日本経済

2017年3月6日

【三橋貴明】経済力はおカネの量ではない

From 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】
日本国の発展途上国化を食い止めるために
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12252217390.html
低金利環境生かした財政政策が大切
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12252529911.html

そもそも、日本国民(特に政治家)の勘違いが著しいと思うのは、
先進国あるいは「経済力がある国」とは、おカネがある国ではないという点です。
おカネなど、中央政府や中央銀行がその気になれば、いくらでも発行できます。

「対外純資産というおカネはどうなんだ?」
と、反論したくなったかもしれませんが、確かに日本は世界一の対外純資産国です。
すなわち、世界一のお金持ち国家です。

それでは、世界で最も対外「純負債」が多い国が、どこか知っていますか?
アメリカなんですよ。アメリカの対外純負債の額は、800兆円を超しています。

というわけで、世界で最も経済力がある国が日本で、最も経済力がない国が
アメリカになってしまうのでしょうか。そんなはずがないでしょ!

経済力とはおカネの話ではありません。国民の様々な需要を満たす「供給能力」
「生産能力」を保有する国こそが、経済力がある国であり、先進国なのです。

発展途上国が貧しいのは、おカネがないためではありません。
国民の需要を満たすに足る供給能力を持っていないからこそ、貧しいのです。

具体的には、「川に橋を架けられない」「高層ビルを建てられない」
「国民が医療を受けられない」などになります。
だからこそ、我が国はODAで資金を融資し、日本企業がアジア各国に
インフラを建設するという形の「国際貢献」をしていたわけです。

何しろ、発展途上国におカネを貸し付けたところで、現地の企業が
インフラを整備する供給能力を保有しておりませんでしたので。
アメリカの場合、確かに対外純負債は巨額ですが、特に防衛、食料、
エネルギーという分野において、十分な供給能力を保持し続けています。
さらに、教育といった分野の供給能力も高いです。

実は、世界の主要国の中で「最も外国への留学生が少ない」のが
アメリカ人なのですが、そりゃそうでしょ。自国で国民の需要を
満たすに十分な「教育サービスの供給能力」を持っているのです。

そういう意味で、アメリカは文句なしで「世界一の先進国」といえます。

我が国は長引くデフレーション、緊縮財政で、経済力の根幹たる供給能力を毀損し続けています。
いずれ、我が国は自前ではインフラの整備もできない、震災からの復興もおぼつかない国となるでしょう。

教育にしても、「英語教育の強化」などとバカげた政策を推進している以上、
教育サービスの品質は劣悪化していきます。やがては、
「外国(アメリカ)に行かなければ、まともな教育を受けることができない」
国に落ちぶれることになります。すなわち、発展途上国化です。

もっとも、日本はまだ間に合います。正しい経済政策、教育政策を講じることで、
日本はアメリカ並、あるいはアメリカを超える「先進国」へと発展することは可能なのです。

そのためには、とりもとりあえず「経済力とはおカネではない」という基本中の基本を、国民が理解する必要があるのです。

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【三橋貴明】経済力はおカネの量ではないへの5件のコメント

  1. ofu_1 より

    約80年前の主な国の人口と工業生産比(wikipediaとgeocitiesより)です。

    1940年
    ドイツ  7000万人
    日本   7300万人
    イタリア 4300万人   

    ロシア 10300万人

    米国  13000万人
    英国   4700万人

    1938年当時の工業生産比

    ドイツ  12.7 (%)
    日本   5.2
    イタリア 2.8

    ロシア  9.0

    米国   21.4
    英国   10.7

    18300万人、21.7%(独+日+伊) > 10300万人、 9.0%  (露)

    18300万人、21.7%(独+日+伊) < 21700万人、32.1% (米+英)

     独、日で露を挟撃すれば間違いなく勝てたはずです。米が参戦すれば独日で海上封鎖し、その間に独の原爆が完成し暗黒帝国の出現となります。

     勝つことが分かっていて敢えて負ける戦に踏み切ったのでしょうか?
    おそらく、自分の保身しか興味のない統治権力者が多勢を占めていた結果と思われます。

     確かに敗戦後、GHQのおかげで農地は解放され、特権と利権絡みの財閥は半分解体され、女性と、20歳以上全国民の参政権も誕生し、
    所得の分配にも大成功したようです。植民地になって大発展した歴史に残る快挙です。

     イラク、リビア、シリアを見れば米国の本心が透けて見えます。日本から米国への貢物が枯れた時、中国が米国への貢物を停止した時、ドルを支える植民地はありません。

     自力で生きる力が日本に残っているような戦が必要ですが、80年前と同じように自分の保身しか興味のない統治権力者が多勢を占めていたら国民全員が日銀頼みに生活になります。

     株式会社日銀が知らぬ間に中国元に買い取られ、めでたく中国の植民地に出世します。ハーバードを目指した嗅覚の鋭い人々が今度は中国大学留学で箔を付けます。

     一党独裁国家の植民地になったら国民は身ぐるみ剝がされて党民に吸い取られることになります。

     米国が一番大事というトランプ氏には100兆円という日本の国富を右から左へポンと差し出す阿部氏はどのように映るでしょうか?
    日本国民は承知しているのかな?とか、平和ボケなのかな?とか、米国の大統領の俺がそんなことをしたらケネディーの二の舞だな?とか、
    まだまだ、日本国民にはお金がありそうだからイラクやリビアやシリアになる一歩手前まで絞りとることに決定しよう。とトランプ氏の腹の中を探ります。

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      1. 山崎  巖 より

        英のサッチャー政権、米のレーガー政権と新自由主義を掲げた国で世間で予想しなかった英国のEU離脱やトランプ政権の誕生などが起こりました。グローバル化された自由貿易が資本主義の全てであるかのような経済学が間違っているのだと思います。下辺沈んだ物言えぬ国民だ多数いることを、政治家もメディアも伝えていなかったのです。発達した資本主義で一時的に庶民の生活は良くなり中間層が多くなった時代は国民は幸福を甘受出来ました。然し、一端不況になるとカネ、モノ、ジブンダケの本心が現れる。政治家も企業経営者も日本の将来も考えず自分本位、目先のことだけを考えた施策に拘るようになった。この傾向はW・ブッシュ政権のイラク戦争にいち早く賛成小泉政権からです。莫大なイラク戦争戦費の為に$を印刷しが為にU$は膨らみ$の下落を招き円高に繋がって行くのです。
        安倍政権はTPP協定が経済の政策の全ての如く宣伝していますが、グローバル化による負の面の対策を取りながら進めなければ英・米の二の舞を踏むことは必至です。安倍首相は二言目には民主党政権よりも経済は成長していると言いますが、子供食堂が出来、子供の貧困が言われ続けているのに日本の未来を語る資格などありません。子供・教育は資源を持たない日本に欠かすことが出来ないモノなのです。日本をアメリカの現実にしてはならないのです。

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  2. たかゆき より

    裏米国 ♪

    昭和の中頃までは
    日本海側は 裏日本と
    呼ばれていたとか、、、
    (今でも「裏」だけど)

    国家の豊かさは
    その国の有するポテンシャルの 高さ

    鼻も擤めず
    尻も拭けない紙幣など
    いくら有っても何の役にも 立たず。。。

    先日 米国政府の要人が
    EUを訪問したおり
    ★が 51個の星条旗で 歓迎されたとのこと

    知っている人は知っている

    このままでは 日本は
    Hola America
    もとい
    Hula America に
     
    なってしまう のだ ♪

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  3. 通りすがり より

    最近でもないのですが、日本はものづくりの国じゃなくなっていますよね。

    例えば筋トレマシンとか、防水性の高いガムテープ、デザインの良い食器、よく汚れが落ちるスポンジなど、大体が外国製です。

    日本ではそういうのを作れなくなったのでしょうか?

    まあ、日本の歴史は、何処かからいいものをパクり、進化させていいものにして、発展してきました。
    では、今そういうことをやっているところはあるのかというと、
    見当たらないのは、自分だけなのでしょうか。
    逆に半導体事業などを売り払ったりして、何やってんのという感じです。

    世界に開くのが素晴らしいとか、世界から企業を呼び込むのが素晴らしいとか言う政治家が居る気がしますが、世界に開いた結果、日本に何も売るべきモノが残っていないということになったらどうなるのでしょうか。

    ODAとかで金でもばら撒いときますかって、そりゃあないでしょう。

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      1. 通りすがり より

        「国籍や国境にこだわる時代は終わりました」と言った政治家が居ます。
        あれをなるべく好意的に解釈すると、
        「日本でいいものを作って外国に売って、外国からいいものを買いましょうね(資源も無い国だし)」ということだと思います。

        しかし、外国に売れるほどいいものって何かと言うと、精一杯考えて、新幹線と自動車とゲーム機とアニメくらいなんですよね。
        つまり、とりあえずこの4つくらいは、日本国としてしっかり保持すべき産業だと思うわけです。
        明治時代の富岡製糸場と同じ感じです。

        しかし国内を見てみますと、ぜんっぜん自動車産業を除き、そんな雰囲気はありませんね。
        新幹線はB/Cだのなんだので無関心、
        ゲーム機は子供のおもちゃ、アニメも子供の遊びということで、およそ見向きもされません。

        じゃあ実際何の産業が「見向きされている」のかと言うと、実証データはないのですが、金融と保険でしょう。
        では、金融と保険業が発展すると我々の生活がどのように向上するかと言うと、頭の悪い自分には分かりません。
        保険と金融という、さっぱり分からないものに肩入れする必要性が不明です。

        とするとこれは、金融と保険業に勤める「ポリス住民」とそれ以外という、二極化が進みつつあるということになります。

        今後我々は、政治家や法律などではなく、金融と保険という、よく分からないものに支配されて生きることになるのかもしれません。
        おそらくこれが、世界の目指すビジョンと見て良いでしょう。
        その意味では、「農村議員」とか呼ばれている自民党議員は、全然可愛いというか「健全」だと思います。

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