こんにちは。表現者クライテリオン、編集長の藤井聡です。
ベトナムがこの度、不況が続く現状に対する打開策として、消費税を2%減税することとなりました。これは、現状10%の付加価値税(名称は異なるが基本的に消費税と同様のもの)を8%に、期限付きで引き下げるというもの。
ちなみに、ベトナムでは昨年も、新型コロナ流行の影響を受けた事業者や消費者を支援するため、2月から12月まで付加価値税を8%に引き下げるという事を行っておりますので、今回の差配は、昨年の取り組みの継続となるものです。
ここで注目すべきは、この案を提案しているのが、ベトナムの「財務省」だという点。政府によれば、「消費・需要を刺激して生産と事業の回復を促進し、経済回復を目指す」とその目的を述べているのですが、このことからベトナムの財務省は、税制が経済に直結するものであるという認識を持ち、経済を回復することそれ自体をも、重要な政策目標として認識していることが明確に浮かび上がります。
この点は、日本の財務省が、
1)ただ単に短期的な税収を上げる緊縮財政を続ける事だけを政策目標として掲げ、
2)その増税・緊縮のせいで生ずる経済ダメージなどには「ほっかむり」(無視)し、
3)「経済成長は、財務省の所管ではない、俺たちはカンケーねぇ」とうそぶきつつ
4)その経済ダメージの対策を含めた経済成長対策は「民間や他省庁の責任なのだ~」と全て他人に押しつけている、
というすさまじくおぞましい無責任体質の実態とはかけ離れた立派なものだと言うことができます。
日本の場合は、こうした財務省の「成長や衰退の話は我々には関係ない」という頑なな態度に、首相官邸が「対抗」するために、財政と経済の問題を一体的に議論する場として、首相官邸が「経済財政諮問会議」を設置しているのですが…この会議も実態上、財務省の影響を色濃く受けており、財務省の「成長や衰退の話は我々には関係ない」頑なな態度に一切風穴を開けることができてはいないのが実態です。
しかも現在の首相官邸は、財務省出身の代議士をブレインに多数抱え、しかも、財務省の影響を濃密にうける宏池会の領袖である岸田氏が総理大臣ですから、財務省の意図に対抗する政治学的モーメントがほぼほぼ失われてしまっている状況にあるのです。
日本人は、このベトナムの様な政治運営を是非とも学んでもらいたいと思います。
また、今回のベトナムの決定について、以下の点も重要ポイントとして指摘することができます。
それは、ベトナム政府が「これはヤバい、低くなりすぎだ…」と判断した実質成長率(本年第一四半期前年同月比)が、3.32%もある、という事実です。ちなみにベトナムにとって、この水準は「ウィズコロナ政策に転換した21年の第4四半期以降、最も低い成長率」だそうです。
ここでこちらのグラフを見てください。
これは、日本が消費税増税をした1997年から今日までの25年間の同様の成長率(実質成長率、四半期前年同月比)のグラフです。
ご覧の様に、その成長率は、25年間の平均でわずか0.59%しかないのです。リーマンショックはコロナ不況で大きく転落した際の反動で一時的に大きな数字になることもありますが、それを除けば、ベトナムが「最悪だ」と判断した3.32%に届いたことなど全くといっていいほどないのです。
ちなみに、実質でなく「名目」の値に着目すると、日本の平均成長率は0.16%という、信じがたいほどの低い水準です。
(ちなみに、名目の方が実質よりも低いのは、物価が下がり続けるデフレ状況だからです…つまり、日本の0.59%の成長の大半、具体的に言うなら7割以上もが(73%=1ー0.16/0.59)、本当の意味での成長ではなく、物価が下落した事による「見かけ上の成長」なのです。要するに何も成長していない…というのが我が国のこの25年間だったのです)。
…この問題に少しでも真面目に取り組もうと思った総理大臣は、当方は安倍晋三氏を置いて他におりません。もちろん、安倍氏ですら、(財務省の圧力のせいだと本人が回顧されていますが)二回も消費増税をしてしまったこと、そして実際にベトナムにとっては「最悪」の水準に過ぎない3%強すら実現できなかったことを考えれば、その真剣さは十分なものではないとはいえるでしょうが…
いずれにせよ、岸田総理をはじめとした日本の中枢部には、驚くほどに、この低い成長率についての危機感がないのです。
放置すれば取り返しのつかない事態になってしまう程の重篤な病を患い、普通の人ならとっくに病院にいって抜本的な治療を受ける状況にあるにもかかわらず、「今日は何をしようかなぁ」とヘラヘラしながら日常を過ごしている馬鹿……我が国日本は今、そんな愚者中の愚者の状況に25年間あるのです。
これこそ、昨今ニュースを騒がすあらゆる国家的問題の根本にある、最大の問題です。
日本政府も、ベトナムはまだまだ日本のGDPの10分の1のちっちゃな国だと馬鹿にする前に、彼らの政策合理性を少しでも学んで、日本国民のために、ちょっとくらいは真面目な政治をやってもらいたいと…思います。
とはいえ…そうどれだけ強く「思った」ところで、馬鹿は死ぬまで…どころか死んでも治らないのだとは思いますが…誠に残念な状況ですね…。
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本日より5類引き下げ!…ですが西浦氏は未だ「まだまだコロナを恐れよ!」と発言。その発言正当性を是非皆で冷静に吟味しましょう。
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コロナが5類になっても、岸田政権は医師によるコロナ患者の「拒否権」を是認…この行政判断は(応召義務を定めた)「医師法」違反である!
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久方ぶりの熊野詣。その衰退の現実を目の当たりにしつつ、その回復のために何が必要なのか、そしてそれが何故必要なのかを、考えてみました。
https://foomii.com/00178/20230506002107108733
『加速する移民政策』 ~「無為無策の無能総理」という汚名を返上したい岸田氏。焦って何かやればやるほど日本の自滅が確実化。
https://foomii.com/00178/20230504145626108700
岸田発言が「私が進める新しい資本主義の最重要課題は賃上げだ」と発言。だったら、新しい資本主義とか言う前にまず「社会保険料」と「消費税」を引き下げろ!
https://foomii.com/00178/20230503215836108685
岸田発言が「私が進める新しい資本主義の最重要課題は賃上げだ」と発言。だったら、新しい資本主義とか言う前にまず「社会保険料率と消費税税引き下げろ!
https://foomii.com/00178/20230504145626108700
政府/財務省による国民負担増で、私たちの平均的な所得は「131万円」も減ってしまいました。
https://foomii.com/00178/20230502140023108640
【藤井聡】ベトナム2%消費減税へ ~ベトナム政府よりも遙かに愚かな日本政府の実態~への8件のコメント
2023年5月11日 12:33 PM
自公政権に消費税減税を説くのは
鯨に空を飛べというのと 同じこと
自公政権が永遠に続くなら
消費税は 永遠に上がり続け
国力は限りなく 下がり続ける、、
では どうするか
推して知るべし なのだ ♪
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2023年5月11日 9:23 PM
安倍晋三回顧録が出版されてから自称保守系の支持者の間で
安倍総理がいかに財務省と戦ってきたのか
ということが知れ渡ってきているそうです。正直、2度も消費増税を行い、相変わらず構造改革を続けてきた人が何を言っているのかと思わないこともないわけですが、元大蔵事務次官の斎藤次郎さんは
斎藤次郎さん「そんなに嫌われているとは思わなかった」
ということで「文芸春秋2023年5月号」に「安倍晋三回顧録に反論する」という記事を寄稿しています。
ここで事実確認ですが、
我々が使っている一万円札は、使っている我々国民にとっては一万円分の「資産」ですが、それを発行している日銀にとっては一万円分の「負債」である
これは日銀のバランスシート(貸借対照表)でもそのように記載されているので単なる事実です。
つまり、一万円の資産が生まれるとき、必ず一万円の負債が生じる。一万円の負債が消滅するとき、必ず一万円の資産が消滅する。
現代の貨幣経済は、資産だけを増やすことはできないし、負債だけが増えることもない
ということです。2022年1月15日に行われた大学入試共通テスト「倫理・政治・経済・問4」が解けた人ならわかる程度の簿記レベルのお話です。誰かの赤字が誰かの黒字というわけですね。
さて、斎藤次郎さんは「安倍晋三回顧録に反論する」の中で
斎藤「入省して(1959年)、徹底的に教え込まれたのは、財政規律の重要性でした。『財政の黒字化は当たり前に事でなければならない』、『赤字国債は絶対に出すな』…毎日に用に先輩から言い聞かされました」
と発言しています。
「財政の黒字化は当たり前でなければならない」ということは、「民間は常に赤字でなければならない」ということです。主流派(緊縮増税派)の経済学者ですら
全体の収入に対する負債の割合(債務対GDP比)
を問題視しているわけです。要は、1000万円借金しても1500万円稼ぎ出せているならいいじゃないかというお話。なのに、斎藤さんをはじめとする財務官僚たちは
政府は絶対に黒字でなければならない
と言っているし、それを脈々と受け継いできたとも言っているわけです。つまり、財務官僚たちは初歩的な簿記や経済の知識すらなく仕事をしてきたということになります。
令和新選組や鈴木宣弘教授が指摘するように日本の政治は外国からの影響力が非常に大きいという問題点がありますが、財政政策に関してだけは「外国からの影響のせい」ではなく、財務官僚に知識がないせいだったということになります。
西部邁「なんで法学部の奴が財務省に入ってるのか。法務省に行きなさいよ」
念のために言っておきますが、斎藤次郎さんの寄稿を読む限り、彼ら財務官は正義感と使命感に満ち溢れている人達であることは確かなので、悪人ではないのだと私も認識を改めることになりましたが、残念なことに知識が足りてなかった。
正義感はある、知識はない
正義感をこじらせているウンヌンというセリフは財務官僚に言ってあげてくださいな。
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2023年5月11日 9:42 PM
ちなみに、これも単なる事実ですが、どこの国も基本的に負債は増加し続けています。
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池戸万作さんによる21世紀のG7諸国の政府総負債の増加率
出典:IMF、World Economic Outlook datebaseより作成
2001年を100として算出
2001年~2018年
<G7諸国の政府総負債の増加率>
イギリス 474.5
アメリカ 384.9
フランス 258.1
カナダ 215.6
イタリア 170.3
日本 169.5
ドイツ 160.7
日本のクニの借金はドイツに次ぐ低い増加率なのである。17年間で約1.7倍程度にしか増えていないのである。対して、先ほど示したアメリカは384と4倍近く、イギリスに至っては5倍近くまで膨れ上がっているのである。増加率だけで見れば日本よりも、アメリカやイギリスの方が、ずっと財政が悪化している国と言えてしまう。
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先ほど「一万円札というのは、それを使っている国民にとっては1万円分の資産だが、それを発行している日銀にとっては一万円分の負債」と解説しました。これは簿記レベルの話で単なる事実です。つまり、
お金とは負債
なわけです。
畑を広げたら使う水の量も増やす、経済が成長したら発行する貨幣の量も増やす。世界の国々の負債が増加し続けるのは当たり前のことなのですよ。急激に増えたりすると問題は出ますけどね。
で、これを言うと
「負債はいつか返さなければならない!」
という人が出てくるわけですが、日本以外で自国通貨の借金を返済している国(一般会計予算に債務償還費を含めている国)などないのですよ。
くわしくは、森永康平のビズアップチャンネル第103回
をご覧ください。これも単なる事実です。いやだって、自国通貨の借金の返済をするということは、自国通貨を消滅させるということで、わざと経済規模を縮小させるということになるわけです。なんでわざわざそんなことをする必要があるのかと。金本位制や固定為替相場制じゃあるまいし
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2023年5月12日 2:02 PM
負債が増加していいのはGDPも増加している国に限る。日本は例外。
こんなこともわからない馬鹿が日本にいるとは驚き。
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2023年5月12日 9:30 PM
現代のマクロ貨幣経済は、資産だけを増やすことはできないし、負債だけが増えることもない
投資をしないで稼ぎたい(負債を増やさずにGDPを増やしたい)とか無理ですぜ(苦笑い
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2023年5月12日 9:49 PM
経済成長とは、GDPが増えることです。他に定義はありません。
GDPは支出面で見ると、
◇GDP=民間最終消費支出+政府最終消費支出+民間住宅+民間企業設備+公的固定資本形成+在庫変動+純輸出
になります。
純輸出とは、=財・サービスの輸出-財・サービスの輸入、です。
上記は「統計」であるため、
「政府支出(消費、投資)を増やせば、GDPは成長する」
「輸入が増えれば、GDPは減る」
<新世紀のビッグブラザーより抜粋>
ということで、政府支出を増やさないから(負債を増やさないから)GDPが増えないわけですよ。
「政府の負債は増えている」
という方もいますが、上でも言ったように日本の場合は諸外国では一般会計予算に含めていない債務償還費を入れてしまっているので負債が増えているように見えるというだけで、投資は増やしてないんですよね。
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29兆円の財政赤字(国債発行残高の増加)となった以上、反対側で民間が同額の黒字(資産増)になっています。
それにしても、最近の財務省はついに政府短期証券も「国の借金」とやらに含めることにしたようですね。
新世紀のビッグブラザーより
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2023年5月13日 9:07 PM
詐欺とは:他人をだまして金品などを奪ったり損害を与えたりする犯罪行為
かつてこんなやり取りがありました。
緊縮増税派議員「イギリスの消費税(付加価値税・標準税率)17.5%、ドイツは19%、イタリアは20%、スウェーデン25%!日本はたったの10%で文句を言うなど甘ったれている!」(2010年当時)
私「アイエエエ~」
緊縮増税派議員「日本はヨーロッパにくらべて消費税は低いのだから、まだまだイケんよ!消費税15%目指すぞコラ~」
私「コワイ!」
藤井教授「日本の場合、数字こそ10%と一見ヨーロッパより低く見えるが、消費税がかかる対象がとても広いので税収に対する消費税収の割合はとても多いのです」
藤井教授「国税収入に占める消費税の割合でみると、日本の場合は消費税5%の時点ですでに24.4%だった」
藤井教授「それに対して、イギリスは21.1%、ドイツ35.6%、イタリア28.3%、スウェーデン18.5%。もし、日本が消費税10%になった場合は37%に達する可能性がある」
藤井教授「累進性のある法人税を下げる代わりに、逆累進性のある消費税を増加させてきた結果がこれです」
<NHK日曜討論>
大石あきこ議員「消費税は社会保障のために使われていない。多くが国債償還に使われている」
※2019年1月28日、衆議院本会議の施政方針演説
安倍総理「八%引き上げ時の反省の上に、経済運営に万全を期してまいります。増税分の五分の四を借金返しに充てていた」
高市早苗議員「そんなことない!消費税は法律で使途が限定されている。デタラメを公共の電波で言うのはやめてください」
室伏健一さん「消費税法第一条に『~年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に”充てるものとする”』と書いてあります」
室伏さん「これをもって消費税の使途は限定されていると高市議員はおっしゃっていますが、最後の述語に『充てるものとする』と書いてあります。もし、本当に消費税収分の支出がここに書いてある社会保障に限定されるのならば、法律的には『充てなければならない』と書かれているはず」
室伏さん「つまり、消費税収分の支出は社会保障に限定されているとは言えないわけです」
<国民負担率5割>
財務省「今年度の『国民負担率』47.5%になりました」
国民「五公五民か!重税すぎんよ」
財務省「いいですか、フランスの国民負担率は68.3%、スウェーデン58.8%、ドイツ54.9%、イギリス47.8%」
財務省「日本はヨーロッパに比べたらまだまだ国民負担率は少ないくらいなんですよ。この程度で音を上げるのは甘え!さらに増税すべっし!」
三橋貴明「そもそも、国民負担率などという指標自体が他の国にはありません。ほかの国は保険料や税金を合計してGDPで割るだけ」
三橋さん「ところが、財務省はわざわざ国民所得と比べて国民負担率という数字を出している」
三橋さん「国民所得と比較をすると間接税が多いヨーロッパ諸国は国民所得が小さく算出されるので国民負担率が見かけ上、高く見えるというトリックができる」
三橋さん「だから、財務省の国民負担率の計算法で見ると間接税(付加価値税)がないアメリカは31.8%と国民負担率が非常に低く算出されてしまう」
これ、定義的には国民に対する詐欺行為にあたりそうなものですが、常に財務省に転がされてきた悔しい思いから経済について勉強をしたものの…本気でだまそうとしてくる相手にはかなわなかったよ、と。藤井教授や三橋さんすごいわ。よかったら国民負担率についてもう少し詳しくお願いします。
頭が痛いのは、財務官僚はどうやら悪意があってやっているわけではなく、正義のためにやっているらしいんですよね。
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