やそうと思えば即座に増やすことができます。では、その貨幣に価値があるのはどうしてなのか、

    ”納税以外の理由をあげれば、その貨幣で手に入る商品やサービスが多いから(生産能力)”

    というわけです。その国の貨幣を持っていても、その貨幣で手に入る商品やサービスが何もなければ、そんなものに価値はないでしょう。貨幣の価値を担保するのは納税の他、その国の生産能力というのはそういう意味です。生産能力が低い国が自国通貨の発行を増やすから財政破綻するということですね。
     さて、日本の自称有識者たちがこの40年間なにをやらかしてきたのかというと

    ”お金がもったいないから投資(政府支出)を減らそう”

    ということでした。
     先ほども説明したように、現代におけるお金(貨幣)などただの紙、あるいはデジタルデータ(銀行預金)にすぎないので、増やそうと思えばいくらでも増やせるわけです。そんなものを惜しんで投資を減らし、生産能力を削ってきたというのは万死に値するのではないでしょうか。
     ちなみに、生産能力というのは高い需要がないと維持できません。当たり前です。誰も欲しがらない物を作っても売れませんから。増税は人々からお金を取り上げ、需要を減らします。すなわち生産能力も減らします。「需要が多すぎる」時に増税をして生産能力を需要に追い付かせるのなら話は分かりますが、日本のポンコツエリートたちは

    「需要が少なくて困っている時に増税をして需要と生産能力をさらに減らした」

    わけです。
     これをやっているのが私のようなアホならば「アホなんだから仕方ない」で話はすみますが、日本国民の中でも特に熱心に教育を受けてきたエリートがこんなマヌケなことを繰り返しているようでは…努力してコレ(失われた30年)って余計にまずいぞ、わかってます?
     なにやら保守界隈では自民党から離れて真の保守党をつくろうとかいう動きがあるようですが、ここら辺のことが分かっていない人は最終的に売国政策をやるようになります。

    自称・真の保守「将来の国民のために技術投資や災害対策をする!防衛や食料自給率も高める!」

    財務省
    「財源はどうするんだ!」

    自称・真の保守
    「財源!?あ、あ、じゃあ、防衛費を削ってその分で食料自給率を…」

    防衛相
    「防衛費これ以上削ってどうすんねん!戦闘機に車庫すらなくて錆錆やっちゅうねん!」

    真の保守(自称)
    「あ、あ、じゃあ、農業関連予算を削って防衛費に…」

    農協
    「すでに食料自給率38%にまで低下してるんですけど…肥料や種(苗)も海外から輸入しているものが多く、何かあれば今以上の輸入物価高騰になやまされることになりますよ。そもそも、有事の際に何を食って防衛にあたるつもりなんですかねェ~」

    秦の保守
    「あ、あ、じゃあ、技術投資をやめて…」

    経産省
    「やめてどうするの?ついこの間も半導体不足で困ってたのに何も学んでないの?」

    清の保守
    「じゃあ、災害対策やめて…」

    被災地
    「アホなの?」

    真の保守(売国奴)
    「わかった、じゃあ、インフラを民営化しよう!外国人様に日本の水道や鉄道を買っていただいて、そのお金で…」

    国民民主の玉木さんも結局は貨幣について何も理解していなかったということなんでしょうね。まあ、あの人の場合は、何が正しいとかそういうことではなく、状況によって有利な方につくという感じなのであまり気にしても仕方ないとは思いますが…まあ、残念です。

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  5. 利根川 より

     ソ連でよく使われていた手口が

    ”国民同士をいがみ合わせる”

    というもの。独裁者に国民の敵対心が向かないように国民同士を喧嘩させておくというものです。この手口、財務省やTV新聞も使っています。
     
    財務官僚「ぼくの出世(保身)のために増税がしたいし政府支出も減らしたいです」

    このような本音を言ってしまえば財務省は批判を免れないので、

    財務官僚「無駄な公共工事ばかり繰り返す悪しき慣習を正すべきだと思いませんか!」

    国民「そうだ!公共工事は悪!土建屋をつぶせ!」

    こうやるわけだ(笑
     まあ、今現在、建設業者が足りなくて四苦八苦してるのはこの時に建設業者を減らしたからなんですけどね。
     最近も、

    財務省「高齢者のせいで若者は苦しんでいる!若者のためにも高齢者負担を増やすべきではありませんか!?」

    若者「そうだ!高齢者を殺せ!」(成田悠輔氏参照)

    こんな感じですからね。世帯主が65歳以上の世帯の消費の支出が全世帯の消費に占める割合は、直近2023年で39%ということで、この消費がなくなったら商売あがったりでしょうに(苦笑い
     悪いのは高齢者でも若者でもないし、お金持ちでも貧困層でもない、経団連でも労働者でもない、

    「じゃあ、誰が悪いっていうんだ!」

    「需要不足の時に緊縮増税を繰り返してきた財務省が悪い」

    ノリのいい日本国民ですが、毎回同じ手口に乗せられるのではただのアホです。6月の「骨太の方針」に向けて財務省のプロパガンダが激しくなっているようなのでご注意ください。

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