日本経済

2018年6月25日

【三橋貴明】土木の力

From 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】
日本国民は「想像力」を取り戻さなければならない
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12384772714.html
土木の文明
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12385255279.html

6月18日、朝7時58分に
発生した大阪府を震源とする
マグニチュード6.1(暫定)、
最大深度6弱の地震による
死者五名、負傷者は三百名を越えました。

人口密集地における地震で怖いのは、
地震による建物崩壊、火災など、
直接的な被害はもちろんですが、
震災後の「ライフラインの途絶」
「交通インフラの毀損」
であることが改めて理解できました。

特に重要なのが「水」の途絶です。

人間は食べ物がなかったとしても
3週間程度は生き延びられますが、
水がないと三日で死にます。

我々は当たり前のように
日本国において品質が
良い水を使っています。

これは、水道局などで働く
「他の日本国民」が
水を供給するべく「生産」を
してくれているおかげなのです。

もっとも、水供給サービスの
スペシャリストがどれだけ
奮闘したとしても、
水を供給するインフラである
水道管等が破損してしまうと、
どうにもなりません。

2016年の熊本地震の際には、
三橋の生まれ故郷である
山鹿市でも水供給が途絶しました。

その際に役立ったのが、
叔父一家の家にあった
「井戸」なのです
(叔父一家は味噌屋で、工場もあります)。

当時、地域の被災者の方々が
水をもらいに来て、井戸の水により
何とか皆でしのいだそうです。

というわけで、リニア新幹線が
名古屋まで開通し、
長野県飯田市に移住する際には、
家に「井戸」を設置しようか
と考えています。

話を大阪北部地震に戻しますが、
震度6弱を記録した大阪府高槻市は、
やはり水道管の破裂などで
市内の広範囲で断水し、
各地で給水支援をせざるを得ませんでした。

首都直下型地震。

東京圏を中心とする震度6強、
あるいは震度7の地震が起きた際には、
どうなるでしょうか。

我々が地震を生き延びたとしても、
その後、ライフラインが途絶した
状態で数百万人が「被災者」
になってしまいます。

世界最大のメガロポリスが被災する。

生き残った人々を一週間
生き延びさせる。

水を供給するだけでも、
人類史上空前の
プロジェクトとなります。

先日、土木学会が発表した
首都直下型地震による
生産資産に対する被害が47兆円。

その後、生産資産喪失により
二十年間で失われる
GDP(所得)が731兆円。

南海トラフ巨大地震に至っては、
生産資産の被害が170兆円、
二十年間で喪失する
GDPが1240兆円。

まさに国難です。

国難から日本を守るのは、
「土木の力」しかありませんが、
我が国は過去二十年以上もの期間、
公共投資悪玉論を唱え、
日本を救う土木の力を
軽視することを続けてきました。

過去の文明は、土木の力
により興隆しました。

ピラミッドや古墳に代表される
「文明の遺跡」は、全て土木の力
により建設されたものです。

日本の場合、何しろ大震災が
頻発する国であるため、
土木の力は否応なしに強化されます。

それ以前に、そもそも水稲文明を
実現するためにも土木の力は必須です。

瑞穂の国は、土木の力
無しには成立しえないのです。

それにも関わらず、
土木の力について
真剣に考えようとしない。

日本文明は土木の力により興隆し、
国民が土木の力を軽視することで
亡びかねない状況に
追い込まれているのです。

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【三橋貴明】土木の力への3件のコメント

  1. たかゆき より

    属国を豊にしては ならぬ。。

    バブル期のように宗主国の土地を買い漁ったり
    主権回復などと 騒ぎだしたりしたら
    適いませんでしょうから、、

    日本は生かさず 殺さずの状態を維持させるのが ベストな選択かと。。。

    返信

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      1. 赤城 より

        >日本は生かさず 殺さずの状態を維持させるのが ベスト

        まさにそのとおりであり、
        少し考えればわかる自明の理ですね。

        先人がこれを知らなかったわけが無い。
        エリートともなれば言わずもがな。
        それにもかかわらず分からない振りをして、
        属国状態を諦めか知らんが放置した。
        あとはずっと白痴化教育で終わり。
        民族的に滅亡の危機に陥ったことのほとんどなかった日本の
        致命的弱点と歴史的経験の無さとで詰んでしまった。

        どうも失礼しました。

        返信

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  2. 神奈川県skatou より

    水は飲用も重要ですが、もっと大事なものとして、衛生があります。

    手を洗う。用を足す。
    これをなに不自由なくできれば、公的インフラが途絶する災害時の生き延びで、大きくアドバンテージがあるはずです。

    自分は戸建てなので小さいながらも地面があります。近所のご老人に聞いたら、昔は水道でなく井戸だったと聞いたので、水脈もあるようです。井戸工事は安くないですが、ちかいうちチャレンジしたいです。

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