日本経済

2017年3月7日

【藤井聡】日本経済の「供給力」「生産性」を破壊し続ける消費増税

From 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)

消費税は、家計の「消費」を直撃しました。

消費税は「あらゆる消費行動の罰金」とも言われる税金ですから、消費が冷え込むのも当たり前です。

実際、最新の本年1月の家計の実質消費(2人世帯以上)は、消費増税によって実に、一月当たり2.8万円、も縮小してしまいました。


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=994479603986316&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=3

「月2.8万円」といえば、かなりの金額。

各世帯の消費トータルのおおよそ1割(9.2%)に相当し、年間で言えば「34万円」となります。

これだけあれば旅行にも行けただろうし、レストランにだって何回か行けただろうし、もっといいスーツや靴をいくつも買ったりできたかも知れません。あるいはそれ以前に、「自分の好きな肉や魚を時々食べる暮らし」ができたかも知れませnし「子供を塾に行かせる」ことだってできたかもしれない―――等々。

つまり、消費増税は、確実に私たちを「貧しく」させたわけです。

同じようなことは、エコノミストも政府もメディアも皆が大騒ぎした「リーマンショック」でも起きていますが、その影響は短期で収束しています(翌々年には回復基調に入っています)。しかもその落ち込み額も、消費増税によるそれの三分の二程度しかありませんでした。

・・・ですが、それは何も不思議なことではありません。リーマンショックはしょせん「瞬間的」ショックに過ぎませんが、消費増税は2014年だけでなく、2015年も2016年も今年も来年も再来年も…..ずっと庶民から消費金額の「3%」を吸い上げ続けるものだからです。

この消費増税の「貧困化」インパクトは、もうそれだけで庶民の幸福水準に大きなダメージを与えているのですが――問題はそれに留まりません。

多くのエコノミストや学者、経済官僚や財界の皆さんが常日頃「大切だ」と言い続けている日本経済の「生産性」や「供給力」さらには「競争力」に対して、消費増税は大きなダメージをもたらしているのです!

こちらのグラフをご覧ください。


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=995836823850594&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=3

このグラフは、民間投資(実質値)を示しています。

日本のGDPはおおよそ500兆円、その最大部分を占めるのが300兆円の消費ですが、民間企業の「投資」は現在おおよそ80兆円程度の水準を占めています。

この80兆円という投資水準は「消費」の4分の1弱で、全体の6分の1強ですから、さして大きくない、とも言えますが、その水準は日本経済の「生産性」や「競争力」にとって、最も重要な意味を持つものです。

なぜなら民間企業が投資を重ねることではじめて、日本の生産力、供給力が維持され、増強され、国際的な競争力が獲得されていくからです。

「投資」は一旦行うと、何年も何十年もの間、生産性を向上させます。ですから、日本の「経済力」を考える上で、文字通りその場で消えて無くなってしまう「消費」よりも中長期的に重要な意味を持つのです。

(#これは民間投資だけでなく、公共投資についても同じことが言えるのですが――それについては本稿では一旦脇に置きましょう)

さて、日本経済を考える上で、それほどまでに重要な「投資」なのですが、これもまた、リーマンショックによって大きく縮減します。ですがその直後の2009年から徐々に回復していくことになります。

そして、消費増税の直前の2014年の1-3月期までに、リーマンショック後の最低水準だった65兆円から79兆円にまで約14兆円も回復していったのです。

その成長は年率で2.9兆円、「4%」のペースでした。

その背後には、「リーマンショックからの回復」という過程に加えて、2012年からはじまったアベノミクスによる景気浮揚効果があったことは間違いありません。

しかし、2014年の4月の消費増税以降、そのトレンドがいきなり変化します。

成長率が一気に鈍化したのです。

グラフに示したように、年率1兆円、成長率「1.3%」にまで縮退します。これは増税前の「3分の1」の水準。実学にして年率1.9兆円も縮小してしまったわけです。

なぜこうなったのかといえば、理由は明白。

そもそも、日本企業全体にとっての最大のマーケット=顧客は、日本国内の「消費」です。その「消費」が約1割、一世帯あたりにして月3万円弱も縮小すれば、企業が投資を控え始めるのも当然です。しかも、「投資」を行うにしても、その投資行為に対して消費税がかかってくるのですから、民間投資にブレーキがかかるのも必然です。

結果、日本では、昨年末時点で3.9兆円もの投資が縮退してしまったことが、このグラフから推計される、という次第です。

もしこのままの「投資成長率」が続けば、毎年1.9兆円ずつ投資が縮退していき、2020年時点では、「11兆円」程度もの水準で、民間投資が縮退することになってしまいます。

そもそも民間投資は、「生産性の向上」のみならず、年々老朽化していく設備に対する「維持・管理・更新」や地震等のリスクのための「強靭化」のためにも必要不可欠。このままでは、生産性の向上が阻害されるばかりではなく、「現状維持」すらままならなくなっていきます。

つまり消費増税は、短期的に需要を棄損し、景気後退、経済規模縮退を導くのみならず――、


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=921373207963623&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=3

――それを通して、日本の成長の源泉たる「供給力」や「生産性」、つまり「経済競争力」を抜本的に毀損するダメージを我が国にもたらしているのです。

この「消費増税によるダメージ」の存在を真正面から受け止めるなら、日本経済が自ら成長していく力を取り戻すために、「消費税を5%に戻す」減税の可能性も含めた「政府支出の拡大」が必要不可欠であることは、万人が認めざるを得ないのではないでしょうか。

それなくして消費増税のダメージから日本経済を救い出し、日本人の消費や需要、そして「競争力」の回復を期することなどできないのです。

追伸:あるべき経済政策については,是非下記をご一読ください.
https://goo.gl/Jcqhm0

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  1. robin より

    消費に税を掛ければ消費が落ち込むのは当然だと思うが。それでも消費増税に拘るのはインフレを前提にした経済学に基づいて評価基準や尺度を全ての前提に置いたから?エリート達の順調な出世のため、組織的な秩序を乱さないために一国家全体より自分達の一組織を重視した結果なのか。内国債と外国債の区別なく、政府の負債の絶対額を減らしたいのも体裁が悪いと世界市民達に思われたくない、というポピュラリズムの一種?なのかな、人気のある所にお金は集まるし、人気自体グローバル株主や個人スポンサーがマスコミを私的に操作出来るし(?)。あれは公告会社、あくまでも一企業なのでその報道も1/400万程度の意見でしかないと思う。

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  2. 拓三 より

    大体からして!『借金が〜』マインドで増税考えるボンクラの脳みそ!捨ててまえ!
    国債を増税に移し替えたら経済が縮小する事すら解らんか!
    1京歩譲って増税分を上乗せした財政支出でもマイナスやのに、まして緊縮財政って….自殺行為や!
     
    ほんでから、個人消費と未来への投資は同じ!
    個人消費は生きる為!生きるとは未来!食べる、着る、旅行、等々全て快適に生きると言う事!つまり個人消費が下がる事は自己の投資が減る事なので供給能力の低下を意味する。(食べなくては体が動かない)

    結論!
    消費増税は百害あって一利なし!
    減税で元に戻し、財政拡大でデフレ脱却プラス経済成長!
    適正な金融政策も!

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  3. はっちゃん より

    消費の減退が3年間続き、その律9%・・・。消費が落ち込むだろうとは思っていましたが、やはり落ち込みましたという感じですね。テレビなどで大騒ぎするには十分すぎる内容だと思いますが、そんなに大騒ぎしているのを今のところ私は見てないですね。認知的不協和がその原因ですかね?ところで私事ですが「認知的不協和」という概念を知って以来、自分の周りには認知的不協和がゴロゴロあることに気づきました。人間関係の軋轢の原因のかなり多くがこれではないでしょうか?認知的不協和がおこっているそもそもの原因に、デマがある場合もありますし、偏見や勘違い、それらの複合といったものを見かけます。そしてそうやって持っている当人の認知はだいたい本人に都合の良い認知になっているように思います。そこにその人の人間的弱さを見ることが出来るかもしれません。例えばジャイアンが「のび太のくせに!」といったセリフを時々口にしますが、自分よりも弱くて劣るはずののび太がなにか自分よりも優れていたりした場合に混乱しているジャイアンの弱さがそこにあると私は思います。話がそれましたが、マスコミは今こそエンゲル係数のグラフや個人消費減退のグラフなどを示し、消費税増税について国民的議論を起こして検証するべきではないのでしょうか?

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  4. 赤城 より

    消費が1割落ち込んでも政治家官僚もマスコミも企業も庶民も誰一人騒がず糾弾の声も上げない。こんな状況がさも当然のようになってしまった国でこれで一体どうしてまともな国家運営ができるだろうか。できるわけがない。デフレ不況19年の間ずっとデフレを悪化させる政策をやり続けてきた国が真っ当な政策などできる能力も要素も意志も頭脳も実力も何もあるわけが無いのだ。

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