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2015年7月31日

【上島嘉郎】安倍談話に望むこと(その十)

From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)

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●●明治日本の産業革命遺産の世界遺産登録〜韓国が土壇場で反対に回った理由とは?
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv.php

(ご感想の紹介)
”本当に認識がずれていて、責任も取らず怒りしかありませんです。
残寝な政治家が多く困ります、でも国民ももっと真剣に考えて行かないといけないと思います。”

——————————————————-

「21世紀構想懇談会」の座長代理を務める北岡伸一国際大学長の発言にこだわりすぎかも知れませんが、読者のご容赦を願います。

北岡氏は、戦後70年の総理談話に関し、「一番重要なのは歴史を直視すること。侵略と植民地支配だと思うが、なぜこういう誤りをしたかの率直な反省が大事だ」と述べました(6月30日、BSフジ)。

前回、「侵略」に関する氏の見解への疑義を書きましたが、今回は「植民地支配」に関し、日本の台湾と朝鮮半島の統治は、当時の白人列強がアジア、アフリカ諸地域で行った植民地支配とは内実において大いに異なる点を確認しておきたいと思います。

「植民地」を広辞苑で引くと、「(colony)ある国の海外移住者によって、経済的に開発された地域。本国にとって原料供給地・商品市場・資本輸出地をなし、政治上も主権を有しない完全な属領」と出てきます。

しかし、日本の台湾と朝鮮半島統治は、「原料供給地・商品市場・資本輸出地」を確保することよりも、安全保障上の目的が大きく、かつ日本人独特の価値観(ここでは端的に「八紘一宇」に想いを馳せられたい)から彼の地の社会基盤整備、民生向上に努めたのは、いかにも日本人が白人列強とは異なる存在であったことの証です。

「植民地支配」にもかかわらず、なぜ国家財政のバランスシートは黒字にならなかったのか。
これは確かに「良い悪い」の問題ではなく、我が民族のふしぎな特性とでも言うべきものでしょう(これについて仔細な論に入るのは、ここでは措きます)。

また、当の台湾人や朝鮮人の中に、日本の統治下に置かれたことを悔しく思い、不本意だと扼腕した人々がいたこと、その感情はわかりますが、北岡氏のいうように、「善意だったと言う人が一部にいるが、植民地支配であったことと何の関係もない。全体として悪いことだ」と自ら強調するのも歪だと言わざるを得ません。

前回書いたように、「人類の歴史は権力の配分の変更の歴史」(入江隆則氏『敗者の戦後』)という巨視的な見方をすれば、日本の「植民地支配」もまた、結果的に戦争(政治宣伝)に敗れたことで科された罪であると言って公正を欠くものではないでしょう。

日本などわずかな例外を除いて、19世紀末までに地球上のほとんどすべての地域が白人列強の支配下に置かれました。
アフリカの分割は完了し、南北アメリカから原住民の王国は消滅、アジアは英領インド、英領ビルマ、英領マレー、仏領インドシナ、オランダ領スマトラ、オランダ領ボルネオ、オランダ領ジャワ、米領フィリピン、ドイツ領ビスマルク諸島となり、オーストラリアはイギリスが獲得しました。

今日、この植民地支配を「公式に謝罪」した旧宗主国が存在するでしょうか。1997年の香港の中国への返還に際し、時のパッテン総督はイギリスの中国侵略と植民地支配の歴史についてこんなふうに答えました。

「いったい何を謝罪するのか。19世紀の行為にいま、道義的責任を問う人はいないだろう。この未来志向の年に19世紀の話をするなら驚きだ」

パッテン総督に対し、「千古の罪人」との非難が中国関係者から浴びせられましたが、これがイギリスの態度です。

日本の韓国併合とその後の統治は、19世紀的な帝国主義時代における国家の生き残りをかけた決断でした。
明治政府はそれを好んだのではない、やむを得ざる政治の手段として選択したのです。しかも併合は大韓帝国と大日本帝国との間の条約というかたちで為されました。

北岡氏は日本の行動を「歴史学的には侵略だ」と強調し、「植民地支配」もその結果だから「悪いこと」とおっしゃるわけですが、そう断じるご自身の歴史学は、GHQの思想改造や東京裁判史観から解き放たれたものでしょうか。
禁忌なき言葉と自由な思考のもとに結論づけられたものでしょうか。

私にはそうは見えません。
東京裁判は、戦勝国が敗戦国に対して行った裁判ですから、真理探究の学問とは何の関係もない。その判決によって押しつけられた歴史観も同様です。

東京大学名誉教授の伊藤隆氏が、ゼミの教え子でもあった北岡氏に向けこう述べています。

〈歴史上「侵略国」という烙印を押されたのは「敗戦国」ドイツと日本だけです。(略)侵略の定義というものはない。だから、唯一成り立ちうる定義があるとしたら、「侵略国とは戦争に負けた国である」。それしかない。侵略国イコール敗戦国。
また、「侵略」を定義するなら、「侵略とは敗戦国が行った武力行使である」。それ以外に言い様がない〉
(『歴史通』2015年5月号「北岡君の『オウンゴール発言』を叱る」)

北岡氏に表象される歴史認識を突き詰めて言えば、「敗者の弁明は通らない」ということになるのでしょう。

日本のマスメディアは、一部のアジアの声しか伝えません。
旧聞になりますが、かつての「植民地」である台湾人の声を書きとめた拙稿をお読みいただければ幸いです。
「良いこともした」と私は言いたいのではありません。日本人の歴史感覚に、自虐ではなく衡平を取り戻すために、こうした声にも耳を傾けることが必要だと考えているのです。
http://www.ritouki.jp/wp-content/uploads/2015/03/20061210-02.pdf

[メルマガ発行者よりお知らせ]
韓国併合時代の朝鮮半島は日本の植民地だったのか・・・
https://www.youtube.com/watch?v=vGLmma-WA14&feature=youtu.be

・植民地の住民に選挙がある?
・植民地に莫大なインフラ投資をする宗主国がある?
・日本は本当に朝鮮語を禁じたのか?

月刊三橋の今月のテーマ(8/10まで)は、「歴史認識問題」です。

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【上島嘉郎】安倍談話に望むこと(その十)への3件のコメント

  1. もうもう より

    日本軍により併合されたにも関わらず日本統治時代が良かった。とは、まるで日本の親米保守と同じ考えですね。日本はアメリカに負け、原爆を二発も落とされたが戦後、良いこともしてくれた。アメリカは中国・ソ連から守ってくれる。 8月にも発表されるであろう安倍談話は、所謂保守派が当初想像していたものとはまるで違う、村山だか小泉だかが発表した談話と50歩100歩のしょーもない談話になりそうですね。 そして、所謂保守派は安倍談話をほめちぎるのでしょう。

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  2. メガゾーン より

    >北岡氏に表象される歴史認識を突き詰めて言えば、「敗者の弁明は通らない」ということになるのでしょう。 こう言う雰囲気は昨今のチャレンジと言う言葉を利用した日本ビジネスパーク社会、戦後世代総てに通ずる気がします。事件氏に表象される労使環境意識を突き詰めて言えば、「雇用マゾヒストの弁明は通らない」ということになるのでしょう。 私の思考がマクロ過ぎて逸脱しているのでしょうか?「そうっ、お前の頭がおかしいんだよっ!逆らった罪により君は削除っ」そうか俺がおかしいのかぁ。アハハハハハハアハハハハハハアハハハハハハアハハハハハハ。 支離滅裂ですね。すみません。

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  3. たかゆき より

    日本は独立国ではない。この「補助線」を一本引くだけで現代日本史は解明可能かと。独立国ではないために独自の憲法も軍隊も持てず独自の外交も経済政策も行えない。諜報工作の要は工作員にそれと自覚させずに工作活動をさせることとか。アメリカの日本に対する植民地政策は見事に要を得ております。ちなみにアメリカの工作員は何方か、、推して知るべしでしょう。

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