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2024年5月28日

【藤井聡】「岸田首相がなお執念を燃やす会期末解散」という某記者の記事に書かれた「一言」が暗示する岸田文雄の恐るべき精神構造

大阪の朝日放送の「正義のミカタ」は、今年の4月で10周年となりましたが、この番組に出させて頂いていると、毎週テーマにあわせていろんな「専門家」の先生方が出演されており、この番組を通して実にたくさんの方々にお目にかかることができました。

番組は9時半~11時の生放送なのですが、番組前の楽屋では皆さん一緒で、あれこれお話ししていると大変勉強になります。

ロシア専門家の中村逸郎さんや、経済学の高橋洋一さん、経済がご専門で韓国についていつもお話しされる朴一さん、中国がご専門の石平さん、政治解説の青山和弘さん、社会学の西田亮介さん、海洋研究者の山田吉彦さん等、この番組を通して初めてお目にかかった方、この番組を通して深くお付き合いさせて頂くようになった方等、実にたくさんの大変有り難いご縁を頂いています。

例えば最近では、次号の表現者クライテリオンの「自民党」についての特集号では、西田亮介さんに初めて原稿をご依頼させて頂きました。

そんなご縁を頂いたいろんな先生方のお一人が、「永田町の化石」と呼ばれる政治記者、泉宏さんです。

泉さんは、田中角栄の番記者時代から半世紀以上も政治記者をやっておられて、歴代総理皆さんを取材されたご経験をお持ちの方。政界の実情を日本で最もよく知る人物のお一人です。例えば現在の総理の岸田文雄さんとは岸田さんがお若い頃から、ご両親も交えた家族ぐるみのお付き合いをされているとのことで、普段我々がメディアでは絶対に触れることのできないたくさんの情報を持たれています。

もちろん、いくら記者だからといって、知っている情報を全て記事に書いたりテレビで言ったりなどすることはできません。そんな事をしてしまえば、その日以降、誰も情報を提供しなくなってしまうからです。

政治記者において何よりも大切なのは、政治家や関係者との間の「信頼」であって、この信頼があるからこそ、誰も知り得ない大量の情報を有能な記者の皆さんは集められるわけです。そして、その信頼の源は、言うべき事は言う一方で、言ってはならないこと言わない、という振る舞いにあるわけです。

…ですが、政治家が記者に書かせたいことだけを書いているようでは、政治家の信頼は得られても、今度は国民からの信頼を失う事になります。というより、記者としての意味がありません。記者、というかマスメディアの使命は腐敗の抑止にあるわけで、政治家に対する監視と批判は、メディアの責務です。

このあたりのバランスが政治記者において最も重要なポイントになっているわけです。

ちなみにこの「バランス」の話しは、表現者クライテリオンの最新号「不信の構造、腐敗の正体」の松林薫さんの記事『過剰な「透明性」がメディアを解体する―権力との「癒着」は腐敗なのか』にて詳しく解説されていますので、是非、ご一読になってみてください。

 


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さて、そんな「バランス」をとるにあたって何よりも大切なのは、「批判の仕方」です。罵詈雑言をあびせかけるような批判はそれは誹謗であり中傷となりますので、どれだけ政治家が酷い事をしていても、記者の方は慎まねば成りません(このあたりが、言論人と記者の最大の違い、ですねw)。

しかし、そういう誹謗中傷を避けながらでも、あくまでも事実を積み重ねながら、当該の政策が如何に酷い物なのか、当該の政治家が如何に信頼できぬ人物なのかを「浮かび上がらせる」ことが必要なのです。

いわば、馬鹿な政治家ならば、一見批判されているように見せかけないようにしながら、読む人が読めば、馬鹿な政治家が如何に馬鹿なのかがくっきりと分かるようにしていくことが必要なわけです。

というような事が、泉さんと楽屋であれこれお話しさせて頂いていることをとおして、手触り感のある形で実感的に深く理解することができたりしたわけです。

ですから当方は泉さんが「執筆」されている記事を読むのが、当方はルーチンにしております。というのも、以上のような背景を踏まえながら泉さんの記事を読むと、泉さんの記事には、我々の知り得ない大量の暗黙の情報が存在することの暗示がたくさん埋め込まれていることが見えてくるからです。

…ということで、例えば、泉さんの最新の記事はコチラ。
『裏金事件再発防止の法改正で「与党内対立」の混乱:自民独自案にも批判噴出、会期内成立に暗雲』
https://toyokeizai.net/articles/-/755649
(ちなみに泉さんは東洋経済で連載をお持ちで、上記記事は書き連載の最新号です:https://toyokeizai.net/list/author/%E6%B3%89+%E5%AE%8F

この記事を読むと、例えば、こんな表現がでてきます。
「岸田首相がなお執念を燃やす会期末解散」

これは、岸田総理が本国会の会期末に「イチかバチか解散」を行って、ラッキーにも過半数がとれたら、また三年、総理がつづけられる目がでてくる…だから、自民党が下野するリスクなんて度外視して、自分が総理を続けるためだけに解散をやろうと考えている…と当方含めた政治評論をする人々が口々に「推察」してきた話しが、

「実際に、岸田文雄はそう考えている」

ということを明らかにする、恐るべき一言です。

無論、それは当方の勝手な解釈ではありますが、泉さんがここまで書く、ということは、単なる推察、邪推の類いではありません。総理ご本人を含めた、関係者から膨大な証言、発言を耳にしながら、それを全て書かないまでも、「岸田首相がなお執念を燃やす会期末解散」と断定して書いているということは、その証言が全て岸田文雄は解散をしようと必死になって考えているということが「事実」であることを裏付けているわけです。

当方はこの一言を見てから、例えば某番組で政治家をゲストにお呼びするかどうかを考える際に「政治家を呼ぶのは辞めよう」と即断しました。政治家を呼んで解散となってしまえば、その番組が放送できなくなってしまうからです。

…ということでなんにしても、あの岸田という方は、大方の人々が想像する以上に「自己中」な方だといえそうですね…自民党の総裁のくせに自民党をぶっつぶしてまで、藁をもすがる思いで、イチかバチか解散に打って出ようとしてるわけですから…

…ということで、当方、上記記事を通して、改めて、岸田の恐るべきその精神構造のおぞましさをさらにさらに確信するに至ったわけです。

…ということで、皆さんも是非、政治記者さん達の記事には、こんな角度から読んでいく、という読み方もあるんだなぁということを、頭の片隅にでもおいておいて頂ければと思います。

では、また来週…。

追伸1:「政治の裏側」を直接書いてくれる人はあまりいませんが、いろんな情報に触れていると、手に取るように分かるようになってきます。例えば、下記記事もその一例。
『外国人から見た日本のパー券騒動の本質:「わずかな金でも義理堅く利益誘導してしまう自民党政治家の生真面目さ」によってパー券を買った外国人・大企業・医師会らに利益が誘導されている事態こそが、本題の本質である』
https://foomii.com/00178/20240524093130124494

追伸2:そういう「政治の裏側」について考えていると、政治家達のそれぞれがなぜ、そんな発言をしているのかの理由も、スッキリと見えてきます。
『【Q】なぜ前原・馬場・嘉田の3氏は北陸新幹線米原ルートを主張するのか? 【A】国益のための国家プロジェクトへの反対は民主党系&緊縮系議員のお家芸だから』
https://foomii.com/00178/20240520163824124325

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