日本経済

2018年9月23日

【三橋貴明】実質賃金と就業者数

From 三橋貴明

【近況】

未だに、何が何でも安倍政権を
庇いたい親アベの人から、
実質賃金の低下を問題視する
三橋に対し、

「就業者数が増えているのだから
実質賃金が下がるのは当たり前!
三橋間違っている!」

といった批判を受けます。

「お前、名目と実質を
ごっちゃにしていないか?」

という突っ込みは置いておいて、
「当たり前」というならば、
過去のデータを見なければ
ならないでしょう。

【日本の実質賃金と就業者数の対前年比%(長期)】

物価指数が1970年以降しか
データがないため、
1971年以降の実質賃金と
就業者数の対前年比をグラフ化しました。

見れば一目瞭然ですが、
97年の橋本緊縮財政で
日本がデフレに突入する前、
ほとんどの年で日本は「実質賃金」も
「就業者数」も増え続けました。
(例外はオイルショックの時期と
バブル崩壊時くらい)

就業者数が増えているにも関わらず、
実質賃金が低迷しているのは、
実は2013年以降に
「限定」された現象なのです。

実質賃金は、
労働分配率と生産性で決まります。

就業者数が増え、
同時に実質賃金が低迷するとは、

「企業が労働分配率を減らしているか、
生産性が低下しているか、
あるいはその双方である」

という意味を持ちます。

実際、安倍政権下で
労働分配率が下がり
(代わりに、配当金と自社株買いと
内部留保(現預金)が増えた)、
生産性は低迷しています。

つまりは、安倍政権には、
企業の労働分配率を引き上げる政策、
及び企業が生産性向上のために
投資を拡大する需要拡大策を
求めるべきであって、

「安倍政権下で就業者数が増えた!
マンセー!!!」

などとやっている
場合ではないのです。

何しろ、
「就業者数増+実質賃金低下」
とは、国家が低生産性の発展途上国、
貧困国に落ちぶれていっている
ことを意味します。

働いても、十分な給与を
稼げない人が増えている
(高齢者の再雇用や女性の
パートタイマー・アルバイト
雇用の増加のため)
ことを喜ぶの?

まあ、竹中平蔵氏に言わせれば、

「仕事がなく、
カネを稼げないよりはマシだろ」

という話になるのでしょうが、
本来は高齢者や女性がパートタイマー、
アルバイトとして働かなくても、
世帯主の男性の実質賃金が上昇し、
みんなで豊かに暮らせる国を
目指すべきではないでしょうか?

ちなみに、三橋は、

「女性や高齢者が働けない国は
腐っているが、
女性や高齢者が働かざるを
得ない国は、もっと腐っている」

という価値観の持ち主です。

この価値観って、間違ってる?

◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第288回 全道ブラックアウト
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/article/category/4/

◆月刊日本2018年10月号にインタビュー記事「竹中平蔵のための規制改革」が掲載されました。
https://amzn.to/2QMyZ2A

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol487 国王公債と中央銀行(前編)
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
なぜ「国の借金(正しくは政府の負債)は税金から返さなければならない」「国の借金は将来世代へのツケの先送り」といった意見が消えないのか。
実は、彼らの感覚は400年前のものであるという「真実」を知ってください。

◆メディア出演

9月17日(月) チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。
【Front Japan 桜】政府の賃金統計の嘘 / 平成の御代から引き継がれるもの / 音を立てたら即死!口を閉じることが正義か?~映画『クワイエット・プレイス』[桜H30/9/17]
https://youtu.be/hxgX2X21zH0
http://www.nicovideo.jp/watch/so33870880

9月29日(土) チャンネル桜「日本よ、今…「闘論!倒論!討論!」 」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1655

◆三橋経済塾

平成30年9月15日(土)三橋経済塾第七期、第九回対面講義を開催しました。
http://members7.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?page_id=8
ゲスト講師は本塾初登場、高清水有子先生(皇室評論家・キャスター)でした。
インターネット受講の皆さまは、しばらくお待ちください。

◆チャンネルAJER 更新しました。

『アンフェアなグローバリズム①』三橋貴明 AJER2018.9.18
https://youtu.be/_kcwd297zNM

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【三橋貴明】実質賃金と就業者数への3件のコメント

  1. ヒロ より

    三橋氏の言う通りだと思います。さらにいえば高齢者雇用に際して身体的に衰えた高齢者の給与を引き下げろと業界で言われていること。確かに新進的に衰えた高齢者にさせる仕事は択ぶのでこういう考えも成り立つのですが実際にさせている仕事はどうなのか?
    求人を見るととても高齢者向けとは思えない重労働なものが多い。
    若者が就きたがらない3Kなしごとに割り当てているんですよね。
    肉体的重労働に深夜作業の求人がかなり多い。なのに高齢再雇用だからと給与を下げようとする動き。ますます貧困奴隷化が進む経済政策で日本をどこに導こうとしているのか危惧感しか沸いてこないです

    返信

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  2. ぬこ より

     リフレ界隈がそんな事言ってますよね。
    イスラエル詣でをしたあの連中や支持者が。

    返信

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  3. ざるそば より

    実質賃金について

    矢野(2013)では、実質賃金と景気は相関がないかもしくは緩やかに相関しているという実証研究が多いことが指摘されていますが、一方で、1930年代の大恐慌の時と1990年代の日本にでは実質賃金が景気に対して逆相関したことをバーナンキ氏や原田泰、江川暁夫両氏等が指摘しているという記述があります。また、小野(2014)では、昭和恐慌から脱出する際に実質賃金が低下していたことを指摘しています。インフレからデフレまたはデフレからインフレに転じる局面における実質賃金と景気の関係は、インフレ下における関係とは異なるものなのかもしれません。

    2014年の消費税増税をするべきではなかったと思いますし、来年の増税もするべきではないと考えます。しかし、過去のデフレ脱却の事例を見れば、デフレからインフレに転じる局面において実質賃金が低下することは、必ずしも経済政策の失敗を意味するものではないといえます。

    そもそも、実質賃金は失業者や労働者が養っている家族の存在を無視しており、このような指標を使って「何しろ、「就業者数増+実質賃金低下」とは、国家が低生産性の発展途上国、貧困国に落ちぶれていっていることを意味します。」と指摘することは的外れであるといえます。人々が稼いだ所得を労働者数ではなく総人口で割り算したものを名目賃金として、これを物価で除した実質賃金こそ真の意味で物質的な豊かさを表す指標であると考えます。

    =============================

    労働分配率について

    八代(2009)では、日米の労働分配率を示したうえで、日本の労働分配率が不況期に上昇し、好況期に低下していることを指摘しています。また、アメリカの労働分配率には景気循環の影響がみられない理由を、アメリカでは日本とは違って「不況期に生産活動が低下すると、ただちに雇用を削減する」ためであると説明しています。

    三橋(2014)では、「労働規制は、むしろ強化するべきなのです。」と述べ、また、三橋(2016)では、「また、我々経営者は、従業員を雇用し続けたいのです。今後、またもや日本のデフレが深刻化しても、できるだけ雇用は減らさず、従業員に迷惑をかけたくないのです。だからこそ、今は給与を増やさず、内部留保としてストックしておくわけです。将来、再び大不況が訪れたとしても、従業員を解雇するような事態にならないように。」と述べています。そうなると、三橋氏は労働分配率が好況期に低下することを受け入れざるを得ないのではないでしょうか。

    鶴(2017)では、1980年以降、各国で労働分配率が長期的に低下していることを指摘し、その理由や背景についての近年の議論を紹介しており、労働分配率の変動要因および政府はどのように対応すべきかを考えるにあたって参考になると考えます。

    =============================

    高齢者の再雇用や女性のパートタイマー・アルバイト雇用の増加について

    労働力調査の「年齢階級,現職の雇用形態についた主な理由別非正規の職員・従業員数」によると、2013年から2017年にかけての非正規雇用増加数の内訳は次のようになっています。

    65歳以上の非正規雇用(男女合計)
    112万人増
    そのうち「家計の補助・学費等を得たいから」という理由で非正規雇用になった人
    24万人増

    女性の非正規雇用(全年齢)
    91万人増
    そのうち「家計の補助・学費等を得たいから」という理由で非正規雇用になった人
    2万人増

    非正規雇用全体
    126万人増
    そのうち「家計の補助・学費等を得たいから」という理由で非正規雇用になった人
    9万人増

    このように、非正規雇用増加数のうち、「家計の補助・学費等を得たいから」という理由で非正規雇用になった人の増加数が占める割合は小さく、三橋氏の「働いても、十分な給与を
    稼げない人が増えている(高齢者の再雇用や女性のパートタイマー・アルバイト雇用の増加のため)ことを喜ぶの?」という指摘の妥当性はあまり高くないと考えます。

    =============================

    参考文献

    小野盛司(2014)「高橋是清財政とアベノミクスの違いを徹底比          較(No.152)」小野盛司ブログ            2014年3月7日

    鶴光太郎(2017)「労働分配率低下の“真犯人”」独立行政法人経
             済産業研究所HP

    三橋貴明(2014)「労働者派遣法審議入り」三橋貴明ブログ           2014年10月29日

    三橋貴明(2016)「経済成長のための税制を!」三橋貴明ブログ         2016年9月2日

    八代尚宏(2009)「労働市場改革の経済学」東洋経済新報社

    矢野浩一(2013)「貨幣がなぜ実質変数を動かすのか」岩田規久         男=浜田宏一=原田泰編『リフレが日本経済         を復活させる 経済を動かす貨幣の力』中央         経済社、79-116ページ

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