From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表
6月8日に令和2年度第2次補正予算案が国会審議入りしました。その詳細な内容や評価については、拙稿「自民党が第2次補正予算で緊縮財政を捨て、積極財政に舵を切った理由」(https://diamond.jp/articles/-/239228)をご参照いただければと思いますが、規模感は十分とは言えないというより不十分ではあるものの、雇用調整助成金や持続化給付金の拡充、地方創生臨時交付金の拡充等、真に今必要な事項で構成されています。第1次が余計なもの、否、無関係なものが相当程度含まれていたことから考えると、かなりの進歩だと思います。(もっとも、最初からこうしておけという話ではありますが・・・)
さて、この予算案の審議に先立って、野党はお得意の無駄探しを始めました。その槍玉にあげられたのが、10兆円の予備費です。予備費は使途が決められておらず、恣意的に使われる可能性がある、使途を安倍政権に白紙委任すると政権のための無駄遣いに充当される可能性があると言ったもの。
批判のための批判としか言いようがない、ただの粗探しですね。
現状は非常時です。したがって今後どのように事態が急変するのか分かりませんし、どんなに数字で取り繕ったとしても、様々な業種で倒産や廃業が続出していく可能性も否定できません。現に倒産件数は増え続けています。今は自己資金や借入れでなんとか凌いでいる事業者の中にも、限界に近づいている事業者も少なくないかもしれません。実際、例えば地域の交通事業者からは、それがその地域の有名企業、地域交通を一手に引き受けているような企業であっても、大幅需要減で大幅収益減、場合によっては赤字という悲鳴が聞こえてきています。
そうした状況に対して、機動的に対応すべく予め確保されたのがこの予備費10兆円なのです。確かにこの額は異例のものでしょう。しかしそれは異例だからダメなのではなく、これまでやらなかった、出来なかったことをやってのけたという意味での異例であって、むしろ積極的に評価されるべきものなのです。
また、野党はこの予備費等について批判をするにあたって、持続化給付金の給付の業務の委託に関する問題を取り上げ、これと結び付けて批判をするということもしました。その結果、一般国民の中には、この予備費がいわゆる「オトモダチ」にばら撒かれるのではないかといった根拠なき懸念が生まれてしまっているようです。
しかし、持続化給付金の給付の業務の委託を受けた一般社団法人サービスデザイン推進協議会を巡る疑惑や問題は、業務の委託や委託の方法(調達の方法)、つまり当該事務の実施方法に関する問題や疑惑であって、いくら予算を積むのかという話とは別の問題です。
勿論、一方で、当該協議会やそこへの委託についてなんらの問題がない、疑念がないというわけではありません。これはこれで明らかにされなければなりませんし、それを追求するという役割は野党にはしっかりあるわけです。つまり、野党は自らの役割とは何かをしっかり認識しましょうということなのですが、もう一つ彼らの重要な役割であり、是非認識して欲しいことがあります。
それは、この10兆円の予備費も含め、第2次補正予算を全て使いきれ、失われた粗利の補償を出来る限り実施しろと政府に強く求め、実際にそうさせるということです。粗利には、仕入原価以外の、人件費や家賃等の経費が全て含まれます。したがってこれが補償されるようになれば、ほとんどの事業者を倒産・廃業の危機から救うことができるのです。
加えて、使い切らなければ、「不用」の扱いを受けて国庫に返納しなければならなくなる以前に、もうこれ以上の補正予算は要りませんね、この規模は要りませんね、という財務省の緊縮、歳出削減、新たな補正予算編成拒否の大義名分を与えてしまうことにつながります。
実際野党もこの規模では不十分だという認識は持っているようですから、主張の一貫性は保てますし、与党内の積極財政派への追い風にもなります。そしてこうした声や正しい批判が高まっていけば、その先には緊縮から積極財政への転換も見えてくるでしょう。
少々楽観的に聞こえるかもしれませんが、あの緊縮脳と言われた岸田政調会長でさえ、今回の新型コロナショックを受けて積極財政に転じつつあると言われていますし、私もそう思っています。
であるならば、皆さん、「2次補正をちゃんと使い切れ」、「10兆円の予備費を粗利補償に充当して適正に執行しろ」といった声を様々な場面で挙げていき、緊縮から積極財政への転換、ピボットにつなげていこうではありませんか!
【室伏謙一】第2次補正予算をしっかり執行させて、積極財政へのピボットにつなげましょうへの3件のコメント
2020年6月9日 12:43 PM
この予備費の一連の問題は与野党共々に、その思惑の背景には卑劣な欺瞞の要素しかなく、主権者たる国民を欺いて愚弄している【保身】の恥ずべき行動でしかありませんよ!またそれ以上に問題なのが西村大臣の消費税増税に対する発言でした。この問題は重要かつ日本を貶めた重大な発言だからです。例えばこれはもう黒の物を白とする意味と同じく、日本を否定するような醜態でしかありません。なぜならこれで健全な全世代型の教育など不可能だからです。この体たらくの永田町の光景は誰もが、どこから観ても、底が知れた寝ぼけたマヤカシと確定してんだよ!!サヨナラ安倍政権。
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2020年6月9日 5:10 PM
禁治産 政権
あるいは
禁治産 議員
彼等に 財布を預けるのは
キ印に 財布を預けるのと
一緒で ございませう。。。
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2020年6月10日 11:36 AM
予備費10兆円は異常という批判はおかしいです
未曾有の危機が起こってるんだから 未曾有の対応や経済政策が必要であって 前例主義でいってる場合じゃないと思います今回の場合は。
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