日本経済

2018年11月8日

【saya】竹中平蔵氏の最先端都市スーパーシティ~企業が国家を経営する日

「竹中平蔵氏の最先端都市スーパーシティ~企業が国家を経営する日」
From saya@歌手/チャンネル桜キャスター

『政府は29日、国家戦略特区制度を活用した最先端都市「スーパーシティ」構想について検討するための有識者懇談会(座長・竹中平蔵東洋大教授)の初会合を開いた。』

2016年頃より政府が打ち出してきた科学技術政策の基本指針【ソサエティ5.0】の
舌の根も乾かぬうちに今度はいったい何をしようというのか。

片山さつき地方創生担当大臣が有識者わずか7名を集め私的懇談会を開き
座長に迎えたのはかの有名なパソナグループ会長の竹中平蔵氏だった。

さて11月末には基本コンセプトをまとめるとの事だが、
現在までの概ねの方針は国家戦略特区のホームページで確認できる

自動運転車両と現金を使わないキャッシュレス化が目下の目玉とのこと。
A.Iを取り入れた海外都市の先行事例についても検証が行われた。

有名なのは中国杭州市とアリババが手を組んで開発した人口知能による
交通のシティブレイン化。これによって交通渋滞はほぼ無くなり、
車両のスピードが15%も速くなったとの事。
カナダトロント市郊外でヒト・モノ・カネの動きをセンサーで把握し
ビッグデータを活用した街づくりが行われている例や、
ドバイでは警察のロボット化や政府の電子化(手続きの全てを電子化)などが
実行されている例など資料も公開されている。

しかしながら、トロントでは個人情報の利用について住民と係争中、
一元管理に反発し街から去る人々も多くいるという。
また杭州市の場合、交通網という大きなインフラ管理ゆえ、
コンピュータウイルスやサイバー攻撃などで万が一システムが崩壊した時
どれだけの人命が危機にさらされるかは計り知れない。

新しい事には新しいリスクがつきまとう事を片山大臣と有識者には
充分に検討し日本に本当にこのような特区が必要なのか考え直してほしい。

さて、そんななか私が最も驚いたのは座長竹中氏が打ち出している
【スーパーシティ五原則】(たたき台)だ。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/dai1/shiryou3.pdf

以下転載

1、何を目指すか 世界最先端の技術を実証するだけでなく、
第4次産業革命後の未来の社会、生活を包括的に先行実現するショーケース

2、基本構成要素
・未来像:少なくとも、自動走行、キャッシュレス、行政ワンスオンリー。
その他、医療、介護、教育、エネルギー等を含め、未来像の包括的な提示
・住民の参画:未来像の実現に合意し参画する住民
・強い首長:住民の合意形成を実現できる、ビジョンとリーダーシップを備えた首長
・技術を実装できる企業:世界最先端の技術を実装できる、中核となる企業

3、エリアの選定
都市の一部区域を含め、ごく少数のエリアを、透明なプロセスで選定

4、域内の運営
・国・自治体・企業で構成するミニ独立政府が運営主体
(従来の特区の区域会  議のさらなる強化、住民参画の仕組みも組み込む)
・社会設計を担うアーキテクトを置き、権限を付与

5、国の役割
・域内の規制設定の権限は原則としてミニ独立政府と住民に委ねる
・必要なインフラ整備は国主導で迅速に行う

2018年10月29日
竹中平蔵

内容をお読み頂いて、おそらく新経世済民新聞読者のみなさんは
私と同じように感じてくれた方が多いのでは予想する。

“これってなんだかんだで 新しい国を作ろうって話なんじゃないの?”

っていうか“ミニ独立政府”って言っちゃってるし、“首長”って言っちゃってるし、

その独立政府には『企業』という名の外資及び外資の投資家が含まれているし、

全ての規制の権限は日本政府ではなくミニ独立政府と住民で決めるって
それってもう日本じゃないし、、、!?

医療や教育やエネルギーも含めて社会設計する組織を作り権限を与える、、
なんだか小さな共産主義国みたい、、!

でも必要なインフラは速やかに与えよ、と日本政府に釘を刺す始末。

結局技術革新を隠れ蓑にして政府に出資させ、
日本の中に新しい別の国を作りたいだけなのではと思えてくる、、

そしてもう一つ大きな疑問、そもそも国家戦略特区とは、従来の岩盤規制に風穴を開け
国全体ではできない事を実験的に行うために作られた政策だと聞いている。
私は今の国家戦略特区自体のあり方にも大いに疑問を感じているが、、)

しかし今回、国家戦略特区の新プロジェクトである『スーパーシティ』で
大きく打ち出されている『キャッシュレス化』は
今年4月経産省が発表した『キャッシュレス・ビジョン』で2025年までに
キャッシュレス決済の比率を4割まで伸ばすとすでに宣言しているし、
消費増税の際の軽減税率をキャッシュレスに適用するなどで、
無理くり日本全体でキャッシュレス化を進めようとしているのは間違いない。

そうなるとそもそもキャッシュレス化を『特区』で推進していく事の
意義すらも実のところ無いと言えるのではないか。
国に先んじて『先端技術を取り入れる』のが『特区』の目的ならば、
すでに経産省が進めている政策を今さら目玉のように打ち出す必要はない。
もっとそもそも論でいうと災害大国日本にキャッシュレス化はそぐわない。)
実は竹中氏にとって街づくりの内容なんかはどうでも良いのかもしれない、
ただ新しい王国とその冠を得る事ができるのであれば、、。

今回【スーパーシティ五原則】で竹中氏がこれほど素直に
想いを吐露されている事を鑑みれば、
グローバル企業が国家を経営する日がすぐそこまで
来ているのでは、、と悲観せざるを得ないけれど、
11月末に基本コンセプトが固まるまで
私はできる限り反対していきたいと思います。

同じく危機感を抱かれている皆様どうぞよろしくお願いします。
官邸へのメッセージはこちら↓
https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

最後に大好きなタモリさんの言葉
「企業が考える都市計画っていうのはどこも同じで、
歩きたいような街というよりも、泣きたくなるような街だよね 」by 森田一義

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【saya】竹中平蔵氏の最先端都市スーパーシティ~企業が国家を経営する日への11件のコメント

  1. 神奈川県skatou より

    慧眼なご指摘のお話、とても共感いたしました。

    日本国内において、企業中心、強い首長によるミニ国家の志向、つまり、選別ですね。彼の理屈を具現するための器。ならば、選別の行きつく先は?
    (幼稚ですよね。いわゆる、プークスクスで)

    竹中平蔵氏はエリートだから、漫画「ドラえもん」など読んだことがないのでしょうが、ドラえもんの道具のなかに、お誂え向きのものがあります。

    「どくさいスイッチ」

    sayaさんご指摘の通り、竹中氏の共産主義国家建設の行き先は、人類史のとおりの結末になるだけです。それを小学生でもわかるようにまとめた漫画も、この豊かだった日本に存在するのですが、実に残念なことですね。

    (自分は地位身分に無頓着な人間なので、竹中氏が賢そうな顔には、どうしても見えません)

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      1. 神奈川県skatou より

        タモリさんの言葉をずっと考えてみたのですが、

        そもそも街づくりをするときに、考えることはとても多岐にわたり、いっときの利便性や快適性だけでは語れないはずです。
        たとえば働いているときに快適なものが、老後生活で苦痛になるものはあるかもしれません。独身時代はとても便利なものが、子育て中は危険きわまりない除外したいものになるかもしれません。
        引退したら別の町に行く、子育て世代は別の街にすむ、そういう選択肢もあるかもしれませんが、集団疎開もできないですし、世代は分断されます。人と人との繋がりは、そんな機械みたいに組み換え簡単だとは、思えません。
        (そう思う近代人は多いのかもしれませんが・・・)

        人間が考える力に限界はないのか?
        人間が考えることに使う道具、言葉、図表、模型、これらに限界はないのか?

        少なくとも人間の記憶力を超える数の多数の変化項目が同時に時間変化する複雑系を十分な期間の未来について検証可能なのか。いや、そもそも、計算機シミュレーションできるのは「数字に表せる項目」のみであり、人の暮らしは数字で表せるとは、まだ聞いたことがありません。
        (測られたくもありません)

        そんなことは出来ないとすれば、それは現実という、実際に時間を経た現物に従うしかない。今も、そして未来も、その流れで過去から続いていて、今後も続いていくのであろうから、それに則ればいいはずであり、空想だけでその流れを人工的に断ち切ってしまってはいけないのだと思われます。

        政府、いや市町村ならば現在の街のありようをもとに、その良さを踏まえて当世的な価値を取り入れ、漸近的に理想に近づく、時間がかかっても、という姿勢、それは近代以前は当たり前だったはず、近代の不確かな万能感により忘れかけている街づくりの基本だと思われます。

        企業は土地を買い占め、権利を得て、フリーハンドに近い状態で、人の頭にすぎない、ちっぽけな一時の空想で、功利的に追及された街が、どうして、玩味ある街になりえるのでしょう。

        近代以前から営々と作られた街、時間による、人々の暮らしによる洗練を経た街の魅力に比べれば、現地にいってみるまでもない訳です。

        きっと企業の作る街というのは、
        どれも人の頭で考えたにすぎないもの、実際の人間の日々の暮らしには粗末すぎるもの、でもそれが、カッコよく、きらびやかであるゆえに、余計に虚しく、寂しく、侘しく感じられてしまう、そういう意味だと思いました。

        ああ、やはりタモリさんの表現はとても端的に本質を表していると言えそうだな、と、思いました。

        (長文申し訳ありません)

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  2. ぬこ より

    毎回ながら、本質を突く投稿ですね。

    多分、欧米のNWOが根底にあるんでしょうね。
    ジェイエピセンター氏がワールドフォーラムで、サウジが同じ様な国家構想があると言ってました。
    竹中の提唱するものと内容まで同じだけに不気味ですね。

    サウジも日本(明治以降)もイスラエルも、ある種、英国(の裏の世界権力)が創った様なもんで、徳川江戸幕府から英国薩長幕府に支配が変わった様なものですもんね。

    ちなみに、お互い、長くも奇妙な付き合い(笑)ですが、本当に弁士は成熟なされました。
    優れた感受性が、正邪を見抜けるんかね?

    薄毛より白髪に悩む黒ヌコより

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  3. たかゆき より

    グローバリズム

    行き着く先は 共産主義

    あるいは

    グローバリズムも共産主義も 「通奏低音」は 一緒

    ちなみに タモリさん

    たしか 坂フェチでしたっけ、、

    今の日本

    坂の上の雲を目指すのでは なく

    坂の下の泥沼に 転がり落ちる構図

    か しら ん ♪

    *「通奏低音」とは

    「 常に底流としてある考えや主張」

    それは 誤用 

    音楽家としては違和感がある 旨の主張が

    クラングレーデコンサート事務局ブログにございます

    念のため ♫

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      1. たかゆき より

        坂の上の雲

        靖国神社 一の鳥居の下から眺める
        大村益次郎 銀杏並木 
        そして 益次郎の頭上にたなびく 雲

        その光景が 東京で一番 好き

        12月に入ったら 北の丸公園の紅葉
        靖国参拝 これだけは 欠かせません ♪

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  4. 赤城 より

    域内の規制設定の権限は原則としてミニ独立政府と住民に委ねる

    本当にこれはあからさまな物理的売国実験じゃないか。
    これをやりたいと思う一番の飼い主、買主は中国共産党ですね。
    竹中ネオリベ売国工作員はシナとの共謀も行っているのかも。
    こんな凄まじい国家切り売りが実現したら国家解体が起こる。

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  5. あまき より

    都会の生活者には自由をお金で買っているという側面がある。
    履歴を伴わない「現金」だからこそ得られる個人の伸びしろ。
    キャッシュレスでは捨て金という遊びも徳も侭なりません。
    均すだけ均すと奥行きも育むべきものもなくなってしまう。

    現金使用が2%を切ったスウェーデン。もう乾いた笑いしか。
    利便と合理と公正を信じる代わりに自由を売るんですかね?
    運動の先頭に立っているつもりでいたら最底辺にいたなんて話。
    日本にもあるけど、スウェーデンも底を目指すんですかね?

    カナダ・トロントの例は「水清ければ魚棲まず」の典型例。
    タモリさん、タモリさんを結語に引用したsayaさん、お見事。

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  6. たけちゃん より

    バカバカしい。
    自動運転、機械読み取りキャッシュレス、ドローンで荷物はおろか人間も運ぶ空中タクシー。
    アホだろ。
    機械や省力化された秩序が絶対に壊れない前提で物事を語るな、売国奴糞竹中!
    機械は必ず壊れ、人間は必ずミスをする。
    企業が国家経営て利益出さない生産性のない人間は死ねちゅう事だろ、杉田ミオややまゆり園みたいにナチス的虐殺奨励するつもりか?
    シルベスタ スタローンのデモリションマンて映画見てみろ、画一化された社会には必ずレジスタンスが台頭する。
    超暴力に手も足も出ない事態は必ず起こる。特に日本の様な浅間山荘いらい圧倒的火力の洗礼を受けた事の無い官僚主義前例主義のテロリスト相手にサスマタを使う無能警察ではな。

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  7. 反孫・フォード より

    >私的懇談会

     地方創生大臣が、地方に支出することが正しいことを首相に提言しないでなにやっとんじゃーっ!
    やっぱり虎之助維新とは親子だったんだなっ!
    自由も民主も維新も共産もみーんななんもかんもパソナークロー竹中南部前原進次ケート・ネオリベだらけ。

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