From 藤井聡@京都大学大学院教授
こんにちは、表現者クライテリオン編集長、京都大学の藤井聡です。
この度、表現者クライテリオンの最新号『第三次世界大戦と戦後新秩序―台湾・ウクライナ情勢の中長期展望』が発売となりました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BGKR7F49
この号は、米ソ冷戦、そして米中新冷戦の流れを汲む形で勃発した、ロシアのウクライナ侵攻や中国による台湾侵攻危機が、今や世界は既に「第三次世界大戦に突入」した様相を呈し始めた事を示している―――という危機感を、皆さんと共有することを企図して発刊したもの。
こうした状況を踏まえ、我々の友人、フランスの歴史学者エマニュエル・トッド氏は「第三次世界大戦はもう始まっている」と断じています。
例えば、記事『長期化する米中露覇権闘争と日本の最期』の中で、伊藤貫氏は、過去500年を振り返ると、「大国」と呼ばれる国々は必ず「覇権闘争」を開始し、一旦始まった覇権闘争は「決着がつくまで」決して終わらない……という歴史がずっと繰り返されてきた、という歴史的事実を踏まえ、今日においては「中露VS米」という覇権闘争が、何らかの”決着”がつくまで継続するであろうことは確実だと断じています。そしてその闘争は、今後20年や30年は終わらないだろうと指摘しています。
その「米中露覇権闘争」こそ、トッドが指摘する「第三次世界大戦」のコアとなる闘争です。
そして恐るべき事に、その覇権闘争・第三次世界大戦が繰り広げられる中心的エリアが、この米中露が向かい合う、この極東エリアなのです。
そして、恐るべき事にその闘争エリアのど真ん中に位置する国家こそ、我が国日本なのです。
したがって、地政学的に、我が国日本は、この米中露覇権闘争・第三次世界大戦から、逃れようがない運命にあるのであり、それこそが我が国日本の、21世紀から22世紀にかけての宿命なのです。
我が国の政治は、自民党内の権力闘争や、与野党間の闘争や、統一教会をはじめとした各種のスキャンダルが軸となって展開していますが、岸田文雄氏を中心とした政治家達がそうした(所謂)”コップの中の嵐”にかまけている間に、そのコップそのものが巨大な嵐に巻き込まれ、我が国がまさに「最期」(by 伊藤貫氏)を迎えようとしているのです。
本誌クライテリオンでは、そうした永田町の政治家の多くの方々が、この世界的、歴史的な巨大な嵐の中で岸田文雄流の無為無策を決め込む状況はさておき、少なくとも、我が国日本がいかに為すべきかを考えるべきなのかを考えんとして、本特集を企画した、という次第です。
ついてはまず、この第三次世界大戦の中心国家となる中国が一体何を考えているのかを、中国史研究の第一人者にお伺いする、『中国の内在論理を歴史から問い直す 中国史研究者・岡本隆司氏に聞く』という座談会を巻頭に掲載しています。
これをご覧頂けば、今後中国が21世紀中盤、そして22世紀に向けて、一体何を考え、一体どの様に動いていくのかの大きな見通しが見えて参ります。
こうした認識を踏まえれば、尖閣、さらには沖縄がさながら“風前の灯火”の状況にあること、そして、我が国日本そのものは中国に接収されることはないとしても、事実上の“植民地”の様な格好で利用されつくすであろう、という未来が見えて参ります。
(その様子は、拙著『グローバリズム植民地ニッポン』で描写した未来ビジョンとピタリと符号します。
https://www.amazon.co.jp/dp/4847066804)
では、我々は一体どの様に、この巨大な嵐に立ち向かえばいいのかと言えば……日本の視点から、日本の歴史を踏まえた日本による思想を考え、それに基づいた長期的戦略を立てねば成りません。
ついては本誌では、21世紀、22世紀における我が国の生き残りに向け、我が国固有の『国造り』(by 岩木雅宏氏)を企図しつつ、
・儒学者の大場一央先生が論じた「江戸の地政学」や、
・国体学者の金子宗徳先生が論じた「石原莞爾の所論」、さらには、
・本誌編集員で、国土計画について研究を進める川端裕一郎氏による「石川栄耀の国土論」
についての議論を通して、我が国固有の実践思想と実践哲学を深めることを試みました。
繰り返しますが、我が国日本は、このまま岸田流の無為無策を続ければ、確実に滅び去る事になります。
もしも我々日本に生存本能なるものが残存しているのなら、本誌が試みたこうした議論が百花繚乱、様々に展開される事になる筈です。
逆に言うのなら、こうした議論を活性化していかねば、我々は21世紀中盤に、中国の事実上の属国となって、我が国固有のアイデンティティを完全に失い、滅び去る事になるのです。
そうした悪夢を回避するためにも是非、まずは一人でも多くの国民の皆様に、本誌クライテリオンの最新刊、『第三次世界大戦と戦後新秩序―台湾・ウクライナ情勢の中長期展望』
をご一読頂きたいと、切に願っています。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BGKR7F49
追伸1:
我が国の滅亡のイメージをより鮮明にご理解頂くためにも、是非、ご一読下さい。
『グローバリズム植民地ニッポン』
https://www.amazon.co.jp/dp/4847066804。
追伸2:
我が国は如何にすれば亡国を逃れ、復活への道を歩み出すことができるのか、を鮮明にご理解頂くためにも、是非、ご一読下さい。
『消費減税ニッポン復活論』
https://www.amazon.co.jp/dp/459117509X/
追伸3:
こうした議論に日々様々に触れておきたい……という方は是非、基本的に毎日発行しております当方の「編集長日記」(https://foomii.com/00178)、ご一読になってみて下さい。
“ザイム真理教”トレンドワード入り(笑)。
https://foomii.com/00178/20221018065113100808
『岸田首相:円安メリット生かす1万社を支援』報道に寄せて ~なぜ岸田総理は”弱きを見捨て強きを助ける”のか?
https://foomii.com/00178/20221016134613100731
北朝鮮の核実験の先にある「日本への核攻撃」という悪夢のシナリオ ~コラテラル・核ダメージ論~
https://foomii.com/00178/20221015115059100702
中国が日本を第何番目の「省」にする気などさらさら無い。ただ、冊封体制の「内側」の小国として利用しようとしているに過ぎない。
https://foomii.com/00178/20221014152148100674
「電気代抑制 国が巨額支援」と報道されているものの、実際は単なる焼け石に水。岸田対策は圧倒的にショボい。
https://foomii.com/00178/20221013182827100623
単なる外国人に媚びる小銭稼ぎを「インバウンド」だ「稼ぐ力」だとドヤ顔で自慢げに話す岸田文雄氏について
https://foomii.com/00178/20221013015437100592
消費税減税で日本の未来はバラ色になる ~消費税減税ニッポン復活論~
https://foomii.com/00178/20221011185708100530
日本はこのままなら、確実に、事実上の「中国の植民地」になる。
https://foomii.com/00178/20221010110000100442
【藤井聡】『第三次世界大戦と戦後新秩序』発売! 岸田流“無為無策”で確実に滅びつつあるニッポンを救うために――是非、ご一読下さい。への3件のコメント
2022年10月21日 12:32 AM
デービット・アトキンソン「日本の消費が低迷してるのは消費税増税ばかりやってるせいだと積極財政派はいうけど、欧州は日本よりも付加価値税多くとってるのに経済は低迷してない」
ちょっと古いデータですが、財務省・財務総合政策研究所編「財政金融統計月報2010.4及びOECD歳入統計2007によると主要国の国税収入全体に占める消費税の割合をみると以下のようになっています
イギリス 消費税17.5% 国税収入に占める消費税の割合21.1%
ドイツ 消費税19.0% 国税収入に占める消費税の割合35.6%
イタリア 消費税20.0% 国税収入に占める消費税の割合28.3%
スウェーデン 25.0% 国税収入に占める消費税の割合18.5%
日本 消費税5% 国税収入に占める消費税の割合24.4%
消費税10% 国税収入に占める消費税の割合37.0%
要するに、日本は消費税の数字だけ見ると10%と他国よりも税負担が軽いようにみえますが、国税全体に占める消費税の割合は37%と実際は超重税だということになります。
法人税や所得税が低くなっていった代りに低所得者(消費性向の高い層)に厳しい逆累進性のある消費税の割合が増加していったのだから消費が伸びないのも経済が成長しないのもうなずける話でしょう。
因みに、イギリスを例に挙げれば、イギリスの消費税(付加価値税)の最高税率は20%と非常に高いわけですが、通勤交通費・食料品・新聞・雑誌・書籍・子供服・家庭用燃料・電力・医薬品は税率ゼロであり、映画・演劇・コンサートも非課税であって消費税の対象になっていない。日本ではほぼ全ての商品・サービスに消費税がかかっている。
私はデービット・アトキンソンさんが外国人だからという理由で批判した事などありませんよ。こういった詐欺みたいな理論で人を騙そうとするから嫌いだというだけの話です。
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