日本経済

2019年7月1日

【三橋貴明】「おカネのプールは存在しない」という恐怖

From 三橋貴明

MMTにより日本社会に広まりつつある
「おカネの真実」ですが、三橋や中野剛志先生は以前から同じことを言っていたという話はともかく、主流派経済学の、「おカネのプール論」を吹き飛ばすという意味で、冗談でも何でもなく人類の歴史を変える可能性がある「考え方」になります。

考え方というよりは、単なる現実の貨幣の説明なのですが、

〇 市中銀行は、貸し出しの際に、借り手の借用証書と引き換えに「書くこと」で銀行預金というおカネを発行する。

〇 日本銀行は市中銀行が「国債」「政府短期証券」「政府小切手」といった借用証書を持ち込んだ際に、「書くこと」で日銀当座預金というおカネを発行する。

〇 現金紙幣は、市中銀行が日銀当座預金を「引き出す」形で発行され、社会に流通していく。

といった「単なる事実」を理解すると、おカネが「貸借関係の成立」で発行されている現実が見えてきます。

貸借関係の成立でおカネは発行される。
おカネは単なる「債務と債権の記録」であることが分かれば、特定の「物理的形状」を持つおカネを集め、プールを作ることは「不可能」であるという真実が見えてくるのです。

そして、おカネのプール論が成立しないとなると、これまで経済学者が偉そうに唱えていた念仏、

「クラウディングアウト論」
「マンデルフレミングモデル」
「トリクルダウン理論」

といった、あたかも「常識」のように振りかざされていた「理論」が、単なる「妄論」であることが証明されてしまいます。

クラウディングアウト理論は、政府が国債を発行すると「プールに残るおカネが少なくなり、金利が上昇し、民間がカネを借りれなくなる」という妄論です。

マンデルフレミング理論は、クラウディングアウト論の延長で「金利が上がると、通貨高になり、輸出が減るため、財政出動は意味がない」という妄論です。

トリクルダウン理論は、「富裕層や大企業に減税し、所得を残せば、それが投資に回り、経済成長する」という妄論です。

全部、嘘なのです。
理由は、おカネのプールが存在し得ないから、ただ、それだけです。

上記三つは、全て「おカネのプール論」を前提にしていますが、そもそも銀行融資の際に発行されるおカネ(銀行預金)は、銀行が「書くこと」で生成されます。

書くことで発行される以上、「既存のおカネのプール」とは無関係です。当然、国債発行残高と金利には、何の関係もないのです。

さらに、投資の際の銀行融資が「銀行が書くこと」でなされる以上、富裕層や大企業に残った所得(=貯蓄)とは、無関係であることが誰にでも理解できます。

企業はただ、需要が旺盛で、投資すれば儲かるならば、銀行からおカネを借りてでも投資をします。その際のおカネは、銀行が「書くこと」で発行します。

また、銀行の貸出金利に最も影響を与えるのは、インフレ率です。
銀行は「予想インフレ率+利益」で金利を決めるわけで、国債発行残高とは何の関係もありません。

上記を理解すると、既存の経済学のモデルやら法則やら理論やらが、「全て根底から間違っていた」ことが、誰の目にも明らかになってしまうのです。

それはまあ、主流派経済学がMMTを敵視するのも、理解できるというものです。
とはいえ、間違った主流派経済学の存続を認めてはなりません。

当然の話でございます。

◆経世史論において、中野剛志氏との対談コンテンツ「歴史とナショナリズム」がご視聴可能です。是非、ご入会下さい。(8月15日まで限定公開です)
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
【三橋貴明×中野剛志「歴史とナショナリズム」】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/2019/06/15/video/

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◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第326回 経済は”不確実”という現実
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol527 もう一つの「アダムの罪」
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
アダムの罪と言えば、アダム・スミスが「貨幣は物々交換の利便性を高めるために発展した商業用具である」という、いわゆる商品貨幣論を広めてしまったことですが、実はもう一つ、決定的な「アダムの罪」があるのです。

◆メディア出演

三橋TV、続々リリースされています。

【三橋貴明×玉木雄一郎】構造改革って考え方が古いよね
https://youtu.be/PcUrphzuXuw
【三橋貴明×玉木雄一郎】地方のインフラ整備と教育と科学技術にカネを使おう!
https://youtu.be/WCAa5YsqE-0
三橋TV第107回【ポルナレフ国家について話すぜ】
https://youtu.be/63Yua_JRk18

7月1日(月) チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651

7月6日(土) チャンネル桜「日本よ、今…「闘論!倒論!討論!」 」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1655

◆三橋経済塾

令和元年7月20日(土)三橋経済塾第八期、第七回対面講義申込受付開始致しました。
https://members8.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=598
ゲスト講師は 施 光恒先生(九州大学准教授)でございます。

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【三橋貴明】「おカネのプールは存在しない」という恐怖への5件のコメント

  1. たかゆき より

    おカネは 二次元情報

    イヌが西向きゃ 尾は東

    これと 同じくらい 当たり前の 理屈

    その当たり前の理屈を理解できない

    ケイザイガクのプロが

    財政を弄ると、、、

    シッポがイヌを振り回す状態の 悲喜劇で

    日本中が ワヤになり

    このザマでございます ね。。。

    言っちゃあ何ですが

    シェイクスピアの 劇なら まさしく 悲劇

    その理由は

    最後に新しい世界が 生まれないから

    ちなみに 喜劇は

    最後に女性が結婚して 新しい世代が 生まれる劇 

    とのこと

    これからの 日本に 当てはまるのは

    シェークスピアで 例えるなら

    まさに 悲劇でございますね(たぶん) ♪

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      1. たかゆき より

        財源は 指先に 宿る。。

        キイボードを クリックするだけで
        おカネなんぞ なんぼでも
        打ち出せる のに、、

        消費税を 財源 とか おっしゃる
        アホ。。。

        小生の 眩暈は いつになったら
        治癒するのか

        しら ん♪

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  2. 利根川 より

     7月1日は銀行の日だったという事で…
     財政金融委員会 2019 5 23 西田昌司議員の質疑にて

    雨宮日銀副総裁「決済性預金口座を提供している銀行だけが、自ら貸し出しと預金を”同時に作り出すことができる”」

    雨宮日銀副総裁「私がサラ金で金を借りる場合、サラ金は預金を創造する事は出来ないので、どこか他所から金を調達してきて、その金を私に貸すわけです」

    雨宮日銀副総裁「ところが、銀行は私に金を貸す時、私の銀行口座に貸す金額を書き込むだけなのです。金額を書き込むと、その後、”書き込んだ金額分の預金が誕生する”という格好になります。これが信用創造」

    現代社会における預金通貨の造られ方が説明されました。
     ご存知のように、お金には種類があります。

    <お金の種類>

    ・現金(硬貨と紙幣)

    ・銀行預金(預金通貨)

    この内、現金の作り方については学校の社会科見学で造幣局を見に行ったりもしているので知っている方も多いかと思います。
    では、銀行預金がどの様なシステムで作られているかを習った覚えがある方はどれだけい居るのでしょうか。
     現代社会における通貨は大半が銀行預金で、現金はその内のごく一部にすぎません。なのに、現代社会の大半を占める預金通貨の造られ方を”大半の国民が知らない”わけです。
     因みに、銀行預金にも種類かあって

    <銀行預金の種類>

    ・普通預金(我々国民や企業が口座を開設して預金してるやつ)

    ・日銀当座預金(政府・金融機関専門の預金で、中央銀行にしか存在しない預金。一般人や企業は口座を開設できない)

    こんな感じ。
     現金にも預金通貨にも種類があるわけですが、現代社会においては(硬貨は置いといて)どれも”信用創造”というシステムによって造られているわけですね。

    信用創造

    どっかで聞いたことはあるけれど、ちゃんと説明してみろと言われると説明できない。日本国民にとってはそんな言葉なのではないでしょうか。
     信用創造については、詳しい事は

    イングランド銀行季刊誌で紹介されている
    「ロビンソン・クルーソーとフライデーしかいない孤島」

    を御覧ください。
     よく日本国民は「信用は大事」と言いますが、これって別に道徳的な話でも懲罰的な話でもなくて、

    単純に、現代社会で造られている貨幣の大半が信用創造というシステムに則って造られているから(信用貨幣論)

    だったわけですね。
     現代社会に生きる選挙権を持つ有権者としては貨幣がどの様につくられるのかという部分は超重要、というか基本だと思うわけです。
     なにせ、基本すら知らないくせに正しい経済政策など判断できるわけはないのですから。でも、大半の国民は「信用創造」をちゃんと説明できないのではないでしょうか。なにせ習ってないわけで、習ってない事を発明できるのはごく一部の天才だけなのです。
     結局、日本は中央銀行制度を整え、近代的な貨幣制度(信用貨幣制度)をアジアで一番に取り入れた国だったにもかかわらず、

    いまだに国民の頭の中は金貨銀貨の世界(商品貨幣論)

    だったわけですね。
     私も色々な方の動画や書籍を読んで最近になってようやく信用創造について多少は理解できた口なのであまり大きなことは言えませんが、

    やってみるのが一番手っ取り早い覚え方

    なのではないでしょうか。
     という訳で、だれか中央銀行制度が導入されていて物価状況(需要と供給のバランス)を見ながら支出する額の大小を決めるようなシムシティ的ゲームを作ってくれないものでしょうか。
     お金がもったいないとかプライマリーバランスとかお金のプール論を振り回していると、速攻で災害や戦争で生産能力が壊滅するやつ。

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      1. 利根川 より

         財政金融委員会 2019 5 23 西田昌司議員の質疑では結構重要な情報がテンコ盛りで

        雨宮「国債の発行による財政支出が預金通貨の創造につながるかですが、銀行が保有している分について申せば、それは信用創造を通じて(民間の)預金が増加するという格好になります」

        雨宮「ご指摘の通り、金融機関が国債を保有し財政支出が行われれば、財政支出した額と”同額の”預金通貨が事後的に発生しています」

        政府が借金をする(そして支出する)と、政府の赤字は当然増えるけれど、民間は政府の赤字と同額の黒字(銀行預金)を入手できると雨宮さんは説明しているわけですね。
        つまり、政府が3兆円の赤字を出して支出すると、民間の銀行預金は3兆円の黒字になるわけですね。

        ”一つの社会は資産だけを増やす事はできないし、一方的に負債だけが増える事もない”

        という事を西田議員は国会の場で明らかにしてくれたわけです。
         

        「資産”だけ”を増やす事は出来ないと言うのなら経済成長ってなんだよ…資産が増えると資産と同額の負債も増えちゃうんだろ?意味ないじゃん」

        そうおっしゃられる方も居るのかもしれない。
         では、経済成長って何なんだろうと言う部分について考えてみたいと思う。
         

        1 日本政府に借金(=負債)が存在しない場合について考えてみる

        負債が0というと聞こえはいいですが…資産も0ということです。
        信用創造が何たるかを知っている人には今更な話ですが、そもそも、貨幣自体が負債の一種なのだから負債がないという事は貨幣も存在できないわけですね。

        ※貨幣とは負債の一形式であり、経済において交換手段として受け入れられた特殊な負債である(イングランド銀行季刊誌2014春号)

        資産0で作れる物ってあるの?

        2 日本政府に負債が100円だけ存在している場合

        日本政府の負債が100円あるという事は、日本社会のどこかに資産も100円あるということ
        資産100円で作れる物って、何があるだろう

        ・ガリガリ君

        ・うまい棒

        このくらいだろうか。
        負債額が少ないというと聞こえはいいけれど、負債が少ない人には出来る事も少ないという事でもあるようですね。
        まあ、少なくとも資産100円では家もたたないし自動車も作ることはできないでしょうね。材料費にすら…

        3 日本に負債が10万円存在している場合

        日本政府の負債が10万円あるということは、日本社会のどこかに10万円の資産が存在しているという事
        10万円の資産があれば

        ・パソコン

        ・スマホ

        くらいは作れるかもしれない。
        まあ、資産10万円では相変わらず家もたたないし自動車も作れませんね。

        4 日本政府に負債が1000万円存在している場合

        日本政府の負債が1000万円ということは、日本社会のどこかに1000万円の資産も存在しているという事
        1000万円も資産があれば

        ・がんばれば家も建つ

        ・けっこういい自動車も作れる

        わけですね。

        5 日本政府に負債が1000兆円存在している場合

        日本政府の負債が1000兆円あるということは、日本社会のどこかに1000兆円の資産も存在しているという事
        資産が1000兆円もあれば

        ・家どころか高層ビルだって建てられる

        ・自動車どころか高速道路だって作れる

        ・治水をはじめとする災害対策だってやれる

        わけですね。

         これを見てもらえば分かると思いますが、経済成長というのは「お金を増やす」という事が本質なのではなくて、少しずつ(需要過剰になり過ぎないように)負債と資産を増やしながら

        ”その社会が作れるモノの規模を拡大していく”

        ことが本質なのだと思います。
         現在、日本政府が行っている事は

        「政府の負債を無くす(=民間の資産を無くす)政策を進めた結果、日本社会が作れるモノの規模が少しずつ縮小している」

        わけで、どれだけ本末転倒な事をしているかが理解していただけることと思います。
         負債額が増えるのが不安という方は多いと思います。
         一般個人や企業の場合は「一方的に負債だけが増える」という事がザラにあるわけで、そういった感覚は自分を守るためにも重要なものだと思います。
         が、社会全体では「負債だけが増える」ということはあり得ないわけですね。それは財政金融委員会 2019 5 23 西田昌司議員の質疑でも明らかにされました。
         政府の負債が1000兆円あるということは、民間に資産が1000兆円あるということなのですね。
         負債を恐れるよりも日本社会から物を造る能力が失われて行っている事の方が問題だと思います。

         新潟の地震で

        「瓦が全部落っこちてしまった。葺き替えしてほしいけど、建設会社は今順番待ちだって」

        とTVでやっていました。
         日本の建設業者はピークには60万以上の業者あったが、今では46万業者に減っています。
         これは一時期メディアで盛んであった土建屋叩きの影響や、無駄削減といった緊縮政策の影響もあったでしょう。
         

        「結局の所、青年期に平和で豊かな時代を過ごした今の時代の重鎮達には『何も起こらない事を前提とした政策』しか思いつかなかった。だから平気で無駄削減とか言えた」

        という事だと思います。
         その影響が今、技術者不足(建設業者不足)という形で出てきているわけですね。
         経済成長とは「その社会が作れるモノの規模を少しずつ拡大していく事」なわけですが、先人達が苦労して60万以上の技術者を育て上げてくれたというのに

        悪の土建屋を叩くと言う正義の味方の自己満足の為にボロボロに技術者を減らし、今、建設業者が足りずに災害復旧も遅れている

        この事に何かを感じてくれる方が少しでも居てくれればと

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