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日本経済

2021年1月5日

【室伏謙一】「協力金」は「失われた粗利の補償」にあらず

From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表

 皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 さて、年末年始は新型コロナの感染者が「今日はどこで何人」という話が多くの人の耳目を奪い、仕事始め早々緊急事態宣言の発出が取り沙汰されています。世間の注目は今度はそちらに奪われているようですね。

 限定的、集中的に、実際に発出される見込みのようですが、仮に実際に発出されるとして、補償はどうなるのかといえば、現段階でその話は出ていないようです。

 「22時閉店から20時閉店への時間短縮に応じる飲食店に対する協力金を増額するといっているじゃないか!」と言われる方がおられるかもしれませんが、それは補償とは別物です。

 補償とは失われた粗利(売上高から仕入原価を引いたもの。つまり売上純利益。)の補償。一方で協力金とは売上高や売上純利益に関係なく、時短営業に応じる事業者に対して一律に同額で支払われるもの。東京都では複数の店舗がある場合には店舗ごとに支払うことも検討しているようですが、各店舗を一事業者と見立てれば同じことです。(粗利について詳しくは、こちらの日本の未来を考える勉強会の提言の、一番下のイメージ図をご覧ください。 https://nihonm.jp/post_article/mamizu100chouen20200501

 したがって、売上純利益の一部の補填にしかならず、例えば、家賃等の一般管理費が高い東京都の場合一月分の家賃に充当出来るか出来ないかで、前回の緊急事態宣言の際には、それを店舗の原状復帰期間中の家賃の一部に充当して結局廃業してしまった飲食店も少なくありませんでした。

 しかも、飲食店の場合、21時以降は第2の繁忙期かつ掻き入れ時。しかも年初の1月は新年会のシーズンで年間を通じても掻き入れ時の一つ。それを20時で閉めろということになれば、年間売上の多くの部分を失うことになりかねません。そもそも忘年会シーズンに失っている上に、です。

 加えて、飲食店の時間短縮や、その結果としての廃業の影響は飲食店のみに止まるものではありません。飲食業のバリューチェーンは農畜産業や漁業という「生産」の現場から、食品加工、お酒を含む飲料製造、それらの運搬、食器や包装紙等の製造、売上や予約を管理するICTシステム等まで幅広い分野に及んでいます。時短営業をすれば、売上が著しく低下するのは自明の理。原材料や飲料を仕入れる量は減らさざるをえませんし、運搬の回数も減ります。そうなれば生産の現場や製造事業者の売上も減少します。

 粗利が減れば定常的な管理コストが支払えなくなり、契約の解除・打切り等も発生するでしょう。そうなれば今度はそうした関係の事業者の売上も減少することになります・・・と売上減少という負の連鎖が広がることになるわけですが、そのことを、菅総理や菅政権関係者、東京都知事をはじめとする首長らは分かっているのでしょうか?少なくとも、そうしたことに対する想像力を持っているのでしょうか?

 残念ながらない、欠如していると考えざるをえないでしょう。

 だからこそ、日本の未来を考える勉強会を筆頭に、業種を問わず「失われた粗利の100%補償を」という提言が行われてきたわけです。

 しかし、実態を知らない、理解できない菅政権関係者や知事らにはなかなか声が届いていません。無論、緊縮・増税脳が蔓延しているということもあるでしょう。しかし、今はそんな呑気なことを言っていられる場合ではありません。

 であれば、是が非でも理解してもらおうではありませんか。そのためには、具体的な窮状を反映した「声」が必要です。業種は問いません。まずは1人からでも構いません。声を挙げ、思いを同じくする人々とどんな形でも連携し、大きな塊となって更に主張してきましょう。「あの業種は〜」などと言っている場合ではありません。今は全ての事業者が被害者だと考えましょう。

 二の足を踏んでいると、本当に潰されてしまいかねませんよ。

 そして、感染拡大騒ぎ、緊急事態宣言騒動の裏では、潰すことを是とするショックドクトリンが静かに進行しています。次回はそのお話をすることといたしましょう。

 それと、1月3日に公開となった私と、公認会計士・税理士の森井じゅんさんとの対談動画も是非ご覧ください。税とは何か、財源とは何かと言った根本的かつ、今皆さんが知るべき内容が詰まっています。これをご覧になれば、もう財務省やマスコミ、主流派経済学者や緊縮・増税言論人に騙されることはなくなると思います。

https://www.youtube.com/watch?v=3q8o-aWER5k&feature=youtu.be

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【室伏謙一】「協力金」は「失われた粗利の補償」にあらずへの2件のコメント

  1. たかゆき より

    救う

    原義は 溺れている人を

    掬い上げる 掬う による とか、、

    ちなみに 落語

    溺れかけているケチが

    掬ってくれようという人と 値段の交渉

    それでは値段が高過ぎると 溺死を選択 という

    お噺

    常日頃 緊縮を 叫ぶアホども(失礼)

    救済など 要らぬ と

    死を選択なさるなら

    それはそれで 筋は通っている

    が、、、

    小生 アホどもの 道連れは

    御免蒙る 次第

    ではでは お後がよろしいようで♪

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