From 藤井聡@(京都大学大学院教授)
MMT理解のコツ(実践編):「政府が貨幣の供給者だ」という一点を知るべし
ケルトン教授が来日されてから、はや二週間。
その間、参議院選挙があり、
増税を掲げた与党の「大勝」を通して、
消費増税延期に向けた一縷の望みは事実上消滅。
日本国民は自ら「地獄の扉」を開き、
先進国から転落することを愚かにも事実上、
確定させてしまうとの愚挙に出たわけですが・・・
こうなれば後は心ある国民は、
消費増税後の世界を見据えた
「消費減税」に向けた闘争の準備を、
始めねばなりません。
その闘争に向けた最大の武器こそ、
もちろん、ケルトン教授が主唱する、
MMT、現代貨幣理論。
ケルトン教授との対話から
学ぶことは数多くありましたが、
その中でも特に当方が学んだのは、
「MMTで最も大切なポイントは、
政府は『貨幣の供給者』だという点です」
という「説明の仕方」でした。
もう少し言葉を足すなら、
「政府は貨幣の供給者であり、
貨幣の使用者である国民とは、
ぜんぜん違うのです」
と言うお話し。
MMTにはいろいろな側面があるのですが、
(信用貨幣論、表券主義、貨幣循環論・・・等)
確かに、この説明なら、誰でもスグに理解できるし、かつ、
「政府は財政赤字が原因で破綻することは無い」
というMMTの最大のメッセージを即座に理解できます。
なぜなら、「貨幣の供給者」である政府は
自分で好きなだけ貨幣を作れるわけですから、
どれだけ借りようが、
「破綻する」事などある筈ないですよね。
もちろん、貨幣が増えすぎて、
過剰なインフレになってしまっては
経済が混乱してしまいますが―――
逆に言えば、
「政府は貨幣の供給者だ」
という一点だけ抑えておけば、
そうしたインフレの問題「だけ」が、
政府支出量の制約になるんだという事も、
即座に理解することができますよね。
さすが、物わかりの悪い
不誠実な経済学者や政治家達を相手に、
何度も、何度も、何度も、何度も・・・
MMTを説明してきたケルトン教授ならではの、
ストレートな説明方式だと改めて感心した次第です。
・・・
さて、「政府が貨幣の供給者」
であることさえ知っていれば、
次のような重大な「結論」を、
即座に得ることができます。
■「財源調達のための消費増税が必要だ」論は、完全に間違い。
政府は自分で貨幣を作れるわけですから、
景気を冷え込むこと必至の消費増税までして
政府が貨幣を調達しようなんていうのは、
「正気の沙汰」とは思えない暴挙だ、
という他ありません。
■「オカネがないから政府投資はできない」というのは、真っ赤なウソ
国民の生命と財産を守る防災投資、
次世代を担う日本人を育てる教育投資、
日本の科学技術力を増強する科学技術投資、
地方を豊かにする地方の新幹線・高速道路の投資等々・・・
こうした投資は全て、
日本国民を幸福にするものですが、今、
「政府にはオカネがない」というだけの理由で、
その投資の全てがストップしています
しかし、「政府はオカネの供給者」なのですから、
政府にオカネが無い、なんて話は、
100%純粋な「真っ赤なウソ」。
インフレにならない限り、これらへの政府投資は、
全て進めることができるのです。
したがって、今の政府は国民を欺いて、
防災や教育、地方創生について成すべき仕事をしない
「サボタージュ」(=サボり)を重ね、
国民の生命と財産を傷つけ続けているのです。
■「オカネがないから賃金水準の政府保証なんて無理」というのも真っ赤なウソ
政府は今、経済成長のためにも賃金の上昇が必要だ、
と主張し、財界に賃上げを要請し続けていますが、
そんなのは、完全なる「二階から目薬」。
いくら政府が要請しても、
民間が賃上げなど、する筈もありません。
ですが、公務員給与を上げたり、
政府支出で賄う公定賃金を直接上げたり、
賃上げ分を政府が補助をすれば、
確実に賃金を上げることができます。
ところが、今の日本でそんな主張をすると、
「そんな財源、どこにあるんだ!?」
という嵐の様な批判が巻き上がりますが、
そんな批判もナンセンス。
そもそも政府が貨幣の供給者なのですから、
政府は賃上げ対策を「直接」行うこともできるのです。
つまり、「オカネがないから賃金水準の政府保証なんて無理」
っていう話も、真っ赤なウソなのです。
・・・
このように、「政府が貨幣の供給者」
であるという一点さえ抑えておけば、
誰がウソをついているのかが明らかになり、
政府が成すべき政策方針が明確になるのです。
しかも、「政府が貨幣の供給者」という一点さえ抑えておけば、
「MMTを深く知ること」もより容易くなるのですが・・・
その点についてはまた、次週、解説することとしましょう。
いずれにしても、
MMTについて知人、友人に語る機会があれば是非、
「政府が貨幣の供給者」
だという一点をまず、ご説明差し上げてみてください。
そうすると、
「正しくMMTを理解するの仲間」が
一人また一人と、増えていくことになるかも・・・知れません。
どうぞ、よろしくお願い致します!
追伸1:
MMTが政府にしっかり浸透すれば、拙著『インフラ・イノベーション』で紹介した様々な
表現者クライテリオンの最新号(8月16日発売)は、MMT特集!是非、ご購読くださ
【藤井聡】MMT理解のコツ(実践編):「政府が貨幣の供給者だ」という一点を知るべしへの8件のコメント
2019年7月31日 9:28 AM
>「政府は貨幣の供給者であり、
>貨幣の使用者である国民とは、
>ぜんぜん違うのです」
すばらしい説明ですね!
政府=貨幣の供給者
国民=貨幣の使用者
この立場の違いを対比で端的に言及することで、「クニノシャッキン」の概念の基になっている、政府と家計の同一視というマヌケから脱出できる可能性が高いですね。
政府は貨幣の供給者。
国民は貨幣の使用者。
自分は今まで誰かに説明するとき、政府をコメを借りて困っているコメ農家に例えていましたが、上記は比喩でもなくストレートで、とても分かりやすい表現だと思いました。
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2019年7月31日 11:05 AM
鶏が先か 卵が先か なら、、
卵(貨幣)が先
日銀が どんだけ卵を積み上げても
市場に供給して 孵化させない限り
鶏には けっして なりません
のに、、、
単式簿記の「家計脳」では
支出は税収の範囲内でしか 賄えないとか 。。。
資本主義とは 如何なモノか
もとい 如何なるモノか
知らない アホウドリが 空を覆い尽くす 日本
彼らの 落とす 糞で
小生 糞まみれで ございます ♪
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2019年7月31日 11:49 AM
MMTを批判する人達 = 仮想通貨を推進する人達。
国家を否定する人達にとってMMTは論外です。
藤井はんが仰る様に政府(国)が貨幣の供給者。
しかしその事実を認めれば国家を認める事になる。
その事がバレる前になんとか違う形の供給モデルを打ち出そうと必死な訳よ。つまり地球市民、左翼発想な訳。そして最後はナショナリズム愚か民主主義の破壊につながります。
この経済理論の抗争って算数(数式)の問題でもなんでもない。
思想の問題です。
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2019年7月31日 5:02 PM
>貨幣の供給
考えてみるとリフレ(ッシュ?)派は、日銀の(民間所有の発行済)国債買い取りが貨幣供給の意味に成る・・・と、
日経の上杉素直(すなお?)氏の言葉を借りれば、「呪文」の類いを唱えていた、とも言えるわけですね。
高山質屋のCMの買い鳥のぬいぐるみのギャグの方がどれだけ面白いかわからないザンスっ!シェーっ!
すいません、こんな二階から目薬な話ばかり。
政府(埋蔵金掘り出しの野党も)がお金が無いから・・・なんて政策はホント無茶苦茶不座化太話でっせっ!
俳優の織田裕二さんは俺の専売特許の台詞を使うんじゃねぇーっ!って是非とも無茶苦茶怒るべきだと思いますがね。
失礼しました。
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2019年7月31日 8:48 PM
>「政府は財政赤字が原因で破綻することは無い」というMMTの最大のメッセージ
「政府は財政赤字が原因で破綻することは無い」というのは「単なる不換通貨の持つ特性の説明」というだけで、「最大」でもないですし、「メッセージ」ですらないはずなのですが。
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2019年8月1日 12:39 PM
経済と軍事は不可分の関係で、それをやり取りするのが、外交になります。とすれば、軍事も外交も同じく論じることに値します。そして、此までの政策をよりよく前に進める為には有権者の苦悩は当たり前になります。そこで少し論点が、ズレますがやはり大義は選挙について考え抜くか否かにあります。私も先日の選挙では最終最後まで悩みに悩みました。つまり此が疎かならば、当然その後の有様もそれと比例する結果となります。だから先日の選挙は衆参同時選挙をするべきでした。おそらく先日の選挙結果は後々まで尾を引く分水嶺と感じています。
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