From 藤井聡@京都大学大学院教授
コロナ感染症に伴う「8割自粛要請」をはじめとした社会経済活動の停滞により、国内のあらゆる産業が今、深刻なダメージを受けています。
そんな中で、飲食店や夜の繁華街、ライブハウスや観光産業などがしばしばメディア上でその深刻な状況が伝えられていますが、それと同様、あるいは、それ以上に深刻なダメージを受けているにも拘わらず、あまりメディアに取り上げられない産業があります。
それが、公共交通です。
しかも、公共交通は、文字通り「公共」の交通であり、その倒産が地域経済、地域社会にもたらす影響はとりわけ甚大で、この問題は特に深刻なものです。
公共交通の深刻な実情は、当方が代表理事を務める「日本モビリティ・マネジメント会議」(JCOMM)の特設ホームページに詳しく掲載されています。
https://www.jcomm.or.jp/covid19/
まず現状ですが、電車、バス、タクシー、飛行機、船といったあらゆる交通手段において利用者が激減、4月の時点で、6割~9割もの利用者が減少しています。
https://www.jcomm.or.jp/covid19/#esti
この状況が続けば、交通業界は全体で、最低でも3・5兆円、最悪で8・3兆円の減収・経済的打撃を受けると推計されています。
ただし、以上の推計を行った際に準拠した4月のデータよりも5月はさらに酷い状況になっていますから、この推計値よりもさらに酷くなる可能性すら考えられます。
例えば、航空業界は、ご覧の様に、4月よりも5月の方がさらに利用者は減っています。
https://twitter.com/SF_SatoshiFujii/status/1270540514912161794
こうなれば、あらゆるところで交通事業社が倒産・廃業していくのは必至。
もう既に大阪のタクシー会社や、
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020051300907&g=eco
栃木県のタクシー会社、
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/319029
そして、埼玉県のバス会社
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200520/k10012437331000.html
がそれぞれ倒産、廃業してしまいました。
そしてこれから、ますますこうした倒産・廃業が拡大していくことは必至です。我々が実施した、交通事業者を対象とした全国調査では、このままの状態があと一月超、7月中旬ごろまで続けば全交通事業者の4分の1が倒産するという結果が示されています。
https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=640×10000:format=png/path/sbcc4d6830fcbe243/image/i9da33b4a702772de/version/1590669228/image.png
https://www.sankeibiz.jp/business/news/200527/bsc2005271748013-n1.htm
さらに、あと2ヶ月超、8月中旬頃まで続けば、半分もの事業者が倒産の危機に直面すると回答をしています。
もうこうなれば、徹底的に政府支援をする他ありません。
実際、8割の事業者が、「粗利補償」「賃金保障」が最も必要だと回答しています。
https://www.jcomm.or.jp/covid19/#ques
ついては少なくとも現状では、二回の補正予算で、3兆円の特別の地方交付金が各自治体に支給されることが決まっていますが、まずは、各自治体は、この3兆円の交付金を使って各地域の電車、バス、タクシー等を救っていく必要があるでしょう。
同時に、飛行機会社やJRなどの大手の都市間/国際交通機関は、自治体支援ではなく、政府の直接支援が必要になるでしょう。MMTの理念に基づいた徹底的な支援策が今、求められています。
繰り返しますが、公共交通機関は通常の産業よりも地域社会、地域経済に及ぼす影響は甚大です。したがって、こうした政府支援は交通事業においては特に特に必要なのです!
追申:こうした「交通崩壊の危機」はもちろん、政府における「感染さえ防げりゃ後は何でも構わない」という思想によって導かれているもの。なぜ、そんな空気が政府、そして日本を支配しているのか・・・という問題について、下記について論じています。是非、ご一読下さい。
「新しい生活様式」「8割自粛」の背後にある、「感染さえ防げりゃ後は何でもいいんだよ!」という暴力的態度を分析する
https://foomii.com/00178/2020060620290167223
【藤井聡】「交通崩壊」を防げ!~「3兆円の交付金」と「MMT」を徹底活用せよ~への4件のコメント
2020年6月10日 2:59 PM
今回は藤井先生にちなみまして、日本の味方の見方として点から線で軽く繋げてみます。先ずは、藤井先生の庭先になる大阪市営地下鉄が維新の会と、その勢力により大阪メトロの外資系に譲渡された自治体を含めた、今後の社会情勢について発言します。このところのメディアによる維新の連中と小池都知事をヨイショしている印象操作は、誰もが異常に感じており勿論その先の東京都知事選挙と、その後の総選挙の布石である事はご存知のことと思います。しかし維新から都知事選挙に出るクズはあくまでカモフラージュ的な予感で、本線はあくまで総選挙です。少し前にMMTで藤井、中野両先生方を非難していた池田信夫や宇佐美が、小野泰輔とか小池百合子をダシにした、白々しい猿芝居をネット上で展開しており、これぞまさしく屑の代名詞な東大クオリティを曝しています。また大阪では自民党府議会と市議会の攻防のようですが、私はヤラセかなと思います。なぜなら、総選挙も目前に控えているからで、それを高橋洋一も猿芝居を展開中!さらに維新と前原誠司らも所詮は小池などとのバックが同じであるため、その総選挙が終われば東京五輪なので、これから間違いなくグローバル社会に向けた方策が展開されると予感しております。
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2020年6月12日 2:07 AM
交通政策について、物流の国家計画というのは、あるのでしょうか。すべて民活なのでしょうか。
ポストコロナでテレワーク加速とすれば、むしろ交通は物流こそ国家として先進的未来を担保するべき、ではないでしょうか。
桜の討論などでも、JR各社の話題はでても、JR貨物は出てきません。そういうものなのでしょうか。
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2020年6月14日 11:53 PM
お借りします。
大きな経済的打撃を受けた国民、事業者が、十分に救済されていない現状での、全国民一律給付金の追加実施には基本的に賛成できませんが、何らかの事情でやらなければならないのなら、次は消費税調整金という名目がよいのではないでしょうか。1年分10万円という設定なら、毎月10万円支出の人は8%分、20万円の人は4%分の還付になりますね。つまり、低所得者に有利な政策ですね。同じ事をやるにしても、理念があると無いとでは全然違いますからね。
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2020年6月16日 2:54 PM
藤井先生に全く同感です。交通機関を今こそ救うべきだと思います
医療崩壊を防げっていう言葉はよく聞きまずが 交通崩壊も防がないといけないと思いますし、今回の事で交通や電車や新規の新幹線は要らないなんてならないでほしいと思います。そういう近視眼的な発想は駄目だと思います。
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