政治

日本経済

2021年10月28日

【藤井聡】「緊縮」こそ現代日本の諸悪の根源 ~党派を超えて、「緊縮・改革」議員に投票せず 「積極財政」議員に投票すべきである~

ただ今総選挙のまっただ中……ですが、今回の選挙では、
「自民党にはお灸を据えないといけない」
と思っている一方で、
「でもだからといって、野党に入れるのもどうだろう」
とも思っている方が多い様です。で、そういう方は、
「じゃあ、維新くらいにでも入れておこうか」
と思っている方が多い様です。

ですが、これは最悪の選択

そもそも維新という政党は、河野太郎や菅義偉、小泉純一郎といった、自民党左派の「改革派」が独立してできあがったような政党ですから、単なる「第二自民」です。

というか、河野太郎ら自民党左派は、保守政党としては自民党の「劣化」の象徴であり、維新は第二自民というよりもむしろ「劣化自民」とも言いうる政党です。

さらに言うと、自民党内の改革派は、選挙対策のために「旧民主党」のノリを導入してできあがってきたものであり、したがって、保守政党の中に寄生している旧・民主の様な方々です。だから、そんな自民党内改革派が進化したような維新は、「民主党が嫌いだから自民でいいや」と思っている人々にしてみれば、一番入れてはいけない人々だと言えるでしょう。

実際、「よ党」と「や党」の間の政党だから「ゆ党」だとも言われる維新は、保守政党である自民党に「寄生」して、その勢力を伸ばしてきていることからも、彼等の立ち位置がよく分かるというものです。

もちろん、投票は各自が判断すれば良いだけではありますが、維新という政党が如何なる政党なのか、そして、自民の中の河野太郎氏・菅義偉氏らの改革派は一体如何なる性質を持つのかをしっかりとご理解頂いた上で判断願いたいと思います。

いずれにしても……

我が国日本が衰退してきているのは、矢野財務省事務次官論文に象徴される「過剰な緊縮思想」が幅をきかせてしまっているからです。その結果、政府が「日本を救う」ためのあらゆる政府支出が抑制されると同時に、「日本を衰退させる」ための、「改革」が繰り返されてしまったのです。

そもそも自民党内に河野・小泉らの改革派が生まれ、それが進化して「維新」という超過激な改革政党を産み出されたのも全て、政府内に「過剰な緊縮思想」があるからです。緊縮思想は、政府の予算カットを必然的に要請し、それを正当化するために「改革」が進められてきたからです。

だから日本に「過剰な緊縮思想」がなければ、自民党内部に河野・小泉らの改革派が生まれることも、維新という超過激改革政党が産み出されることもなく、自民党内の「保守本流」である宏池会(現岸田派)が、緊縮財政ではなく「積極財政」を機軸とした政策論を展開し、日本の政治を、そして先進国日本の成長を牽引していたに違い無いのです。

したがって、日本を再生するには、緊縮派の政党を駆逐し、積極財政派の政党の党勢拡大を企図することが必要なのです。

いずれの政党が積極財政派なのかという点については、こちらの記事(https://38news.jp/economy/19803)に記載したとおり、少なくとも公約を見る限り、

・国民民主党
・れいわ新選組

が最も積極財政であり、その次が

・立憲民主党

です。

「比例」については、当方の上記記事を含めた、各政党の「財政政策」の積極性を機軸にご判断されるのが、一番得策だと考えます。

しかし、立憲民主党や自民党等の大きな政党の場合、緊縮派も積極財政派も混在しているのが実態です。

したがって、例えば室伏謙一氏がおっしゃっていたように(https://38news.jp/economy/19879小選挙区については、党よりもむしろその候補者個人が「積極財政」派なのか、それとも、「緊縮・改革」派なのかをしっかりと見極め、投票されることが得策だと思われます。

与党にしろ野党にしろ、日本をダメにしている張本人は、矢野論文をサポートし、実践しようとするような緊縮&改革派議員達なのです。彼等を弱体化させない限り、日本に未来など絶対に訪れ得ません。

万一、今回の選挙で積極財政を唱える国民民主党やれいわ新選組らが政権を取れるなら、それはそれで大変結構ですが、現実的に考えてそれは困難でしょう。しかし、そうした積極財政を唱える政党が一つでも多くの議席を獲得することは、国会審議を積極財政の方向に改善していくのに、極めて重要な役割を担います。

一方で「新しい資本主義」を標榜する岸田総理は、改革路線と決別しようとしていますが、自民党に緊縮派議員がいる限りにおいて、改革路線と決別することは、理論的に言って不可能です。したがって、自民党に河野太郎氏や菅義偉氏に象徴される緊縮派議員が大量に残存する限りにおいて、「新しい資本主義」なるものは、絶対にロクな物にはならないのです。

(ついてはこの度、選挙投票日の一週間後の11月8日、水道橋博士を司会に、当方と田原総一朗氏がタップリ対談するシンポジウム、

激論!田原総一朗×藤井聡×水道橋博士
岸田版“新しい資本主義”で日本再生できるのか?

https://in.38news.jp/24p2111_no_menber

を、東京都内にて、一般の国民の皆様に広く参加を呼びかける形で、開催することとなりました!選挙後の日本が少しでも「マシ」な方向に展開していくために何が必要なのか……しっかり議論したいと思っています。是非、ご参加下さい!

いずれにせよ、与党であろうが野党であろうが、積極財政を唱える政党の議員、あるいは、如何なる政党であろうと積極財政を唱える議員が一人でも多く当選し、緊縮・改革を唱える議員達が一人でも多く落選することは、日本再生にとって極めて重要なのです。

是非とも、比例については一体どの政党が、小選挙区については一体どの候補者が良いのか、あるいは、ちょっとでもマシなのか……積極財政派か緊縮・改革派か、という視点でご吟味頂いた上で、投票頂きたいと思います。

当方もしっかり考えた上で、投票したいと思います。

それではまた、来週!

追伸
今、確実に日本には、「微風」ではありますが、「積極財政」に転換する風が吹き始めています。例えば、あのアトキンソン氏すらもが、積極財政の方向へと論調を転換し始めているのです。是非、今の日本の現状を把握するためにも下記、ご一読ください。
『なぜ、「中小企業支援はやめろ、半分に減らす改革をせよ!」という緊縮論を展開していたアトキンソン氏が「積極財政」を主張し出したのか?』
https://foomii.com/00178/2021102409001986518

 

関連記事

政治

日本経済

【室伏謙一】ニュークリア・シェアリングって意味あるんでしょうか?

政治

日本経済

【三橋貴明】安倍首相への直言

政治

日本経済

【竹村公太郎】江戸のインフラが21世紀の東京を守る 日本堤と隅田堤

政治

日本経済

【小浜逸郎】コロナ騒ぎで頭の病が悪化したインテリ愚民(その2)

政治

日本経済

【三橋貴明】経済指標の定義と関連性

【藤井聡】「緊縮」こそ現代日本の諸悪の根源 ~党派を超えて、「緊縮・改革」議員に投票せず 「積極財政」議員に投票すべきである~への5件のコメント

  1. この世は既にあの世 より

    違うな。

    岸田高市河野は消費税減税を言わない。

    つまり自民党は消費税増税派。

    自民党は「献金してくれる方や強者に財政出動しますよ」と言ってるだけ。

    よって自民党議員は全員落選が望ましい。

    口先だけやろ?安藤がいい例や。何も結果出ないやんけ。なら自民党を弱らせた方がいい。

    勉強するとかしないとか、積極か緊縮かなんてのはお前らの世界だけ。

    自民党を中から変えるなんてのは無理だ。

    経済理論を国民にインプットとかそんな悠長に構えてる暇は無い。

    安倍を全力で批判出来ない馬鹿がなんば言いようとか?

    偉そうにお前が投票先を決めるんじゃないんだよ、国民一人一人が決めるんだよ。何様のつもりやねん。勘違いすんなや。

    財務省が悪いんだろ?なら積極か緊縮かの政治家を選ぶ必要あらへんがや。

    結果出てない党に下野してもらうのが筋。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

      1. この世は既にあの世 より

        安倍、麻生、甘利らがいなきゃいいで。でもいるんだから例え積極派であってもそいつらの言うことを聞かなきゃなんないの。

        かと言って党を出る気概もないボンクラしか自民党にはいないんだからさ。

        ホンマにお前いい加減にしろや。

        「安倍しかいない」理論は「積極派だから」理論に共通するね。

        返信

        コメントに返信する

        メールアドレスが公開されることはありません。
        * が付いている欄は必須項目です

  2. 根本の根本 より

    まず 日本は 独立国ですらない
    その 事実を 認識すべき

    占領軍の 基地が 至る所に存在し
    首都上空の 航空管制権をも握られているのに

    あたかも 主権が存在するかのように 振る舞う
    喜劇

    日本では このように 素晴らしい占領政策ができるのに

    なぜか 他国では ブザマを晒すのか
    不思議。。。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  3. 大和魂 より

    想い起こせば石原慎太郎が自民党から割って出た時に肝心の有権者たちの大半はポワ~ンとしてましたから何をか言わんでした。

    それから月日が流れ石原慎太郎が再度、永田町に戻りましたが日本維新の会との袂を分かつ要因が先人に礼儀を尽くす基本だったわけです。

    また逆戻りしますがそう、小泉純一郎と竹中平蔵が破壊したのが日本の保守勢力と国民の思いやり精神なんですね、でそれを引き継いだのが礼儀をかざしたアンポンタンでクルクルパーの大阪のアゴ叩き乞食弁護士なんですよ。

    とにかく地上波TVを鵜呑みにしている低次元で全国ワーストの学力しかない大阪府民に大義名分なんて認識が区別できるわけもなく営み自体がコント状態なんですよね。

    ちなみに、自民党議員の毒饅頭に冒された脳内が崩壊している保身連中かて同じ構造で安藤裕と森下千里の大義は、どーう考えても成立しないわけで、自民党の内部にも保守勢力が皆無であることが明示されたわけで至極無念の境地ですね。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  4. この世は既にあの世 より

    もう新自由主義ていいやん。自民党は保守政党ではない。安倍がしたことは保守政策ではない。

    甘利、麻生が保守か?違うだろ?自民の誰が保守?

    強気で生きて行けばいい。

    今日は追い越し車線の先頭をチンタラ行くセダンのレクサスの糞老人に頭に来たので、登板車線からその車の後ろに割り込み、パッシングして煽ってやった。糞老人か事故ろうが関係無い。

    ボーっと運転して渋滞を巻き起こす糞老人が悪い。

    飲食店テイクアウト、中身が異なるので電話。

    「コラッお前、人の注目ちゃんと聞かんかいや!おう」と言うと、

    「申し訳ございません、注文の品とご返金致します」との返答。

    「今日は用事ありるから明日持って来い」で終わり。

    鈍臭いヤツ、馬鹿には厳しくあたらなくてはならない。他人からどう思われようが個人主義社会下の中ではどうでもいい。

    自民党は犯罪政党、犯罪社会を容認する国なんだから犯罪もどき程度ならそれでいいでしょう。

    強い者が勝つ社会。反社の自民党が与党である限り俺は恫喝、犯罪もどきで生きていくわな。それがスタンダード社会なんだから何か文句あるか?お?

    財政出動だけすればOKです。って、つまりは金さえあればOKですとほぼ同義だよね。

    金持ちにならなくても、金なんて生活に困らない収入があればいいんだよね。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

最新記事

  1. 日本経済

    【三橋貴明】コロナ禍で国民を救わなかった日本政府

  2. 日本経済

    【三橋貴明】独身税

  3. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】表現者クライテリオン最新号『不信の構造、腐敗...

  4. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】岸田総理は上下院議会演説が米国で評価されご満...

  5. 日本経済

    【室伏謙一】首長に求められる資質は何か?

  6. 日本経済

    【三橋貴明】ついに統計詐欺に手を染めた財務省(後編)

  7. 日本経済

    【三橋貴明】ついに統計詐欺に手を染めた財務省(前編)

  8. 未分類

    【竹村公太郎】公共事業と住民反対運動 ―進化は変わり...

  9. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】「スズキ自動車会長の鈴木修氏」を後ろ盾にした...

  10. 日本経済

    【三橋貴明】劇場型総選挙、再び

MORE

タグクラウド