日本経済

2018年3月4日

【三橋貴明】経済学の「効用」

From 三橋貴明

【近況】

花粉症の季節がやって参りました。

改めて「経済学」とは
不思議な学問なのですが、
モノやサービスを十分に購入できる
「効用」の最大化を目的にしています。

ある集団(例えば社会)において、
誰か別の人の効用を犠牲にしなければ、
自らの効用を高められない状態。

効用がフルに膨れ上がった状態ですが、
これをパレート最適と呼びます。

経済学の基本には、
パレート最適を目指す、
という概念があるのです。

さて、花粉症の薬が
「有限」だったとします。

花粉症に苦しむ三橋が、
薬を入手できたとき、効用は上昇します。

とはいえ、よくよく考えてみると、
そもそも三橋は「花粉症にならない」
ことが幸福なのです。

無論、花粉症になってしまったならば、
薬は欲しいわけですが、それ以前に
花粉症であること自体が不幸です。

その場合、経済学のいう「効用」とやらは、
どうなってしまうのでしょうか。

似たような話が、実は
現実社会に多数あるのです。

防衛、防災、防火、防犯等の
「安全保障」を提供する、
自衛隊、土木・建設業、消防、警察。

自衛隊が動かざるを得ない
「防衛出動」や「大規模自然災害」が
起きることは、国民の不幸です。

さらには、犯罪や火事に
巻き込まれたいと思う人も、
まずいないでしょう。

自衛隊など、非常事態時の
安全保障を提供する方々のサービスは、
そもそも「効用が最小化」
することが理想なのです。

戦争も、大規模自然災害も、
家事も、犯罪も、起きない方が良い。

さらに言えば、病気や怪我になることがなく、
高齢でも健康な生活を過ごせる
ことが国民にとっては幸せです。

我々が「不幸」になった際に、
効用が大きくなるサービスが、
現実に存在する。

これが、現実の社会です。

上記を理解したとき、
「効用の最大化」が目的である
経済学が、いかに現実離れ
しているかが分かるでしょう。

◆ソーシャルレンディング最大手maneoの瀧本憲治氏との大人気コンテンツ「第2次グローバリズムで失ったもの~1億円も損しています!私たち。」 がリリースになりました
https://youtu.be/ir-0UIR30HI

◆WiLL 2018年4月号 に連載「反撃の経済学 国土経済学」が掲載されました。
http://amzn.to/2CUMZPL

◆3月17日(土) 三橋経済塾第七期、第三回対面講義申込開始致しました。
http://members7.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2358
ゲスト講師は藤井聡先生(内閣官房参与 京都大学大学院教授)です。

◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第261回「人手不足と地方再生」
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/article/category/4/

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol458 効用最小化(後編)
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
効用の最大化どころか、効用最小化が国民にとって望ましいサービス(安全保障、社会保障、防災インフラ整備など)について、国家はいかに供給能力を維持、向上させればいいのでしょうか?

◆メディア出演
3月9日(金) チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651

◆三橋経済塾

3月17日(土) 三橋経済塾第七期、第三回対面講義申込開始致しました。
http://members7.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2358
ゲスト講師は藤井聡先生(内閣官房参与 京都大学大学院教授)です。

◆チャンネルAJER
『国土経済論(前編)①』三橋貴明 AJER2018.2.20
https://youtu.be/A-NfdYbNwkk

関連記事

日本経済

【三橋貴明】TPPは悪い協定 米議会では批准されぬ

日本経済

【平松禎史】霧につつまれたハリネズミのつぶやき:第廿二話

日本経済

【三橋貴明】情報制約

日本経済

【三橋貴明】プライマリーバランス目標の破棄を!

日本経済

【三橋貴明】マイナス金利で、もう終わりです

【三橋貴明】経済学の「効用」への2件のコメント

  1. たかゆき より

    二元一次方程式

    y:効用
    x:災難
    k :定数

    y=kx が成立するとして

    災難x は マイナスの値
    その場合は 定数kを マイナスにすればよいだけ

    マイナスの kなど 無意味 
    考慮する必要などない という思想が
    日本国憲法の精神 でしたっけ ?

    経済学の「効用」なるものには 
    たしかに 不思議な「景色」を感じます 
    と もうしますか
    ただたんに 算数が苦手なだけ 
    なのでは?

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  2. F-NAK より

    「スケジュールと予算にリスク準備を織り込むには勇気がいる。」
    米国の著名なコンサルタントの言葉です。

    私も、プロジェクト管理で一番苦労したのが、リスク管理の必要性をマネージャに説くことでした。

    また、例え「分かった。リスク管理は重要だ。」と言ってくれたマネージャでも以下のような対処しかせず、理解には程遠い人が多いのです。

    ・心配して見守るだけで何もしない。
    ・リスクを避けることを考えてる。(避けらるとは限らないからリスク管理が必要。)
    ・小さなリスクしか対処しない。(一番大きなリスクは怖がって手を付けない。)

    そして、これを乗り越えてリスク管理を実施しても、プロジェクトが成功してしまえば、
    「お前の言っていたことは外れたな。」
    「俺らが苦労してたときにお前は何をしていたの?」
    と、狼少年扱いされます。

    まさに、リスク管理には勇気が必要です。
    「臆病者と言われる勇気をもて(日本航空第2代社長、松尾静磨)」です。

    つまり、経済学者の多くは、自分の名声だけ考えていて勇気がないのです。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】消費税は、「10%はもうしようがない」と諦めれば、...

  2. 2

    2

    【小浜逸郎】泊原発を再稼働すべき理由

  3. 3

    3

    【藤井聡】度重なる自然災害。消費「増」税は、極めて難しくなっ...

  4. 4

    4

    【三橋貴明】国土強靭化・防災省の「予算」

  5. 5

    5

    【三橋貴明】実質賃金と就業者数

  6. 6

    6

    【上島嘉郎】「常識」の回復

  7. 7

    7

    【三橋貴明】ストローマン・プロパガンダ(後編)

  8. 8

    8

    【三橋貴明】賃金統計に関する安倍政権の嘘

  9. 9

    9

    【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」:第四十九...

  10. 10

    10

    【藤井聡】「消費増税」を凍結せよ。

MORE

月間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】「高潮」の恐怖―――強靱化を「急がない」政治家・公...

  2. 2

    2

    【藤井聡】「消費増税」を凍結せよ。

  3. 3

    3

    【藤井聡】度重なる自然災害。消費「増」税は、極めて難しくなっ...

  4. 4

    4

    【藤井聡】消費税は、「10%はもうしようがない」と諦めれば、...

  5. 5

    5

    【三橋貴明】安藤裕衆議院議員との対談

MORE

最新記事

  1. 日本経済

    【三橋貴明】政府の資金不足を増やせ!

  2. 日本経済

    【三橋貴明】実質賃金と就業者数

  3. 政治

    【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」:第...

  4. メディア

    未分類

    【上島嘉郎】「常識」の回復

  5. 日本経済

    【小浜逸郎】泊原発を再稼働すべき理由

  6. 政治

    【藤井聡】消費税は、「10%はもうしようがない」と諦め...

  7. 政治

    【三橋貴明】国土強靭化・防災省の「予算」

  8. 日本経済

    【三橋貴明】ストローマン・プロパガンダ(後編)

  9. 日本経済

    【三橋貴明】ストローマン・プロパガンダ(前編)

  10. 日本経済

    【竹村公太郎】地球気候変動の歴史

MORE

タグクラウド