From 三橋貴明@ブログ
ソーシャルレンディング最大手maneoの
瀧本憲治氏との大人気コンテンツ
「今、景気は良いのか悪いのか?これからは? 」
がリリースになりました。
https://youtu.be/LK7i1kQVRrQ
さて、2017年実質賃金の確報値が出ました。
『実質賃金0.2%減、2年ぶりマイナス 17年確報値
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27290340T20C18A2EAF000/
厚生労働省が23日発表した2017年の
毎月勤労統計調査(確報値)によると、
物価変動の影響を除いた実質賃金は
前年より0.2%減った。
速報値と同じ数値で2年ぶりのマイナス。
名目賃金にあたる同年の
現金給与総額は0.4%増と、
4年連続で増えた。
物価上昇が実質でみた
賃金を押し下げた。(後略)』
物価上昇が実質賃金を押し下げた
と書いていますが、実質賃金計算時の
基準となる「持家の帰属家賃を除く総合」の
インフレ率は、2017年は対前年比+0.6%。
高々、+0.6%のインフレ率にすら、
名目賃金の上昇が追い付いていない
と判断するべきなのでしょう。
しかも、2016年は確かに
実質賃金が上昇しましたが、
同年のインフレ率は▲0.1%でした。
物価が下がった結果、実質賃金が上昇した!
などと喜ぶわけにもいきませんし、
逆に少し物価が上昇するだけで、
途端に実質賃金がマイナスに陥る。
これが、日本経済の現実というわけです。
年ごとの実質賃金について、
2005年以降の数値をグラフ化しました。
2015年=100でございますので、
指数の絶対値よりも、「動き」に
注目して下さいませ。
【日本の実質賃金の推移(2015年平均=100)】
http://mtdata.jp/data_59.html#Jchingi
ちなみに、実質賃金は2005年以前から
下がり続けています。
ピークはもちろん、橋本政権が緊縮財政を
強行した1997年でございます。
それにしても、05年比で見ても、
2017年の実質賃金は
「現金給与総額」で▲8.9%、
「きまって支給する給与」では▲7.9%。
第二次安倍政権が発足する前の
2012年と比較すると、
2017年の実質賃金は
「現金給与総額」で▲4.1%、
「きまって支給する給与」では▲5.3%。
安倍政権下で、2013年以降の
日本国民は5%「貧困化した」。
これは、紛れもない事実なのです。
結局のところ、デフレ対策について
「おカネの問題(貨幣現象)」であると
間違った認識を抱き、
「日銀がおカネを発行すれば、
デフレ脱却できる」
と、いわゆるリフレ派理論に基づく
デフレ対策を実施。
反対側で、財務省主導の緊縮路線を
突っ走った結果、円安による
輸入価格の上昇や、消費税増税により、
物価は+圏内で推移し始めたものの、
肝心の「需要」が増えず、
実質賃金のマイナスが続いたわけです。
名目賃金とは、名目値で見た所得です。
名目値で見た所得の総計は、
もちろんGDPです。
そして、GDPは生産の合計であり、
所得の合計であり、需要の合計でもあります。
わたくしどもが「デフレは総需要の不足」と
表現したのは、イコール
「名目所得の合計値が足りない」
でもあるわけです。
無論、名目値で所得が大きくなったとしても、
労働分配率が低迷すれば、
生産者の名目賃金は上昇しません。
とはいえ、現在の日本は
「幸いなことに」人手不足に突入しています。
人手不足が深刻化していっている以上、
総需要の継続的な拡大さえ明らかになれば、
労働分配率は引き上げられ、
名目賃金は物価上昇率を
追い抜く勢いで上昇します。
ところが、安倍政権はPB黒字化という
狂った目標に縛られ、総需要拡大政策に
乗り出そうとしない。
結果的に、物価上昇に
名目賃金が追い付かず、
実質賃金が低迷する
国民の貧困化が続いたわけでございます。
五年間の実験でわかったでしょ?
どれだけ中央銀行がおカネを発行しても、
政府が緊縮路線を進む限り、
国民の貧困化は終わらないのです。
【三橋貴明】なぜ、実質賃金が低迷するのか?への1件のコメント
2021年4月16日 2:52 AM
[…] ⇒ https://38news.jp/economy/11659 […]
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
コメントを残す
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です