コラム

2016年5月6日

【上島嘉郎】ふたたび、多謝!台湾

From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)

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「日本が国債破綻しない24の理由 ~国の借金問題という<嘘>はなぜ生まれたか?」
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag2.php

p.1 日本は「国の借金」でなぜ破綻しないのか?
p.13 ”国民1人当たり817万円の借金”を広める財務省の記者クラブ
p.20 日本国民は債務者ではない、「債権者」である
p.36 かつて、本格的なインフレーションが日本を襲った時代があった
p.42 “日本は公共投資のやり過ぎで国の借金が膨らんだ”は全くの嘘
p.55 グローバリストから財務省まで、消費税増税を訴える人々の思惑

http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag2.php

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前回のメルマガで台湾映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』(http://kano1931.com/)を取り上げました。同作を上映した〈「正論」シネマサロン〉は大盛況でした。

日本と台湾の戦前の半世紀に及ぶ歴史の共有を踏まえ、私は前回のメルマガのタイトルを【多謝!台湾】としましたが、これは単に東日本大震災時の彼らの破格の支援や、今回の熊本・大分地震に対する支援への謝意だけではありません。

そもそも戦前日本の統治時代を知る李登輝元総統のような台湾人(本省人)の“多桑(トーサン)世代”と、その子供、孫たちが、「残虐で搾取を恣にした日本」という戦後につくられた戦勝国史観(東京裁判史観)とは異なる日本の姿を記憶し、それを今日においても引き継ぐ存在であることに対する私の率直な思いです。

日本の近代の歩みはいかなるものだったか。戦後長く日本人自身が囚われたままでいる「反日・自虐」という精神的呪縛を解く歴史の鍵が台湾にはある。それゆえ日本と台湾は特別な関係である、と。

ところで、日本政府は昭和47年(1972年)の「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明」によって、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」との立場をとっており、台湾との関係を「国交」とは認めず、「非政府間の実務関係」(外務省見解)としています。

中国が台湾を中国の一部と主張し続けるのは、このポツダム宣言第八項によるものです。
ポツダム宣言第八項は概要、「カイロ宣言の条項は履行されるべき」で、「日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国ならびに連合国の決定する諸小島に限られなければならない」というもので、カイロ宣言に「台湾・澎湖諸島の中国への返還」が言及されているというのが中国の主張の根拠です。
ただカイロ宣言、ポツダム宣言時の「中国」は中華人民共和国ではなく、蒋介石の中華民国です。

このカイロ宣言を当の台湾はどう受け止めているか。これは外省人(蒋介石と共にやってきた大陸系中国人)と本省人(日本の統治時代を過ごした台湾人とその子孫)、いずれが政権の座にあるかで異なる見解が示されています。

たとえば、李登輝に続いて二人目の本省人総統になった陳水扁は、「『カイロ宣言』は署名がないニセモノ」で、「時間と日付が記されておらず、蒋介石、チャーチル、ルーズベルトの3首脳のいずれも署名がなく、事後による追認もなく、授権もない。これはそもそもコミュニケではなく、プレスリリース、声明書に過ぎない」と答えています。(2008年3月18日付台北駐日経済文化代表処ニュース)
http://web.roc-taiwan.org/jp_ja/post/13252.html

それが、外省人の馬英九総統になると、外交部の発表として「『カイロ宣言』は法的拘束力のある条約協定」となります。
(2014年1月22日付台北駐日経済文化代表処ニュース)
http://web.roc-taiwan.org/jp_ja/post/16995.html

ここに見える台湾の構図は、「親中国・中台統一・反日」を掲げる勢力と、「反中国・独立・親日」を掲げる勢力の対立があるということです。端的にいえば前者が外省人、後者が本省人です。台湾の政情を分析するにはこの「省籍対立」の存在を認識しておく必要があります。これ抜きに「台湾は親日か反日か」をいくら論じても正確さを欠くことになります。

李登輝から陳水扁と本省人総統の時代があり、その後、馬英九という外省人総統に代わり、その間立法院(国会)はずっと中国国民党(外省人系)が大勢を占めていましたが、この1月の選挙で民進党(本省人系)の蔡英文が総統に選ばれ、立法院も初めて民進党が過半数を占めるに到りました。

この結果を、台湾人が「中国にノー」を突きつけたと一言で括るのはやや無理がありますが、「中国は一つ」という中国共産党政権と共通認識を一定程度支持してきた国民党政権よりは、李登輝総統の時代から始まった台湾の自由化、民主化、本土化(台湾化)の流れを再び確固たるものにすべきと考える台湾人が多数を占めたということは確かです。そしてその数は増えている。

ちなみに、国民党主席でもあった李登輝が自ら台湾の非国民党化を進めた政治手腕は驚嘆すべきものですが、それについてはここでは措きます。

間もなく民進党に政権が移行する台湾と私たちはいかに付き合っていくか。日本にはその戦略と覚悟が問われます。前述の日中共同声明をひたすら守って、台湾との関係は「非政府間の実務関係」にとどめ続けるのか。それとも両国だけでなく、東アジアの安全と自由と民主主義のために大胆な転換をはかるか。

戦後の日本は、自らは国際秩序の主宰者になれない、なるべきではないと考え歩んできました。それが戦前の反省だったからです。しかしその反省は正しかったか。答えは、否です。

先の大戦の敗北から日本が教訓としたことを端的にいえば、「国際的な孤立はいけない」ということでした。
国際親善に失敗すれば、国際的に孤立し、孤立すれば圧力をかけられ、圧力に反発すればやがて紛争につながり、武力を持たない日本は──武力を放棄し平和国家としての道を歩む日本はそれに耐えられない。だから国際親善を第一として周囲との摩擦回避に努め、相手の要求はのむ、先行譲歩こそが日本の生きる道だ──ラフに括ればこのとおり歩んできたわけです。これは、日本を軽視しても構わないと他国に思わせる結果を招いたといえます。

台湾との関係について戻ります。
私が「多謝!台湾」というのは、蒋介石時代の「防共」という目的で繋がっていた台湾ではなく、戦前の日本統治時代からの歴史的経緯のなかで、その光と陰をフェアな眼差しで受け止めてくれている台湾人に対してです。その台湾人との関係を深めることは、日本人と日本国にとって情理(利)に適うことだと考えます。

ところで、この4月下旬に海上保安庁が沖ノ鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)で違法操業していた台湾漁船1隻を拿捕したことを受け、馬英九政権が、沖ノ鳥島を国連海洋法条約でEEZを設定できる「島」ではなく、設定できない「岩」だと主張し始めました。台湾は従来、日本への配慮から沖ノ鳥島を「島」か「岩」かは「定義しない」としてきたのですが、「岩礁」だとする中国や韓国と同様の立場に転換したわけです。

張善政行政院長(首相)は4月29日、日本製品の不買運動を示唆したとも受け取れる発言をしたばかりか「日本のことを話すだけで腹が立つ」などと語り、その日本批判は連日台湾メディアで報道されています。

民進党の蔡英文次期総統の対日外交のスタートに“縛り”をかけようとする馬政権の思惑がありありで、それに呼応するように中国も早速、外務省の華春瑩官が「沖ノ鳥島に日本のEEZが存在するという主張は不当であり認められない」と発言、馬政権の立場を支持する姿勢を示しました。

日本人と台湾人の友好関係に楔を打ち込もうとうする動きに乗せられてはいけません。
前回のメルマガの結びは、〈私たちが大切に付き合うべき相手は誰か。いよいよこのことを真剣に考えねばなりますまい。〉だったのですが、今回もまた同じになります。

少なくとも台湾は、1996年の初の総統選挙以来20年、自らの指導者を民主的に選出することができる「国」であることを示してきました。中国とは大きな違いです。そしてこの1月の選挙結果は、台湾人が、自ら歩む道は自らが決めることを希求した結果だと思います。それを祝福し、その選択をした台湾人の後押しをしていくのが日本人と日本国の進むべき道筋だと考えます。

私が台湾を「国」と表記している意味は、読者の方々にはおわかりですよね。

〈上島嘉郎からのお知らせ〉
『韓国には言うべきことをキッチリ言おう!』
(ワニブックスPLUS新書)
http://www.amazon.co.jp/dp/484706092X

『優位戦思考に学ぶ―大東亜戦争「失敗の本質」』
(PHP研究所)
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ーーー発行者よりーーー

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かつて日本は「一億総中流」などと言われ、比較的、経済格差の少ない国だとされていた。その「一億総中流」の経済力によって、大きな経済成長を遂げてきた国だった。

しかし、それも「今は昔」。デフレが深刻化するとともに、経済格差の拡大が問題視されるようになっている。

三橋貴明はその原因を政府が「デフレを甘く見ていること」と「実質賃金を軽視していること」と指摘する。特に「実質賃金」は重要なキーワードであるという。

実質賃金とは物価変動の影響を除いた賃金のことだが、要するにモノやサービスを「買う力」を表している。

この実質賃金が、日本では1997年をピークに下がり続けているという。株価が上昇していたアベノミクス初期ですら、実質賃金(=買う力)は下がり続けていたのだ。

なぜ、日本国民の「買う力」は低下し続けているのか。また、この事実はデフレや格差拡大とどのように関係しているのか。

三橋貴明が、デフレの正体やその脱出法とともに詳しく解説する。

『月刊三橋』最新号
「日本経済格差拡大のカラクリ–実質賃金の軽視が招いた大災害」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

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【上島嘉郎】ふたたび、多謝!台湾への3件のコメント

  1. 上島嘉郎 より

    言起さん、コメントありがとうざいます。映画『KANO』も是非観てください。台湾が親日一色などということはありませんが、戦前日本の実相を知る手掛かりとして、こんなにフェアな人たちはいません。

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  2. 言起 より

    台湾漁船の拿捕から、台湾が沖ノ鳥島を「岩」と主張し、中国がそれに同調したこの流れは少し気になっていました。けれども、この「「岩」主張」並びに「「日本に腹が立つ」発言」は台湾国の総意でなく馬英九政権のものであることに気が付くと実態が見えてきます。(本メールのおかげです)これは推測にすぎませんが、この台湾漁船も馬陣営+中国が仕組んだことなのかも。台湾の事、もっと知りたいです。

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  3. アンジェラマオ より

    あなたがどこに何回感謝しようが、安倍が売国奴で安倍政権が売国政権でそれを支持するあなたが売国奴であると言う事実は1ミリも変わりはしませんよ。

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