日本経済

2016年12月29日

【島倉原】やはり緊縮財政だった?アベノミクス

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家(クレディセゾン主任研究員)

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【PR】

「国の借金が1000兆円を超えた」「一人当たり817万円」
「次世代にツケを払わせるのか」「このままだと日本は破綻する」

きっとあなたはこんなニュースを見たことがあるはずです。
一人の日本国民として、あなたは罪悪感と不安感を
植え付けられてきました。そうしているうちに、
痛みに耐える消費税増税が推し進められ、国民は
豊かにはならず、不景気のムードが漂い続けています。

本当に増税は必要だったのか? そもそも「国の借金」とは何なのか?

その正体とは、、、
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag.php

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一昨日、藤井聡さんの本紙論稿において、
内需GDP(名目国内需要)の成長率が3四半期連続でマイナスに陥っている日本は、
「これはもはや、リセッション状況と言われても致し方」なく、
「緊縮的態度にかまけている暇など、ほとんどない」との指摘がありました。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/12/27/fujii-229/

その「3四半期マイナス成長」の事実を、より長い期間の中で確認したのが下記グラフです。

http://bit.ly/2htArcb

戦後の日本経済において、3四半期以上連続で名目国内需要の伸びがマイナスとなったのは、
今回の2016年第1四〜第3四半期を除けば、過去三度を数えます。

一度目は、1997年第4四半期〜1999年第4四半期(9四半期連続)。
二度目は、2001年第3四半期〜2003年第3四半期(7四半期連続)。
三度目は、2008年第2四半期〜2010年第1四半期(8四半期連続)です。

このうち三度目については言うまでもなく、リーマン・ショックに代表される、
世界的な不動産バブル崩壊の影響を受けたもの。
結果としてこのケースだけが例外的に、成長率が落ち込む過程において、
国外需要も加算された名目GDPの落ち込みの方が、より一層大きくなっています。

対してそれ以外の、名目国内需要の落ち込みの方が相対的に大きいケースでは、
いずれも強烈な緊縮財政が行われています。

一度目は財政構造改革法のもと、消費税増税と共に公共事業削減が本格化した橋本政権期。
二度目はやはり構造改革の名のもとに、緊縮財政が推進された小泉政権期。
いずれも大手金融機関の経営不安を招いた経済失政期であり、デフレが深刻化しています。

そして今回も、一度目と同様消費税が増税され、それを追うように内需が低迷しています。
さらに、GDP統計上の公共投資に相当する公的固定資本形成は、
2015年第4四半期以降4四半期連続、前年同期比マイナス3〜4%で推移しています。
これを緊縮財政と言わずして何と言うのでしょうか。

現在は、橋本政権期ほどの性急な財政支出削減が行われているわけではありません。
しかも、もう20年近くにもなるデフレ経済に国民全体が慣れてしまったこともあり、
本当は「景気は緩やかに悪化している」にもかかわらず、さほどの切迫感はない。
そうした中で、「景気は緩やかに改善している」との政府発表がそのまま報道されれば、
何となく「そんなものかな」と思ってしまう、そんな人々が増えているのかもしれません。

さらには「機動的な財政政策」という名の下で、第2次安倍政権発足当初に実施された
10兆円超の補正予算の実質・イメージ双方にまたがる効果などもあり、
「アベノミクス=積極財政」という誤った報道が主流なのは、藤井さんご指摘の通りです。
そうなると、「安倍さんは頑張っている」「少なくとも経済政策はマシ」といった、
これまた事実とかけ離れたイメージが定着しているのではないでしょうか。

しかしながら、当初の10兆円超の補正予算、あるいは「機動的な財政政策」自体が、
積極財政とは別物の、消費税増税を前提とした「均衡財政主義」の賜物であったことは、
昨年9月の拙稿「アベノミクスの失敗(第2次速報)」で論じた通りです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/09/24/shimakura-33/

結果、東日本大震災からの復興を契機に盛り上がる可能性があった内需には水が差され、
冒頭で述べたマイナス成長に陥っている。
このあたりも、消費税増税の前に阪神・淡路大震災があった橋本政権期と類似しています。

このままでは何か外的ショックでもなければ、ゆでガエルのように徐々に状況が悪化し、
三橋貴明さんおっしゃるところの「周回遅れのグローバリズム」政策も着々と具現化し、
失われた20年が30年へと引き延ばされてしまう、そんな懸念すら覚えます。

何だか暗い話に終始してしまいましたが、来る2017年を少しでも明るいものにするには、
まずは事実の確かな認識から。
そこから前進の手ごたえを得られるような、そんな1年でありますように。

〈島倉原からのお知らせ〉
そもそもアベノミクスの何が間違っているのか。
事実に基づいて納得されたい方は、こちらの拙著などを参考にしてください。
↓『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』
(二番目のURLはあらすじをまとめたブログ記事です)

http://amzn.to/1HF6UyO

http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-94.html

トランプ大統領誕生で生じた、ドル高・先進国株高・原油高が共存する「トランプ相場」。
その実態を確認した上で、金融市場の今後を展望しています。
↓「トランプ相場の現状と今後」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-216.html

ロシアのプーチン政権に友好的とされるトランプ次期アメリカ大統領。
経済政策の観点からは、必ずしもそうとは言えないのでは、という論稿です。
↓「トランプ政権は本当に親ロ派なのか」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-217.html

↓ツイッター/フェイスブックページ/ブログでも情報発信しています。
こちらも是非ご活用ください。
https://twitter.com/sima9ra
https://www.facebook.com/shimakurahajime
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/

—発行者より—

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植え付けられてきました。そうしているうちに、
痛みに耐える消費税増税が推し進められ、国民は
豊かにはならず、不景気のムードが漂い続けています。

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【島倉原】やはり緊縮財政だった?アベノミクスへの5件のコメント

  1. 赤城 より

    ゆで蛙というのは本当に狡猾な自滅誘導です。日本精神や文化伝統を敗戦後に消し去ってきたのも、経済的富裕を食い潰されていくのも、技術的蓄積を無くしていくのも、まるで100年かけた計画のようにゆで蛙の状況を呈しています。教育は100年の計というように100年かけた亡国戦略がここに実を結んで形となってきたようです。70年以上もたてばほとんどの人間が入れ替わり世代交代するのですからこれも戦後教育の成果なのでしょう。国家は自然に出来ていたものと勝手に思っているお花畑世代がいつの間にか致死温度を超えていて死体になっていると気がつくまでもう少し。

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  2. 學天則 より

    >銀行ビール条令ピール銀行条例どえすw 本当にすいませんwそそっかしくてもうw ^^;

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  3. たかゆき より

    息を はくように 嘘を吐く ♪TPP断固反対と 公約しておきながらTPP断固推進消費税絶対反対と 公約しておきながら消費税絶対増税デフレ脱却と 公言しておきながら奈落に向かって まっしぐら。。。こんなに たちの悪い 嘘吐き ということは彼の本姓 は 「安」ですか、、、それなら 今までの彼の 悪行が理解可能そしてこれから行なうであろう  売国 棄国 壊国 行動も手に取るように 解るのだ♪

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  5. 學天則 より

    デフレ下で増税など行う議会は企業組織の会議に例えれば、汚いかもしれませんが便所の便器の水を飲むかどうか真剣に話し合うレベルでしょうね、論外だと言う事です。デフレ下の増税で歳出カットはいけません、なぜならインフレで余剰なマネーを政府が吸収してインフレを抑制するのが税の正体でトレードに課税する消費税はその最前線で切っ先でしょう。消費税を取った分、歳出規模を拡大すれば一応+−0でしょうが、お話を行く限りそうではないのでしょうかね。今時、銀行ビール条令の時代の通貨学派の亡霊の次元というか、不換紙幣或は管理通貨制度というかそういうのを理解してないもうゴールドスミスの金匠手形というかそういう話からしなきゃいけない基礎教養のなさでは明らかに政府はもう統治能力を喪失していますね。古くは千代田生命何かそうでしたけど東芝やシャープもですが、私はダメ企業の下請けというか、その辺の腐肉を餌にしてハイエナ家業で仕事を請け負ってきた半生でしたが、そういう駄目な組織はもう中に入って見ればわかるけど、言っても無駄だし本当に人間は愚かで完全に駄目になるその日までわからん人が大半ですよ。まあ不本意に多数派にはめ込まれて押し付けられた人生ですけど契約した以上、自分の責任だし、泣言はいっても誰も助けてくれないし、なんとか生き延びてきてITで個人が気軽に情報発信できる時代になり、今はそういう場からも遠ざかっていましたけど、そう言う契約を私に押し付けた連中は泣言ばかり言って責任を取る覚悟が無いどころかそのツケを更にあの手この手で、また真剣に生きてきた人たちに擦り付けようとする本当に腐った連中が多数派の世の中です。今はもう昔の事は、どうこうしてくれとは言いませんし、それよりも、もうこれ以上は関わってくれるなほっといてくれという心境ですね。誰かこいつらを黙らせてリストラ部屋に送ってくださいな、ほんと。

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