From 三橋貴明
【近況】
ようやく次作「令和の政策大転換(仮)」を
書き終わりました。
本書は、2019年以降に三橋が取り上げることが
増えていた「主流派経済学」と「ケインズ系経済学」の
対立がテーマです。
1929年のNY株式大暴落に端を発する
世界大恐慌という「超デフレーション」で、
それまでの主流派であった古典派経済学の権威が失墜。
何しろ、アメリカの国民総生産は、
1929年の1044億ドルが、
33年には560億ドルにまで縮小。
わずか四年間で、GNPが44%超も
減ってしまったのです。
また、失業率は29年の3.2%が、
33年には24.9%に上昇。
しかも、24.9%というのは全国の値で、
都市部に限ると50%に達しました。
都市住民の半分が職がない、
所得が稼げないという悲惨な状況に
陥ってしまったのです。
というわけで、地獄のような経済環境の中で、
主流派の地位は「古典派」から「ケインズ系」に
スイッチしました。
その後、西側先進国はケインズ的
財政金融政策の下で大発展。
日本の経済成長率の平均は10%、
欧米諸国も5%前後を維持しました。
(元々、10%近い経済成長率を誇っていた
西ドイツが、移民を入れ始めた途端に
生産性向上のペースが落ち、
5%前後に失速しましたが、それは別の話)
1973年、オイルショック。
原油価格が跳ね上がり、
コストプッシュインフレと景気悪化が同時に発生。
いわゆる、スタグフレーションが
欧米を苦しめることになります。
今にして思えば、
「なぜ、スタグフレーションが発生したのか?」
の答えは、明確で、
「輸入原油価格が上昇し、
コストプッシュ型インフレになり、
企業がコストを吸収できずに
人材を解雇した(結果、失業率が上昇)」
で説明がつくのですが、
当時は「ケインズ系経済学はスタグフレーションを
解決できなかった。規制緩和や労働組合の機能削減など、
サプライサイド政策が必要だ」という話になり、
経済学の主流派が新古典派に
奪い返されてしまいました。
なぜ、ケインズ系は失墜したのか。
理由はこれまた明確で、
「新古典派やマネタリズムは、
自己利益最大化を目指す邪なビジネスにとって
都合が良いが、ケインズ系は都合が悪い」ためです。
ビジネスの政治力と結びついた新古典派が、
プロモーション戦略で勝利し、
「ケインズは死んだ」
といった事態になったのでございます。
現在、ケインズ系の経済学である
MMT(現代貨幣理論)が勃興しつつあります。
いずれは、再び主流派の経済学が
入れ替わることになるとは思いますが、
何しろ「政治力」が違うため、各国が正しい経済政策を
推進できるようになるまでには、
まだまだ紆余曲折があるでしょう。
◆経世史論において、中野剛志氏との対談コンテンツ「歴史とナショナリズム」がご視聴可能です。是非、ご入会下さい。
(8月15日まで限定公開なので、間もなく終了となります)
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
8月16日以降は、MMTポリティクス第二回、及び長浜浩明先生との対談コンテンツ「邪馬台国はどこにあったのか?」が公開になる予定です。
◆経営科学出版「知識ゼロから分かるMMT入門」が刊行になりました。
https://38news.jp/38MMT/MT_TV/
◆ビジネス社「米中覇権戦争 残酷な未来透視図」が刊行になりました。
https://amzn.to/2UEWkYK
◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第332回 民間黒字と政府貨幣発行残高
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/
◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol533「国の借金」と「政府貨幣発行残高」
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
財務省やマスコミが煽る「国の借金」とは、会計的に政府貨幣発行残高に過ぎません。
バランスシートを読めない一般の方に上記の事実を説明するには、どうしたらいいのか? 主人公を「市中銀行」にすればいいのです。
◆メディア出演
三橋TV、続々リリースされています。
三橋TV第120回【恐怖のグラフが教えてくれる日本の希望】
https://youtu.be/LOEvzSAuojs
<字幕版>MMTポリティクス+三橋・高家の感想戦
https://youtu.be/5Zf3DPq0ZOE
三橋TV第121回【政府貨幣発行残高が増えて破綻する(笑)】
https://youtu.be/Z7Xh_04ou9Q
三橋TV第122回【軍隊が外国人なしでは成り立たない国!?】
https://youtu.be/iw9H15Ad49w
8月5日(月) チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。
1/2【Front Japan 桜】英国ブレグジットとユーロの呪縛 / 朝鮮国連軍と日本の役割[桜R1/8/5]
https://youtu.be/tR0Ve5Y_HQU
2/2【Front Japan 桜・映画】『カメ止め!』監督最新作は、いったい何を批判しているのか?~映画『イソップの思うツボ』[桜R1/8/5]
https://youtu.be/ivJdgcwi41Q
◆三橋経済塾
令和元年8月17日(土)三橋経済塾第八期、第八回対面講義申込開始致しました。
https://members8.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=643
ゲスト講師は長浜浩明先生(建築家・歴史家)でございます。
◆チャンネルAJER
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