アメリカ

政治

日本経済

2019年6月30日

【三橋貴明】緊縮財政という鎖に縛られて

From 三橋貴明

【近況】
6月17日のチャンネル桜「Front Japan 桜」で、
ホルムズ海峡で日本国籍タンカーが攻撃されたこと受け、

「本来であれば、日本は海上自衛隊をホルムズ海峡に派遣し、
自国のタンカーを守らなければならない」

と、主張しましたが、
トランプ大統領がツイッターで、

「中国は原油の91%、日本は62%、
他の多くの国も同様に(ホルムズ)海峡から
輸入している。なぜ、われわれが他国のために
無償で航路を守っているのか。
これらの国は、危険な旅をしている
自国の船を自らで守るべきだ」

と発言したことが報じられ、
「ごもっともでございます」という感じでございます。
何しろ、トランプ大統領の主張は、完全に正論なのです。

また、トランプ大統領が
日米安全保障条約を破棄する可能性に
言及したとも報じられています。

トランプ大統領は、
あくまで「アメリカ・ファースト」でございますので、
アメリカの国益になると判断したならば、
普通に日米安保は破棄されるでしょう。

現在の日米安保条約は、
日米いずれかの政府が条約期間の終了を相手国に通告すると、一年後に条約失効となります。

本来であれば、我が国は、アメリカに対し、

「これまで甘えてすみませんでした。
五年間猶予を下さい。
その間に自主防衛の体制を構築し、自衛隊を強化しますので、国内の米軍基地には撤退して頂き、
日米安全保障条約を発展的に改訂しましょう。

不平等な日米地位協定や日米合同委員会は破棄し、
アジアの平和と安定のために
日米のパートナーシップを強化しましょう。
また、ホルムズ海峡には海上自衛隊を送ります。
自国の船舶を守るだけでございますので、
当然ながら「専守防衛の範囲」でございます」

と、防衛力強化と日米安保条約の
「発展的改訂」を国家目標としなければならないのです。
アメリカ側も、自国の負担が減るわけでございますから、別に反対はしないでしょう。

が、何しろ我が国には「緊縮財政」という、
今や憲法をも上回る国是があります。
防衛費の増額など不可能ごとですし、
強引に増やしたとしても、他の予算が削られ、
国民生活が打撃を受けます。
とても、支持は得られないでしょう。

となると、我が国ができることは、
「アメリカ様、どうか安保条約の破棄はご勘弁を。
これまで以上に国益を捧げますから」
と、ならざるを得ないわけです。

参議院選挙が終われば、
本格的な日米FTA交渉が始まります。
このタイミングで、イラン問題深刻化に加え、
トランプ大統領の発言。

陰謀論云々ではなく、三橋がアメリカ大統領だったならば、イラン問題にかこつけて「安保破棄しようぜ」と
日本に「伝わる」形のメッセージを投げます。
何しろ、日米FTAの交渉が有利になるに
決まっていますので。

防衛安全保障をアメリカに丸投げし、自主独立を放棄し、かつ緊縮財政という鎖に縛られた我が国は、いよいよ出口がない状況に追い込まれようとしているのです。

◆経世史論において、中野剛志氏との対談コンテンツ「歴史とナショナリズム」がご視聴可能です。是非、ご入会下さい。(8月15日まで限定公開です)
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
【三橋貴明×中野剛志「歴史とナショナリズム」】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/2019/06/15/video/

◆ビジネス社「米中覇権戦争 残酷な未来透視図」が刊行になりました。
https://amzn.to/2UEWkYK

◆彩図社「亡国のメガロポリス」が刊行になりました。
https://amzn.to/2F5nqi3

◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第326回 経済は”不確実”という現実
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol527 もう一つの「アダムの罪」
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
アダムの罪と言えば、アダム・スミスが「貨幣は物々交換の利便性を高めるために発展した商業用具である」という、いわゆる商品貨幣論を広めてしまったことですが、実はもう一つ、決定的な「アダムの罪」があるのです。

◆メディア出演

三橋TV、続々リリースされています。

【三橋貴明×玉木雄一郎】構造改革って考え方が古いよね
https://youtu.be/PcUrphzuXuw
【三橋貴明×玉木雄一郎】地方のインフラ整備と教育と科学技術にカネを使おう!
https://youtu.be/WCAa5YsqE-0
三橋TV第107回【ポルナレフ国家について話すぜ】
https://youtu.be/63Yua_JRk18

7月1日(月) チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651

7月6日(土) チャンネル桜「日本よ、今…「闘論!倒論!討論!」 」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1655

◆三橋経済塾

令和元年7月20日(土)三橋経済塾第八期、第七回対面講義申込受付開始致しました。
https://members8.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=598
ゲスト講師は 施 光恒先生(九州大学准教授)でございます。

◆チャンネルAJER 
今週の更新はありません。

【今週のNewsピックアップ】
経済学者の悪夢と政商の敵
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12486700477.html
安倍総理のトリクルダウン妄論
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12487112020.html

関連記事

アメリカ

政治

日本経済

【小浜逸郎】全体主義体制下で考えるべき事

アメリカ

政治

日本経済

【三橋貴明】動乱の時代

アメリカ

政治

日本経済

【三橋貴明】逆走の安倍政権

アメリカ

政治

日本経済

【三橋貴明】未知の世界

アメリカ

政治

日本経済

【小浜逸郎】トランプ氏の移民制限政策と「自由」の両義性

【三橋貴明】緊縮財政という鎖に縛られてへの4件のコメント

  1. たかゆき より

    だから、、

    アメリカ様は

    首相やら 与野党の国会議員やら 財務官僚の
    工作員を 使って

    緊縮財政やら 消費税増税やら PB黒字化やらに
    精励 恪勤させているんだ

    べ ♪

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

      1. たかゆき より

        軍事においても

        日米対等と おっしゃるなら、、

        米国本土に 核武装した 日本軍を配備し
        米国全土の 航空管制権を 
        日本軍が掌握し 地位協定を 日本軍に
        認めさせて 

        米国を 守ってあげる と

        それくらいは 申し上げる べき
        なのだ ♪

        返信

        コメントに返信する

        メールアドレスが公開されることはありません。
        * が付いている欄は必須項目です

        1. コメントに返信する

          メールアドレスが公開されることはありません。
          * が付いている欄は必須項目です

        1. ぬこ より

          ついでに、日本版エシュロンやプリズムもフィラデルフィア辺りに置いておけ

          返信

          コメントに返信する

          メールアドレスが公開されることはありません。
          * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

最新記事

  1. 日本経済

    【室伏謙一】「金融緩和悪玉論」を信じると自分達の首を絞...

  2. 日本経済

    【三橋貴明】聖徳太子の英雄物語

  3. 日本経済

    【三橋貴明】政府債務対GDP比率と財政破綻は関係がない

  4. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】『2023年度 国土強靱化定量的脆弱性評価・...

  5. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】【3月14日に土木学会で記者会見】首都直下地...

  6. 日本経済

    【三橋貴明】無知で間違っている働き者は度し難い

  7. 日本経済

    【三橋貴明】PBと財政破綻は何の関係もない

  8. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】【岸田総裁の政倫審出席はむしろ有害】岸田氏の...

  9. 未分類

    【竹村公太郎】流域共同体の誕生、崩壊そして再生 ―新...

  10. 日本経済

    【室伏謙一】財務省が金融引締め、そして緊縮増税へ向けた...

MORE

タグクラウド