日本経済

2018年3月23日

【三橋貴明】悪の帝王も救世主も存在しない(前編)

From 三橋貴明@ブログ

先日、彩図社から刊行した

「日本を破壊する
種子法廃止とグローバリズム」

の前半は、現在の人間社会に
鵺のように覆いかぶさる
「グローバリズム」の歴史に
ついて語ったものです。

人間は、政治的な問題が
解決できな際に、

「問題を引き起こしている悪玉」

「問題を解決してくれる救世主」

の双方を求めるわけですが、
現実には分かりやすい悪玉も
救世主も存在しません。

グローバリズムと総称される、

「自己利益最大化のために、
各国の国民を苦しめる」

政治勢力にしても、単に
人間の欲望の集合体に過ぎません。

コロンブスが西に向かい、
サン=サルバドル島に漂着したのも、
ヴァスコ・ダ・ガマが喜望峰を回り、
インドに到達したのも、
「香料(スパイス)」を求める
欧州人の欲望が理由でした。

欧州人のスパイスに対する
欲望が、世界の歴史を
大きく変えてしまったわけですが、

「日本を破壊する
種子法廃止とグローバリズム」

で書いた通り、歴史は
英雄物語ではありません。

コロンブスやガマが
いなかったとしても、
欧州の誰かがアメリカ大陸、
インドにたどり着いたことでしょう。

欲望あるいは「人間の考え」
といった抽象的な概念が、
歴史を動かします。

欧州人のスパイスに対する欲求は、
まだしも理由がありましたが

(詳しくは
「日本を破壊する
種子法廃止とグローバリズム」
をお読みください)、

そうではない考え方もあります。

明らかに間違った考え方
であっても、修正できない。

結果的に、1憶人を越える
日本国民が犠牲となる。

先日、藤井先生が三橋経済塾講義で、

「財務省がPB黒字化を求めるのは、
PB黒字化を求めているため」

と、巧いことを言っていましたが、
まさにその通りで、財務官僚は
PB黒字化を達成するために
PB黒字化路線を追い求めます。

そこに、論理的な理由はありません。

財政破綻、といったPB黒字化目標を
正当化するレトリックは、
すでにことごとく破綻
してしまっています。

特に、アベノミクスの金融政策で、
日本銀行の国債を買い取りが
続いているため、我が国の
「政府の負債」、具体的には国債、
財投債、国庫短期証券の合計ですが、
すでにピーク(2012年9月)から
200兆円近くも減少してしまいました。

【日本銀行所有の国債・財投債・国庫短期証券と日銀以外保有分(億円) 】

今更ですが、日本銀行は
政府の子会社であるため、
「日銀所有の国債・財投債・国庫短期証券」
については、政府の負債に
含めるべきではありません。

何しろ、連結決算で相殺です。

「日銀が保有する国債とはいえ、
借金は借金じゃないか!」

と、叫ぶ「おバカさん」に対しては、
ならば日銀保有の国債を
政府が新たに発行する
「無期限・無利子国債」と
交換してしまえば済む話じゃん、
でおしまいです。

日本の「国の借金!」とやらは、
この程度の問題に過ぎないのです。

無論、政府の負債は増えるもの、
という事実は、わたくしは
承知しています。

ここでは、財務省のPB至上主義に
対抗するためのレトリックを書いているのです。

日本に財政問題などありません。

常日頃、「国の借金! 国の借金!」
と煽りまくっているマスコミは、なぜ

「国の借金を(実質的に)
200兆円近くも減らした!」

安倍政権を
礼賛しないのでしょうか。

もちろん、マスコミの記者たちが、
「国の借金」「債務、債券」
「資産、負債」「おカネという債務」
といった基本概念について、
全く無知であるためです。

彼らは、わたくしが本エントリーで書いた
「少し考えれば誰でも理解できること」
を理解するための知識、知性、知能を
持ちあわせていないでしょう。

持ち合わせていたとしたら、
彼らは長年、国民を騙し続けた
「嘘つき」ということになります。

さて、財務官僚が上記のロジックを
理解できるのかといえば、
それはもちろんできるでしょう。

日本の義務教育を受けた
レベルの知性があれば、
誰でも理解できる話です。

それにも関わらず、
彼らは不要どころか、
日本国民を貧困化し、
我が国を小国化させ、
将来的には中国の属国へと
追い込むPB黒字化目標に固執する。

なぜなのでしょう。

もちろん、「PB黒字化を求めている」
ためです。

他に理由はありません。

細かい話をすると、
PB黒字化のための政策を推進すると、
省内で評価され、出世する
という事情はあります。

つまりは、日本国を衰退させ、
中国の属国に追い込む「何か」は、
財務省内の空気、
あるいは文化なのです。

逆に言えば、明確な
「悪の帝王」はいないのです。

財務省の○○氏(誰でもいいですが)を
誅殺したところで、
状況は変わりません。

悪の帝王は、いないのです。

だからこそ、厄介なのです。

もっとも、その財務省が、
個人的には興味がない
「森友問題」とやらで
窮地に追い込まれているのは、
これは非常に面白い状況と
表現せざるを得ません。

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【三橋貴明】悪の帝王も救世主も存在しない(前編)への2件のコメント

  1. 赤城 より

    >財務省の○○氏(誰でもいいですが)を
    誅殺したところで、
    状況は変わりません。<

    さてそれはどうでしょうか。実際に誅殺が起きればぬるま湯で売国三昧の日本国民を舐めきった官僚や政治家は震え上がることでしょうけど。良くも悪くも日本社会の空気は変化するかもしれません。

    >もっとも、その財務省が、
    個人的には興味がない
    「森友問題」とやらで
    窮地に追い込まれているのは、
    これは非常に面白い状況と
    表現せざるを得ません。<

    これは全くの同感です。
    どうして、したたかでアメリカやシナとも深いつながりがありそうな亡国装置の財務省がこんなマヌケな失敗で窮地に陥っているのか謎です。

    返信

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  2. ぬこ より

    悪の帝王は居ないと??

    そう言っておいた方が賢明ですよね。
    イエズス会のみ代から目を付けられていたジパング。

    空気だけであんなおかしな事はやらないでしょう。
    官僚ってそこまで低能なんですかね?
    この20年で、自分らがやってきた(やってこなかった)事って、下手したら事情知ったる国民から(ヤラれ)かねない事ですよね。
    逆に、そこまでやっても国民は抵抗しないと馬鹿にしくさってるんでうしょね。

    ちなみに、偽ユダやシナ資本が、日本各地で水源地山林を買いあさってるそうですが、実は金鉱床を狙ってるみたいですけどね。

    奴ら、国家意識なきグローバリストの方が、よほど先見の名がありますよね。

    売国自民党20年売国グローバリズム路線も、結果、中国にとって経済成長のチャンスになりましたよね。
    安倍政権も、隠れ親中裏には

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